次世代EV(電気自動車)の性能を飛躍的に向上させ、「ゲームチェンジャー」として市場の覇権を左右すると言われる「全固体電池」。航続距離の大幅な延長、急速充電時間の短縮、そして発火リスクの低減という究極の特性を目指し、世界中の企業が開発競争を繰り広げています。
その先頭を走る一社がトヨタ自動車であることは周知の事実ですが、この巨大な技術革新は、トヨタ一社で成し遂げられるものではありません。全固体電池は、「固体電解質」という全く新しい部材を中核に、正極材、負極材、そしてそれらを精密に製造・検査する装置まで、バリューチェーン全体の革新を必要とします。
トヨタが2027年〜2028年の実用化を目指す中、その水面下では、日本の素材メーカーや装置メーカーが、トヨタや他の自動車メーカーとタッグを組み、この次世代電池の根幹を支える技術を磨き上げています。
石油元売りが開発する「硫化物系電解質」、光学ガラスメーカーが手掛ける「酸化物系電解質」、そして電子部品メーカーが先行する「小型全固体電池」の量産技術。これらはほんの一例にすぎません。
この記事では、トヨタやパナソニックといった誰もが知る巨大企業ではなく、全固体電池という巨大なテーマにおいて、それぞれの分野で不可欠な役割を担う、隠れた実力派企業、あるいはこのテーマによって新たな側面が注目される企業を厳選し、最低20銘柄を詳細に解説します。
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🧭 全固体電池バリューチェーン別 注目銘柄
全固体電池の製造は、大きく分けて「① 電解質・活物質(材料)」「② 製造・検査(装置)」「③ 電池セル・応用製品」の3つの領域に分類されます。本記事では、これらのバリューチェーンに属する企業を網羅的に紹介します。
01. 電解質・材料メーカー(中核部材)
全固体電池の心臓部である「固体電解質」や、それに適合する「正極材」「負極材」などを開発・製造する企業群です。
【石油元売りから電池材料へ】出光興産株式会社 (5019)
◎ 事業内容: 石油精製・販売、石油化学製品、再生可能エネルギー事業、そして全固体電池の主要材料である「硫化物系固体電解質」の開発・製造。 ・ 会社HP:https://www.idemitsu.com/jp/
◎ 注目理由: 石油元売りとして知られる同社ですが、長年の石油化学研究で培った硫黄化合物の取り扱い技術を応用し、全固体電池の最有力候補である「硫化物系固体電解質」の開発で世界をリードしています。トヨタ自動車と共同で量産技術の確立を目指しており、2027年〜2028年とされるトヨタの全固体電池搭載EV実用化に向け、中核的な材料供給者となることが期待されています。すでにパイロットプラントを稼働させ、サンプル供給を開始しており、テーマの中核銘柄の一つとして注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1911年創業。石油事業を柱に成長。近年はエネルギー転換(EX)戦略を掲げ、石油依存からの脱却を進めています。2023年10月にはトヨタ自動車との協業を発表し、固体電解質の量産化に向けた技術開発(電解質製造、量産性向上、サプライチェーン構築)を本格化させています。これは、素材メーカーと自動車メーカーが開発の初期段階から深く連携する異例の体制であり、実用化への本気度がうかがえます。
◎ リスク要因: 固体電解質事業はまだ研究開発段階であり、巨額の先行投資が必要です。量産化の技術的ハードルや、EV市場全体の動向、石油価格の変動による本業の業績変動がリスクとなります。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/5019
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/5019.T
【非鉄金属の技術を電解質に】三井金属鉱業株式会社 (5706)
◎ 事業内容: 非鉄金属の製錬、電子材料(銅箔、セラミックス製品)、自動車部品(触媒など)、そして全固体電池向けの硫化物系固体電解質の開発。 ・ 会社HP:https://www.mitsui-kinzoku.com/
◎ 注目理由: 非鉄金属の製錬技術や触媒開発で培った無機材料技術を活かし、硫化物系固体電解質の開発に取り組んでいます。特に、高いイオン伝導性を持つ「アルジロダイト型」の固体電解質に強みを持ちます。出光興産がトヨタとの連携で先行する一方、三井金属も国内外の複数の自動車・電池メーカーと水面下で開発を進めていると見られています。全固体電池の普及期において、出光に続く第二の固体電解質サプライヤーとして、また材料の多様性を確保する上で重要なポジションを占める可能性があります。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1874年に三井組が神岡鉱山を取得したのが始まり。金属製錬を基盤に、銅箔や機能性粉体などの電子材料分野で高いシェアを持ちます。全固体電池材料についても長年にわたり研究開発を継続しており、2025年までに固体電解質のサンプル供給能力を増強する計画を発表するなど、実用化に向けた動きを加速させています。
◎ リスク要因: 固体電解質分野での出光興産(トヨタ連合)に対する後追いの立場であること。また、本業である非鉄金属の市況(銅価、亜鉛価など)や為替の変動が業績に直結するリスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/5706
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/5706.T
【光学ガラスから電解質へ】株式会社オハラ (5218)
◎ 事業内容: デジタルカメラや半導体露光装置などに使われる精密光学ガラスの製造・販売。また、そのガラス技術を応用したリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス「LICGC」など、酸化物系固体電解質の開発。 ・ 会社HP:https://www.ohara-inc.co.jp/
◎ 注目理由: 光学ガラスのトップメーカーである同社は、ガラスの組成技術を活かし、もう一つの全固体電池の主流である「酸化物系固体電解質」の開発で注目されています。酸化物系は、硫化物系に比べてイオン伝導性で劣るものの、大気中で安定し、安全性が高いという利点があります。同社の「LICGC」は、トヨタ自動車との共同特許出願の実績もあり、小型デバイス向けや、特定の安全性が求められる用途での採用が期待されます。硫化物系がEV向けの本命とされる中、酸化物系という別のアプローチで市場に食い込む可能性があります。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1935年創業。日本初の光学ガラス専門メーカーとして、カメラやプロジェクター、半導体製造装置(露光装置)向けなどのニッチトップ製品を多く持ちます。エレクトロニクス事業の一環として、次世代電池材料の開発を進めており、酸化物系固体電解質のサンプル出荷を行っています。
◎ リスク要因: 固体電解質市場において、硫化物系がデファクトスタンダードとなった場合、酸化物系の市場が限定的になる可能性があります。また、主力の光学ガラス事業は、デジタルカメラ市場の縮小や半導体市況の影響を受けやすいです。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/5218
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/5218.T
【LIB材料の総合メーカー】三菱ケミカルグループ株式会社 (4188)
◎ 事業内容: 石油化学、炭素製品、産業ガス、ヘルスケア、そしてリチウムイオン電池の主要4部材(正極材、負極材、電解液、セパレータ)を手掛ける総合化学メーカー。 ・ 会社HP:https://www.mcgc.com/
◎ 注目理由: 現行のリチウムイオン電池(LIB)において、電解液や負極材で高い世界シェアを持つ巨人です。全固体電池が実用化されると、既存の電解液やセパレータが不要になるリスクを抱える一方で、同社は次世代向け材料の開発も加速させています。特に、既存の電解液で培った電解質塩や添加剤の技術、また「ポリマー系(高分子系)」の固体電解質の開発で強みを持つとみられます。硫化物系や酸化物系とは異なる「ポリマー系」は、柔軟性に優れる利点があり、同社の総合力が次世代電池でどう発揮されるか注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社が統合して発足した三菱ケミカルホールディングスが母体。2022年に現社名に変更。近年は事業ポートフォリオの再編を進め、成長領域として電池材料を含む機能性材料に注力しています。
◎ リスク要因: 全固体電池の実用化により、既存の電解液・セパレータ事業が縮小する「イノベーションのジレンマ」を抱えています。また、石油化学事業は市況(ナフサ価格)の変動に大きく左右されます。
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【電池材料のスペシャリスト】住友金属鉱山株式会社 (5713)
◎ 事業内容: 非鉄金属製錬(銅、ニッケル)、材料事業(電池用正極材、電子材料)、鉱山開発。特にリチウムイオン電池の「正極材(NCA、NMC)」で世界トップクラスのシェアを誇る。 ・ 会社HP:https://www.smm.co.jp/
◎ 注目理由: 全固体電池においても、正極材はエネルギー容量を決定する重要な材料です。同社は、パナソニックを通じてテスラ向けに正極材を長年供給してきた実績と技術力を持ちます。全固体電池では、固体電解質と正極材の「界面」をいかにうまく形成するかが鍵となり、同社は固体電解質に適合した特殊な正極材の開発を進めています。固体電解質メーカー(出光など)との連携が不可欠であり、現行LIBで築いた地位を全固体電池でも維持できるか注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1590年の住友家による銅吹所開設が起源。別子銅山などで発展し、現在は非鉄金属と高機能材料のハイブリッド企業となっています。EVシフトの恩恵を最も受けた企業の一つであり、ニッケル鉱山から正極材までの一貫生産体制が強みです。
◎ リスク要因: 主力である正極材事業が、特定の顧客(パナソニック・テスラ連合)への依存度が高いこと。また、ニッケルや銅などの国際市況の変動が業績に大きく影響します。
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◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/5713.T
【LIB材料の応用】株式会社レゾナック・ホールディングス (4004)
◎ 事業内容: 半導体・電子材料(後工程材料で世界トップ)、石油化学、機能性材料、リチウムイオン電池材料(負極材、バインダー)。 ・ 会社HP:https://www.resonac.com/jp
◎ 注目理由: 旧昭和電工と旧日立化成が統合して誕生。リチウムイオン電池材料としては、特に「負極材」や、活物質を電極に固定する「バインダー(接着剤)」で高い技術力を持ちます。全固体電池では、負極にシリコンなどの高容量材料を使う試みが進んでおり、その膨張・収縮を抑えるバインダー技術や、固体電解質と活物質の界面を安定させる技術が極めて重要になります。同社の既存技術が、全固体電池の性能向上(特に寿命)の鍵を握る可能性があり、縁の下の力持ちとして注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 昭和電工が2020年に日立化成を買収。2023年に持株会社レゾナック・ホールディングスと事業会社レゾナックが発足。半導体材料を中核に据え、積極的な事業ポートフォリオ改革を進めています。
◎ リスク要因: 巨額の買収に伴う有利子負債の負担。また、中核事業である半導体材料は、半導体市況(シリコンサイクル)の変動リスクにさらされます。
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【セパレータからの展開】旭化成株式会社 (3407)
◎ 事業内容: マテリアル(化学品、繊維、電子部材)、住宅(ヘーベルハウス)、ヘルスケア(医薬品、医療機器)の3領域で事業を展開。LIB用セパレータ(湿式)で世界トップシェア。 ・ 会社HP:https://www.asahi-kasei.com/jp/
◎ 注目理由: 現行LIBのセパレータ(絶縁材)で世界トップですが、固体電解質がその役割を兼ねる全固体電池では、セパレータ事業が不要になるリスクがあります。しかし、同社はそのリスクを認識した上で、自ら「硫化物系固体電解質」の開発にも乗り出しています。JSTのGteX事業にも採択されており、既存の材料技術を活かした次世代電池材料の開発を加速させています。セパレータで培った微細構造制御技術や化学プロセス技術が、固体電解質の開発・量産にどう活かされるか注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1922年創業。繊維事業から多角化を進め、化学、住宅、医療と事業ポートフォリオを拡大。LIB用セパレータ「ハイポア」は、同社の高収益事業の一つです。近年は、既存事業の変革と次世代事業の創出に注力しています。
◎ リスク要因: 全固体電池への移行による、既存のセパレータ事業(高収益)の縮小リスク。また、住宅事業や石油化学事業は、金利動向や市況の影響を受けやすいです。
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【高分子膜の応用】東レ株式会社 (3402)
◎ 事業内容: 繊維、機能化成品(樹脂、フィルム)、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング(水処理膜など)。LIB用セパレータ(湿式・乾式)でも大手。 ・ 会社HP:https://www.toray.co.jp/
◎ 注目理由: 旭化成と並びLIB用セパレータの大手である同社も、全固体電池の台頭による事業変革の必要性に直面しています。同社は、炭素繊維や水処理膜などで培った「高分子(ポリマー)技術」に強みを持ちます。2024年3月には、従来比10倍のイオン伝導度を持つ「イオン伝導ポリマー膜」を創出したと発表。これは、柔軟性を持つ「ポリマー系全固体電池」や、金属リチウム負極電池(次世代電池の一つ)の実用化を加速させる技術として期待されています。硫化物系とは異なるアプローチでの貢献が注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1926年創業。合成繊維(ナイロン、ポリエステル)で成長し、炭素繊維では世界トップ。高分子化学、有機合成化学をコア技術とし、多角化を進めてきました。
◎ リスク要因: 既存セパレータ事業の将来的な縮小リスク。また、炭素繊維事業は航空機需要(ボーイングなど)に、化学事業は原燃料価格に左右されます。
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【ジルコニウムの隠れた巨人】第一稀元素化学工業株式会社 (4082)
◎ 事業内容: ジルコニウム化合物の製造・販売で世界トップクラスのシェア。自動車排ガス浄化触媒材料、電子材料(積層セラミックコンデンサ=MLCC用)、燃料電池(SOFC)材料などを手掛ける。 ・ 会社HP:https://www.dkkk.co.jp/
◎ 注目理由: 全固体電池の中でも、酸化物系固体電解質の有力候補として「LLZO(リチウム・ランタン・ジルコニウム・オキサイド)」が注目されています。LLZOは高いイオン伝導性と化学的安定性を持ちますが、その主要構成元素がジルコニウムです。同社はジルコニウム化合物のスペシャリストであり、高品質なジルコニウム材料の安定供給者として、LLZO系全固体電池の開発・普及に不可欠な存在となる可能性があります。自動車触媒やMLCC向けで培った粉体制御技術が、電池材料にも活かされると期待されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1956年設立。ジルコニウムに特化し、高い技術力でニッチ市場(特に自動車触媒材料)でグローバルシェアを獲得。近年は電子材料や燃料電池(SOFC)など、成長分野への展開を強化しています。
◎ リスク要因: 自動車排ガス浄化触媒材料が売上の多くを占めるため、世界的なEVシフト(触媒が不要になる)の加速は、中長期的には逆風となるリスクを抱えています。
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【電池セパレータの老舗】ニッポン高度紙工業株式会社 (3891)
◎ 事業内容: アルミ電解コンデンサ用セパレータで世界トップシェア。また、リチウムイオン電池用セパレータや、次世代電池向けの機能紙の開発も手掛ける。 ・ 会社HP:https://www.kodoshi.co.jp/
◎ 注目理由: 主力のコンデンサ用セパレータは、電子機器や産業機器、そしてEVのインバータや充電器に不可欠な部品であり、EV化の進展自体が追い風です。それに加え、同社は全固体電池向けに、電解質を保持する「支持体」としての不織布や、電極材料としての機能紙など、独自の「紙」技術を応用した部材開発を進めています。全固体電池が普及する過程で、既存のセパレータ技術とは異なる形での貢献が期待されるニッチトップ企業です。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1941年創業。コンデンサ用セパレータという極めてニッチな分野で高い技術力を確立。高知市に本社を置き、グローバルに製品を供給しています。
◎ リスク要因: 全固体電池関連はまだ研究開発段階であること。また、為替変動(輸出比率が高いため)や、電子部品市場の需給動向に業績が左右されます。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/3891
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/3891.T
02. 小型全固体電池(先行量産組)
EV向けの大型電池に先駆け、ウェアラブル機器や電子部品向けに、小型の全固体電池の量産をすでに開始・推進している企業群です。ここで培われた量産技術が、将来の大型化にも活かされる可能性があります。
【積層セラミック技術の王】株式会社村田製作所 (6981)
◎ 事業内容: 積層セラミックコンデンサ(MLCC)で世界トップシェア。その他、通信モジュール、センサー、電源モジュールなど多岐にわたる電子部品を手掛ける。 ・ 会社HP:https://corporate.murata.com/ja-jp
◎ 注目理由: MLCC製造で培った「セラミックスの多層積層技術」と「材料技術」は、全固体電池(特に酸化物系)の製造プロセスと非常に親和性が高いです。同社は2019年に小型全固体電池の量産(当初はソニーの電池事業)を開始しており、ウェアラブル機器や医療機器向けにすでに製品を供給しています。EV向けではありませんが、全固体電池の量産技術において世界で最も先行している企業の一つです。この小型電池で得られた知見や量産ノウハウが、将来的に他社との協業などで大型電池に応用される可能性も秘めています。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1944年創業。セラミック技術を核に、受動部品のグローバルリーダーとして成長。2017年にソニーの電池事業を買収し、リチウムイオン電池事業に本格参入。その技術をベースに全固体電池の開発を加速させました。
◎ リスク要因: 主力のMLCC事業は、スマートフォンやPCなどの民生品需要や、自動車の電装化動向(景気)に大きく左右されます。全固体電池事業はまだ全社に占める割合は小さいです。
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【セラミック全固体電池】TDK株式会社 (6762)
◎ 事業内容: 電子部品(コンデンサ、インダクタ)、磁気ヘッド(HDD用)、センサー、リチウムイオン電池(特に小型・民生用)などを手掛ける総合電子部品メーカー。 ・ 会社HP:https://www.tdk.com/ja
◎ 注目理由: 村田製作所と並び、セラミック技術を応用した小型全固体電池「CeraCharge(セラチャージ)」を開発・量産しています。これは基板に直接実装(SMD)できるチップ型の全固体電池であり、IoTデバイスや小型センサーの電源として革新的な製品です。村田製作所と同様、EV向け大型電池とは異なりますが、全固体電池の量産化に成功している数少ない企業の一つです。同社の材料技術とプロセス技術は、全固体電池市場全体において高いプレゼンスを示しています。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1935年、世界で初めて磁性材料「フェライト」の工業化に成功して創業。磁気テープなどで知られますが、現在はBtoBの電子部品・デバイスが主力です。小型電池事業は旧Hongjin(ATL)の買収により強化され、スマホ向けで高いシェアを持ちます。
◎ リスク要因: 全固体電池事業はまだ小規模。主力の電子部品・HDDヘッド事業は、スマートフォン市場やデータセンター投資の動向、為替(円高)の影響を強く受けます。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/6762
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【小型電池のスペシャリスト】FDK株式会社 (6955)
◎ 事業内容: アルカリ乾電池、ニッケル水素電池、リチウム電池などの各種電池製品、および電子部品(スイッチング電源、トランスなど)の製造・販売。富士通グループ。 ・ 会社HP:https://www.fdk.co.jp/
◎ 注目理由: TDKと同様に、SMD(表面実装)対応が可能な超小型の全固体電池の開発・量産に成功しています。特に高温耐性や長寿命を活かし、産業機器、医療機器、車載(タイヤ空気圧監視システムなど)といった過酷な環境下での使用が期待されています。EV本体の駆動用ではありませんが、EVやIoT機器に搭載される無数のセンサーを動かす「分散型電源」として、全固体電池の市場を切り開く先駆者の一つです。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1950年創業。乾電池の製造からスタートし、現在は産業用・民生用の各種電池と電子部品を手掛けています。富士通が約58%の株式を保有する連結子会社です。
◎ リスク要因: 全固体電池事業の規模はまだ小さく、業績への本格的な寄与はこれからです。本業の電池事業や電子部品事業は、競合(特に海外メーカー)との価格競争が厳しい状況です。
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【コイン型全固体電池】マクセル株式会社 (6810)
◎ 事業内容: エナジー事業(コイン電池、産業用リチウムイオン電池)、機能性部材料(光学フィルム、粘着テープ)、光学・システム(プロジェクター、ヘッドアップディスプレイ)。 ・ 会社HP:https://www.maxell.co.jp/
◎ 注目理由: コイン型リチウムイオン電池で高いシェアを持つ同社は、その技術を応用し、硫化物系の材料を用いた全固体電池(コイン型、円筒形)の開発・量産を進めています。特に耐熱性(100℃以上)や長寿命を活かし、工場(FA)やインフラ、医療分野など、従来の電池では対応が難しかった市場を開拓しています。TDKやFDKがセラミック系(酸化物系)の小型電池で先行する中、マクセルは硫化物系での小型電池量産を目指しており、その技術動向が注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1961年、日立製作所の電池・磁気テープ事業部から独立(旧 日立マクセル)。2017年に日立グループを離れ、独立系メーカーとして事業を展開しています。
◎ リスク要因: 全固体電池は産業用・ニッチ分野向けが中心であり、大きな売上貢献には時間がかかる可能性があります。主力の機能性部材料事業は、ディスプレイ市場の動向に左右されます。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/6810
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【日本の電池大手】株式会社ジーエス・ユアサ コーポレーション (6674)
◎ 事業内容: 自動車用鉛蓄電池(国内トップ)、産業用電池・電源システム、リチウムイオン電池(車載用、産業用)。 ・ 会社HP:https://www.gs-yuasa.com/jp/
◎ 注目理由: 日本の電池産業をリードしてきた大手であり、トヨタやホンダ向けにハイブリッド車(HEV)用リチウムイオン電池を供給しています。EV向け大型電池(BEV)ではパナソニックに先行を許しましたが、次世代の全固体電池では巻き返しを図っています。特に硫化物系固体電解質において、耐水性を高める「窒素含有硫化物固体電解質」の開発に成功するなど、独自の技術開発を進めています。ホンダなど既存の取引先と連携し、全固体電池の実用化を目指す動きが注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 2004年に日本電池とユアサコーポレーションが経営統合して発足。鉛蓄電池で強固な基盤を持ちつつ、リチウムイオン電池事業の拡大を進めてきました。
◎ リスク要因: 本業である自動車用鉛蓄電池は、EVシフトにより長期的には市場縮小が懸念されます。リチウムイオン電池事業は、原材料(リチウム、ニッケル)の価格高騰や、為替変動、自動車メーカーの生産調整の影響を受けやすいです。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/6674
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/6674.T
【セラミック技術の応用】日本ガイシ株式会社 (5333)
◎ 事業内容: 電力用がいし、自動車排ガス浄化用セラミックス(ハニカム)、半導体製造装置用セラミックス、NAS(ナトリウム硫黄)電池。 ・ 会社HP:https://www.ngk.co.jp/
◎ 注目理由: 高度なセラミック技術を活かし、チップ型の小型リチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズを展開しています。これは厳密には「半」固体電池(電解液を少量使用)ですが、高温でのリフロー実装が可能など、従来の電池にはない特性を持ちます。同社はEnerCeraで培った技術をベースに、真の全固体電池(酸化物系)の開発も進めており、特に高温・高信頼性が求められる車載センサーや産業機器向けでの展開が期待されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1919年創業。電力用がいしのトップメーカーとして発展し、自動車排ガス浄化用セラミックス(ハニカム)で世界シェア首位。セラミック技術を核に多角化を進めています。
◎ リスク要因: 自動車排ガス浄化用セラミックスが主力であり、EVシフト(触媒が不要になる)の進展は中長期的なリスクです。EnerCera事業はまだ成長途上です。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/5333
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03. 製造装置・検査装置メーカー
全固体電池は、従来の電池とは全く異なる製造プロセス(例:部材の積層、高温での焼成)を必要とするため、専用の製造・検査装置が不可欠です。半導体やディスプレイ製造で培われた日本の装置技術が活かされる分野です。
【旧日立造船の変身】カナデビア株式会社 (7004)
◎ 事業内容: ごみ焼却発電プラントなどの環境装置、橋梁などのインフラ設備、舶用エンジンなどの機械事業。旧社名は日立造船。 ・ 会社HP:https://www.kanadevia.com/
◎ 注目理由: 「造船」の名を冠していますが、造船事業は分社化済み。現在は環境プラントが主力ですが、その技術開発の一環として、大型の全固体電池「AS-LiB」の開発に成功しています。これは酸化物系の固体電解質を使用し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」に搭載されるなど、極めて高い信頼性と安全性を実証済みです。EV向けとは異なりますが、宇宙、深海、医療など特殊環境向けで先行しており、その製造技術が注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1881年創業。名門「日立造船」として重工業をリード。2002年に造船事業を分離。環境・グリーンエネルギー分野に注力し、2024年10月に「カナデビア」へ社名を変更しました。
◎ リスク要因: 主力の環境プラント事業(EPC)は、プロジェクトの受注動向や、資材価格・人件費高騰による採算悪化リスクを抱えています。全固体電池事業はまだ特殊用途向けが中心です。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/7004
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/7004.T
【半導体製造装置の応用】株式会社SCREENホールディングス (7735)
◎ 事業内容: 半導体製造装置(洗浄装置で世界トップシェア)、ディスプレー(FPD)製造装置、プリント基板関連機器。 ・ 会社HP:https://www.screen.co.jp/
◎ 注目理由: 全固体電池の製造プロセス、特に電極材料を塗布し、乾燥・積層する工程は、半導体やディスプレー製造における「ウェットプロセス(洗浄、塗布、乾燥)」と共通する技術が多くあります。同社は半導体洗浄装置やディスプレー用塗布装置で世界トップクラスの技術とシェアを持っており、これらの技術を全固体電池の量産ラインに応用できると期待されています。電池メーカーが量産投資を本格化する際、同社の製造装置が中核を担う可能性があります。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1868年創業の石田旭山印刷所がルーツ。写真製版技術からエレクトロニクス分野に進出し、半導体・ディスプレー製造装置メーカーとして成長。2014年に持株会社体制へ移行。
◎ リスク要因: 主力の半導体製造装置事業は、世界的な半導体市況(シリコンサイクル)の変動(設備投資の増減)に業績が直結します。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/7735
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/7735.T
【非破壊検査の目】株式会社ニコン (7731)
◎ 事業内容: 映像事業(カメラ、レンズ)、精機事業(半導体・FPD露光装置)、ヘルスケア事業(顕微鏡、医療機器)、コンポーネント事業(光学部品、X線検査装置)。 ・ 会社HP:https://www.nikon.co.jp/
◎ 注目理由: 全固体電池は、電極や電解質を精密に積層して製造されますが、その内部に微小な欠陥(異物、空隙、剥離)があると性能や安全性に直結します。同社は、カメラの光学技術や露光装置の測定技術を応用した「X線CT検査装置」を手掛けています。これにより、完成した電池セルを破壊することなく、内部の積層状態や欠陥を3Dで可視化できます。全固体電池の量産化が進むほど、品質管理(歩留まり向上)のための高性能な検査装置の需要が高まり、同社の技術が不可欠となります。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1917年設立。光学兵器の製造から始まり、カメラ事業で世界的なブランドを確立。近年は、デジタルカメラ市場の縮小を受け、半導体露光装置やヘルスケア、産業機器分野へと事業の軸足を移しています。
◎ リスク要因: 映像事業はスマートフォンに市場を奪われ縮小傾向。精機事業(露光装置)は半導体市況の変動リスクを負います。X線検査装置事業はまだ全社的な規模は小さいです。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/7731
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/7731.T
04. その他(出資・関連技術)
直接製造はしていなくても、全固体電池のスタートアップ企業への出資や、関連するキーテクノロジーを持つ企業です。
【米ベンチャーへの出資】三桜工業株式会社 (6584)
◎ 事業内容: 自動車・輸送機器用配管(ブレーキ配管、燃料配管)の独立系最大手。その他、樹脂製品やろう付け製品。 ・ 会社HP:https://www.sanoh.com/
◎ 注目理由: 本業は自動車の配管部品メーカーですが、次世代の自動車技術への投資を積極的に行っています。中でも、米国の硫化物系全固体電池ベンチャーである「Solid Power(ソリッドパワー)」社にいち早く出資している点が注目されます。ソリッドパワー社は、フォードやBMWとも提携する有力ベンチャーであり、三桜工業は出資を通じて全固体電池の最新技術へのアクセスと、将来的な関連部品(例:電池冷却配管)の事業機会を狙っています。
◎ 企業沿革・最近の動向: 1939年創業。自動車用配管のグローバルサプライヤーとして、世界各地に生産拠点を持ちます。EV化による配管の需要変化に対応するため、熱マネジメント製品や次世代技術への投資を進めています。
◎ リスク要因: 本業は既存の(内燃機関車を含む)自動車産業の生産台数に大きく依存します。ソリッドパワー社への出資は、あくまでベンチャー投資であり、その成否は不確実です。
◎ 参考URL(みんかぶ):https://minkabu.jp/stock/6584
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):https://finance.yahoo.co.jp/quote/6584.T


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