2026年、日本のリユース市場が10兆円規模へ──個人投資家が今こそ仕込むべき『循環経済テーマ株』の見極め方

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本記事の要点
  • 「10兆円」という数字を見て、私がまずスマホを閉じた理由
  • このニュースに反応したら、たぶん負ける
  • 私がリユース銘柄を見るときに、最初に開く場所
  • 今、誰がこの株を買っているのか

テーマは本物。でも、本物のテーマほど、買い方ひとつで天国と地獄が分かれます。

「10兆円」という数字を見て、私がまずスマホを閉じた理由

「リユース市場、2026年に10兆円規模へ」

マーケットアナリスト
機関投資家の視点では「このニュースに反応したら、たぶん負ける」は無視できないシグナルです。

このニュースが流れてきたとき、私は正直、いったんスマホを閉じました。

理由はシンプルです。こういう「数字が大きすぎる話」が出てきたとき、過去の私は反射的に飛びつき、何度も痛い目を見てきたからです。

少し時間を置いて、もう一度開き直しました。読み返してみて、テーマ自体は本物だと、私は今のところ見ています。

リユース市場は確かに伸びています。中古品への抵抗感が世代をまたいで薄れ、個人間取引が日常になり、企業側も古物の循環をビジネスとして本気で組み立て始めています。SDGsやサーキュラーエコノミーという言葉が定着し、政策的な後押しも出てきました。

ただ、ここで一度立ち止まりたいのです。

テーマが本物であることと、その関連株で個人投資家が勝てることは、まったく別の話だからです。

私は2018年6月、ある上場直後の銘柄でこの違いを身をもって学びました。あの時の判断は、今でも思い出すと胃が重くなります。詳しい話は後ろで書きますが、結論だけ言えば、私は「これからの時代だ」というストーリーだけで買いに行き、半年で含み損を抱えて、意地を張って塩漬けにしました。

この記事は、その経験を土台にして書いています。

最初に、循環経済というテーマをめぐって今飛び交っているニュースのうち、どれを無視していいかを仕分けします。次に、私がリユース銘柄を見るときに最初に確認している場所を共有します。最後に、テーマ株で生き残るための、地味すぎて拍子抜けするくらいの実践ルールをお渡しします。

派手な話は出てきません。でも、テーマ株で退場していく人の多くは、地味な確認を飛ばしている人だと、私は経験から思っています。

区分本記事の論点要約ポイント
セクション1「10兆円」という数字を見て、私がまずスマホを閉じた理由「リユース市場、2026年に10兆円規模へ」このニュースが流れてきたとき、私は正直、いったんスマホを閉じました。理由はシンプルです。こういう「数字が大きすぎる話…
セクション2このニュースに反応したら、たぶん負ける循環経済の話題には、大きく二種類のニュースが混ざっています。読者の感情を動かすだけのノイズと、実際のビジネスの中身が変わったことを示すシグナルです。これを混ぜた…
セクション3私がリユース銘柄を見るときに、最初に開く場所ここからは、循環経済というテーマの中で、私がどう銘柄を仕分けているかを書きます。まず一次情報として、私が事実だと見ている部分を整理します。国内のリユース市場規模…
セクション4今、誰がこの株を買っているのかここで一度、需給の話を挟みます。短くします。今、循環経済テーマの銘柄を売り買いしているのは、大きく三つの主体です。ひとつは、機関投資家です。一部の運用会社がES…
セクション5三つの未来図、どれに賭けるかではなく、どう構えるかここから、シナリオを三つ置きます。当てに行くのではなく、それぞれが起きたときに何をするかを決めておくための作業です。
本記事「2026年、日本のリユース市場が10兆円規模へ──個人投資家が今こそ仕込むべき『」の構成マップ

このニュースに反応したら、たぶん負ける

循環経済の話題には、大きく二種類のニュースが混ざっています。読者の感情を動かすだけのノイズと、実際のビジネスの中身が変わったことを示すシグナルです。これを混ぜたまま動くと、たいてい高値で買って安値で売ります。

私が普段、無視するようにしているノイズを三つ挙げます。

ひとつ目は、「リユース市場が10兆円規模に」のような市場全体のマクロ予測です。

このニュースが誘発する感情は、希望と取り逃し恐怖です。読むと「乗り遅れたくない」と感じます。でも、市場全体の予測は、個別企業の業績にそのまま直結するわけではありません。市場が伸びても、利益を取るのは一部の勝者だけ、という業界はいくらでもあります。私自身、過去に「市場が伸びるから関連銘柄も伸びる」という単純な計算で動いて、何度も外しました。

ふたつ目は、著名な投資系インフルエンサーや雑誌の「次はこのリユース銘柄」という推奨です。

このニュースが誘発する感情は、安心感と便乗心理です。「みんなも見ている」という事実が、自分の判断の代わりになってしまいます。でも、彼らがいつ買って、いつ売るかは私たちには分かりません。検証できない情報を、行動の根拠にしてはいけないと、私は何度も唱え直しています。

三つ目は、単発の好決算報道です。

特に、一四半期だけ数字が上振れた、というニュースに過剰反応するのは危険です。リユース業態は、季節要因や一時的な仕入れ・在庫の影響で、四半期単位の数字がブレやすい構造を持っています。一発の決算で「成長軌道に乗った」と判断するのは早すぎます。私は最低でも四四半期、できれば二年分の流れを見るようにしています。

逆に、私が注視しているシグナルも三つあります。

ひとつ目は、同店売上高、つまり既存店ベースの売上推移です。

新規出店で全体売上を伸ばしているのか、それとも既存店の集客や単価が伸びているのかでは、ビジネスの健康度がまったく違います。各社のIRページで月次や四半期で開示されているので、最低三か月分は流して見ます。これが前年同月比でマイナスに沈み始めたら、私は警戒モードに切り替えます。

ふたつ目は、在庫回転日数の推移です。

リユース業の本質は、仕入れた中古品をいかに早く売り切るかにあります。回転日数が長くなっていれば、売れ残りが膨らんでいるサインです。四半期決算の貸借対照表から計算できます。会社が出す数字をそのまま信じる前に、自分で電卓を叩いてみると、見え方が変わります。

三つ目は、越境ECや海外向け売上の比率です。

円安局面では、海外からの需要が国内のリユース市場を押し上げました。逆に円高に振れたとき、越境比率が高い会社ほど影響を受けます。決算説明資料や有価証券報告書で、海外向けの開示があるかどうか、その比率がどう変わっているかを確認しています。

これらのシグナルは、次の章で書く分析の土台になります。ニュースの見出しではなく、これらの数字が、私の判断の入り口です。

私がリユース銘柄を見るときに、最初に開く場所

ここからは、循環経済というテーマの中で、私がどう銘柄を仕分けているかを書きます。

まず一次情報として、私が事実だと見ている部分を整理します。

国内のリユース市場規模は、ここ十年で着実に拡大してきました。中古品の流通額は、複数の業界団体や民間調査会社の数字を突き合わせると、おおむね右肩上がりです。背景にあるのは、中古品への心理的抵抗の低下、フリマアプリの普及、節約志向の長期化、そしてここ数年は円安による越境取引の増加です。

この事実は、私の中で動かない部分です。

ここから先が、私の解釈です。

私はリユース業態を、大きく三つの軸で分けて見ています。

ひとつ目の軸は、プラットフォーム型か、専門小売型か、です。

プラットフォーム型は、個人と個人をつなぐ場を提供する業態です。在庫を自社で抱えない代わりに、出品数や手数料率の動向に業績が左右されます。専門小売型は、自社で買い取って自社で売る業態で、買い取り査定の精度と店舗運営の効率が勝負になります。両者は同じ「リユース」でも、見るべき指標がまったく違います。

ふたつ目の軸は、国内特化か、越境対応か、です。

国内特化型は、為替の影響を受けにくい代わりに、国内の消費マインドに業績が左右されます。越境対応型は、円安の追い風を受けやすい代わりに、為替が反転すると逆風になります。今がどちらのフェーズかで、選ぶ銘柄が変わります。

三つ目の軸は、単純物販か、バリューアップ型か、です。

単純物販は、買い取った商品をそのまま、あるいは簡易な整備をして売る業態です。バリューアップ型は、修理・メンテナンス・再加工で付加価値をつけて売る業態で、ブランド品や時計、骨董などの分野で見られます。後者のほうが粗利率は高い傾向にありますが、目利きや人材の育成に時間がかかります。

これらの軸で銘柄を分類すると、同じ「循環経済テーマ」と一括りに語られていた銘柄が、まったく別の生き物に見えてきます。

ここから、私の前提を置きます。私はこう見ていますが、前提が崩れたら判断も変えます。

前提のひとつは、国内のリユース市場が、年率五から十パーセント程度の成長を維持することです。これが二パーセントを切るような数字に減速したら、テーマ全体の魅力が薄れたと判断します。

前提のふたつ目は、円安基調が当面続き、越境取引の追い風が消えないことです。日銀の政策が大きく転換し、ドル円が大幅に円高方向へ反転したら、越境比率の高い銘柄から先に手を引きます。

前提の三つ目は、国内の節約志向、つまり「新品より中古でいい」という消費マインドが、景気拡大局面でも崩れないことです。賃上げが本格化し、中古を選ぶ理由が薄れていったら、リユース全体のストーリーは見直しが必要です。

読者にとっての行動は、こうなります。

テーマで買わないでください。ビジネスモデルで買ってください。

これは、抽象的なお説教ではありません。具体的には、自分が今気になっている銘柄を、上の三つの軸のどこに置くかを言葉にしてみてください。それができないなら、まだ買う段階ではないと、私は思っています。

正直に言うと、私もこの三つの軸を全部きちんと当てはめられない銘柄については、買うのを見送ることが多いです。「分からないから様子見」は、テーマ株においては有効な選択肢です。

今、誰がこの株を買っているのか

ここで一度、需給の話を挟みます。短くします。

今、循環経済テーマの銘柄を売り買いしているのは、大きく三つの主体です。

ひとつは、機関投資家です。一部の運用会社がESG投資の枠組みでリユース関連を組み入れています。ただし、これは長期保有の性質を持つ資金で、短期の値動きを作る主体ではありません。彼らが入っている銘柄は、押されたときに下値を支えやすい傾向があります。

ふたつは、個人投資家です。SNSや雑誌でテーマが取り上げられるたびに、参入と退出を繰り返しています。個人比率が高い銘柄は、ニュース一発で大きく動きやすい構造を持ちます。出来高に対して個人の信用買い残が膨らんでいる銘柄は、私は警戒します。

三つは、海外投資家です。円安局面で日本株全体に資金が流入しており、リユース銘柄もその一部です。彼らが買い手として残っているうちは、底堅さがあります。逆に、海外勢の資金が日本株から抜け始めたとき、テーマ株は真っ先に売られる側に回りやすいです。

ここから推測できるのは、循環経済テーマの銘柄は、機関と個人と海外勢の比率によって、値動きの性格が大きく違うということです。

自分が買おうとしている銘柄について、信用倍率や大株主の動向を一度見ておくと、保有中の心構えが変わります。

三つの未来図、どれに賭けるかではなく、どう構えるか

ここから、シナリオを三つ置きます。当てに行くのではなく、それぞれが起きたときに何をするかを決めておくための作業です。

基本シナリオ:テーマが緩やかに継続する

国内のリユース市場が引き続き五から十パーセント程度で伸び、円安が続き、海外需要も維持される展開です。

このシナリオに入っているなら、私はコア銘柄、つまり業態の中で売上規模・利益率・財務体質のバランスが取れた企業を中心に持ちます。サテライトとして小型の特殊業態を少し添える、という構成にします。

このときやらないことは、二つあります。ひとつは、目に入った銘柄を片っ端から買うこと。もうひとつは、利益が出た直後に同じテーマの別銘柄に乗り換え続けることです。回転を上げると、自分の判断ではなく市場の感情に振り回されます。

チェックする指標は、各社の同店売上高、月次売上、そして四半期ごとの在庫回転日数です。

逆風シナリオ:円高反転または海外景気の減速

ドル円が急激に円高方向に振れたり、欧米やアジアの景気が後退局面に入ったりした場合です。

このシナリオに入ったと判断したら、まず越境比率の高い銘柄から、ポジションを軽くします。全部売るのではなく、たとえば半分まで落とす、という形です。同じリユース業態でも、国内特化型に資金を回せる場合は回します。

このときやらないことは、ナンピン買いです。下げているところで買い増す誘惑が一番強くなる場面ですが、シナリオ自体が変わっているので、過去の買値を基準に動いてはいけません。

チェックする指標は、為替の方向、各社の越境売上比率の開示、そして月次売上の前年同月比です。

様子見シナリオ:市場が過熱して、全体的に高すぎる

メディアが連日テーマを取り上げ、SNSで初心者の参入の声が増え、関連銘柄が業績の伸び以上に株価を伸ばしている状況です。

このシナリオでは、私は新規買いを止めます。すでに持っているポジションについては、一部利確を入れて、含み益を現金に変えていきます。次の押し目を、半年でも一年でも待ちます。

このときやらないことは、「乗り遅れた」と感じて高値で飛びつくことです。FOMOで動いた行動は、私の経験では、ほぼ全部後悔につながりました。

チェックする指標は、PERやPBRが業界平均からどれだけ乖離しているか、そして信用買い残の積み上がり方です。

正直に言えば、今のリユース関連の中には、すでに様子見シナリオに入っていると私が見ている銘柄もあります。具体名は出しませんが、自分の手元の銘柄に当てはめてみてください。

私が2018年のIPOで払った授業料

ここで、約束した失敗談を書きます。

2018年6月、ある大型のフリマアプリ運営会社が東証マザーズ(当時)に上場しました。公開価格は3,000円、初値は5,000円でした。

私は、その初値で買いました。

当時の私は、投資を始めて二年目に入ったところでした。前年の2017年に、たまたまいくつかの銘柄で含み益が出ていて、自分は分かっている、と勘違いしていました。今振り返ると、あの時期の自分の自信は、相場が良かっただけの話で、自分の実力ではなかったのですが、本人は気づいていません。

その会社は、メディアで連日取り上げられていました。日経新聞、雑誌、ビジネス書、SNS。「これからの時代を作る」「日本発の世界企業」と、誰もが言っていました。私の周りの友人で投資をしている人も、している人も、している人も、みんな話題にしていました。

「これに乗らない理由がない」

そう思って、買い注文のボタンに指を置きました。あの瞬間、私の頭の中ではもう含み益の計算が始まっていました。「これが10,000円になったら、これだけの利益だ」と。今思えば、その時点で私はもう負けていたのだと思います。

買って数週間、株価は6,000円台前半まで上がりました。私は確信を強めました。「やっぱり自分の判断は正しかった」と。

ところが、夏の終わりから、株価はじりじりと下げ始めました。最初は5,000円台、9月には4,000円台、年末には3,000円台、年明けには2,000円台へ。

私は何をしていたか。

下げているところで、「これは押し目だ」と買い増ししていました。ナンピン、つまり平均取得単価を下げる買い方を、何度も繰り返しました。しかも、信用取引まで使って。レバレッジをかけて、買い向かっていました。

下げが止まらず、損切りもできず、最終的には現引き、つまり信用買いを現物買いに切り替えて、塩漬けにしました。

そこから何年も、その銘柄は私の口座の隅で含み損のまま眠り続けました。最終的に手放したのは、ずっと後のことです。トータルで、それなりの金額を失いました。

何が間違っていたのか、今なら分かります。

ひとつは、上場直後の銘柄は、需給が極端に荒い、という基本を無視したことです。新規上場直後は、ロックアップ解除や売り出しなど、需給を悪化させる材料が後ろに控えています。それを知らないまま、初値で買いに行きました。

ふたつ目は、ポジションサイズを管理しなかったことです。当時の私は、自分の資産に対して、どのくらいの比率までその銘柄に張っていいかを、買う前に決めていませんでした。気がつけば、口座の半分以上がその一銘柄に偏っていました。

三つ目は、テーマだけで買って、業績の検証をしなかったことです。同店売上にあたる指標も、利益率の推移も、競合との比較も、何も見ていませんでした。「これからの時代だ」というストーリーだけで動きました。

四つ目は、撤退ラインを買う前に決めていなかったことです。買った後で、下げ始めてから、「どこで切るか」を考え始めました。下げ始めてから決めるラインは、たいていの場合、感情で書き換えられます。

そして五つ目は、ナンピンで掘り下げたことです。下げているものをさらに買い増すという判断は、シナリオが変わっていないか確認した上でしか、本来は許されないはずでした。

今でもあの時のことを思い出すと、胃が重くなります。教訓として綺麗にまとめてしまえば、「学びになった」「成長できた」と書けるのかもしれません。でも、正直に言えば、痛みは完全には消えていません。あの時の判断のひとつひとつを、今でも思い出します。

だから、今の私は、ルールを作っています。あの失敗から逆算して作った、地味なルールです。次の章で書きます。

投資リサーチャー
2026年、日本のリユース市場が10兆円規模へ──個人投資家が今こそ仕込むべき循 を読み解く際は、ニュースの一次情報まで掘ることが大切です。

テーマ株で生き残るための、地味すぎる実践ルール

ここからは、私が今、自分自身に課しているルールを共有します。

きれいごとは抜きにします。数字はレンジで出します。

資金配分のレンジ

私は、循環経済のような特定のテーマ株への配分を、運用資産全体の十から二十パーセントまでに抑えています。

相場環境によって、この幅の中で動かします。テーマが過熱していると感じるときは十パーセント寄りに。テーマがまだ知られていないか、調整局面にあると感じるときは二十パーセント寄りに。それ以上は、どんなに「来る」と感じても入れません。

残りの八十から九十パーセントは、インデックス、配当株、現金など、テーマと関係ないものに振り分けています。これは、テーマが外れたときに、生活と精神の両方を守るための、防波堤です。

建て方

新しくテーマ株のポジションを作るときは、三回から五回に分割して買います。

間隔は二週間から一か月。一気に入れない理由は、テーマ株は急落しやすく、一括で入ったときに身動きが取れなくなるからです。

これは、2018年のあの失敗から作ったルールです。当時の私は、初値で全額を入れました。あの瞬間に分割していれば、その後の選択肢はまったく違ったはずです。

撤退基準の三点セット

ここが一番大事です。撤退ラインを、買う前に決めます。買った後では、感情で書き換わります。

価格基準としては、直近の安値を明確に割り込んだら、つまり五パーセント以上ブレイクしたら、見直しの対象にします。一度のヒゲで判断せず、終値ベースで確認します。

時間基準としては、買ってから三か月経っても、自分が想定した方向に動いていなければ、一度ポジションを軽くします。動かない時間は、自分の判断が外れているサインの可能性があります。

前提基準としては、前の章で置いた前提が壊れる材料が出たら、価格に関係なく撤退します。たとえば、同店売上高が二か月連続で前年割れに沈んだ、海外向け売上比率が急激に縮小した、為替が想定と逆方向に大きく動いた、などです。これは、前の章のメイン分析と直接つながっています。

この三つのうち、どれかが先に来たら降りる、という設計にしています。

迷ったときの救命具

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。

間違えても、ダメージが半分になります。迷いは、市場からのサインです。

これは初心者でなくても、すべての投資家に効くルールです。私自身、判断に確信が持てないときは、まず半分にする、を繰り返しています。

自分のポジションに当てはめる、三つの問い

今、循環経済テーマの銘柄を持っているか、買おうとしている方に、三つだけ問いを置きます。

ひとつ。あなたが今買おうとしている銘柄、最悪のシナリオで何パーセントの下落に耐えられますか。

ふたつ。その銘柄を、テーマと無関係に説明できますか。たとえば「リユース市場が伸びるから」を抜きにして、なぜその会社を選ぶのか、説明できますか。

みっつ。撤退ラインを、買う前に文章で書き出していますか。頭の中ではなく、紙やメモアプリに、です。

このどれかに「いいえ」がついた方は、買うのを一週間延ばしてみてください。一週間後にもう一度同じ問いに向き合ったとき、答えが変わるなら、その変化こそが大事な情報です。

スマホを開く前に確認する八つのこと

買う前、または買った後でも、定期的に当てはめてみてください。Yes/Noで答えるだけです。

一、その企業の同店売上高は、直近三か月で前年同月比プラスを維持していますか。

二、在庫回転日数は、過去二年で改善傾向、または横ばいですか。

三、営業利益率は、五パーセント以上を維持できていますか。

四、その業態の上位三社のシェア合計は、伸びていますか、それとも縮んでいますか。

五、越境ECや海外向け売上の比率を、会社が開示していますか。

六、経営者は創業者ですか、雇われ経営者ですか。直近一年で大株主が大きく動いていませんか。

七、PERは業界平均の何倍ですか。二倍を超えていませんか。

八、信用買い残は、時価総額の何パーセントになっていますか。

全部に「Yes」がつく必要はありません。でも、答えられない項目があるなら、まだ調べ切れていない、ということです。それを自覚することが、すでに半分勝ちです。

私が自分に課している、五つの行動ルール

これは私個人のルールです。そのままコピーしないでください。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境は私とは違います。あくまで、自分のルールを作るときの参考にしてください。

一、上場後三年以内のテーマ株には、運用資産の五パーセント以上を入れない。

二、ニュースで初めて知った銘柄は、最低一週間は寝かせてから判断する。

三、買う前に、いくらまで下がったら降りるかを、必ず紙に書く。

四、テーマ株では、信用取引を使わない。

五、同じテーマの銘柄を、二つ以上は同時に持たない。

このうち、二と三と四は、2018年の失敗から直接生まれたルールです。あの時の私には、どれもありませんでした。

「結局、流行に乗ってるだけでは?」への私の答え

ここまで読んで、こう感じた方がいるかもしれません。

「結局、それってテーマ株に乗っているだけで、本質的な投資ではないのでは」

その指摘はもっともです。私もそう思います。

でも、流行に乗ること自体が悪いのではないと、私は考えています。問題は、流行の頂点で買って、降りられなくなることです。

ここで条件分岐を置きます。

メディアが連日テーマを取り上げ、SNSで初心者の参入が急増し、業績の伸び以上に株価が伸びている状況、つまりテーマがピークに近い局面では、その通りです。流行に乗ること自体が、ほぼ確実に失敗につながります。私もこの局面では新規買いを止めます。

一方で、テーマがまだ広く知られていないか、知られていても株価が業績の追いつくのを待っている調整局面では、話が変わります。この局面では、テーマに沿って動くことは、合理的な選択肢のひとつです。

判断の基準は、自分が今どちらの局面にいるかを、自分で言葉にできるかどうかです。

「みんなが買っているから」で動くのは流行への便乗ですが、「業績の伸びと株価の動きの関係を見て、ここは合理的に評価が低い」と説明できるなら、それはテーマ投資というより、業績連動の投資です。

もうひとつ、「長期インデックスだけでいいのでは」という指摘もあるはずです。

これにも、私は基本的に賛成です。前の章で書いたように、私自身、運用資産の大半はインデックスや配当株です。テーマ株は、あくまで全体の十から二十パーセントの範囲で楽しむもの、という位置づけにしています。

テーマ株を絶対にやるべきだ、とは思いません。やらないという選択も、十分に賢い判断です。でも、もしやるなら、地味なルールを持って臨んでほしい、というのが、この記事を書いている理由です。

明日の朝、最初に開く一つのこと

長くなりました。ここまでの話を、三つに絞って残します。

ひとつ目。リユース、循環経済というテーマは本物です。でも、テーマで買わないでください。ビジネスモデルで買ってください。

ふたつ目。撤退ラインを、買う前に決めてください。価格と時間と前提の三点セットで、紙に書いてください。

みっつ目。ポジションサイズを、運用資産全体の中で管理してください。一つのテーマに偏ったポートフォリオは、テーマが外れたとき、生活も精神も削ります。

明日の朝、スマホを開いたら、ひとつだけ見てください。

自分が気になっている、または保有しているリユース関連銘柄の、月次同店売上高です。直近三か月の数字を、各社のIRページで確認してください。それが前年同月比でプラスを維持しているか、マイナスに沈み始めているか。

その数字が、どんなテーマ記事より、あなたの判断の土台になります。

相場で長く生き残ることは、勝つことよりも、ずっと難しいと、私は今でも思っています。

でも、生き残れば、テーマは何度でもやってきます。今回の循環経済が外れても、次のテーマがまた来ます。退場せずにいれば、それでいいのです。

私も、今日もそうやって、自分に言い聞かせています。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


本記事のポイント:明日の朝、最初に開く一つのこと を踏まえ、自身のリスク許容度に合わせて判断してください。

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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