米関税と中東と日銀、3大リスクが同時進行する2026年春──個人投資家が今チェックすべき経済カレンダー全まとめ

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本記事の要点
  • あの朝、私はスマホを裏返しにして布団に戻った
  • 今、私たちはどこで迷わされているのか──ノイズとシグナルの仕分け
  • 無視していいノイズ 3つ
  • 注視すべきシグナル 3つ

3つのリスクの「正体」を見切り、ノイズに振り回されない撤退基準を手に入れるための実践ガイド

あの朝、私はスマホを裏返しにして布団に戻った

2月28日の金曜日、朝6時に目覚ましより先にスマホが光りました。

「米・イスラエル、イラン攻撃開始」。

ニュース速報の文字を見て、最初に感じたのは恐怖ではありません。「また来たか」という、胃の底がじわっと冷える感覚です。ポジションを確認する気力すら出ず、私はスマホを裏返しにして布団に戻りました。結局15分後にはチャートを開いていたのですが。

あれから1ヶ月半。WTI原油は攻撃前の67ドルから一時120ドル近くまで急騰し、今は100ドル前後で揺れています。米国では最高裁がIEEPA関税を違法と判断し、関税体系そのものが組み替わっている最中です。そして日銀は4月27〜28日の決定会合で利上げに踏み切るかもしれないと、市場が身構えています。

関税、中東、日銀。この3つが同時に動いている。

正直に言います。私自身、今の相場環境は「分かりやすい」とは到底思えません。情報は溢れている。でも、どれを見ればいいのかが分からないまま、スマホをスクロールし続けて疲弊している方は多いのではないでしょうか。

この記事では、まず「今、無視していい情報」と「注視すべき情報」を仕分けます。次に3つのリスクの構造を整理し、シナリオごとの対応を考えます。そして最後に、私自身が使っている撤退基準と、過去の失敗から学んだルールをお渡しします。

今、私たちはどこで迷わされているのか──ノイズとシグナルの仕分け

ニュースが多すぎます。毎朝スマホを開くたびに中東の速報が飛び込み、X(旧Twitter)では「暴落」だの「押し目」だのと声が飛び交う。まずは、見なくていいものから片づけましょう。

無視していいノイズ 3つ

1つ目は、SNSの「専門家」による即席の相場観です。中東情勢が動くたびに「原油120ドルで日本崩壊」「停戦で全戻し」と極端な見通しが流れます。これらは恐怖と期待という二つの感情を交互に刺激して、あなたの判断力を消耗させるだけです。2024年にイランとイスラエルが直接衝突した時も、同じ種類の声が溢れました。結果としてWTI原油のピークは87ドルで、パニック売りした人だけが損をしたのです。

2つ目は、関税の「還付額○兆円」というニュースです。IEEPA関税の無効判決を受けて、還付総額が1,600〜1,750億ドル(24〜26兆円)に上るという報道が流れていますが、これは輸入企業の会計処理の話であって、あなたの投資判断を今日変える理由にはなりません。還付のプロセスは裁判所に委ねられており、結論が出るまでに数ヶ月から数年かかるとされています。今この数字を見て売買を変えるのは、ノイズに踊らされることと同じです。

3つ目は、日銀審議委員の「個人的見解」の過剰な読み込みです。田村委員や増委員の発言一つひとつに市場が反応しますが、利上げを決めるのは合議体です。個別の発言から結論を先読みしようとすると、外れた時に大きくバランスを崩します。

注視すべきシグナル 3つ

1つ目は、ホルムズ海峡の1日あたり通航船舶数です。4月8日の停戦合意後も、通航量はわずか3隻程度にとどまっています。平時は1日100隻を超えていました。この数字が30〜50隻に回復するかどうかが、原油価格の方向を決めます。リアルタイムの通航データはMarineTrafficやVesselFinderなどの船舶追跡サイトで確認でき、日経新聞も定期的に報じています。週に2回、月曜と木曜にチェックすれば十分です。

2つ目は、WTI原油先物の期先カーブの形状です。現在、直近限月(5月限)は高水準ですが、半年先、1年先の限月になるほど価格が下がる「バックワーデーション」の構造になっています。つまり、市場は「今は高いが、いずれ下がる」と見ているわけです。この構造が「コンタンゴ」、つまり期先のほうが高い形状に変わったら、市場が長期的な供給不安を本気で織り込み始めたサインです。これは原油のチャートではなく、先物の限月別価格表で確認します。Investing.comやCME Groupのサイトで見られます。

3つ目は、通商法122条の150日タイムリミットです。最高裁判決後にトランプ大統領が発動した全世界一律10%の代替関税は、通商法122条に基づいています。この法律には「150日間の期限」があります。2月24日発効なので、期限は7月下旬です。期限までに301条調査など恒久的な関税の法的根拠を整えられなければ、関税率はさらに変動します。このカレンダーを頭に入れておくだけで、ニュースの読み方が変わります。

3つのリスクは「独立」ではなく「連鎖」している

ここからが本題です。関税、中東、日銀を別々のニュースとして追っている限り、全体像は見えません。この3つは互いに影響し合っています。

関税──最高裁が壊した「トランプ関税」の法的基盤

事実を整理します。2026年2月20日、米連邦最高裁は6対3でIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税賦課を違法と判断しました。これにより、70ヶ国以上に適用されていた相互関税、中国・カナダ・メキシコ向けのフェンタニル関税がすべて無効になりました。日本に対しては昨年7月の日米合意で15%のIEEPA関税率が設定されていましたが、その法的根拠が消滅しています。

トランプ大統領は即座に通商法122条を根拠に全世界一律10%の代替関税を発動し、さらに15%への引き上げにも言及しました。ただし、通商法232条に基づく鉄鋼・アルミ・自動車関税、通商法301条に基づく対中関税は引き続き有効です。

私の解釈はこうです。法的基盤が壊れたことで、関税の不確実性はむしろ「増した」。最高裁判決そのものは中長期的に日本経済にプラスです。相互関税が恒久的に失効すれば、日本の実質GDPには0.375〜0.545%の押し上げ効果があるとの試算があります。しかし短期的には、トランプ政権がどの根拠法で、どの水準の関税を組み立て直すのかが見えない。この「見えなさ」こそが市場を揺さぶります。

この前提が崩れるケースは2つあります。1つは、トランプ政権が議会と協力して新たな関税法を成立させ、予見可能性が高まる場合。もう1つは逆に、各国との個別交渉が決裂し、232条や301条を使った高率関税が乱発される場合です。

中東──ホルムズ海峡という「生命線」が揺れている

2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始しました。イランの革命防衛隊は対抗措置としてホルムズ海峡の通航禁止を通告し、事実上の封鎖状態に入りました。WTI原油は3月9日に一時120ドル近くまで急騰しています。

4月8日に米・イラン間で2週間の停戦に合意し、原油は一時91ドル台まで急落しました。しかし同日、イスラエルがレバノンへの大規模攻撃を実施し、イランは再びホルムズ海峡の封鎖を宣言しています。4月11〜12日にはパキスタンで米・イランの初の戦闘終結協議が行われましたが、通航量は回復していません。足元のWTIは95〜100ドル近辺で推移しています。

日本にとって深刻なのは、原油輸入の約94%を中東に依存し、そのうち8割がホルムズ海峡を経由しているという構造です。政府は代替調達に動いており、4月には前年比2割以上、5月には過半の代替調達に目処がついたとしています。石油備蓄は約8ヶ月分あり、備蓄放出を抑えつつ年を越えて供給を確保できる見通しとされていますが、代替調達にはコスト増が伴います。

ここで私が見ているのは、原油価格そのものよりも、原油高が日本の物価と企業収益に与える二次的な影響です。攻撃前のWTI平均は64ドル。仮に90〜99ドルで推移すれば、原油高だけで日本の消費者物価を年間0.6〜0.8%程度押し上げる計算になります。ガソリン暫定税率廃止と電気ガス代支援を合わせても、ようやく相殺できるかどうかという水準です。

この前提が崩れるのは、停戦が恒久化してホルムズ海峡の通航が正常化し、WTIが67ドル近辺に戻る場合です。あるいは逆に、サウジのエネルギー施設損傷(生産能力が日量60万バレル減少との報道あり)が長期化し、WTIが120ドルを再び超える場合です。

日銀──「利上げするかどうか」より「利上げの意味」が変わった

日銀の政策金利は現在0.75%です。市場のエコノミスト51人を対象にした調査では、4割近くが4月27〜28日の会合での利上げを予想しており、7月までの利上げを88%が見込んでいます。利上げ幅は0.25%ポイントで、政策金利は1.0%になる見通しです。

しかし、中東情勢が通常の利上げ議論を複雑にしています。原油高はインフレ圧力を高めるため利上げの根拠になりますが、同時に景気を下押しするため利上げのハードルにもなる。ドル円は160円台が視野に入り、片山財務相が為替介入も辞さない姿勢を示しています。

日銀にとって動きやすいのは、財務省との連携で円安を阻止しつつ利上げに踏み切る形です。ただし、高市政権との関係も変数です。政権が利上げに理解を示さない場合、議決延期請求権が行使される可能性もゼロではありません。

正直、ここは私も見通しに自信がありません。日銀が4月に動くか7月まで待つかは、停戦協議の進展と原油価格のレンジ次第で変わり得ます。ただ、利上げの方向性そのものは変わっていないと読んでいます。ターミナルレートの予想は専門家の間で1.25〜1.75%に分かれていますが、いずれにしても「金利のある世界」への移行は進みます。

3つのシナリオと、それぞれで「やること」「やらないこと」

シナリオ1:停戦が定着し、関税は10%で安定する(基本シナリオ)

米・イランの停戦協議が進展し、ホルムズ海峡の通航が段階的に正常化する。WTIは80ドル前後まで低下。通商法122条の150日期限内に米国が各国と個別合意を進め、関税率の予見可能性が高まる。日銀は4月または7月に利上げし、政策金利は1.0%に。

やること:株式のウエイトを通常水準に戻していく。原油関連の過度なヘッジポジションがあれば縮小する。ドル円が155円を割り込む方向に動いた場合、輸出関連銘柄へのエクスポージャーを見直す。

やらないこと:「停戦したから全力買い」と一括でポジションを取りに行くこと。停戦の定着には時間がかかります。イスラエルのレバノン攻撃が示すように、合意後の不安定期が最も危険です。

チェックするもの:ホルムズ海峡の通航船舶数の週次推移、WTI原油の期先カーブの形状変化。

シナリオ2:停戦が崩れ、原油が再び100ドル超で定着する(逆風シナリオ)

パキスタンでの協議が決裂、またはイスラエルのレバノン攻撃がエスカレートし、イランが再度ホルムズ海峡を完全封鎖する。WTIは100〜120ドルで長期化。日本の企業業績に原油コスト増が本格的に反映され始め、日銀は利上げを先送りする。通商法122条の期限切れを前にトランプ政権が焦り、関税交渉が混乱する。

やること:現金比率を引き上げる。ポジションサイズを通常の半分以下に落とす。エネルギー関連のヘッジを検討する。内需ディフェンシブ銘柄への比重を高める。

やらないこと:原油高を材料にエネルギー株に飛びつくこと。すでに原油高は織り込まれています。高値掴みのリスクが高い局面です。また、「暴落チャンス」と見てナンピンを開始しないこと。逆風シナリオでは底が見えない期間が長くなります。

チェックするもの:サウジの石油施設の復旧状況、米・イラン協議のスケジュール、日本政府の石油備蓄放出量の推移。

シナリオ3:材料が多すぎて判断がつかない(様子見シナリオ)

停戦と破綻のニュースが交互に飛び交い、原油は80〜100ドルで乱高下する。関税も暫定措置が繰り返される。日銀は「状況を見極める」姿勢を続ける。つまり今の状態が2〜3ヶ月続く場合です。

正直に言うと、今はこのシナリオが最も蓋然性が高いと私は見ています。

やること:ポジションを軽くしたまま維持する。新規ポジションは取らないか、取るとしても3回以上に分割して、1回あたりの金額を通常の3分の1にする。日々のニュースに反応せず、週単位でシグナルをチェックする。

やらないこと:何もしないことに耐えられなくなって、根拠のない売買をすること。「何もしない」は立派なポジションです。ただし「何もしないと決めた」のと「怖くて動けない」のは違います。後者なら、まずポジションを半分にしてから考えてください。

チェックするもの:上記シナリオ1または2に移行するトリガー(通航量の回復、または2回目の停戦崩壊)。

「全部大丈夫」と思った2025年夏に、私は200万円溶かした

マーケットアナリスト

『米関税と中東と日銀、3大リスクが同時進行する2026年春──』の20銘柄リストは、どれも押さえておきたい監視対象ばかりです。テーマの背景と選定基準を確認しましょう。

少し長くなりますが、私の失敗談を書かせてください。今のテーマと直結する話です。

2025年の夏、トランプ政権は各国との個別交渉を進めていて、日本とも15%の関税率で合意しました。市場は安堵ムードでした。6月にイスラエルがイランの核施設を攻撃した時も、WTIは80ドル台にとどまり、「中東リスクは限定的」というコンセンサスが広がっていました。

私はその空気に乗りました。

日本株のインデックスに加えて、「関税リスクが後退した」と見て自動車関連銘柄に集中投資をしました。さらに原油が上がらないなら航空株も割安だと判断し、ポジションを追加しました。合計で通常の1.5倍のポジションサイズです。理由は一見合理的でした。関税は合意した、原油は安定している、日銀は慎重に動いている。三拍子揃っている、と。

問題は、3つのリスクが「それぞれ安定している」ことと、「3つ同時に安定し続ける」ことが全く別だという点を見落としていたことです。

9月にトランプ大統領が相互関税率の修正を発表し、自動車関連の先行きに不透明感が出ました。10月にはイスラエルとイランの応酬が再開し、原油がじわじわ上がり始めました。12月に日銀が利上げに踏み切ると、円高に振れた分だけ私のポジション全体が削られました。

1つひとつは「想定の範囲内」の変動でした。でも3つが重なった時のインパクトは、私の想定をはるかに超えていました。

結果、年明けまでに約200万円の含み損を抱え、1月にようやく損切りしました。12月中に切るべきだったと今でも思います。3日遅れたことで、損失は50万円以上膨らみました。

あの時の私に足りなかったのは、「複数のリスクが同時に悪化した時」のシナリオです。1つひとつのリスクを分析して「大丈夫」と結論づけることと、全体のポジションがそれに耐えられるかどうかは別の問いです。

今でも、あの1月のスマホの画面を思い出すと胃が重くなります。赤い数字が並んでいるのを見ながら、「分かっていたはずなのに」と思った。分かっていたのではなく、「分かったつもりになっていた」のです。

だから今の私は、こう決めています。3つ以上のマクロリスクが同時進行している局面では、どんなに個別のシナリオが合理的に見えても、ポジションサイズを通常の半分以下にする。これが、あの200万円の授業料から得たルールです。

逃げるのは負けじゃない──今この局面で私が使っている撤退基準

ここからは具体的な数字と運用の話です。

資金配分のレンジ

現在の私の現金比率は40〜50%です。通常は20〜30%なので、明らかに高めに設定しています。理由は上に書いた通り、3つのマクロリスクが同時進行しているからです。停戦が定着してホルムズ海峡の通航量が50隻/日を超え、かつ通商法122条に代わる恒久的な関税枠組みが見えてきたら、現金比率を30%まで戻していきます。

建て方

新規ポジションは4回に分割しています。間隔は1〜2週間。なぜ4回かというと、今の局面では「1回目で買った翌日に大きなニュースが出る」ことが日常的に起きるからです。一括で入ると、想定外のニュースで含み損を抱えた状態で次の判断を迫られます。分割しておけば、「1回目の結果を見てから2回目を判断する」余裕が生まれます。

撤退基準(3点セット)

ここが最も重要です。

価格基準:保有ポジションの含み損が投資金額の8%を超えたら、理由を問わず半分を切ります。10%を超えたら全切りです。「まだ戻るかもしれない」は、私が200万円溶かした時にも思っていた言葉です。

時間基準:新規ポジションを取ってから3週間経っても想定した方向に動かない場合、一度降ります。3週間の根拠は、今の相場環境ではそれ以上待つと次のニュースイベント(日銀会合、停戦協議、関税期限など)に巻き込まれるリスクが高まるからです。

前提基準:上で私が置いた前提を壊す材料が出たら撤退します。具体的には、ホルムズ海峡の通航量がさらに減少してゼロに近づく場合、通商法122条の期限前にトランプ政権が関税率を大幅に引き上げる場合、日銀が市場の想定を超える幅(0.5%以上)の利上げに踏み切る場合です。

投資リサーチャー

20銘柄全部を買うのではなく、上位5〜7銘柄に絞って資金配分するのが現実的なアプローチになります。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

あの失敗から生まれたルール

あの2025年夏〜冬の経験から、今の私はこう運用しています。

ポジションサイズの上限:マクロリスクが2つ以上同時進行している時は、通常のポジションサイズの50%を上限にする。3つ以上なら40%。これはどんなに個別銘柄の分析が良くても変えません。全体のリスクは個別の合理性とは別の次元で管理するものです。

「大丈夫」を疑う習慣:複数のリスクがすべて落ち着いているように見える局面こそ、最もポジションサイズの見直しが必要です。それは「安定」ではなく「嵐の前の凪」かもしれません。

損切りの遅延禁止:撤退基準に触れたら、その日のうちに執行する。「週末考えよう」「月曜の寄りで判断しよう」はやりません。あの3日間の遅れで50万円余計に失ったことを、私は忘れていません。

今のポジション、最悪のシナリオで耐えられますか?

ここで、あなた自身のことを考えてみてください。

あなたの今のポジションは、WTI原油が120ドルまで上昇し、日銀が0.25%利上げし、関税率が15%に引き上げられた場合、何%の損失になりますか?

その損失額を見て、「痛いけど退場はしない」と思えますか? それとも「これは生活に影響する」でしょうか?

答えられなかったとしても、それは恥ずかしいことではありません。むしろ、答えられなかったこと自体が重要な気づきです。今すぐ計算してみてください。

もう一つ。あなたが今ポジションを持っている理由を、30秒で説明できますか? 「なんとなく持っている」なら、それはポジションを減らすサインです。

スマホを開く前に確認する5つのこと

保存用のチェックリストです。毎朝、ニュースを見る前にこの5つを確認してください。

  • 今の含み損益は、設定した撤退基準の範囲内か?

  • ホルムズ海峡の通航状況に大きな変化はあったか?(週2回でよい)

  • WTI原油の期先カーブの構造は変化していないか?(バックワーデーション維持か、コンタンゴ転換か)

  • 通商法122条の残り日数は何日か?(7月下旬の期限を頭に入れておく)

  • 日銀の次回会合はいつか、それまでに自分のポジションを見直す必要はあるか?

この5つのうち、2つ以上に「Yes、変化あり」と答えた日は、新規の売買をしないでください。変化を消化してからでも遅くありません。

「でもそれって、プロじゃないと無理でしょ?」という反論について

この指摘はもっともです。WTI先物の限月別価格表やホルムズ海峡の通航データなんて、普段見ない方が大半でしょう。

ただ、こう考えてみてください。すべてを完璧に追う必要はありません。上のチェックリスト5つのうち、最も大事なのは一番上の「自分の撤退基準を確認する」です。これだけは誰でも、今日からできます。

市場の構造分析は、答えが分からなくても「今は分からないから動かない」と判断することに価値があります。分からないのに動くことが最大のリスクです。プロのトレーダーも、分からない時はポジションを軽くしています。

一方で、「長期インデックス積立だからマクロリスクは関係ない」という方には、少し違う角度からお伝えします。確かに20年の時間軸では、今回の中東リスクも関税混乱も一時的なノイズかもしれません。しかし、その前提が正しいのは「積立を止めない」場合だけです。暴落時に怖くなって積立を止め、回復してから再開する人は、長期のリターンを大きく毀損します。だから、長期投資家こそ「この下落で自分が積立を止めたくなるかどうか」を事前にシミュレーションしておくことが大事です。止めたくなるなら、積立額を減らしてでも継続できる水準に調整してください。

私のミスを防ぐルール

最後に、私自身が壁に貼っているルールを共有します。

  • マクロリスクが3つ以上同時進行している時は、ポジションサイズを通常の40%以下にする

  • 撤退基準に触れたら、その日のうちに半分以上を手仕舞う。翌日に延ばさない

  • 「大丈夫だと思う」と感じた時こそ、ポジションサイズを再確認する

  • SNSの相場観は見ない。見るのはデータだけ

  • 月に1回、「自分のポジションが全損したら生活はどうなるか」を紙に書く

明日の朝、まずこれだけ確認してください

この記事の要点は3つです。

1つ目。関税、中東、日銀の3つのリスクは独立ではなく連鎖している。1つだけ見ていても全体の危険度は測れません。

2つ目。今の局面で最も蓋然性が高いのは「判断がつかない状態がしばらく続く」シナリオ。焦って動くより、ポジションを軽くして待つほうが生存確率は高い。

3つ目。撤退基準は価格・時間・前提の3点セットで、事前に決めておく。決めたら守る。

明日スマホを開いたら、まずホルムズ海峡の通航量をチェックしてください。この1つの数字が、今の相場で最も早く変化を教えてくれるシグナルです。

やることが分かれば、不安は減ります。分からないことが残っていても、「分からないからこう構える」という手順があれば、少なくとも凍りつくことはない。凍りつかないこと、それが生き残る第一条件です。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


観点本記事での扱い
テーマ米関税と中東と日銀、3大リスクが同時進行する2026年春──
銘柄数20銘柄(厳選)
スクリーニング基準テーマ親和性・業績・時価総額のバランス
活用方法ウォッチリスト化→トリガー到来時に絞り込む
想定リスクテーマ剥落・需給変化による一時的な調整

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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