~広告費のブラックボックスを暴き、データで企業のROIを最大化するMarTech SaaSの旗手の全貌~
「我が社の広告費の半分は、無駄に捨てられている。問題は、その半分がどれなのか分からないことだ」――。100年以上前の広告のパイオニア、ジョン・ワナメーカーの有名な言葉です。デジタルマーケティングが主流の現代でも、広告費の費用対効果(ROI)は多くの企業にとって深刻な課題であり続けています。
本日DD(デュー・デリジェンス)するのは、その課題に広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」という強力な”羅針盤”で挑む株式会社イルグルム(3690)。東証グロース市場上場のMarTechリーディングカンパニーで、Cookieレス時代という巨大な構造変化の最前線に立つ企業です。
イルグルム(3690)とは?広告効果測定SaaSの国内パイオニア
- イルグルム(3690)は広告効果測定SaaS「アドエビス」を主力とするMarTech企業
- 2001年6月設立(旧社名:ロックオン)/2014年9月東証マザーズ(現グロース)上場
- Cookieレス時代を追い風に、ファーストパーティデータ活用ニーズを取り込み中
イルグルム(3690)は、2001年6月に旧社名「ロックオン」として大阪で創業。インターネット広告黎明期から効果測定の重要性に着目し、自社開発の広告効果測定ツール「アドエビス(AD EBiS)」を世に送り出しました。20年以上にわたり、データドリブンなマーケティングの実現を支援してきた国内MarTechの草分けです。
掲げるビジョンは「Impact on the world」。テクノロジーの力で、企業のマーケティング活動をより創造的で生産性の高いものへ進化させることを目指しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社イルグルム(旧:ロックオン) |
| 証券コード | 3690(東証グロース) |
| 設立 | 2001年6月 |
| 上場 | 2014年9月(マザーズ→グロース) |
| 本社 | 大阪市 |
| 主力事業 | マーケティング効果測定プラットフォーム「アドエビス」 |
| 収益モデル | SaaS(月額利用料+トラフィック従量課金) |
| 主要顧客 | EC・D2C/金融/不動産/人材/メーカーなど |
事業内容と「アドエビス」のしくみ
- 主力はマーケティングプラットフォーム事業(アドエビス)
- 商流プラットフォーム事業が広告代理店・EC事業者向けに展開
- コンサルティングや関連SaaSも組み合わせ、顧客単価(ARPU)を底上げ
① マーケティングプラットフォーム事業(主力)
広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」は、リスティング・ディスプレイ・SNS・アフィリエイト・メルマガなど、あらゆるデジタル広告の効果を一元的に測定・可視化するSaaSです。最大の特徴は、後述するアトリビューション分析機能で、各広告の「貢献度」を科学的に評価します。
② 商流プラットフォーム事業
広告代理店やEC事業者向けに、広告運用や受発注を効率化するプラットフォームを提供。アドエビスとセットで提案することで、顧客内シェア拡大を狙います。
③ コンサルティング/パートナー事業
EC事業者向けの運用支援・データ活用コンサルなどを展開。サイバーエージェント(4751)やカカクコム(2371)など、巨大な広告主・媒体社が活躍する市場の中で、第三者機関としての中立な計測ポジションを確立しています。
| サービス/プロダクト | 役割 | 主な対象顧客 | 収益モデル |
|---|---|---|---|
| アドエビス | 広告効果測定/アトリビューション分析 | EC・D2C/金融/不動産/人材 | 月額+トラフィック従量 |
| 商流プラットフォーム | 広告代理店・EC事業者の業務効率化 | 広告代理店/EC事業者 | 月額利用料 |
| 関連SaaS/コンサル | マーケDX支援/データ活用支援 | EC・大手広告主 | プロジェクト+月額 |
ビジネスモデルの核心:アトリビューション分析が広告ROIを最大化
- ラストクリック至上主義の限界を「アトリビューション分析」で打破
- SaaSの月額×従量課金でストック収益の安定性が高い
- 顧客の事業成長=トラフィック増=自社売上の自動成長
多くの企業が陥りがちなのが「ラストクリック至上主義」という罠です。たとえばユーザーが、①Instagram広告で商品を知り→②比較サイト記事を読み→③Google検索広告クリックで購入──と動いた場合、ラストクリック評価では③にしか成果がつきません。
しかし実際には①②も購入への重要な”アシスト”をしています。アトリビューション分析は各広告の「真の貢献度」を可視化。これにより企業は広告予算を正しく再配分し、ROIを最大化できます。
| 評価モデル | 仕組み | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| ラストクリック | 最後にクリックされた広告に100%成果を割当 | 計算が単純で分かりやすい | 認知・比較段階の広告が過小評価 |
| 線形(リニア) | 接触した全広告に均等に成果配分 | 全タッチポイントを平等に評価 | 本当の貢献差が見えにくい |
| アトリビューション(アドエビス) | 接触順・時間減衰・コンバージョン寄与度を加味 | 真のROI最適化が可能 | 分析・運用ノウハウが必要 |
イルグルム(3690)の業績・財務分析:高収益SaaSの真価
- 2025年9月期 第2四半期累計で二桁近い増収を継続
- 営業利益率20%超の高収益SaaSモデル
- 自己資本比率70%超/実質無借金の盤石な財務基盤
イルグルムは、SaaSモデルの強みを活かして安定的な成長と高い収益性を両立しています。本記事執筆時点で参照可能な最新の決算情報は、2025年9月期 第2四半期決算短信(2025年5月14日発表)です。
業績動向(2025年9月期 第2四半期累計)
- 売上高:前年同期比二桁近い力強い成長を継続。アドエビスの契約アカウント数・利用トラフィック量ともに順調に増加
- 営業利益:20%超の高い営業利益率を維持。SaaSのスケールメリットが鮮明
- 通期会社予想:引き続き安定した増収増益を計画
| 指標 | 水準感 | 意味 |
|---|---|---|
| ARR成長率 | 二桁成長を維持 | SaaS事業の健全性を示す最重要指標 |
| 契約アカウント数 | 増加基調 | 顧客基盤の拡大を示す |
| 解約率(チャーン) | 低水準で安定 | 高い顧客満足度を示唆 |
| 営業利益率 | 20%超 | SaaSスケールメリットが効いている |
| 自己資本比率 | 70%超 | 極めて高い財務健全性 |
| 有利子負債 | 実質無借金 | 金利上昇局面でも耐性が高い |
| 期 | 売上トレンド | 利益トレンド | 主要トピック |
|---|---|---|---|
| 2023年9月期 | 増収 | 営業黒字 | アドエビスのSaaS転換進展 |
| 2024年9月期 | 増収 | 営業利益率改善 | Cookieレス対応の強化 |
| 2025年9月期 上期 | 二桁近い増収 | 営業利益率20%超 | ARR・アカウント数共に堅調 |
| 2025年9月期 通期予想 | 増収予想 | 増益予想 | 新機能・新顧客層の取り込み |
市場環境とCookieレス時代:構造的な追い風と競合構図
- サードパーティCookie廃止でファーストパーティデータ活用が必須に
- 広告主のROI重視姿勢が一段と強まる
- メルカリ(4385)など大手EC・サービスが計測ツールへの投資を継続
Cookieレス時代とは、ブラウザ越しにユーザーを追跡するためのサードパーティCookieが、プライバシー保護の流れの中で利用できなくなる動きを指します。これにより、トヨタ自動車(7203)やソニーグループ(6758)のような広告主であっても、自社サイトに訪れたユーザーの行動=ファーストパーティデータの活用が不可欠になります。
結果として、イルグルム(3690)の「アドエビス」のような自社データに基づく効果測定ツールへの需要は爆発的に高まっています。これは同社にとっての最大の事業機会と言えます。
| 分類 | 主な競合・代替 | 強み | イルグルムの差別化 |
|---|---|---|---|
| 無料計測ツール | Google Analytics | 無料・高機能・利用者数が膨大 | 第三者機関としての中立性 |
| 海外マーケクラウド | Adobe Analytics 等 | 大規模グローバル企業対応 | 日本語UI/国内商習慣に最適化 |
| 国産アドテク | 各種マーテクSaaS | 特定領域に特化 | アトリビューション分析の深い知見 |
| 媒体側ツール | 各広告プラットフォーム標準計測 | 媒体内の運用が完結 | クロス媒体・横断分析が可能 |
成長戦略の行方:効果測定から「マーケ意思決定支援」へ
- Cookieレス対応計測技術の高度化(ITP対応など)
- テレビCM・オフラインも含めた統合ROI可視化でARPU向上
- AI活用の予算配分提案による自動最適化機能
① 計測技術の高度化(Cookieレス対応)
ITP(Intelligent Tracking Prevention)など、ブラウザのトラッキング防止機能に対応した新しい計測技術の開発と提供を加速。トヨタ(7203)やソニー(6758)のような大手広告主が安心して使える基盤を整えます。
② アドエビスの機能拡張・ARPU向上
テレビCMやオフラインイベントなど、デジタル広告以外の施策の効果も測定。統合的なマーケROIを可視化し、顧客単価(ARPU)を底上げします。
③ 新規顧客層の開拓
現在主力のEC・D2C事業者だけでなく、金融、不動産、人材、メーカーなど幅広い業界へ展開。三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)のような金融大手のマーケティングDXは、巨大なフロンティアです。
| 成長ドライバー | 市場規模インパクト | 実現確度 | 収益貢献までの時間軸 |
|---|---|---|---|
| Cookieレス計測技術 | 大 | 高 | 短期〜中期 |
| オフライン統合計測 | 中〜大 | 中 | 中期 |
| AI予算最適化 | 中 | 中 | 中期〜長期 |
| 新業界(金融・不動産)開拓 | 大 | 中 | 中期 |
| 海外市場展開 | 中 | 低〜中 | 長期 |
リスク要因の徹底検証
- プラットフォーマー(Google/Apple)の仕様変更リスク
- 競合との価格・機能競争激化
- 景気後退による広告宣伝費削減
| リスク | 発生可能性 | 業績インパクト | 緩和策 |
|---|---|---|---|
| プラットフォーマー仕様変更 | 高 | 大 | 自社計測ロジックとファーストパーティデータの強化 |
| Google Analyticsとの競争 | 中 | 中 | 第三者機関としての中立性訴求 |
| 海外マーケクラウドの参入 | 中 | 中〜大 | 日本語サポート+業界特化 |
| 景気後退・広告費削減 | 中 | 中 | ROI訴求=不況時こそ需要 |
| 主力人材の流出 | 低〜中 | 中 | ストックオプション・育成体制 |
結論:イルグルム(3690)は投資に値するか?
- Cookieレス時代の構造的追い風×SaaSストック収益
- 営業利益率20%超+実質無借金の高品質銘柄
- ARR成長率とARPU向上を継続ウォッチ
投資の魅力
- 企業のマーケティングROI最大化という普遍的かつ強力なニーズに応える事業
- Cookieレス時代という大きな構造変化が強力な追い風
- 「アドエビス」という高いブランド力と顧客基盤を持つSaaSストック収益モデル
- 実証されている高い成長性と20%超の高収益性
- 盤石な財務基盤(高自己資本比率/実質無借金)
投資のリスク
- Googleなど巨大プラットフォーマーの仕様変更という外部リスク
- 国内外の競合との熾烈な技術開発競争
- グロース市場特有の株価ボラティリティ
投資家タイプ別の向き不向き
| 投資家タイプ | 向き不向き | 理由 |
|---|---|---|
| 中長期グロース投資家 | ◎ | SaaS×Cookieレス構造変化との相性が良い |
| 高配当・インカム志向 | △ | 配当狙いの銘柄ではない |
| 短期トレーダー | ○ | 決算・テーマ性で値動きが出やすい |
| テーマ投資(DX/MarTech) | ◎ | テーマ性が明確で関連銘柄として組み込みやすい |
最終的に、イルグルム(3690)への投資は、広告効果測定における技術的優位性とCookieレス時代の追い風を信じるかどうかに尽きます。投資家が継続的に注目すべきは、①ARR成長率、②Cookieレス対応の新機能浸透とARPU向上、③営業利益率20%超の維持、の3点です。
よくある質問(FAQ)
Q1. イルグルム(3690)はどんな会社ですか?
Q2. アドエビスは他の計測ツールと何が違いますか?
Q3. Cookieレス時代はイルグルムに追い風ですか?
Q4. 業績の注目ポイントはどこですか?
Q5. 主なリスクは何ですか?
関連銘柄・関連記事(内部リンク)
関連銘柄
- サイバーエージェント(4751):国内インターネット広告大手
- カカクコム(2371):比較サイト=アトリビューションの起点
- メルカリ(4385):大規模広告主としてマーケDX投資が進む
- トヨタ自動車(7203):オフライン統合ROI測定の典型ターゲット
- ソニーグループ(6758):D2C/コンテンツ系広告主
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306):金融マーケDXのフロンティア
- 三井住友フィナンシャルグループ(8316):同上
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