創建エース(1757)は眠れる獅子か?不動産と太陽光を軸に描く「再生」の現在地と投資価値

はじめに:東証スタンダードに眠る、再生ストーリーの原石

株式市場には、華やかなプライム市場の大型株だけでなく、スタンダード市場やグロース市場に、まだ多くの投資家に見出されていない「原石」が数多く眠っています。今回、私たちが徹底的にデュー・デリジェンス(詳細調査)を行う**創建エース(証券コード:1757)**は、まさにそのような企業の一つかもしれません。

時価総額は数十億円規模。日々の出来高も決して多くはない。一見すると、地味な地方の建設会社——。多くの投資家は、そうした第一印象でこの銘柄をリストから外してしまうかもしれません。しかし、その内実を深く探ると、単なる建設会社の枠を超え、「不動産賃貸」と「太陽光発電」という二つの安定収益基盤を持ち、過去の苦境から着実に再生への道を歩んでいる、興味深い姿が浮かび上がってきます。

この記事では、創建エースがどのような企業で、どのような事業を営み、そしてどのような再生ストーリーを描こうとしているのかを、アナリストの視点から2万字のボリュームで徹底的に解き明かします。過去の財務的な苦境、それを乗り越えるための事業ポートフォリオ転換、そして現在の主要株主との関係性。これらを深く理解することで、表面的な数字だけでは見えてこない創建エースの真の姿と、その投資価値が見えてくるはずです。

低位株、小型株には特有のリスクが伴います。しかし、そのリスクの奥に眠る大きな可能性(リターン)を見出すことこそ、株式投資の醍醐味の一つです。それでは、創建エースという「再生ストーリーの原石」を、共に磨き上げていきましょう。


【企業概要】苦難の歴史を乗り越え、新たな姿へ

創建エースの現在を理解するためには、まずその複雑な過去、すなわち苦難の歴史を知る必要があります。企業の変遷は、そのDNAと未来の方向性を映し出す鏡です。

設立と沿革:度重なる社名変更と事業転換の歴史

創建エースの登記上の設立は1946年と非常に歴史が古いですが、現在の事業形態に至るまでの道のりは平坦ではありませんでした。その歴史は、度重なる社名変更と事業の変革の連続です。

  • 旧社名時代(キーイングホーム、クレアホールディングスなど): 現在の創建エースは、過去に「キーイングホーム」「クレアホールディングス」といった社名を名乗っていました。これらの時代には、建設事業に加え、アパレル事業や化粧品事業、投資事業など、多角的な事業展開を行っていましたが、結果として経営は迷走し、財務状況は悪化。継続企業の前提に関する注記(いわゆるGC注記)が付くなど、非常に厳しい経営環境に置かれていました。

  • 再生への転換点: この苦境からの脱却の転換点となったのが、現在の主要株主である**株式会社ヤマウラ(東証プライム:1780)**との資本業務提携です。ヤマウラは、長野県を地盤とする総合建設会社であり、安定した経営基盤を持っています。この提携により、創建エースはヤマウラの支援の下で経営再建を進めることになります。

  • 「創建エース」としての再出発: 2022年、社名を「株式会社創建エース」に変更。これは、過去のイメージを払拭し、建設・不動産事業を核とする企業として再出発するという強い意志の表れです。不採算事業からは撤退し、現在の事業ポートフォリオへと選択と集中を進めました。

この沿革から読み取れるのは、過去の失敗を乗り越え、建設・不動産のプロフェッショナル集団として生まれ変わろうとする、強い再生への意志です。投資家としては、この「過去」を理解した上で、「現在」と「未来」を評価することが極めて重要になります。

事業内容:三つの柱で築く新たな収益基盤

現在の創建エースの事業は、主に三つのセグメントで構成されています。この事業ポートフォリオこそが、同社の再生を支える根幹です。

  • 建設事業:

    • 内容: 創業以来のコア事業。主に、親会社的存在であるヤマウラからの下請け工事や、自社が管理する不動産の修繕工事などを手掛けています。公共工事から民間工事まで、比較的小規模な案件を中心に、地域に密着した建設サービスを提供しています。

    • 役割: 安定した受注が見込める一方、利益率は比較的低い傾向にあります。しかし、後述する不動産事業とのシナジー(自社物件の価値向上など)を生み出す重要な事業です。

  • 不動産事業:

    • 内容: オフィスビルや商業施設、マンションなどを自社で保有し、その賃貸収入を得る事業。東京都内を中心に、複数の収益不動産を保有しています。

    • 役割: この事業こそが、現在の創建エースの収益の柱であり、安定性の源泉です。毎月、安定した賃料収入(ストック収益)が自動的に入ってくるため、景気変動の影響を受けやすい建設事業の収益を下支えする役割を担っています。

  • 再生可能エネルギー事業:

    • 内容: 自社で太陽光発電所を保有・運営し、固定価格買取制度(FIT)に基づき、発電した電力を電力会社に売電する事業です。

    • 役割: 不動産事業と同様に、極めて安定したストック収益を生み出す事業です。一度発電所が稼働すれば、20年間にわたり国が定めた価格で電力を買い取ってもらえるため、長期にわたる安定収益が約束されています。これもまた、会社全体の経営基盤を安定させる重要な役割を果たしています。

このように、創建エースは利益率の低いフロー収益(建設)を、利益率が高く安定した**二つのストック収益(不動産・太陽光)**が支えるという、非常に安定感のある事業ポートフォリオへと変貌を遂げているのです。

経営理念とガバナンス:ヤマウラグループとしての再構築

創建エースの現在の経営は、主要株主であるヤマウラの意向が強く反映されています。ヤマウラは、堅実な経営で知られる優良企業であり、そのガバナンス体制やコンプライアンス意識が創建エースにも導入されつつあります。これは、過去の経営が混乱していた時代からの大きな変化であり、経営の透明性や信頼性の向上に繋がる、ポジティブな要素と評価できます。


【ビジネスモデルの詳細分析】「ストック収益」がもたらす安定性と再生の原動力

創建エースの現在のビジネスモデルの核心は、いかにして過去の不安定な収益構造から脱却し、安定した経営基盤を築き上げたか、という点にあります。

収益構造:フロー収益とストック収益のハイブリッドモデル

創建エースのビジネスモデルの妙は、性質の異なる事業を組み合わせることで、会社全体のリスクを低減し、安定性を高めている点にあります。

  • フロー収益(建設事業):

    • 特徴: 工事を受注し、完成させて引き渡すことで収益が計上されます。景気や公共投資の動向によって受注量が変動し、収益の波が大きくなりやすい(景気感応度が高い)ビジネスです。また、同業他社との価格競争も激しく、利益率を高く保つことが難しい側面もあります。

    • 現在の役割: ヤマウラからの安定的な受注があるため、売上規模の基盤を形成しています。また、自社の不動産物件の修繕やバリューアップを内製化することで、資産価値の維持・向上に貢献するという重要な役割も担っています。

  • ストック収益(不動産事業・再生可能エネルギー事業):

    • 特徴: 一度資産(不動産、太陽光発電所)を保有すれば、継続的に安定した収益(賃料、売電収入)を生み出し続けます。フロー収益に比べて景気変動の影響を受けにくく、収益の予見可能性が非常に高いのが最大の強みです。

    • 現在の役割: この二つのストック収益事業こそが、創建エースの利益の源泉です。全社営業利益の大部分を稼ぎ出しており、建設事業の収益変動を吸収し、会社全体の経営を安定させる「錨(いかり)」の役割を果たしています。

このフローとストックのハイブリッドモデルにより、創建エースは「安定的に利益を稼ぎ、それを元手に新たな資産を取得し、さらにストック収益を拡大させていく」という、持続的な成長サイクルを築きつつあります。

競争優位性:ニッチな領域での強みと親会社の存在

時価総額数十億円の創建エースが、大手デベロッパーやゼネコンと真っ向から競争することは困難です。同社の競争優位性は、別のところにあります。

  • 不動産事業のニッチ戦略: 大手が手掛けにくいような、中小規模のオフィスビルや店舗などを取得・再生し、賃貸物件として運営することに強みがあります。きめ細かなリーシング(テナント誘致)活動や物件管理により、高い稼働率を維持しています。

  • 太陽光発電事業の先行者利益: FIT制度の比較的に有利な時期に確保した発電所を保有しており、これが長期安定収益に繋がっています。今後、同様の条件で新規参入することは困難であり、既存の発電所は「優良資産」としての価値を持っています。

  • 主要株主(ヤマウラ)とのシナジー:

    • 信用の補完: ヤマウラというプライム上場企業がバックにいることで、金融機関からの資金調達や、取引先との関係構築において、信用力が補完されます。これは、過去に財務で苦しんだ創建エースにとって非常に大きなメリットです。

    • 事業機会の獲得: ヤマウラグループとして、建設工事の受注機会を得られるほか、不動産情報の入手などでも協力関係が期待できます。

    • 経営ノウハウの享受: ヤマウラの持つ堅実な経営管理ノウハウ(予算管理、コンプライアンスなど)が導入されることで、経営体質そのものが強化されています。

創建エースは、単独での競争力というよりは、「優良なストック資産」と「強力なパートナー(ヤマウラ)」という二つの武器を手にすることで、独自のポジションを築いているのです。


【直近の業績・財務状況】V字回復の軌跡と今後の課題(定性評価)

創建エースの投資価値を判断する上で最も重要なのが、業績と財務の「再生」の軌跡を正しく評価することです。

PL(損益計算書)分析:黒字体質への劇的な転換

近年の創建エースの損益計算書は、まさに「V字回復」のストーリーを物語っています。

  • 黒字化の定着: 過去の赤字経営から脱却し、営業利益、経常利益、最終利益の全てで黒字化を達成し、それが定着しつつあります。これは、不採算事業から撤退し、収益性の高い不動産事業と再生可能エネルギー事業へ経営資源を集中させた成果です。

  • 利益率の改善: 利益の「質」も大きく改善しています。売上高営業利益率は、過去の低水準から大きく向上しました。これは、利益率の高いストック収益事業の売上構成比が高まったことが最大の要因です。建設事業単体では低い利益率も、会社全体で見れば高収益体質へと変貌を遂げています。

  • 収益の安定性向上: 不動産賃貸収入と売電収入という二つの安定収益源があるため、四半期ごとの業績のブレが小さくなっています。これにより、投資家は将来の収益を予測しやすくなり、企業価値の評価も安定します。

赤字体質から脱却し、「継続的に利益を生み出せる体質」へと生まれ変わったことは、創建エースへの評価を根本的に変える、最も重要なポイントです。

BS(貸借対照表)分析:資産の質の向上と財務の課題

貸借対照表(BS)を見ると、再生の進捗と、同時に残された課題の両方が見えてきます。

  • 資産の質の劇的な向上: BSの「資産」の部に注目すると、その中身が大きく変化しています。過去には評価の難しい事業資産や滞留在庫などが含まれていたかもしれませんが、現在はその多くが**「収益を生む資産(収益不動産、太陽光発電設備)」**に入れ替わっています。つまり、BSが筋肉質になり、資産効率が向上していることを示しています。

  • 自己資本の回復: 黒字化による利益剰余金の積み増しにより、自己資本は着実に回復基調にあります。自己資本比率も改善傾向にあり、財務の安定性は以前に比べて格段に高まっています。

  • 依然として残る有利子負債: 一方で、不動産や太陽光発電所の取得のために、金融機関からの借入金(有利子負債)は依然として一定規模存在します。自己資本比率も、盤石と言える水準にはまだ道半ばです。今後の金利上昇局面では、支払利息の増加が利益を圧迫するリスクも内包しています。この有利子負債を、今後の事業活動で得られるキャッシュフローで着実に返済・圧縮していくことが、財務面の大きな課題となります。

CF(キャッシュ・フロー計算書)分析:事業再生のリアルな姿

現金の流れを示すキャッシュ・フロー計算書(CF)は、創建エースのリアルな活動状況を映し出しています。

  • 安定した営業キャッシュ・フロー: 本業の稼ぎを示す営業CFは、安定的にプラスで推移しています。これは、不動産や太陽光発電から安定した現金収入があることの証左であり、事業が健全に回っていることを示しています。

  • 戦略的な投資キャッシュ・フロー: 将来のための支出である投資CFは、年によって変動します。収益不動産や発電所などを新たに取得する際には、マイナス(支出)が大きくなります。この投資CFの動きを見ることで、会社が成長のためにどのような資産に資金を投下しているかが分かります。

  • 財務キャッシュ・フローの動向: 借入金の返済や調達、配当金の支払いなどを示す財務CFは、有利子負債の返済を着実に進めていることを示しています。今後、財務体質がさらに改善すれば、株主への配当といった形での還元も期待されます。

CF全体を見ると、**「本業で安定的に現金を稼ぎ(営業CF)、その範囲内で戦略的な投資を行い(投資CF)、借入金の返済を進める(財務CF)」**という、まさしく事業再生フェーズにある企業の健全なキャッシュフローの姿が見て取れます。


【市場環境・業界ポジション】追い風と逆風が混在する事業環境

創建エースを取り巻く市場環境は、事業ごとに異なる顔を持っています。

建設事業を取り巻く環境:2024年問題という試練

建設業界は、現在「2024年問題」という大きな構造変化に直面しています。これは、働き方改革関連法の適用により、建設業の時間外労働の上限が規制される問題です。

  • 課題: 労働時間の減少は、工期の長期化や人件費の上昇に繋がります。特に、体力のない中小建設会社にとっては、収益を圧迫し、経営を揺るがしかねない深刻な問題です。

  • 創建エースへの影響: 創建エースもこの問題と無縁ではありません。労務管理の徹底や生産性向上が急務となります。しかし、見方を変えれば、この変化に対応できない企業が淘汰される中で、ヤマウラグループとしての管理体制や安定した受注基盤を持つ創建エースが、相対的に競争力を高める機会となる可能性も秘めています。

不動産事業を取り巻く環境:金利上昇への警戒感

不動産賃貸事業は安定していますが、マクロ経済の動向、特に「金利」の動向に注意が必要です。

  • 追い風: 経済活動の正常化に伴い、都心部のオフィスや店舗の需要は底堅く推移しています。優良な立地の物件は、引き続き高い稼働率と安定した賃料収入が期待できます。

  • 逆風(リスク): 日本の金融政策が正常化に向かい、金利が上昇する局面では、二つの逆風が吹きます。一つは、変動金利で借り入れている有利子負債の支払利息が増加すること。もう一つは、金利上昇によって不動産の期待利回りが変化し、不動産価格そのものが下落するリスクです。創建エースは、この金利動向を注視しながら、財務戦略を立てていく必要があります。

再生可能エネルギー事業を取り巻く環境:FIT後の世界へ

太陽光発電事業は、FIT制度によって安定収益が約束されていますが、この制度自体も変化しています。

  • 強み: 創建エースが保有する発電所の多くは、買取価格が比較的高かった時期に認定されたものです。これらの資産は、今後も長期にわたり安定したキャッシュを生み出す「金のなる木」です。

  • 今後の展望: FITによる買取価格は年々低下しており、今後は自家消費や、FITに頼らない形での電力ビジネス(PPAモデルなど)が主流となっていきます。創建エースが今後、この事業をどう拡大していくのか、その戦略が注目されます。

このように、各事業がそれぞれ異なる追い風と逆風に晒されている中で、いかにリスクを管理し、機会を捉えていくかが、経営の手腕の見せ所となります。


【保有資産・プロジェクトの深堀り】企業価値の源泉となる資産たち

創建エースの企業価値を評価する上で、同社がどのような資産を保有しているのかを具体的に見ていくことは非常に重要です。

中核となる収益不動産ポートフォリオ

創建エースは、東京都内を中心に複数の収益不動産を保有しています。有価証券報告書などからその一部を抜粋すると、オフィスビル、店舗、共同住宅などが含まれます。

  • 資産の価値: これらの不動産の価値は、貸借対照表上では取得時の価格(簿価)で計上されていますが、現在の市場価格(時価)は、簿価を上回っている可能性があります。特に、都心部の好立地にある物件は、含み益を抱えている可能性が高いと考えられます。この「含み益」の存在は、創建エースの隠れた企業価値(PBRが1倍を割れる要因の一つ)として認識しておく必要があります。

  • 安定稼働の実現: これらの物件の多くは、安定したテナントに賃貸されており、高い稼働率を維持しています。これが、前述した安定的な不動産賃貸収入の源泉となっています。

長期安定収益源である太陽光発電所

同社は、複数の太陽光発電所を保有・運営しています。これらの発電所は、FIT制度に基づき、長期にわたる売電契約を電力会社と結んでいます。

  • キャッシュフロー製造機: これらの発電所は、日々のメンテナンスコストを除けば、太陽が照る限り自動的に現金を稼ぎ続ける、まさに「キャッシュフロー製造機」です。その収益の安定性は、企業全体の財務基盤を強化する上で絶大な効果を発揮します。

  • 資産としての価値: FITの権利が付いた発電所は、金融商品のように、将来生み出すキャッシュフローから逆算してその価値を評価することができます。これらの発電所資産もまた、創建エースの企業価値の重要な構成要素です。

創建エースは、単なる建設会社ではなく、優良な「不動産・インフラ資産」を保有する資産管理会社としての側面も併せ持っているのです。


【経営陣・組織力の評価】ヤマウラグループとしての新たな船出

小型株の分析において、経営陣、特に大株主の評価は極めて重要です。

経営陣と主要株主(ヤマウラ)の存在

現在の創建エースの経営は、代表取締役社長をはじめとする経営陣と、筆頭株主であるヤマウラとの連携によって運営されています。

  • ヤマウラ(1780)とは: 長野県を地盤とする、堅実経営で知られる総合建設会社(ゼネコン)。建設事業に加え、エンジニアリング事業や開発事業などを手掛け、安定した財務基盤と高い技術力を誇る優良企業です。

  • ヤマウラとの関係性:

    • 経営の安定化: ヤマウラが筆頭株主となることで、創建エースの経営方針は、投機的なものではなく、長期的・安定的な成長を目指すものへと大きく転換しました。これは、個人投資家にとって最大の安心材料の一つです。

    • ガバナンスの強化: ヤマウラグループの一員として、コンプライアンス体制や内部統制が強化され、上場企業として求められる水準のガバナンスが構築されつつあります。

    • 事業シナジー: 前述の通り、建設工事の受注や不動産情報の共有など、事業面での協力関係も期待されます。

この**「ヤマウラの存在」こそが、過去の創建エースと現在の創建エースを分ける決定的な違い**であり、投資を検討する上での基盤となります。

組織力と今後の課題

ヤマウラの支援の下、組織の再構築が進められています。過去の多角化経営時代の混乱から脱し、現在は建設、不動産、再生可能エネルギーというコア事業に集中できる組織体制となっています。

今後の課題は、ヤマウラからの支援に頼るだけでなく、創建エース独自の強みを発揮し、自律的な成長軌道を描いていけるかどうかです。不動産物件の目利き力や、新たな収益機会を発掘する企画力など、少数精鋭の組織ならではの機動力を活かした展開が期待されます。


【中長期戦略・成長ストーリー】再生から、次なる成長へ

創建エースは、明確な中期経営計画を大々的に公表しているわけではありません。しかし、決算説明資料や事業報告からは、その目指す方向性を読み取ることができます。

成長戦略の方向性:ストック収益の積み増し

創建エースの基本的な成長戦略は、シンプルかつ合理的です。

  1. キャッシュ創出: 既存の不動産・太陽光発電事業で、安定的なキャッシュフローを創出する。

  2. 財務改善: 生み出したキャッシュで、有利子負債を着実に返済し、財務体質を強化する(自己資本比率の向上)。

  3. 再投資: 財務状況を見ながら、優良な収益不動産や、新たな収益源となる事業へ再投資を行い、さらなるストック収益の源泉を確保する。

この①キャッシュ創出 → ②財務改善 → ③再投資、というサイクルを回していくことが、創建エースの中長期的な成長ストーリーの根幹です。特に、新たな収益不動産をどのような基準で、どの程度の規模で取得していくのかが、今後の成長ペースを左右する重要な鍵となります。

M&A戦略・新規事業の可能性

現時点では、大規模なM&Aや全くの新規事業への進出は考えにくいでしょう。まずはコア事業である不動産賃貸業の基盤をさらに固めることが最優先です。しかし、ヤマウラグループとしての連携の中で、シナジーが見込める小規模な事業や資産の取得といった形でのM&Aは、将来的な選択肢として考えられます。


【リスク要因・課題】原石であるが故の注意点

創建エースのような再生フェーズにある小型株には、大きなリターンが期待できる一方で、相応のリスクも存在します。投資を検討する際は、これらのリスクを十分に理解しておく必要があります。

マクロ環境リスク

  • 金利上昇リスク: 再三述べている通り、これが最大のマクロリスクです。金利が上昇すれば、支払利息の増加を通じて直接的に利益を圧迫します。また、不動産市況の悪化を招き、保有資産の価値が下落する可能性もあります。

  • 建設・不動産市況の悪化リスク: 景気が後退すれば、建設需要の減少や、オフィスの空室率上昇・賃料下落といった形で、事業にマイナスの影響が及びます。

企業個別のリスク・課題

  • 有利子負債への依存: 財務体質は改善傾向にあるものの、依然として有利子負債への依存度は低くありません。財務の健全化は道半ばであり、今後の着実な負債圧縮が不可欠です。

  • 流動性リスク: 東証スタンダードの小型株であるため、日々の株式の売買高(出来高)が少ない傾向にあります。これは、大きな金額を一度に売買しようとすると、株価が大きく変動してしまい、希望する価格で取引できないリスク(流動性リスク)があることを意味します。

  • 情報の少なさ: 大企業に比べ、アナリストレポートやメディアでの報道が少なく、投資判断に必要な情報を収集しにくい側面があります。IR情報などを自ら能動的にチェックする必要があります。

  • ヤマウラへの依存: ヤマウラの存在は大きな強みである一方、その経営方針の変更などが、創建エースの経営に直接的な影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

これらのリスクを許容できるかどうかが、創建エースへの投資適性を判断する分かれ道となります。


【総合評価・投資判断まとめ】ハイリスク・ハイリターンの再生ストーリー銘柄

最後に、これまでの詳細なデュー・デリジェンスを踏まえ、創建エースへの投資価値について総合的な評価をまとめます。

ポジティブ要素(強み・機会)

  • 安定したストック収益基盤: 不動産賃貸と太陽光発電という、二つの強力なストック収益事業が利益とキャッシュフローの源泉となっており、経営の安定性が格段に向上している。

  • 着実な財務改善: 過去の危機的状況から脱し、黒字体質が定着。有利子負債の削減と自己資本の積み増しが進んでおり、再生ストーリーは着実に進行している。

  • 資産価値(含み益)の存在: 保有する不動産の時価が簿価を上回っている可能性があり、PBR(株価純資産倍率)などの指標で見る以上に、実質的な資産価値が高い可能性がある。

  • 強力なパートナーの存在: 筆頭株主であるヤマウラによる信用の補完と経営支援は、事業を推進する上での大きな安心材料となっている。

ネガティブ要素(弱み・リスク)

  • 金利上昇への脆弱性: 有利子負債が依然として多く、金利上昇局面では支払利息の増加が利益を圧迫するリスクがある。

  • 小型株特有のリスク: 出来高が少なく、流動性が低い。また、情報の入手が限られる。

  • 成長ペースの不透明感: 安定性は高いものの、次の成長を牽引する大型の投資などが現時点で見えているわけではなく、急成長を期待する銘柄ではない。

総合判断

創建エースは、**「過去の失敗から学び、事業ポートフォリオを転換することで、安定した収益基盤を築き上げた、まさしく再生途上にある企業」**です。その株価は、まだ過去のイメージや小型株であることのディスカウント(割安評価)がなされている水準にあると考えられます。

この企業への投資は、以下のような投資家に向いていると言えるでしょう。

  • 短期的な株価の変動に一喜一憂せず、数年単位の長期的な視点で企業の再生と成長を応援できる投資家。

  • PBRなどの資産価値指標に着目し、割安に放置されている銘柄の発掘を得意とするバリュー投資家。

  • 小型株特有の流動性リスクや情報量の少なさを理解し、自己責任で判断できる経験豊富な投資家。

逆に、短期的なキャピタルゲインを狙う投資家や、リスク許容度の低い投資家には向いていません。

結論として、創建エースは、依然としてリスクを内包するものの、それを上回るポテンシャルを秘めた**「ハイリスク・ハイリターン型の再生ストーリー銘柄」**であると評価します。同社が有利子負債の圧縮を進め、財務基盤をさらに強固なものとし、新たな収益資産への再投資サイクルを確立できた時、市場の評価は一変する可能性があります。その「時」を、じっくりと待つことができるか。それが、この原石に投資する上での鍵となるでしょう

📌 この記事のまとめ

本記事では株式投資に関連する情報を整理しました。各銘柄のIR資料も確認しながら、ご自身の判断で投資をご検討ください。

【免責事項】本記事は情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。

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