新NISA成長投資枠、中小型株に振るべきか?東証グロース”復活の胎動”を示す5つのデータ

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この記事のポイント
  • 成長投資枠の隅に残った「迷いの空白」
  • このニュースに反応したら、また同じ場所に戻る
  • 東証グロースが見せる5つのサインを、どう読んでいるか
  • 三つに分かれる道、どこに立っているかを先に決める

このまま大型株インデックスだけでいいのか。そう迷い始めた方に、東証グロースの地合いの読み方と、焦らずに判断するための撤退ラインまでを一緒に整理します。

成長投資枠の隅に残った「迷いの空白」

新NISAの成長投資枠に、全世界株か米国株のETFだけを入れてある。いったん決めたはずなのに、最近になって「本当にそれでいいのか」と気になり始めた。

そういう方が、今、静かに増えている気がします。

私もそうでした。インデックス中心で組んだはずのポートフォリオを眺めて、なぜか落ち着かない日が続きました。理屈ではなく、なんとなくの違和感です。

その違和感の正体は、たぶん、東証グロース市場がずっと沈んでいたことと関係があります。2年以上、鳴かず飛ばずの時期が続いて、多くの人がそもそも忘れかけていた場所です。そこに、「そろそろ底を打ったのでは」という声が、ぽつぽつ聞こえるようになってきた。

私自身、ここ数ヶ月、東証グロース250指数のチャートを開く頻度が増えました。そして、開くたびに「また触れたくなる気持ち」と「触れば痛い目に遭うかもしれない記憶」の間で揺れています。正直、ここは私も迷います。

この記事では、まず東証グロース市場で何が変わりつつあるのかを5つのデータで整理し、次にその変化に対して私がどう構えているかをお伝えし、最後に、中小型株に振るかどうか迷った時の判断軸と、踏み出した後の撤退ラインをお渡しします。

最初にひとつだけお断りを。中小型株の反転は、「来た」とはっきり分かる瞬間があるわけではありません。後から振り返って「あの頃だった」と気づく種類のものです。だからこの記事の目的は、「今が底だ」と言い切ることではなく、底かもしれない局面で、どう痛手を小さくして参加するかを考えることです。

マーケットアナリストマーケットアナリスト
東証グロース250指数の200日移動平均線が上向きに転じたかどうか、週1回のチェックで十分です。SNSの煽りに反応するより、この1本の線だけ見ていれば冷静でいられます。
目次

このニュースに反応したら、また同じ場所に戻る

まず、聞き流していいノイズから整理します。ここを切り分けておかないと、シグナルが見えなくなるからです。

ひとつ目のノイズは、SNSで流れてくる「◯◯は今が絶好の買い場」という類の投稿です。個別銘柄名つきで出てくるやつです。

これを見ると、焦ります。「乗り遅れる」という感覚が胸の奥で動きます。でも、よく考えてみると、本当に買い場だと思っている人は、わざわざ他人に教えたりしません。教える頃には、教えた本人は仕込み終わっていることが多い。私は過去、何度もこのパターンで高値を掴んでいます。

ふたつ目は、「グロース市場復活元年」といった証券会社やメディアの見出しです。

この手の見出しは、相場がある程度動いた後に出てきます。つまり、見出しが出るということは、もう初動は終わっているということです。見出しは反応する対象ではなく、むしろ「過熱の確認」として使うものだと、私は考えています。

三つ目は、個別の決算発表で急騰している銘柄のチャートです。

好決算で急騰している銘柄を見ると、「この流れに乗れば」という気持ちになります。しかし、決算日の翌日に飛び乗って成功した記憶より、失敗した記憶のほうが私には多い。短期の値動きと、中長期の地合いは、別の話として切り分けたほうが怪我をしません。

では、注視すべきシグナルは何か。私が見ているのは次の三つです。

一つ目は、東証グロース250指数の200日移動平均線の向きです。日足チャートを開いて、200日線が下向きから横ばい、そして上向きに変わっていくかを確認します。週に1回で十分です。向きが変わるのは、数日では起きません。

二つ目は、東証グロース市場全体の売買代金です。日本取引所グループ(JPX)のサイトで日次データが出ます。出来高ではなく代金です。これが閑散期の水準から一段切り上がっているかどうかを、5日平均で見ています。

三つ目は、小型株インデックスのETF、たとえば東証グロース市場250指数連動型ETFなどへの資金流入状況です。個人マネーが動き始めているかを、荒い指標ですが掴めます。

これら三つが揃った時に初めて、次の分析に進む価値が出ると、私は考えています。揃う前に動くと、ノイズに振り回されて終わります。

東証グロースが見せる5つのサインを、どう読んでいるか

ここからが本題です。私が今、東証グロースの地合いを見るときにチェックしている5つのデータを整理します。

一つ目は、グロース250指数の長期チャート形状です。事実として、この指数は2021年末から長い下降トレンドに入っていました。私が注目しているのは、この下降チャネルの上限を明確に超えてきているかどうかです。テクニカル的な話に聞こえるかもしれませんが、要は「長い下り坂が終わったかどうかを、傾きで判断する」という、それだけのことです。

二つ目は、東証グロース市場の売買代金の推移です。閑散相場の底では、売買代金が劇的に細ります。誰も見ていない、ということです。逆に、回復局面では売買代金が先に戻り始めることが多い。値動きよりも、出来高や代金のほうが正直だと、私は経験的に感じています。

三つ目は、IPO(新規株式公開)市場の温度です。IPOの初値が公開価格を上回るか、上場後しばらくの値持ちがいいか。これは市場全体のリスク許容度を映す鏡です。IPOが冷え込んでいる時は、新興企業にお金が回らない時期で、グロース市場全体の地合いも弱いことが多い。

四つ目は、中小型株と大型株のバリュエーション格差です。TOPIXやTOPIX Core30のPERと、グロース市場のPER・PBR・PSR(株価売上高倍率、つまり会社の売上に対して株価が何倍かを示す指標)を比べて、どれだけ乖離しているか。乖離が極端に開いている時は、中小型株が「割安すぎる状態」にある可能性がありますが、これは同時に「誰も欲しがらない状態」とも言えます。安さだけで飛び込むと、安いまま放置される時間に耐えられなくなります。

五つ目は、信用需給と海外投資家の動向です。信用倍率、空売り比率、そして週次で公表される投資部門別売買動向。これらを一つの塊として見て、「売りが出尽くしたか」「買い手が戻ってきているか」を判断材料にしています。

これが「事実」の部分です。次に、私の解釈をお話しします。

私はこの5つを見て、「復活の胎動」は確かに感じています。ただし、「反転の確定」ではないと見ています。胎動と確定は違います。胎動はまだ、崩れる余地を十分に残している状態です。

そしてもう一つ、私が置いている前提があります。それは、日銀の金利政策が大きく変わらないこと、つまり長期金利が急騰しないことです。中小型株、特に成長期待で買われるタイプの銘柄は、金利に対して敏感です。金利が上がると、将来のキャッシュフローの現在価値が目減りするためです。

もしこの前提が崩れたら、つまり長期金利が一段切り上がるような局面が来たら、私は中小型株への傾斜を一度引き下げます。5つのサインがどれだけ綺麗に揃っていても、です。前提は具体的に置いておきたいので、数字で言うと、10年国債利回りが1.5%を明確に超えて定着するような局面は要注意だと考えています。これは私の基準なので、読者の方はご自身のリスク許容度で引き直してください。

この解釈が正しいとしたら、読者はどう構えるべきか。答えはシンプルで、「少しずつ触れる」です。一括で飛び乗らない。分割して、時間をかけて入る。これ以上でもこれ以下でもありません。

チェック項目 確認指標 判断基準 確認頻度
グロース250指数の長期トレンド 200日移動平均線の傾き 下向き→横ばい→上向きへ転換 週1回
売買代金の回復度 5日平均売買代金 閑散期水準から一段切り上がり 週1回
IPO市場の温度 初値騰落率・上場後の値持ち 公開価格を安定的に上回る 月1回
バリュエーション格差 TOPIX vs グロースのPER/PBR 乖離が極端に拡大していないか 月1回
信用需給・海外勢動向 信用倍率・空売り比率・部門別売買 売り出尽くし+買い手の復帰 週1回
金利環境 10年国債利回り 1.5%を明確に超えたら警戒 週1回

三つに分かれる道、どこに立っているかを先に決める

相場は、こちらの願望の通りには動きません。だから、シナリオを分けて、それぞれに対する構え方を先に決めておきます。

ひとつ目、緩やかな回復シナリオです。

発生条件は、先ほど挙げた5つのサインが崩れず、長期金利も1.3%程度の水準で落ち着く場合。この時、グロース250指数は時間をかけて200日線の上で推移するようになります。

やることは、決めた配分で、決めたペースで分割買いを続けることです。焦って前倒しをしない。 やらないことは、「思ったより上がってきたから」と一度に残り資金を突っ込むこと。これが一番危ない。 チェックするのは、週次のグロース市場売買代金と、日銀の政策スタンスを示す発言です。

ふたつ目、逆風シナリオです。

発生条件は、長期金利が上放れて1.5%を明確に超える場合、もしくは米国の長期金利が急騰してリスク資産全般から資金が引く場合。あるいは、東証グロース250が直近の重要な安値を再び割り込む場合。

やることは、購入ペースを一時停止し、既存ポジションの撤退基準に照らし合わせることです。 やらないことは、ナンピン買い。「安くなったから買い増す」は、地合いが崩れている時には毒になります。私はこれで何度も失敗しています。 チェックするのは、日米の10年国債利回りと、グロース市場の信用買い残高です。買い残が急増している時の下落は、二段目の下げが来やすい傾向があります。

三つ目、様子見シナリオです。

発生条件は、5つのサインがバラバラで、方向感が出ない場合。売買代金は戻っているけれど指数は上がらない、あるいはその逆。こういう時は、市場参加者自身が迷っている証拠です。

やることは、基本的に「買い増さない」。すでに持っているポジションは維持します。 やらないことは、「つまらないから」と別のテーマに資金を動かすこと。迷っている時の乗り換えは、迷いを別の場所に引き継ぐだけで、解決になりません。 チェックするのは、時間です。1か月経っても方向感が出なければ、それ自体が「まだその時期ではない」というメッセージだと受け取ります。

自分が今、どのシナリオに立っているか。これを週に一度でいいので確認する癖をつけるだけで、取れる行動の精度は大きく変わります。

投資リサーチャー投資リサーチャー
2023年春の「反転もどき」は多くの個人投資家がハマった典型パターンです。一括投入ではなく6回分割、信用取引を混ぜない——この2つだけで損失は大幅に抑えられたはずです。

2023年の春、私が掴まされた「反転もどき」

ここで、恥ずかしい話を一つします。今でも思い出すと、胃の底が少し重くなる出来事です。

あれは2023年の春先、3月頃だったと記憶しています。東証グロース250指数が、それまでの長い下げからようやく底を打ったように見えた時期でした。SNSのタイムラインには「グロース反転」「中小型株の春」という言葉が並び始めて、普段は中小型株に触れない投資クラスタの人たちまでが、個別銘柄の名前をつぶやくようになっていました。

私もチャートを開いては、「これは来るんじゃないか」と思っていました。200日移動平均線にはまだ届いていなかったけれど、下降トレンドラインを上抜けたようにも見える。上に跳ねるグロース銘柄をいくつか持っていなかった自分が、だんだん間抜けに思えてきました。

4月の半ば、私は決めました。成長投資枠の一部を中小型株系のアクティブファンドに振り向け、さらに個別の小型株を三銘柄、現物で買いました。さらに、ここが一番恥ずかしい話なのですが、信用取引も一部使って、もう少し枚数を積み増しました。

買い注文のボタンを押す直前、指がわずかに震えた記憶があります。「これ、本当に大丈夫か」という声が頭のどこかで鳴っていました。でも、その声を、「乗り遅れたくない」という別の声が押し潰しました。後から考えると、押し潰した時点で負けていました。

その後、何が起きたか。

4月下旬までは、確かに少し上がりました。「やっぱり来てる」と思いました。けれど、5月の連休明けから、じりじりと押され始めました。急落するのではなく、上がった幅を毎日少しずつ削られていく感じです。急落ならまだ損切りの判断ができますが、じりじり型は決断を先送りさせます。

6月には、買値を明確に割り込みました。ここで切ればよかった。でも、私は「また戻るはず」と思って握りました。もっと正確に言えば、「切って、その後戻ったら悔しい」という感情を優先しました。これが決定的な間違いでした。

7月には、最初に買った水準から15%以上下で、私のポジションは固まっていました。信用取引で積み増した分は、金利と貸株料が毎日削っていきます。夏のどこかで耐えきれずに、全部を損切りしました。ファンドは戻すのに1年以上かかりましたが、信用で持っていた分は戻ってきませんでした。

何が間違いだったか、整理します。

まず、エントリーのタイミングそのものではありません。そこを責めても仕方ない。問題は、「反転の胎動」を「反転の確定」と誤読したことです。下降トレンドラインを上抜けただけで、上昇トレンドに乗ったと判断したのは、単純に私の読みの甘さでした。

次に、ポジションサイズです。迷いながら入ったのに、サイズは迷わず大きめにしました。迷いとサイズは反比例させるべきでした

そして、信用取引を混ぜたこと。レバレッジは、自信がある時だけ使うべきものです。焦りの時に使うと、時間が敵に変わります。金利と貸株料が、判断を先送りできない状況を作り出します。

今でも、あの時の自分が買い注文ボタンを押す直前のことを思い出すと、指先が少し冷たくなります。痛みは完全には消えていません。そしてたぶん、消えないほうが私には都合がいい。

だから私は今、中小型株への関わり方について、いくつかのルールを作っています。次のパートで、その内容をお伝えします。

逃げ道を先に作ってから、ようやく一歩を踏み出す

前の失敗から抽出したルールを、今、私が中小型株に向き合う時の実践戦略として使っています。抽象論ではなく、数字と幅で書きます。

まず、資金配分のレンジです。

成長投資枠の年間上限240万円のうち、中小型株系(アクティブファンド+個別の中小型株)に回す比率は、0〜20%を目安にしています。地合いが強いと判断できる時で、最大30%です。それ以上は、私にとっては分不相応だと考えています。

なぜこのレンジかというと、中小型株は、全体の相場が崩れた時に大型株以上に下げる性質があるからです。ポートフォリオの主役は、あくまで大型株のインデックスに置いておく。中小型株は、全体の収益を少し底上げしてくれる「脇役」としての配置です。主役を張らせると、下落局面で足元をすくわれます。

逆風シナリオの時は0〜10%寄り、緩やかな回復シナリオの時は10〜20%寄り、というように、さきほど整理したシナリオとリンクさせて動かします。

次に、建て方です。

中小型株に振ると決めた金額を、6回に分割します。頻度は2か月ごと、つまり1年かけて入れていきます。一括で入らない理由は、一つ目の買いが直後に逆行した時、心が折れて二度と買えなくなるからです。実際、2023年の失敗の時、私は半分を一括で入れました。あれがもっと分割されていたら、耐えられたかもしれない、とたまに思います。

2か月間隔にしているのは、短すぎると判断が浅くなり、長すぎるとタイミングの偏りが大きくなるという、自分なりのバランス地点です。この数字は私の好みなので、読者の方は、自分がチェックを入れやすい頻度に合わせて調整してください。

次に、ここが一番重要な撤退基準です。3つの軸で決めます。

価格基準。購入開始後、東証グロース250指数が、直近の重要な安値を3営業日連続で明確に割り込んだら、個別ポジションの半分を機械的に撤退します。半分です。全部切らないのは、判断が完全には確定していないからです。

時間基準。購入開始から3か月経っても、指数が200日移動平均線に戻らないなら、シナリオが崩れていると判断し、以降の買い増しを停止します。さらに3か月経っても戻らなければ、残りのポジションも撤退します。

前提基準。日銀が政策金利を予想外に引き上げる、長期金利が1.5%を明確に超えて定着する、といった前提の崩壊が起きたら、5つのサインがどう見えていようと、全面的に再評価します。前のパートで置いた前提と、明示的につなげておきます。

この3つを、ポジションを建てる前に、紙に書くかスマホのメモに残します。建ててから考えると、必ず甘くなります。甘くなって痛い目を見たのが、2023年の私です。

4つ目のルールは、初心者の方に向けた救命具です。これは誰にとっても有効なので、そのまま書きます。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

最後に、私の個人的なルールです。2023年の失敗を経て、今の私は、焦りを感じたら24時間あけてから注文する、と決めています。焦りは、判断を前倒しさせる力です。24時間あければ、少なくともその前倒しの力は弱まります。これで逃した機会はたくさんありますが、逃した機会の大半は、後から見ると入らなくてよかった機会でした。

スマホのスクショに残してほしい、中小型株エントリー前のチェックリスト

ここに、中小型株に資金を入れる前に、自分に確認してほしい項目をまとめます。全部にYesと答えられたら、小さいサイズから始めていい合図だと、私は思っています。

  1. 東証グロース250の200日移動平均線の向きを、自分の目で確認したか(Yes/No)

  2. 売買代金の5日平均が、閑散期の水準から切り上がっているか(Yes/No)

  3. 入れる金額が、成長投資枠全体の20%以内に収まっているか(Yes/No)

  4. 一括ではなく、少なくとも3回以上の分割で入る計画になっているか(Yes/No)

  5. 価格・時間・前提の3つの撤退基準を、紙かメモに書き出したか(Yes/No)

  6. 信用取引やレバレッジ商品を混ぜていないか(Yes/No)

  7. このポジションが最大限逆行した時の損失額を、具体的に計算したか(Yes/No)

  8. 入る理由を、他人の発信ではなく自分の言葉で説明できるか(Yes/No)

一つでもNoがあれば、そのNoが消えるまで、エントリーを待つ価値があります。待って逃す機会より、慌てて入って失う金額のほうが、ほぼ例外なく大きいです。

この3つの問いに、今すぐ答えられますか

答えが出なかったこと自体が、気づきになる質問を置いておきます。

一つ目。あなたが今、中小型株に振りたいと思っている本当の理由は、「5つのサインが揃ったから」ですか、それとも「最近周りが話題にしているから」ですか。正直に答えてみてください。

二つ目。今考えているポジションサイズで、最悪のシナリオ(たとえば購入価格から30%の下落)が起きた時、あなたは眠れますか。金額に直した時、それは受け入れられる損失ですか。

三つ目。あなたが考えている撤退基準は、感情が揺れていない今、紙に書けますか。書けないとしたら、それはまだルールになっていません。

この3つに即答できなかったら、入らない勇気のほうを先に持ってください。

「長期なら関係ないのでは」という指摘に、私はこう答えています

ここまで読んで、こう思う方がいるかもしれません。「新NISAは長期投資の制度なのだから、エントリータイミングなんて気にしなくていいのでは」と。

その指摘は、もっともです。私もその考え方の基本的な部分には賛成しています。20年以上保有するつもりの資金で、毎月積み立てていくタイプの投資なら、細かいタイミングは誤差の範囲に近くなります。

ただ、話が変わるケースがあります。

まず、成長投資枠で個別株や中小型株系のアクティブファンドを持つ場合。これはインデックス積立とは性質が違います。個別株は、20年間持ち続けるつもりでも、会社そのものが20年後に存続している保証はありません。中小型株のアクティブファンドも、指数ではなく運用会社の判断に依存します。「長期なら何でも大丈夫」は、インデックス全体が存続することを前提にした話で、個別株や特定セクターには同じ論理が通らない部分があります。

次に、心理の問題です。人間は、含み損が出ている資産を「長期だから」と自分に言い聞かせて持ち続けるのが、とても苦手です。頭では分かっていても、毎日目に入る含み損は判断を鈍らせます。結果として、最悪のタイミングで切ってしまうことが多い。私はこれを何度もやりました。

だから、長期前提であっても、入り口の設計は手を抜かないほうがいいと私は考えています。入り口をしっかり設計しておくことは、出口で冷静さを保つための下準備です。タイミング投資をしろ、という話ではありません。「長期だからといって雑に入ると、長期まで持てない」という話です。

この点は、読者の方の資金量、年齢、他の資産の状況で答えが変わります。20代で生活防衛資金が十分あり、2024年の新NISA開始から積み立てを続けている方と、50代でリタイア資金を動かす方とでは、同じ中小型株でも意味合いが変わります。ご自身の状況に合わせて、引き直してみてください。

同じ穴に落ちないための、私の短いルール

最後に、私が自分のために作った短いルールを置いておきます。どれも、過去の失敗から出てきたものです。

焦りを感じた時は、24時間あけてから注文する。 迷いがある時は、予定のポジションサイズを半分にする。 シナリオが崩れたと判断したら、ナンピンではなく撤退を選ぶ。 SNSで見た銘柄名は、その場でメモせず、1週間後にまだ覚えていたら調べる。 信用取引は、自信がある時だけ、かつ、余剰資金の一部だけ。

どれも当たり前に見えるかもしれません。でも、相場が動き出すと、この「当たり前」が一番最初に吹き飛びます。だから、行動のレベルまで落として、メモに残しています。

読者の方は、このルールをそのままコピーしないでください。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境は私とは違います。ご自身の失敗から、ご自身のルールを作ってください。私のルールは、あくまでひな形として参考にする程度にとどめてください。

明日、チャートを開く前に一度だけ立ち止まる

長くなったので、要点を3つに絞ります。

一つ、復活の胎動と反転の確定は違います。私が見ている5つのデータは、胎動を示しているかもしれませんが、確定ではありません。胎動の段階では、少しずつ、時間をかけて触れるのが基本です。

二つ、中小型株に振るなら、成長投資枠の20%までを上限に、6回以上の分割で入る。これが私の目安です。もっと攻めたい方は、それでも30%までに留めてください。主役は大型株インデックスです。

三つ、入る前に、価格・時間・前提の3つの撤退基準を書き出す。書けないなら、入るのを待つ。撤退基準は、建ててから決めると必ず甘くなります

明日スマホを開いたら、まず一つだけやってほしいことがあります。東証グロース250指数の日足チャートを開いて、200日移動平均線の向きを自分の目で確認してみてください。上向きか、横ばいか、まだ下向きか。それだけです。3分で終わります。その3分が、焦って飛び乗るのを止めてくれます。

相場で勝ち続けることは、私にはできません。でも、大怪我をしないで、次の機会まで生き残ることなら、たぶんできます。生き残ることを優先していれば、機会はまた来ます。今回の中小型株の地合いが本物であれ、偽物であれ、あなたが次の機会に立ち会えるように準備しておく。この記事が、その準備の一部になればと思います。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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