ある日の夕暮れ、ふと古いチャートブックを開いていました。
1980年。大平正芳首相の急逝と、それに続く「ハプニング解散」。
当時の市場の混乱と、その後に訪れた長期上昇相場の軌跡を指でなぞりながら、私は今の相場との奇妙な符合に背筋が伸びる思いでした。
「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」
マーク・トウェインの言葉とされるこの一節が、これほど重く響く局面もそうありません。
皆さんも今、連日のニュースに心を揺さぶられているのではないでしょうか。
「選挙は買いだ」という勇ましい声。
「いや、今回は違う。政局不安で暴落する」という悲観論。
どちらももっともらしく聞こえ、手元の資金をどうすべきか、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感覚に陥っていないでしょうか。
その不安、痛いほど分かります。
私もかつて、選挙相場という「イベント」に翻弄され、大切な資金を溶かした経験があるからです。
政治と株価の関係は、一見複雑に見えますが、紐解けば非常にシンプルです。
今日は、煽り文句に踊らされることなく、過去のデータという「事実」と、そこから導かれる「シナリオ」を冷静に整理しましょう。
この記事を読み終える頃には、あなたの迷いは消えているはずです。
選挙の結果がどうあれ、「自分が明日、何をすべきか」が明確になっていることを約束します。
私たちは予言者になる必要はありません。
ただ、波が来たときに、一番いい場所でサーフボードを浮かべていればいいのです。
私たちは今、どこで迷わされているのか
まず、私たちの目を曇らせている「ノイズ」を掃除しましょう。
選挙期間中、投資家は情報の洪水を浴びます。
しかし、その9割は投資判断には不要なものです。
捨てていいノイズは以下の3つです。
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日々のメディアの世論調査の微細な変動 「与党過半数割れか?」「接戦!」といった見出しは、新聞を売るための言葉です。数ポイントの支持率のブレに一喜一憂して売買すると、往復ビンタを食らいます。
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SNS上の極端な強気・弱気論 「日本終了」「日経5万へ」といった言葉は、感情の排泄であって分析ではありません。強い言葉ほど、不安の裏返しであることが多いのです。
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選挙期間中の短期的な株価乱高下 アルゴリズム取引がヘッドラインに反応しているだけです。トレンドではありません。
では、私たちが集中して見るべき「シグナル」は何でしょうか。
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海外投資家の動向(投資主体別売買動向) 日本の選挙を一番冷静に見ているのは、実は海外勢です。彼らが「政治的安定」をどう評価し、資金を入れているか(あるいは抜いているか)。これこそが中長期のトレンドを作ります。
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「政策の継続性」に対する市場の反応 誰が勝つかよりも、現在の経済政策(脱デフレ、企業改革)が続くのか、止まるのか。市場はここだけを見ています。
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1980年との類似点(構造的な変化) ここが今回の核心です。単なる選挙戦ではなく、インフレへの転換点という経済環境が当時と酷似しています。
なぜ今、1980年が引き合いに出されるのか
少し時計の針を戻しましょう。
1980年、日本は混迷の中にありました。
第2次オイルショックによるインフレ、政局の混乱。
しかし、「ハプニング解散」による衆参同日選挙で自民党が大勝すると、市場の景色は一変しました。
そこから数年にわたる、力強い上昇相場が始まったのです。
なぜか。
理由は「圧倒的な政治的安定」と「インフレへの対応力」がセットになったからです。
市場が最も嫌うのは「悪材料」ではありません。
「不確実性」です。
誰がリーダーになるかわからない、政策がどうなるかわからない。
この霧の中にいる時、投資家はリスクを落とします。
しかし、選挙によって霧が晴れ、「向こう数年は安定政権が続く」と確定した瞬間、保留されていた巨大な資金が一気に市場に流れ込みます。
これが「スーパーサイクル」の正体です。
今の日本を見てください。
長年のデフレからの脱却、PBR1倍割れ是正による企業改革、そして新NISAによる家計資金の流入。
薪(まき)は十分に積まれています。
あとは、政治的安定という「種火」が投げ込まれるのを待っている状態なのです。
私が今の相場を「機会型」と捉えている理由はここにあります。
ただし、無条件の楽観は禁物です。
前提が崩れれば、シナリオはすべて書き換えなければなりません。
私の分析:事実と解釈、そして行動
ここで、私の相場観を三段階で整理します。
この思考プロセスこそが、プロとアマチュアを分ける壁です。
一次情報(事実) 過去のデータにおいて、衆院選の期間中および直後は、株価が上昇しやすい傾向がある(アノマリー)。特に、与党が安定多数を確保したケースでは、海外投資家の買い越しが顕著になる。
私の解釈(なぜそう見るか) 世界的に地政学リスクが高まる中、日本独自の「政治的安定」は希少価値が高い。消去法的に日本株が選ばれる土壌がある。もし今回の選挙で政権基盤が磐石になれば、海外勢は「日本買い」の理由を得る。これは数日ではなく、数ヶ月続くトレンドの起点になり得る。
読者の行動(どう構えるか) 選挙結果が出るまでは「決め打ち」でフルインベストメントしないこと。結果を確認し、トレンドが発生したことを確認してから乗っても、スーパーサイクルなら十分に間に合う。「事実」を確認してから動く、後出しジャンケン戦略が最も勝率が高い。
3つの未来:もしも、の分岐点
投資の世界に絶対はありません。
だからこそ、私たちは複数のシナリオを持ち、それぞれに対する準備をしておく必要があります。
シナリオA:基本シナリオ(自民党勝利・政権安定)
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状況: 与党が過半数を維持し、政権運営への懸念が払拭される。
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市場の反応: アク抜け感から上昇。海外勢の買いが入り、大型株・主力株主導で指数が押し上げられる。
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やること: 選挙通過後の「最初の押し目」を丁寧に拾う。銀行、半導体、商社など、日本を代表する銘柄に資金を寄せる。
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チェック: 選挙翌週の外国人売買動向が「買い越し」になっているか。
シナリオB:逆風シナリオ(与党苦戦・政権不安定化)
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状況: 与党が過半数割れ、あるいはギリギリの勝利で党内対立が激化。
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市場の反応: 政治的空白を嫌気して急落。円高が進む可能性もある。
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やること: キャッシュポジションを高める(50%以上推奨)。落ちてくるナイフは掴まない。
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チェック: 連立協議の行方。メディアが「政局」を報じている間は手を出さない。
シナリオC:衝撃シナリオ(セル・ザ・ファクト)
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状況: 自民圧勝だが、材料出尽くしで一時的に売られる。
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市場の反応: 選挙翌日に窓を開けて下落するが、底堅い。
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やること: ここが一番の難所であり、チャンス。下落が止まったところ(日足で下ヒゲが出た等)を確認してエントリー。
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チェック: 下落時の出来高。出来高が細っていれば、売り圧力は限定的。
私が一番やらかした「選挙相場」の失敗
偉そうなことを書いていますが、私もかつては「選挙は祭りだ!」と叫んで突撃する未熟な投資家でした。
忘れもしない、ある年の選挙相場です。
当時の私は、事前の世論調査で「与党圧勝」の報道を見て、選挙前に信用取引でレバレッジをかけて買い向かいました。
「結果が出たら爆上げするはずだ」
そう信じて疑わなかったのです。
結果は、予想通りの与党勝利。
しかし、月曜日の市場は寄り付きこそ高かったものの、そこからズルズルと下落しました。
いわゆる「事実売り」です。
私は「そんなはずはない、これは間違いだ」と現実を否定し、損切りをしませんでした。
むしろ、「下がったところは買い場だ」とナンピンまでしました。
その後の数週間、相場は調整色を強め、私のポジションは強制決済(追証)の憂き目に遭いました。
一番悔しかったのは、私が退場させられたその翌週から、本当の上昇トレンドが始まったことです。
教訓:
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予想でポジションをパンパンに膨らませない。
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「材料出尽くし」の下げは、予想以上に深いことがある。
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生き残ってさえいれば、本当のチャンスは後から来る。
この痛みがあるからこそ、今の私は「イベント通過後の確認」を徹底しています。
明日からの実践戦略:負けないための具体論
では、具体的にどう動くか。
抽象論は役に立ちませんから、数字を交えて戦略を組みます。
今回のテーマは「スーパーサイクルを想定しつつ、負けない布陣を敷く」です。
1. 資金配分のレンジ
現金:40% 〜 株式:60%
強気シナリオであっても、今の段階では現金を厚めに残してください。 もし予想外の急落(シナリオB)が来た時、現金こそが最強の精神安定剤であり、反撃の弾薬になります。 「持たざるリスク」を気にする人がいますが、選挙前後のボラティリティで死ぬリスクの方が遥かに高いのです。
2. 建玉の操作(ピラミッティング)
一気に買わないでください。 例えば、100万円投資するなら、まずは30万円だけ入れます(打診買い)。 そのポジションが利益になったら、次の30万円を入れます。 含み益がクッションになってくれるため、精神的に余裕を持ってトレンドに乗れます。 逆に、最初の30万円で損が出たら、絶対に増し玉をしてはいけません。 それは「市場があなたの想定を否定している」シグナルだからです。
3. 徹底した撤退基準(これだけは守ってください)
ここが一番重要です。 以下のどれかに当てはまったら、感情を排して機械的に撤退(またはポジション縮小)してください。
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価格基準: 選挙結果判明直後の「安値」を割り込んだ時。 (市場がその結果を否定したという明確なサインです)
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時間基準: 買ってから2週間経っても含み益にならない時。 (スーパーサイクルなら、資金は活発に動くはずです。動かないということは、資金が来ていない証拠です)
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前提基準: 当選した政権が、増税や規制強化など「市場フレンドリーではない政策」を具体的に発表した時。
初心者の方へ。 もし、相場の動きが激しすぎて「怖い」と感じたら。 それはポジションが大きすぎる合図です。 夜、枕を高くして眠れるサイズまで落としてください。 それが正解です。
読者が保存すべきチェックリスト
最後に、これから数週間、あなたが迷った時に見るべきリストを置いておきます。
【選挙後の相場健康診断リスト】
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[ ] 日経平均は5日移動平均線の上にいるか?
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[ ] 売買代金は活況か?(閑散とした上昇は本物ではない)
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[ ] 銀行株・不動産株など「内需・金利敏感株」は強いか?
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[ ] 円相場は極端な円高に振れていないか?
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[ ] SNSで「損切りしました」という悲鳴より、「押し目待ち」の冷静な声が多いか?
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[ ] 海外投資家の週間売買動向は「買い越し」か?
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[ ] 自分のポートフォリオの中に、含み損の塩漬け株はないか?
まとめとネクストアクション
長い話をしましたが、要点は3つです。
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1980年の再来(スーパーサイクル)の可能性はあるが、それを決めるのは「選挙結果」ではなく「その後の海外勢の動き」である。
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予想でフルベットせず、結果を見てから動く「後出しジャンケン」が最強の戦略。
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撤退ラインを決めていないエントリーは、投資ではなくギャンブルである。
さて、明日スマホを開いたら、まず何を見るべきか。
株価ボードを見る前に、**「ドル円のチャート」**を見てください。
海外勢はドル建てで日本株を見ています。 円安と株高がセットになっているか、それとも円高で株が崩れているか。 これが、今の日本株に対する世界の評価そのものです。
不安になる必要はありません。 相場は逃げません。 準備をした者だけに、微笑んでくれる場所です。 まずは生き残りましょう。そして、大きな波が来たら、一緒に笑いましょう。
免責事項 本記事は、筆者の個人的な見解や過去の経験に基づくものであり、特定の銘柄の売買や投資行動を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任において行ってください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。
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