- 【産業ロボット用全固体電池の世界初量産で先行】マクセル (6810)
- 【硫化物固体電解質「A-SOLiD」で世界最大規模の生産能力へ】三井金属 (5706)
- 【トヨタとタッグ、硫化物固体電解質量産の最右翼】出光興産 (5019)
- 【トヨタと正極材共同開発、3,540億円投資の電池材料覇権】住友金属鉱山 (5713)
電気自動車(EV)市場で日本勢が苦戦するなか、ゲームチェンジャーとして注目されているのが「全固体電池」です。電解質を液体から固体に置き換えることで、航続距離、充電時間、安全性、寿命のすべてを劇的に改善できるとされる次世代電池の本命。トヨタ自動車は2027〜2028年に全固体電池搭載EVの市場投入を計画しており、満充電1回で1,200km走行・10分以下の急速充電という、現行リチウムイオンEVの常識を塗り替える性能を狙っています。日産自動車も2028年度までの全固体EV量産を掲げ、2025年10月には現行電池の2倍の航続距離を見込める性能を達成したと発表しました。
富士経済の調査によれば、世界の全固体電池市場は2040年に3兆8,605億円規模に達すると予測されており、特許出願件数では日本勢がトップクラスのシェアを握ります。中国勢が支配したリチウムイオン電池の悔しさを晴らすチャンス。それが全固体電池なのです。
注目すべきは、自動車メーカーだけではありません。固体電解質(A-SOLiD、硫化物系、酸化物系)、正極材、製造装置、フッ素化合物、エンジニアリング会社など、サプライチェーン全体に関連銘柄が広がっています。経済産業省が「特定重要物資」として蓄電池を指定し、補助金で後押ししているのも追い風。本記事では、東証に上場する全固体電池関連の有望20銘柄を厳選し、それぞれの強みと注目ポイントを徹底解説します。EV市場の覇権を取り戻すジャパン技術の勝ち筋を、銘柄レベルで掘り下げていきましょう。
【免責事項】
本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はあくまで読者ご自身の責任において行ってください。記事中の情報は執筆時点で公開されている各社IR・報道資料等を基にしておりますが、その正確性・完全性を保証するものではなく、また将来予告なく変更される可能性があります。最新の業績・株価・事業状況については、必ず各企業の公式IRサイトや有価証券報告書、適時開示資料等で直接ご確認ください。投資には元本割れのリスクが伴います。
【産業ロボット用全固体電池の世界初量産で先行】マクセル(6810)
◎ 事業内容:
電池と産業用部材を主力とする総合メーカーです。コイン形リチウム一次電池では世界トップシェアを誇り、近年は車載・理美容家電・産業機器向けに事業領域を拡大。アルジロダイト型硫化物固体電解質を用いたセラミックパッケージ型全固体電池の量産化を強力に推進しており、IoT機器・産業用ロボット・医療機器など幅広い用途への展開を進めています。
・ 会社HP:
◎ 注目理由:
全固体電池関連のド本命銘柄と言ってよい存在です。マクセルの強みは、すでに「量産・実用化」のフェーズに入っている点。2025年8月にはSUBARUの工場で稼働する産業用ロボットに、2026年1月には京セラ鹿児島川内工場の産業用ロボットに、それぞれ全固体電池電源モジュールが搭載されテスト運用が始まりました。同社が採用するアルジロダイト型固体電解質は、量産性・安定性・イオン伝導性・成形性のバランスに優れ、350℃加熱や釘刺し試験でも発火・発煙しない極めて高い安全性を実証しています。
2026年1月にはER電池(塩化チオニルリチウム電池)と同サイズ・同出力電圧の全固体電池モジュールも発表。これは産業機器市場で広く使われているER電池を直接置き換えられる革新的な製品で、潜在市場は極めて大きいといえます。2025年12月にはIoTデバイスの主電源用途に使えるコイン形全固体電池「PSB2032」を発表するなど、製品ラインナップも急速に拡充中。
2027年3月期は売上高の増加と営業利益の回復を見込んでおり、ポートフォリオ改革の効果と全固体電池を中心とした新事業の早期業績貢献を織り込んでいます。「次世代電池の量産化が見えるピュアプレイ銘柄」として、個人投資家から機関投資家まで関心を集める一社です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1960年に日立マクセルとして設立、長年にわたりリチウム電池の開発・製造を手掛けてきた老舗です。2014年に親会社から独立して上場、2017年に三井金属とアルジロダイト型固体電解質の協業を開始しました。2025年には全固体電池の長寿命化に向けた容量劣化メカニズムの解明に成功、2025年10月には150℃対応のセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010T」のサンプル出荷を開始しています。
◎ リスク要因:
全固体電池の本格的な業績寄与には時間を要する点、車載電池事業の競争激化、為替変動の影響などには留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
【硫化物固体電解質「A-SOLiD」で世界最大規模の生産能力へ】三井金属(5706)
◎ 事業内容:
非鉄金属大手で、亜鉛・鉛・銅製錬を祖業に、機能材料・電池材料・自動車部品など多角的に展開しています。リチウムイオン電池の負極材として使われる電解銅箔では世界トップクラスのシェアを保有。全固体電池向けには独自開発のアルジロダイト型硫化物固体電解質「A-SOLiD」のサンプル供給を進めています。
・ 会社HP:
◎ 注目理由:
全固体電池の心臓部である固体電解質において、世界最大規模の生産能力構築を目指す存在です。1874年の神岡鉱山経営開始以来、硫化物を扱う技術を150年以上培ってきた歴史的背景があり、この技術蓄積を電池材料に転用できる強みは極めて大きい。同社の「A-SOLiD」は有機電解液と同等水準の高いリチウムイオン伝導性を持ち、電気化学的にも安定。マクセルとの協業で量産検証が進み、EV用途のサンプル供給も拡大中です。
注目すべきは2024年9月発表の初期量産工場新設決定。総合研究所(埼玉県上尾市)敷地内に2027年稼働予定の新棟を建設し、現行の量産試験棟と合わせて世界最大規模の固体電解質生産能力を備える計画です。NEDOのグリーンイノベーション基金事業にも採択され、国家戦略の一翼を担う存在となっています。
時価総額は数千億円クラスと中堅以上の規模感があり、機関投資家の物色対象としても十分な流動性を持つ点も魅力。電解銅箔という既存の安定収益源に加え、全固体電池というアップサイドが組み合わさるバランス型の関連銘柄です。日経モビリティが「全固体の電解質は群雄割拠 三井金属、27年量産の勝算」と特集するなど、業界内での評価も高まっています。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1950年三井鉱山の金属部門が分離独立して設立。2016年にアルジロダイト型硫化物固体電解質を量産性に優れた工法で開発、2019年に量産試験用設備を導入、2021年に商標「A-SOLiD」でサンプル供給を開始しました。2024年9月には初期量産工場の新設を決定しています。
◎ リスク要因:
非鉄金属市況の変動、固体電解質の本格量産までの先行投資負担、競合材料との技術競争などには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
【トヨタとタッグ、硫化物固体電解質量産の最右翼】出光興産(5019)
◎ 事業内容:
国内2位の石油元売り会社ですが、近年は脱石油・脱炭素分野への戦略転換を加速。石油精製過程で副次的に発生する硫黄成分を原料に、全固体電池用の硫化物系固体電解質を開発・製造しています。リチウム電池材料部門は、電子材料カンパニーの中核として位置付けられています。
・ 会社HP:
https://www.idemitsu.com/jp/
◎ 注目理由:
トヨタ自動車との協業による全固体電池量産化で世界の主導権を握る存在です。両社の関係は2013年からの共同研究に遡り、20年以上磨いた硫化物系固体電解質の技術が、いよいよ実用化フェーズに入ります。同社の固体電解質は柔軟性と密着性が高く、割れにくいという特徴があり、トヨタの電池加工・組立技術と組み合わせることで、性能と耐久性を両立できる目処が立ちました。
2026年1月、千葉事業所内に固体電解質の大型パイロット装置を建設すると最終投資決定(FID)を発表、2027年中の完工を目指しています。生産能力は年産数百トン規模で世界トップクラス。さらに2025年2月には、原料となる硫化リチウムについても年産1,000トンの大型製造装置を2027年6月完成目標で建設決定しました。蓄電池換算で年3GWh、EV換算で5万〜6万台分という大規模なものです。総事業費約213億円、最大71億円が経済産業省から助成されます。
トヨタが2027〜2028年に発売予定の新型EVに直接搭載される計画で、世界初の全固体電池搭載量産EVのキーマテリアルを供給するポジションは唯一無二。石油元売りの安定収益と全固体電池の成長性を併せ持つ、ハイブリッド型の関連銘柄として位置付けられます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1911年創業の老舗石油会社。1990年代半ばから硫黄成分の有用性に着目し研究を開始、2001年に固体電解質の単独研究をスタート、2013年からトヨタと共同研究を本格化させました。2024年12月に大型パイロット装置の基本設計に着手、2026年1月にFIDを実施しています。
◎ リスク要因:
石油事業のレガシーポートフォリオによる成長性の希薄化、原油価格の変動、全固体電池量産化の遅延リスクが挙げられます。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5019
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5019.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.idemitsu.com/jp/news/2024/241028.html
【トヨタと正極材共同開発、3,540億円投資の電池材料覇権】住友金属鉱山(5713)
◎ 事業内容:
非鉄金属メジャーとして、ニッケル・銅製錬から電池材料、半導体材料まで幅広く手掛けています。リチウムイオン電池用正極材で世界トップクラスのシェアを誇り、ニッケル原料から電池材料までの一貫生産体制を強みとします。EV向けNCA(ニッケル酸リチウム)の供給実績は20年以上。
・ 会社HP:
https://www.smm.co.jp/
◎ 注目理由:
トヨタ自動車と全固体電池用正極材の共同開発契約を結び、世界初のBEV向け全固体電池の実用化に挑む正極材メーカーの本命です。2021年頃から共同研究を続け、充放電を繰り返す中で生じる正極材の劣化という最大の課題に対し、同社独自の粉体合成技術を活用して「耐久性に優れた正極材」を新たに開発。トヨタが目指す2027〜2028年の全固体電池実用化に直結する重要パートナーです。
2025年度からの新中期経営計画では3年間で総額3,540億円規模の設備投資を計画。電池材料事業の収益力回復と成長基盤強化が狙いで、愛媛県新居浜市の新工場では月産2,000トン、年間2万4,000トンの正極材量産を開始しました。さらにLIBリサイクルプラントを2026年6月完成目標で建設中で、使用済み電池から銅・ニッケル・コバルト・リチウムを回収する「電池to電池」の水平リサイクル技術も導入予定。LFP系や全固体電池向けの新材料開発も加速しており、複数顧客から引き合いを受けている状況です。
ニッケル製錬で世界トップクラスの技術力を背景に、原料から電池材料、リサイクルまで垂直統合できる総合力は他社の追随を許しません。直近で電池材料事業は赤字基調ながら、先行投資による中長期の競争力強化は大きなアップサイドにつながる可能性があります。
◎ 企業沿革・最近の動向:
400年以上の歴史を持つ住友グループ発祥の事業をルーツとし、1950年の現法人設立以来、非鉄製錬を主軸に展開。2024年第4四半期から新居浜工場で正極材量産を開始、2025年に新中計でLFPと全固体電池向け新材料開発に踏み込みました。
◎ リスク要因:
ニッケル等の非鉄金属市況変動、電池材料事業の赤字継続、海外鉱山の地政学リスクなどに留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5713
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5713.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/43380819.html
【酸化物系固体電解質「LICGC」のトップランナー】オハラ(5218)
◎ 事業内容:
光学ガラスとガラスセラミックスを手掛ける専業メーカーです。デジタルカメラ・プロジェクター・半導体露光装置向け光学ガラス、ナノセラム・LICGCなど機能性ガラスセラミックスが主力。光学ガラス市場では独Schott、米Corningと並ぶ「御三家」の一角を占める世界的ニッチプレイヤー。
・ 会社HP:
https://www.ohara-inc.co.jp/
◎ 注目理由:
酸化物系固体電解質「LICGC(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス)」のトップランナーとして、全固体電池関連株のなかでも独自のポジションを確立しています。LICGCは高いリチウムイオン伝導性を持つ酸化物系固体電解質で、大気中で取り扱い可能・高安全性という特徴があります。次世代リチウムイオン電池の電解質、正極添加材、セパレーター、CO₂センサー、海水中のLiイオン回収など多彩な応用が期待されています。
「全固体電池の主流は硫化物系」と思われがちですが、ここに重要な技術ニュアンスがあります。LICGCは硫化物系全固体電池の界面抵抗を下げる「添加剤」、ハイブリッド型、正極・負極の被覆材としての需要が見込まれており、硫化物系であっても採用される余地が十分にあります。さらに小型全固体電池(ウェアラブル・医療機器向け)や安全性最優先用途では、酸化物系そのものが本命となり、オハラ技術が主役になります。
トヨタとは「正極複合材並びに、これを用いた硫化物全固体電池」の共同特許出願も行っており、ガラス材料の正極複合材をオハラ技術で開発したと見られます。物質・材料研究機構やソフトバンクとも共同でリチウム空気電池の劣化抑制技術を開発するなど、次世代電池の中核技術を握る存在です。時価総額は中型クラスで、テーマ性が高まれば値動きの大きさにも期待が持てます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1935年創業の光学ガラスメーカー。半導体露光装置向け極低膨張ガラスセラミックスでの好調や有機EL市場拡大の恩恵を受け、業績は堅調に推移しています。2023年には酸化物系全固体リチウムイオン電池でマイナス30度の低温下でも動作する電池の試作にも成功しました。
◎ リスク要因:
デジタルカメラ等の最終需要動向、半導体露光装置市場の循環性、酸化物系全固体電池の本格普及までの時間軸不透明感などがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5218
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5218.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.ohara-inc.co.jp/jp/product/electronics/licgc.html
【小型全固体電池「SoLiCell」で量産実績】FDK(6955)
◎ 事業内容:
乾電池・充電池・電子部品を主力とする電池専業メーカーです。アルカリ乾電池・ニッケル水素電池の世界的サプライヤーとして知られ、パナソニックの「eneloop」のOEM製造を手掛けています。電子事業ではフェライト・コイル・パワーモジュール等を展開。2025年に台湾華新科技傘下に入りました。
・ 会社HP:
https://www.fdk.co.jp/
◎ 注目理由:
酸化物系小型全固体電池「SoLiCell」を国内静岡県湖西市工場で量産している、数少ない実用化済みプレイヤーです。漏液・発火のない高い安全性に加え、小型サイズで表面実装可能、回転体や真空環境でも安定動作し、温度衝撃にも強い特徴があります。SMD(表面実装デバイス)対応で、IoT機器・ウェアラブルデバイス・産業機器など幅広い用途で需要を獲得しつつあります。
直近では「SCD4532K」という定電圧充電対応モデルのサンプル出荷を開始、RTC(リアルタイムクロック)バックアップやエネルギーハーベスト用途に最適な製品ラインナップを拡充しています。フェライトという磁性セラミックスの祖業で培った粉末冶金・焼結技術は、全固体電池の固体電解質開発や電極・電解質の積層製造プロセスと親和性が極めて高く、材料から一貫して手掛けられる企業は世界的にも限られています。
時価総額は数百億円規模の中小型銘柄で、テーマ物色や材料発生時の値動きが大きい点も投資家にとっての魅力。富士通の連結子会社から離脱して台湾系企業傘下となったことで、経営の自由度が増し、新規事業へのスピード感が高まる可能性も期待されます。EV用大型電池ではなく、IoT・産業機器向け小型全固体電池というニッチ市場で確実に収益を上げている安定感は、「全固体電池関連株」のなかでも独自の魅力を放ちます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1950年創業、富士電気化学が前身です。2020年にSoLiCellを年内量産開始と発表、2023年度内に大型全固体電池の量産を開始しました。2025年3月、富士通から台湾SILITECH TECHNOLOGYが筆頭株主となり、富士通連結子会社から外れています。
◎ リスク要因:
乾電池市場の縮小、親会社変更による経営方針変化、全固体電池の競合環境激化などのリスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6955
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6955.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.fdk.co.jp/product/all-solid-state/
【セラミック技術で世界をリード、半固体電池「EnerCera」展開】NGK旧日本ガイシ(5333)
◎ 事業内容:
セラミックス技術の世界的リーダーで、自動車排ガス浄化用ハニカム触媒、HDD用ファインセラミックス、半導体製造装置部品、絶縁体(がいし)等を手掛けます。森村グループの中核企業の一社で、2026年4月1日付で「日本ガイシ」から「NGK株式会社」に商号変更しました。半導体・モビリティ・エネルギー分野が成長領域です。
・ 会社HP:
https://www.ngk.co.jp/
◎ 注目理由:
独自の「結晶配向セラミックス正極板」を使用した超薄型・小型リチウムイオン二次電池「EnerCera(エナセラ)」を開発し、IoT・ウェアラブルデバイス向けに事業展開しています。EnerCeraは厳密には「半固体電池」ですが、セラミック製の積層電池部材に微量の電解液を染み込ませた構造で、有機材料を含まず発熱・発火・爆発の可能性が極めて低い高安全性を実現。電池容量は同サイズ市販二次電池の約1.5〜2倍、105℃でのリフローはんだ付けにも対応する耐熱性を持ちます。
パウチタイプは厚さ0.45mmで曲げ耐性があり、クレジットカードや薄型センサータグへの内蔵が可能。コインタイプは表面実装可能で、高耐熱、長寿命(期待寿命10年)の特性を備えます。コールドチェーン用センサータグ、スマートカード、医療機器、IoTモニタリングなど、従来のリチウムイオン電池では対応できなかった用途を開拓しつつあります。
商号変更により、グループの中核ブランド「NGK」の認知度向上と事業構成転換を加速。半導体・モビリティ・エネルギー分野でのグローバル展開強化が狙いで、株主からの注目度も上がっています。1919年創業の老舗ですが、祖業の「がいし」事業比率は1割以下に低下しており、すでにセラミックス技術応用企業へと変貌を遂げています。EVと半導体という二大成長領域に深く関わる、ベテランかつ進化形の関連銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1919年に日本陶器(現ノリタケ)から分離独立して設立。2025年6月の株主総会でNGK株式会社への商号変更が承認され、2026年4月1日付で正式変更しました。NAS電池については2025年10月に新規受注獲得を行わない方針を決定しています。
◎ リスク要因:
NAS電池事業終了による収益減、自動車排ガス触媒のEV化による需要構造変化、半導体市況の変動が主なリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5333
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5333.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.ngk.co.jp/product/enercera.html
【月面探査向け全固体電池も視野、ファインセラミックスの雄】日本特殊陶業(5334)
◎ 事業内容:
スパークプラグで世界シェア31%、車載用酸素センサーで36%を握る世界トップメーカーです。海外売上比率が8割を超え、超音波振動子、セラミック切削工具、MPUオーガニックパッケージなど多彩なファインセラミックス製品を展開。2023年4月に英文社名を「Niterra(ニテラ)」に変更し、グループ企業ブランドの統一を図っています。
・ 会社HP:
https://www.niterragroup.com/
◎ 注目理由:
スパークプラグというエンジン部品を主力とする「EVシフトのリスク銘柄」と思われがちですが、実は次世代電池への戦略転換を着実に進めている関連銘柄です。固体電池の研究開発を10年以上前から行っており、月面探査向けの実証実験も視野に入れたユニークな取り組みを進めています。森村グループの一員として、ノリタケ・NGK(旧日本ガイシ)・TOTOといった兄弟企業と燃料電池JVを運営するなど、セラミックス技術の蓄積はグループ全体で見ても圧倒的です。
注目すべき動きとして、デンソーからスパークプラグ事業・排ガス用センサー事業の譲渡を受けることを2024年に検討開始しました。これは内燃機関事業を統合・効率化する一方、捻出したリソースを全固体電池や燃料電池などの次世代エネルギー領域に集中させる戦略の一環と見られます。NIMS(物質・材料研究機構)が主導する「全固体電池マテリアルズ・オープンプラットフォーム」にも参画しており、JFEスチール、住友化学、デンソー、トヨタ、三井金属、村田製作所などとオールジャパン体制で開発に挑んでいます。
時価総額は5,000億円超と中型クラス。EVシフトへの不安から株価は割安に放置される局面が多く、全固体電池の進捗が市場に評価されたタイミングでの再評価余地は大きいといえます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1936年に日本碍子のスパークプラグ部門を分離して設立。2017年からセラミック技術応用の全固体電池開発に注力し始め、2023年に英文社名をNiterraに変更しました。2025年からはIGアリーナのファウンディングパートナー契約を締結するなどブランド強化も推進しています。
◎ リスク要因:
EV化に伴う既存スパークプラグ事業の縮小ペース、次世代事業の収益化までのリードタイム、為替変動などには留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5334
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5334.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.niterragroup.com/
【出光向け全固体電池プラント建設のEPCリーダー】千代田化工建設(6366)
◎ 事業内容:
総合エンジニアリング会社で、LNG・石油精製・石油化学プラントの設計・調達・建設(EPC)業務を主力とします。米Golden Pass LNGやカタールNFE LNG増設など大型海外プロジェクトの実績多数。近年は脱炭素分野(SAF、CCS、アンモニア、水素、全固体電池材料プラント)への展開を加速しています。
・ 会社HP:
https://www.chiyodacorp.com/jp/
◎ 注目理由:
出光興産が進める全固体電池の固体電解質量産プラント建設のEPC業務を一手に担う、エンジニアリング側の本命銘柄です。2026年1月、千葉事業所における全固体電池の固体電解質大型パイロット装置のEPC業務を正式受注したと発表。さらに出光興産との戦略的パートナーシップを締結し、固体電解質の中長期量産化に向けて両社のノウハウを共有することになりました。年産数百トン規模の大型パイロット装置を2027年中に完工する計画です。
中間原料の硫化リチウムについても、コベルコE&Mと共同で2027年6月完工目標の大型製造装置のEPC業務を受注しており、原料から固体電解質まで全固体電池のサプライチェーン構築に深く関与しています。出光・トヨタ連合の2027〜2028年実用化スケジュールに合わせた重要パートナーであり、案件の追加受注ポテンシャルも大きいといえます。
業績面では大型LNGプロジェクトであるGPXの採算改善、NFEの工事進捗が寄与し、2026年3月期第3四半期決算は売上高3,881億円(前年同期比12.2%増)、営業利益776億円(同292.1%増)と大幅な増収増益で通期予想も上方修正。財務体質も自己資本比率が改善傾向にあり、エンジニアリング会社の安定収益と全固体電池関連の成長性をあわせ持つバランス型銘柄として注目です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1948年設立の老舗エンジニアリング会社。2024年12月に出光興産向け固体電解質大型パイロット装置の基本設計業務を受注、2025年に小型実証プラントの能力増強プロジェクトを完工、2026年1月にEPC業務を正式受注しています。
◎ リスク要因:
大型EPC案件の工程遅延・追加コスト発生、地政学リスクによるサプライチェーン混乱、機器資材費高騰の採算影響などには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6366
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6366.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.chiyodacorp.com/jp/news/
【全固体ナトリウムイオン電池で異端を狙うガラス専業】日本電気硝子(5214)
◎ 事業内容:
特殊ガラス専業メーカーで、ディスプレイ用ガラス(FPDガラス)、ガラスファイバ、建築用ガラス、医薬用ガラス、電子デバイス用ガラスなどを手掛けます。FPD用ガラス・自動車部品用ガラス繊維で世界シェア上位。中期経営計画では2026年12月期売上高4,000億円を目指しています。
・ 会社HP:
https://www.neg.co.jp/
◎ 注目理由:
全固体ナトリウムイオン二次電池の開発で異色の存在感を放つ関連銘柄です。リチウムを使わず、地球上に豊富に存在するナトリウムを用いる点が特徴で、リチウム資源の調達リスクから逃れられる戦略的優位性があります。同社の電池は主要部材(正極、負極、固体電解質)がすべて酸化物材料で構成され、独自技術であるガラスの軟化流動を用いた強固な一体化を実現。極めて良好なイオン伝導パスを形成しています。
宇宙(真空×低温)、海洋(高圧×低温)、医療(高温)など過酷な環境下、また高い安全性と電池設計自由度が求められる電子機器・モビリティ・定置用、エナジーハーベスティングシステム、はんだリフロー処理に対応する電子回路基板、100℃以上の超高温デバイスのワイヤレス化など、従来の電池では対応できなかった用途を開拓しています。発火や有毒ガス発生のリスクがなく、ガラス封着技術による高い気密性も強み。
主力のFPDガラス事業は中国メーカーとの競争で厳しい局面が続きますが、2026年3月期は売上高3,114億円、当期純利益296億円と前年比大幅増益となり、業績は回復基調。「全固体電池」というテーマ性に加え、特殊ガラス・ガラスセラミックスの世界的技術力という土台があり、中長期で見直されやすい関連銘柄といえます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1944年創業のガラス専業メーカー。2017年から全固体ナトリウムイオン電池の研究開発を本格化、酸化物系材料による全固体電池技術で複数の特許を出願。中期経営計画では2026年12月期に売上高4,000億円を目指す方針を掲げています。
◎ リスク要因:
FPDガラス市場の中国メーカーとの価格競争、自然災害による供給網リスク、全固体電池の量産化までの時間軸不透明感などがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5214
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5214.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.neg.co.jp/products/na-ion-secondary-battery/index.html
【フッ素化合物の世界的リーダー、電池添加剤で攻める】ステラケミファ(4109)
◎ 事業内容:
フッ素化合物の世界的メーカーで、半導体洗浄剤などに使われる超高純度フッ化水素酸(フッ酸)で国内シェア70%、世界シェア80%を誇ります。半導体・液晶向け超高純度薬品が主力で、リチウムイオン電池用添加剤、原子炉向け濃縮ホウ素化合物(BNCT医療応用も)、危険物輸送なども展開しています。
・ 会社HP:
https://www.stella-chemifa.co.jp/
◎ 注目理由:
リチウムイオン電池の電解質・電解液で使われる多彩なフッ素化合物添加剤で世界トップクラスの技術力を持ち、全固体電池時代でも引き続き重要な役割を果たすと期待されます。フッ素系添加剤は固体電解質と電極の界面安定化、リチウム塩の改良、電池性能向上などに不可欠で、特にLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)やLiTFSIといった新世代のフッ素系リチウム塩は全固体電池の界面材料としても研究が進んでいます。
世界シェア80%という超高純度フッ化水素酸の圧倒的な技術力をベースに、半導体材料事業の収益性は極めて高く、AI・半導体投資の拡大局面で恩恵を受けるテーマ銘柄でもあります。生成AI需要の急拡大で半導体製造装置メーカーの好業績が続くなか、その川上を支える同社の業績見通しは堅調です。
時価総額は中型クラスで、テーマ物色の動きが出やすい銘柄性を持ちます。半導体関連としての主力事業に加え、リチウムイオン電池用添加剤の強化、BNCTがん治療薬関連というユニークな成長領域、そして全固体電池というテーマ性が複数重なり合うのが投資妙味。一方で半導体市況の循環性に業績が左右されるため、長期保有時のボラティリティには留意したいところです。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1944年に化学メーカーとして設立。フッ素化合物の量産技術を磨き、半導体・液晶向け高純度薬品で世界トップシェアを獲得。リチウムイオン電池用添加剤の事業強化を継続的に進めています。
◎ リスク要因:
半導体市況の循環性、米中対立に伴う輸出規制リスク、フッ素化合物の環境規制強化などには留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/4109
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4109.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.stella-chemifa.co.jp/
【リチウム電池電解質LiPF6で世界シェア上位、新材料も開発中】関東電化工業(4047)
◎ 事業内容:
無機・有機フッ素化合物の総合メーカーで、半導体製造工程で使う特殊ガス(六フッ化タングステン、三塩化ホウ素など)、リチウムイオン電池電解質「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」、医薬農薬中間体、ゴム薬品などを手掛けます。NF3(三フッ化窒素)やWF6(六フッ化タングステン)でも世界トップクラスのシェアを保有。
・ 会社HP:
https://www.kantodenka.co.jp/
◎ 注目理由:
リチウムイオン電池の電解質として広く使われている「六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)」のメーカーとして1997年から生産を開始、世界トップクラスの品質と供給能力を備えてきた老舗です。LiPF6は液系リチウムイオン電池の電解質中で約40%を占める基幹材料で、現在のEV用電池の屋台骨を支えています。
全固体電池への移行期においても、ハイブリッド固体電解質、半固体電池、新世代リチウム塩開発など、フッ素化学の知見とリチウム塩の量産技術は引き続き重要な役割を果たします。同社はLiPF6に加え、新しい固体電解質材料や正極被覆材などの研究開発も進めており、全固体電池時代に向けた材料ラインナップの拡充を図っています。
特に注目したいのは、半導体向け特殊ガス事業の収益性。NF3・WF6・BCl3などのエッチングガスは生成AI向け先端半導体製造に不可欠で、TSMC・サムスン・キオクシアなど世界トップ半導体メーカーへの供給実績があります。半導体・電池の両エネルギー業界からの需要を取り込める、複合テーマ銘柄として個人投資家にも人気の存在です。時価総額は中小型クラスで、材料発生時の値動きも期待できる関連銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1938年設立の老舗化学メーカー。1997年からLiPF6の生産を開始、半導体特殊ガスでも世界トップクラスのシェアを獲得しています。電池材料部門では新世代リチウム塩・固体電解質の開発を継続し、半導体特殊ガス事業の能力増強投資も行っています。
◎ リスク要因:
半導体市況の循環性、電池材料の中国・韓国メーカーとの価格競争、フッ素化合物の環境規制リスクが挙げられます。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/4047
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4047.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.kantodenka.co.jp/product/battery/
【宇宙でも稼働した全固体電池、スズキへ事業承継で新章】カナデビア旧日立造船(7004)
◎ 事業内容:
旧社名は日立造船で、2024年10月にカナデビア株式会社に商号変更しました。ごみ焼却発電施設、海水淡水化プラント、舶用エンジン、洋上風力発電、メタネーション、水素製造装置、使用済み核燃料貯蔵キャスクなどを手掛ける環境・エネルギー機械プラントメーカーです。日経平均株価の構成銘柄の一つ。
・ 会社HP:
https://www.kanadevia.com/
◎ 注目理由:
2006年から全固体電池の開発を進めてきた老舗で、独自の乾式製法による全固体電池「AS-LiB」は、液漏れがない高い安全性、優れた耐環境性、広い温度域での動作を実現し、宇宙や高温・真空状態など特殊用途向けに強みを発揮してきました。2022年3月にはJAXAとの共同実証で、国際宇宙ステーション「きぼう」船外にて世界初となる宇宙曝露空間での充放電動作確認に成功、2024年にはJAXAから「宇宙飛行証明書」を受領するなど、技術的成果が積み上がっています。
注目すべきは2026年3月発表のスズキへの事業譲渡です。2026年7月1日に全固体電池事業(技術開発・設計・販売)をスズキへ譲渡することで合意。譲渡額は非開示ですが、カナデビア側は2026年7〜9月期に事業譲渡益約74億円を特別利益として計上する見込みです。これにより、カナデビアは全固体電池の量産投資負担から解放され、本業の環境プラント・水素・脱炭素事業に経営資源を集中できる体制になります。
スズキが買収後にどのように量産体制を構築するか、自動車向けの新展開が出てくるかが2026年下期以降の注目ポイント。カナデビア自体は事業譲渡益によって短期業績が押し上げられる材料があり、本業の環境プラント・水素関連の成長性も評価できる銘柄として位置付けられます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1881年に大阪鉄工所として創業、1943年に日立造船となりました。2002年に造船事業から撤退、2024年10月に環境企業への転換を象徴するカナデビアへ商号変更。2026年3月にスズキへの全固体電池事業譲渡を発表、同年7月1日に譲渡実行予定です。
◎ リスク要因:
全固体電池事業譲渡後の成長ストーリーの希薄化、ごみ焼却発電プロジェクトの工事採算変動、英国バイオガス事業など海外案件の地政学リスクなどがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/7004
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7004.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.kanadevia.com/newsroom/news/
【総合化学大手、電池材料の有力サプライヤー】三井化学(4183)
◎ 事業内容:
三井系の総合化学メーカーで、フェノール大手として知られます。事業はベーシック&グリーン・マテリアルズ、ICTソリューション、ライフ&ヘルスケア・ソリューション、モビリティソリューションの4セグメント。リチウムイオン電池部材、有機EL部材、バイオマスプラスチック、紙おむつ用不織布、CO2固定化技術など多角的に展開しています。
・ 会社HP:
https://jp.mitsuichemicals.com/
◎ 注目理由:
全固体電池関連でNEDOの「先進・革新蓄電池材料評価技術開発」に参画する有力素材メーカーで、固体電解質、電解質添加剤、バインダー、被覆材など多様な電池材料の開発を進めています。トヨタ・日産・ホンダ・パナソニック・GSユアサ・日立オートモティブ・マクセル・村田・ヤマハ発・旭化成・JSR・住友金属鉱山・大日本印刷・凸版印刷・東レ・日本触媒・富士フイルム・三菱ケミカル・クラレ・日産化学・出光・三井金属といったオールジャパンの開発体制の中核に位置するプレイヤーです。
時価総額は8,000億円超と中型大型クラス。化学大手としての安定収益基盤に加え、電池材料・モビリティソリューション事業は今後の成長領域として位置付けられています。京都大学と共同で固体型電池の実用化に向けた研究開発(材料と要素技術)を進めるなど、産学連携も積極的に推進しており、長期的な技術蓄積は他社追随を許さない水準にあります。
PER・PBRは割安水準にあり、配当利回りも3%台と魅力的な水準。マテリアル事業のリストラと高付加価値領域へのシフトで構造改革も進行中であり、全固体電池の本格量産期に入った際の素材ベンダーとしてのアップサイドが大きい銘柄です。EVバリューチェーンに広く浅く関わる「分散投資的全固体電池銘柄」として組み入れたい一社です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1955年に三井グループの化学事業として再編設立。フェノールでは世界トップクラスのシェアを保有。2020年代以降はモビリティソリューション部門の強化を進め、EV関連素材への投資を加速しています。
◎ リスク要因:
石油化学市況の変動、中国メーカーとの汎用品競争、構造改革の進捗遅延などには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/4183
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4183.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/
【積層チップ型全固体電池、MLCC技術応用で量産へ】太陽誘電(6976)
◎ 事業内容:
世界大手のセラミックコンデンサ(MLCC)メーカーで、村田製作所、TDKと並ぶ電子部品御三家の一角。コンデンサ、インダクタ、複合デバイス等の電子部品を製造販売しています。スマホ・自動車・情報インフラ・産業機器向けに幅広く展開、自動車・産業機器向けの売上比率を高めています。
・ 会社HP:
https://www.yuden.co.jp/jp/
◎ 注目理由:
積層セラミックコンデンサ(MLCC)で培った材料技術・プロセス技術を応用した、酸化物系積層チップ型全固体電池の開発で先行する電子部品メーカーです。独自開発の正極材・負極材を組み合わせ、容量密度50mAh/cm3超を実現。セパレーターを不要にする独自の酸化物系固体電解質セラミックスと積層プロセスにより、小型化と大容量化を両立しています。
直近では「CEATEC 2023」に出展し、長寿命化を実現した積層チップ型全固体電池の最新版を披露、2024年以降に一部顧客へのサンプル提供を開始する計画でした。MLCC量産で培った世界最先端の積層技術は、全固体電池の量産プロセスにそのまま応用できる強みがあり、量産化のハードルが極めて高いとされる積層型全固体電池でも先行できる可能性が大いにあります。
主力のMLCC事業では2026年3月期第3四半期決算で売上高2,661億円(前年同期比4.5%増)、営業利益165億円(同96.6%増)と大幅増益。自動車・情報インフラ・産業機器向け需要が業績を牽引し通期予想も上方修正しました。AI需要によるサーバ向けMLCCの増加も追い風です。本業の安定成長と、全固体電池という長期成長テーマの両方を取り込める「攻守両立型」の関連銘柄として注目されます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1950年創業、群馬県発祥のセラミックコンデンサ専業メーカー。2019年に全固体電池の開発を発表、2020年度サンプル出荷開始の計画を進めてきました。CEATEC等で開発進捗を継続的に公開しています。
◎ リスク要因:
MLCC市況の循環性、スマホ・PC需要の変動、全固体電池の量産化遅延、中国・韓国電子部品メーカーとの競合などのリスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6976
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6976.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.yuden.co.jp/jp/
【米Solid Powerに出資、配管メーカーから電池プレイヤーへ】三桜工業(6584)
◎ 事業内容:
エンジン関連部品や配管部品を主力とする独立系自動車部品メーカーです。自動車用ブレーキ配管、燃料配管、シートベルト関連製品、スパコンの冷却システム用配管などを製造しており、車輌配管メーカーとしては世界第2位のシェアを誇ります。EV向けバッテリー冷却用クーリングプレートも開発中。
・ 会社HP:
https://www.sanoh.com/
◎ 注目理由:
2018年9月に米国の全固体電池ベンチャー「Solid Power(ソリッドパワー)」へ出資し、全固体電池の開発に取り組んできた、配管メーカーから電池関連プレイヤーへの転身を狙う異色の関連銘柄です。Solid PowerはコロラドBoulder大発のスタートアップで、フォード、BMW、ヒュンダイ、サムスンなどに採用される有力なグローバル全固体電池ベンチャー。三桜工業は同社との関係を活用し、ロール・ツー・ロール製造可能な全固体電池の開発を進めています。
加えて、EV向け車載バッテリー冷却用クーリングプレートも自社で開発・量産しており、全固体電池が主流になっても液系バッテリーが併存する移行期において、温度管理機器の供給で恩恵を受けられるポジションです。エンジン関連部品が主力であるため「EVシフトの逆風銘柄」と見られがちですが、Solid Power出資・冷却プレート展開・配管技術活用といった複数の成長ストーリーを持つことで、EV化の波を逆手に取れる戦略的ポジションを構築しつつあります。
時価総額は中小型クラスで、株価は全固体電池関連のテーマ物色で大きく動く銘柄性を持ちます。トヨタが2027年実用化を発表した際にも急伸し、関連銘柄としての認知度は高い水準にあります。配管事業の安定収益と、全固体電池+EV関連のオプション価値が同居する、リスクリターンの異なる成長機会を持つ銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1939年創業、ブレーキ・燃料配管で実績を積み上げてきた老舗自動車部品メーカー。2018年9月にSolid Powerに出資、2019年に米社との全固体電池共同開発を発表しました。2024年にはEV向けバッテリー冷却用クーリングプレートを開発しています。
◎ リスク要因:
EV化加速によるエンジン関連配管事業の縮小、Solid Powerの量産・収益化の不確実性、自動車市況の変動などのリスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6584
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6584.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.sanoh.com/jp/
【KeraCelに出資、3Dプリント全固体電池で異色の挑戦】武蔵精密工業(7220)
◎ 事業内容:
四輪・二輪車用にデファレンシャル・トランスミッションギヤ・プラネタリィ・ボールジョイント・カムシャフトなどパワートレイン部品を製造販売する独立系自動車部品メーカーです。二輪車向けトランスミッションでは世界シェア約30%と業界トップクラスを誇ります。本田技研工業を主要取引先としており、グローバル展開も積極的。
・ 会社HP:
https://www.musashi.co.jp/
◎ 注目理由:
シリコンバレー発の3Dプリント技術ベース全固体電池ベンチャー「KeraCel(ケラセル)」に2019年8月に出資した、ユニークな関連銘柄です。KeraCelは独自の3Dプリント技術で全固体電池を製造する企業で、リチウムイオン電池の半分のコストで2倍のエネルギー密度を達成し、3Dプリンティングによってあらゆる形状・サイズの電池製造が可能という革新的技術を持っています。武蔵精密工業はこの出資により、KeraCelの技術市場展開において生産・供給に関する優先的な交渉権利を獲得しました。
二輪車市場における事業展開や、KeraCelの3Dプリント技術を活かした新たな二輪車用3Dプリント全固体電池などの商品開発、事業領域の開拓を目指しています。本田技研工業を主要取引先としていることから、ホンダの電動モビリティ戦略との連動シナジーが期待される点も特筆事項。鍛造から組み立てまで一貫生産体制をグローバルに展開する強みを活かし、エンジン部品から次世代モビリティ向け電動部品・バッテリーへと事業領域を広げる狙いです。
「人にはもっと人らしい仕事を」を理念に、AIを製造現場に実装するインダストリー4.0の取り組みも先進的。豊橋駅前のオープンイノベーション施設「MUSASHi Innovation Lab CLUE」を中心にベンチャー企業との提携を積極的に行っています。時価総額1,900億円程度の中型銘柄で、テーマ物色の対象としても十分な流動性を持ち、長期保有候補としても面白い銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1938年創業の歴史ある自動車部品メーカー。2018年にAI事業会社Musashi AIを設立、2019年8月にKeraCelに出資し3Dプリント全固体電池の市場展開へ向けた長期パートナーシップを構築しました。
◎ リスク要因:
EV化に伴うパワートレイン部品の構造変化、KeraCelの量産化遅延、ホンダ向け売上集中リスクなどには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/7220
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/7220.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.musashi.co.jp/
【電池材料焼成炉のパイオニア、製造装置の本命】中外炉工業 (1964)
◎ 事業内容:
工業炉のリーディングカンパニーで、鉄鋼メーカー向けプラント、自動車・機械部品の熱処理炉、工業用バーナに強みを持ち、塗布装置も扱います。脱炭素化技術の開発や、二次電池・半導体など今後の成長が期待できる分野への事業開拓を積極的に進め、海外展開も強化中です。電池・基板・触媒・磁性体熱処理炉の製造実績豊富。
・ 会社HP:
https://chugai.co.jp/
◎ 注目理由:
EV用リチウムイオン電池や全固体電池の電極材料(正極材・負極材)製造に不可欠な「焼成炉」の有力サプライヤーです。電池材料の質は「焼き加減」で大きく決まると言われるほど焼成プロセスの重要性は高く、温度管理を緻密に行える工業炉の技術力は、量産化の成否を握る要素となります。同社は2020年4月に「全固体リチウムイオン電池の主要材料である電解質の製造装置に参入する」と日刊工業新聞で報じられ、全固体電池向けの実験炉や量産設備にいち早く取り組む姿勢を見せてきました。
「EV普及=中外炉の機械が売れる」という図式に加え、半導体・有機EL・太陽電池製造装置といった成長分野への展開も進めており、複数のテーマを併せ持つ複合関連銘柄です。鉄鋼業界向け脱炭素設備(グリーンスチール)への需要も増加が見込まれ、日本製鉄やJFEスチールが進める高炉転換に伴う設備更新も追い風になります。
時価総額は中小型クラスで個人投資家のテーマ物色対象になりやすい銘柄性を持ちます。鉄鋼・自動車メーカーなど主要顧客企業から「頭の上がらない熱のプロ」と評価されるほどの技術力があり、参入障壁の高さも投資判断上の評価ポイントです。EV化の文脈で見落とされがちな「製造装置」の側面で、長期的な恩恵を享受できる関連銘柄といえます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1945年設立。工業炉のトップメーカーとして熱技術を核に、エネルギー、情報・通信、環境保全の3分野で工業炉・産業設備・環境設備・燃焼設備を展開。脱炭素化技術や二次電池分野での新規受注を積極的に取りに行く方針を継続しています。
◎ リスク要因:
鉄鋼業界の設備投資循環、自動車業界の電動化計画変更、海外プラント案件の地政学リスクなどには留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/1964
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/1964.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://chugai.co.jp/news/
【電池材料・銀粉のニッチトップ、循環型ビジネスモデル】DOWAホールディングス(5714)
◎ 事業内容:
非鉄金属大手で、環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理の5事業を組み合わせた独自の循環型ビジネスモデルを構築しています。電子材料事業では高純度金属材料、化合物半導体ウェハ、LED、導電材料、電池材料、磁性材料、還元鉄粉などを製造販売。世界中から廃棄物・リサイクル資源を集めるネットワークを保有しています。
・ 会社HP:
https://www.dowa.co.jp/
◎ 注目理由:
電池材料・電子材料・熱処理・リサイクルという、全固体電池産業のサプライチェーンに広く関わる多角的な事業ポートフォリオを持つ関連銘柄です。電池材料セグメントでは、リチウムイオン電池や全固体電池の電極材料、導電材料、磁性材料などを供給。また銀粉では世界トップクラスのメーカーで、太陽電池や電子部品向けに供給しています。
注目すべきは、使用済みリチウムイオン電池からの貴金属・レアメタル回収という「電池リサイクル」事業。貴金属銅事業では金、銀、銅、PGM(白金族)、亜鉛などの製錬を行っており、使用済み自動車排ガス浄化触媒の集荷・リサイクル能力で世界的な実績があります。EV化が進めば使用済み電池の回収・リサイクル需要が爆発的に増えるため、この領域での先行者利益は極めて大きい。「電池to電池」の水平リサイクルを実現する技術は、経済安全保障観点からも国家戦略的な重要性を持ちます。
2025年5月に2025〜2027年度を対象期間とする「中期計画2027」を公表しており、循環型ビジネスモデルの進化とサステナビリティ・マネジメント強化を基本方針としています。直近は銀粉販売の減少や新エネルギー関連製品の需要弱含みで業績は調整局面ですが、長期的な電池リサイクル需要の拡大トレンドを見据えた戦略的ポジションは極めて魅力的です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1884年に小坂銅山の経営として始まった同和鉱業を前身とし、2006年に持株会社化してDOWAホールディングスとなりました。電池リサイクル・電子材料・環境ビジネスの3軸で成長戦略を進めています。
◎ リスク要因:
非鉄金属市況の変動、銀価格上昇によるコスト圧迫、新エネルギー製品需要の弱含み、エネルギーコスト上昇などのリスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5714
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5714.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.dowa.co.jp/jp/
【東レと電池分析提携、全固体電池評価でも実績】カーリットHD(4275)
◎ 事業内容:
老舗の化学会社で、砕石・採掘向け産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、漂白剤の塩素酸ナトリウム、合成樹脂原料、機能性材料などを扱います。電解コンデンサの電解質や電気二重層キャパシタの電解液など電池材料も手掛け、リチウムイオン電池・全固体電池の評価試験事業も展開。シリコンウエハーやボトリング事業も保有しています。
・ 会社HP:
https://www.carlithd.co.jp/
◎ 注目理由:
東レリサーチセンターとリチウムイオン電池および全固体電池を含む車載用2次電池の受託試験・解析事業で業務提携した、電池評価分野の重要プレイヤーです。爆薬大手としての知見を活かした「電池の発火などの危険性を評価する試験事業」では一日の長を持ち、群馬県渋川市の赤城工場の複合試験施設は国内最大級。充放電を繰り返したり、圧力や振動を受けた電池にどんな現象が起きるかを試験する設備・知見を取り揃えています。
EV普及に伴い電池の安全性・性能評価需要は急増しており、自動車メーカー・電池メーカーからの受注が拡大基調。リチウムイオン電池の受託試験をワンストップで実施できる国内事業者は限られているため、競争優位性は高い水準にあります。同社が手掛けるセル単体からモジュールまでの幅広い電源試験対応力は、全固体電池の実用化フェーズで一段と価値を高めます。
加えて、京都大学と共同で固体型電池の実用化に向けた材料・要素技術の研究開発を進めており、評価事業に加えて素材開発の側面でも全固体電池に関わっています。電解コンデンサの電解質や電気二重層キャパシタの電解液製造販売も展開し、エネルギー貯蔵デバイス分野での総合的なプレゼンスを確立。時価総額は中小型クラスでテーマ物色対象になりやすい銘柄性を持ち、配当利回りや株主優待もあり個人投資家にとって持ちやすい関連銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1916年創業の老舗化学会社。2017年に東レリサーチセンターと車載用2次電池の受託試験・解析事業で業務提携、2018年からは全固体電池の研究開発にも注力。2020年に持株会社制に移行しカーリットホールディングスとなり、機能性材料・電池評価分野を強化しています。
◎ リスク要因:
産業用爆薬の公共事業需要変動、電池評価市場の競争激化、シリコンウエハー事業の半導体市況連動などには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/4275
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4275.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.carlithd.co.jp/
| 観点 | 本記事のポイント |
|---|---|
| 主要キーワード | EV巻き返しの主役 |
| 注目指標 1 | 2倍 |
| 注目指標 2 | 8,605億円 |
| 注目指標 3 | 20銘柄 |
| カバレッジ | テーマ動向・業績インパクト・需給 |
| 公開日 | 2026-05-04 (note同日転載) |


















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