投資家の皆さん、お疲れ様です。 いま、市場の空気は異様な熱気に包まれていますね。
2026年1月、ついに解散風が吹き荒れました。 「高市解散」という言葉が踊り、メディアには「日経平均6万8000円」という景気のいい数字が並んでいます。
正直なところ、この数字を見てどう感じましたか。 「ついに来た、乗らなきゃ損だ」という高揚感でしょうか。 それとも、「さすがに加熱しすぎではないか」という不安でしょうか。
おそらく、その両方が入り混じっているのが本音だと思います。 私も同じです。
選挙相場は、投資家にとって最大のボーナスタイムと言われます。 過去のデータを見れば、解散から投票日までは高い確率で株価が上昇する。 これは事実です。
しかし、だからといって「全力買い」が正解かといえば、そう単純ではありません。 みんなが強気になっている時ほど、足元には見えない落とし穴が口を開けています。 「6万8000円」というターゲットに目がくらみ、高値掴みをして、梯子を外される。 そんな結末だけは避けなければなりません。
この記事では、浮足立つ相場の中で、あえて一度立ち止まります。 このお祭り騒ぎの中で、何がノイズで、何が本当のシグナルなのか。 そして最も重要な、祭りが終わる前に「どうやって利益を持って逃げるか」。
この3点を整理してお届けします。 読み終える頃には、漠然とした焦りが消え、明日からの相場に向き合う静かな覚悟ができているはずです。
「選挙は買い」というアノマリーの正体
まず、私たちが直面している「選挙相場」の構造を冷静に見つめ直しましょう。 なぜ、選挙になると株が上がるのか。
理由はシンプルです。 「期待」が買われるからです。 与党が勝てば、大規模な経済対策が打たれるだろう。 新しい資本主義の次のフェーズ、あるいは積極財政への転換が進むだろう。 そんな「皮算用」が、株価を押し上げます。
特に今回は「高市解散」という文脈です。 積極財政、金融緩和の継続、成長投資。 マーケットが好むキーワードが揃っています。 海外投資家がこのストーリーを好感し、先物を買い上げているのが今の構図です。
しかし、ここで思い出してほしいのです。 株価を上げているのは「事実」ではなく「期待」だということを。
期待は、膨らむときは早いですが、剥落するときは一瞬です。 6万8000円という数字は、すべての政策が完璧に遂行され、かつ外部環境(米国経済や為替)が完璧な追い風だった場合の「最大瞬間風速」に過ぎません。
私たちが戦っているのは、現実の経済ではなく、投資家の「欲望の総量」なのです。
捨てていいノイズ、見るべきシグナル
今の相場環境は、情報が多すぎます。 スマホを開けば、選挙予測、独自取材、評論家の強気予想が溢れてきます。 これらをすべて真に受けていたら、メンタルが持ちません。
ここで、情報を仕分けしましょう。 投資判断において「無視していいノイズ」と「見るべきシグナル」を明確にします。
無視していいノイズは、以下の3つです。
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メディアが掲げる「日経平均〇万円」というターゲット これはただの願望、あるいは注目を集めるための見出しです。 相場はターゲットに向かって動くのではなく、需給で動きます。 数字自体に意味はありません。
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野党の失言やスキャンダルの速報 選挙戦のゴシップは面白いですが、株価のトレンドを変える力はありません。 政権交代が現実味を帯びない限り、ノイズとして切り捨ててください。
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SNS上の「爆益報告」 他人がいくら儲けたかという情報は、あなたの焦りを煽るだけです。 百害あって一利なしです。ミュートしましょう。
逆に見るべきシグナルは、以下の3つです。
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海外投資家の売買動向(週間) 選挙相場の主役は外国人です。彼らが買い越している間はトレンドが続きます。 彼らが売り転換した瞬間が、パーティーの終わりです。
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ドル円の動き 日本株の上昇エンジンの半分は為替です。 もし円高方向に急激に振れるようなら、株高の前提が崩れます。 特に140円台を割り込むような動きには警戒が必要です。
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裁定買い残の推移 これが積み上がりすぎると、将来の売り圧力になります。 過去のピーク水準に近づいていないか、チェックが必要です。
私のメインシナリオと「崩れる」条件
今の状況を、私はこう分析しています。
一次情報(事実): 政権支持率は堅調。 海外勢は日本株の「出遅れ感」と「デフレ脱却」を評価して資金を入れている。 企業業績自体は悪くないが、PERなどのバリュエーションは過去平均より高め。
私の解釈: 現在は「理想買い」のフェーズです。 実体経済が追いつく前に、株価が先行しています。 投票日までは、「期待」が崩れない限り、ジリジリと値を上げる展開が続くでしょう。 しかし、投票日が近づくにつれて「事実売り(Sell the fact)」の圧力が強まります。
読者の行動: 今は波に乗るべきです。 ただし、いつ波が崩れてもいいように、ライフジャケット(逆指値)を着用した上で。
このシナリオが崩れる条件、つまり即撤退すべきサインも決めておきます。
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米国の金利急騰や株急落 日本独自の材料で上がっていると思いがちですが、親亀(米国)がこけたら子亀(日本)はもっとこけます。
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内閣支持率の急落 選挙戦中に思わぬ失策が出て、過半数割れの観測が出た場合。 これは「政局不安」という、市場が最も嫌うシナリオに直結します。
よくある反論への先回り
ここまで読むと、こう思うかもしれません。 「でも、選挙は水物だし、長期投資なら短期の変動は無視していいのでは?」と。
おっしゃる通りです。 もしあなたが、10年、20年という単位で積立投資をしているなら、今回の選挙騒ぎなど無視して、淡々と定額を積み上げればいい。 それが正解です。
しかし、もしあなたが「この上昇局面で利益を取りたい」と個別株やレバレッジ型の商品を触っているなら、話は別です。 中期投資において「放置」は罪です。 上がったものは、必ず調整します。 その調整幅が20%、30%になったとき、含み益が含み損に変わるストレスに耐えられるでしょうか。
私は耐えられません。 だからこそ、短期〜中期の枠組みでは、出口戦略が必要なのです。
シナリオ分岐:これから起こりうる3つの未来
これから投票日、そしてその後にかけて、3つのシナリオを想定しておきます。
シナリオA:与党圧勝、株高継続(確率50%) 基本シナリオです。 選挙は与党が安定多数を確保。 ご祝儀相場でさらに一段高となります。 やること: 利益を伸ばす。ただし、ポジションは増やさない。 やらないこと: 浮かれてレバレッジを上げる。
シナリオB:勝利するも材料出尽くし(確率30%) 選挙には勝ったが、織り込み済みとして翌日から売られるパターンです。 過去にも何度も繰り返されてきました。 やること: 投票日直前の金曜日に、ポジションを半分落とす。 やらないこと: 「まだ上がるはず」と執着する。
シナリオC:世界同時株安の巻き添え(確率20%) 選挙とは関係ない外部要因(地政学リスクや米国リセッション)で暴落するパターン。 やること: 全撤退。選挙アノマリーなど忘れて、資金を守る。 やらないこと: 「選挙期間中は下がらないはず」という思い込み。
私の失敗談:201X年の悪夢
偉そうなことを書いていますが、私も過去に痛い目を見ています。 あえて恥をさらします。
あれはある年の「アベノミクス」関連の選挙の時でした。 世の中は「国策に売りなし」一色。 私も完全に楽観バイアスにかかっていました。 「選挙後はもっとすごい経済対策が出る」と信じ込み、投票日直前にレバレッジをかけて買い増しをしたのです。
結果はどうだったか。 月曜日の寄り付きこそ高かったものの、そこが天井でした。 「知ったら終い」の売りが殺到し、株価は急降下。 私は「一時的な調整だ、政策はこれからだ」と自分に言い聞かせ、損切りできませんでした。
結局、その後の世界的な調整局面に巻き込まれ、追証の一歩手前で投げ売り。 大きな損失を出しました。
間違っていたのは、銘柄選びではありません。 「相場の時間軸」を見誤ったこと。 そして、「事実が出た後に、相場のテーマが変わる」ことに気づけなかったことです。 選挙期間中のテーマは「期待」ですが、選挙後のテーマは「現実(業績)」に変わります。 このモードチェンジに対応できなかったのが敗因でした。
実践戦略:6万8000円の幻に惑わされないために
さて、具体的にどう動くか。 明日から使える戦略を組みました。
1. 資金管理のルール 今の過熱感の中で、現金比率をゼロにするのは自殺行為です。 どんなに強気でも、現金は30%〜40% 残してください。 暴落が起きた時、この現金が精神安定剤になり、かつ最大の武器(底値買いの原資)になります。
2. 買い方(ピラミッティング) 一度に全力で買ってはいけません。 まず打診買い。 それが利益になって初めて、買い増しをする。 「含み益がクッションになっている状態」でしか、リスクを取ってはいけません。
3. 撤退基準(今回の最重要項目) ここだけは必ず持ち帰ってください。 以下の3つのどれかに触れたら、感情を殺して降りてください。
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価格基準: 25日移動平均線を明確に下回って引けた時。これはトレンド転換の初期サインです。
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時間基準: 買った後、5営業日経っても含み益にならない、または高値を更新しない時。資金が拘束されるだけで機会損失です。
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前提基準: 「与党過半数割れ」の報道が出た時。または、ドル円が1週間で5円以上円高に振れた時。
初心者のうちは、「理由がわからなくても、なんか気持ち悪いなと思ったら半分売る」でも構いません。 ポジションを軽くすれば、冷静な判断力が戻ってきます。
まとめとネクストアクション
長くなりましたが、今回の要点を3つに絞ります。
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「6万8000円」はただの数字。期待で買われているだけと認識する。
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選挙後の「材料出尽くし」を警戒し、投票日前には身軽になっておく。
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予測は外れる前提で、撤退ライン(25日線割れなど)をあらかじめ決めておく。
今の相場は、確かにチャンスです。 資産を大きく増やせる可能性があります。 しかし、それは「適切なリスク管理」ができた人だけに与えられる報酬です。
最後に、明日スマホを開いたらまずやってほしいことが1つあります。
「自分の保有株が、直近の高値から何%下がったら売るか」をメモ帳に書き出し、指値を入れてください。
逆指値を入れておけば、暴落が起きてもシステムがあなたを守ってくれます。 恐怖で指が動かなくなる前に、仕組みに頼りましょう。
大丈夫、相場は逃げません。 まずは生き残ること。 そうすれば、次のチャンスも必ず掴めます。
免責事項 本記事は著者の個人的見解であり、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。
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