なぜ今”データは新しい石油”なのか、生成AI時代に資金が殺到する「情報資産銘柄」という新カテゴリ

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本記事の要点
  • 「データは新しい石油」という言葉に、私が一瞬で頷けない理由
  • このニュースに反応したら、私は注文ボタンを押せなくなる
  • 「情報資産銘柄」を、もう一段だけ分解してみる
  • 今、この相場を作っているのは誰なのか

テーマの波に乗りたい、でも天井で掴みたくない。その狭間で迷う人へ、私が二度の授業料を払ってたどり着いた判断手順をお渡しします。

マーケットアナリスト
「「データは新しい石油」という言葉に、私が一瞬で頷けない理由」というのが今回の最初の論点ですね。なぜ今”データは新しい石油”なのか、生成AI時代に資金が殺到する「情報資産銘柄」…を整理してみましょう。
目次

「データは新しい石油」という言葉に、私が一瞬で頷けない理由

「データは新しい石油である」

この言葉を最近、何度目にしたか分かりません。経済誌の見出し、運用会社のレポート、SNSのインフルエンサーの投稿。どこを開いても、似た文脈で語られています。

たぶん、あなたもうっすら気付いているはずです。

何かが動き始めている。生成AIが業務に入り込み、データを大量に持つ企業の価値が、これまでと違う物差しで測られ始めている。乗り遅れたくない。でも、乗り方が分からない。

正直に言います。私もそうでした。今もそうです。

「情報資産銘柄」という言葉を初めて見た時、胃の奥が少しざわつきました。期待ではなく、既視感です。同じような言葉で、私は過去に痛い目に遭ったことがあるからです。

ただ、感覚で片付けるのは違うとも思います。新しい構造変化を、過去の失敗の記憶だけで「ただのバブルだ」と決めつけるのも、それはそれで判断停止です。

だから、この記事では一度落ち着いて整理します。

まず、AIとデータをめぐるニュースの中で、何が無視していい雑音で、何が立ち止まって見るべき信号なのかを仕分けます。次に、「情報資産銘柄」と呼ばれるものの実体を分解します。そのうえで、ここから先のシナリオを3つに分け、最後に、私が二度の失敗の後で作った「テーマ株に入る時の手順」をお渡しします。

結論を先回りすれば、「データは新しい石油」は半分正しくて、半分は危険な比喩だと私は見ています。石油もまた、天井で買って20年塩漬けになった人が世界中にいる商品だからです。

長くなりますが、お付き合いください。

このニュースに反応したら、私は注文ボタンを押せなくなる

AI関連のニュースは、今、毎日のように流れてきます。すべてに反応していたら、判断軸はすぐに壊れます。

私が「これは無視していい」と決めているノイズが3つあります。

一つ目。「○○社が生成AIを業務導入」というプレスリリース系のニュース。

これは導入した側ではなく、出した側の事情で出ています。株主向けに「うちもやっています」というメッセージを送るためです。導入の規模感や成果は、半年から1年経たないと数字に出ません。読んだ瞬間に「乗り遅れた」と焦らせる効果はありますが、私はここで動かないようにしています。焦りは、一番損な感情です。

二つ目。「○○というAIモデルが既存モデルを超えた」というベンチマーク比較の話題。

ベンチマークの世界は数か月で順位が入れ替わります。半年前にトップだったモデルが、今は3番手という光景を、ここ数年で何度も見てきました。順位の変動そのものを材料にすると、ポジションがコロコロ変わって疲弊します。

三つ目。インフルエンサーが「今、これを買っている」と発信する個別銘柄情報。

その人が買った後で発信している可能性を、私はいつも疑います。誰かが情報を出す時、その人はすでにポジションを取り終えていることが多いからです。受け手の私がそこから動くのは、最も遅い動き方です。

逆に、私が立ち止まって見るシグナルも3つあります。

一つ目。米国の主要クラウド事業者、AWS・Azure・Google Cloudといったハイパースケーラーと呼ばれる企業の四半期決算で出てくる、AI関連の設備投資額、いわゆるCapexの推移です。

これは、AIインフラの上流から下流まで、どれだけの資金が流れ込み続けるかを示す血流です。Capexが伸びている間は、半導体・電力・冷却・データセンター不動産といった「AIの裏方」に資金が落ち続けます。逆にここが鈍化したら、関連銘柄の業績見通しが一斉に修正されます。決算が出るたびに、私はこの一行だけは必ず確認します。

二つ目。エヌビディアを含む主要半導体銘柄のガイダンス、つまり次四半期以降の業績見通しです。

個別株として買う買わないとは別の話です。ここは「AIへの資金供給がまだ続くか」を測る体温計として見ています。ガイダンスが連続で下方修正されたら、相場全体の前提が変わります。

三つ目。米国の長期金利、特に10年債利回りです。

これは情報資産銘柄に直接見える指標ではありません。でも、グロース株の評価は金利に強く影響されます。金利が落ち着いている時はテーマ株が買われやすく、金利が跳ねるとテーマ株から先に売られます。地味ですが、私はここを毎週末に1回だけ確認しています。

この3つのうち、どれかに大きな変化が出たら、私は一度立ち止まります。出ていなければ、日々のニュースには反応しません。

「情報資産銘柄」を、もう一段だけ分解してみる

「情報資産銘柄」という言葉は、まだ正式な分類ではありません。雑誌やレポートが便宜的に使っている呼び方です。

ただ、中身を分解すると、3つの層に分けられると私は見ています。

一段目は、データを大量に保有しているプラットフォーム企業です。検索、SNS、ECなど、長年にわたってユーザーの行動データを蓄積してきた巨大企業がここに入ります。生成AIの学習データとしても、AIサービスの提供基盤としても、これらは中核です。

二段目は、データを処理する基盤を握っている企業です。クラウド事業者、半導体メーカー、データセンター運営、電力供給。AIを動かすためのインフラ層です。最近、電力会社が「AI銘柄」として急騰したのは、この層が広がった結果です。

三段目は、特定領域のデータを独占的に持つ企業です。医療データ、地図データ、金融データ、産業データ。生成AIが業務に入り込むほど、汎用のデータより「使えるデータ」を持つ企業の価値が見直されます。

なぜ今、これらに資金が集まるのか。

理由は単純で、「AIが生む価値の取り分」が、AIモデルを作る側だけでは決まらないと、市場が気付き始めたからです。

少し噛み砕きます。

AIモデルを作る競争は、すでに数社の寡占に向かっています。モデル単体の価格は、競争の中で下がり続けています。一方で、そのAIを「何に使うか」「どのデータと組み合わせるか」で生まれる価値は、これから本格的に積み上がります。データを持つ側、インフラを握る側に、利益が滞留する構造です。

ここまでは、私もある程度納得して見ています。

ただし、私はここで一つ前提を置きます。

この構造変化が株価に反映され続けるためには、「AI関連の設備投資が今後3〜5年、減速せずに続くこと」が必要です。具体的には、ハイパースケーラー上位4社の年間Capex合計が、前年比でプラス成長を維持すること。これが大きく減速したら、私はこの見立てを一度白紙に戻します。

今のところ、その兆候は出ていません。でも、過去のテーマ相場を振り返ると、設備投資ブームは必ずどこかで踊り場に入りました。鉄道、自動車、インターネット、スマホ。例外はありません。

だから、構造が本物だからといって、株価が一本調子で上がる前提を私は置きません。

ここで一度、自分に問い直してみてください。

あなたが今、情報資産銘柄に乗ろうとしている時、その判断は「構造が良いから」ですか。それとも「上がっているから」ですか。

正直に答えにくい問いだと思います。私自身、この二つは区別しにくいと感じる時があります。ただ、後者だけで動いている自覚があるなら、サイズは小さくしておくべきだと、過去の私は学びました。

今、この相場を作っているのは誰なのか

少し視点を変えて、需給の話をします。

ここ1〜2年のAI関連相場を動かしてきたのは、主に二つの主体だと私は見ています。一つは、世界中の機関投資家による「AIに乗らないとベンチマークに負ける」という構造的な買い。もう一つは、個人投資家のテーマ投資資金です。

機関投資家の買いは、自発的というより半ば義務に近いものです。指数のなかでAI関連の比重が大きくなれば、それを持たないファンドは指数に勝てません。だから持たざるをえない。この需給は、相場が崩れない限り続きます。

問題は個人マネーの方です。

過去のテーマ相場では、機関の買いがある程度で頭打ちになった後、個人マネーがブームを延命させ、最後に個人マネーが逃げ遅れて急落、というパターンを何度か見てきました。SNSでテーマが語られる頻度が一気に増え、初心者向けの解説動画が伸び始めた頃が、だいたい後半戦です。

これは推測の域を出ません。データで厳密に示せる話ではないからです。ただ、感覚として「最近、AI銘柄の解説が増えた」と感じているなら、その感覚は私の感覚と一致します。

主役が機関から個人に移りつつあるなら、相場の値動きは荒くなります。上にも、下にも。サイズを抑える理由が、また一つ増えます。

ここから先、私が考えている3つの分かれ道

シナリオを3つに分けて整理します。どれが当たるかは分かりません。ただ、それぞれで自分が何をするか、何をしないかを先に決めておくと、相場が動いた時に迷いが減ります。

基本シナリオ — 上値は伸びるが、途中で1回は調整が入る

「AIインフラへの投資が今後1〜2年は続き、情報資産銘柄全体としては上値を伸ばすが、途中で15〜25%程度の調整が一度は入る」というものです。

このシナリオに入る条件は、ハイパースケーラー上位の四半期Capexが前年比プラスを維持し、米長期金利が大きく跳ねないことです。

ここで私がやることは、現金比率を一定保ったまま、調整局面で分割して買い増すことです。一括では入りません。

やらないことは、過去の高値を更新するたびにポジションを増やすこと。上昇途中での買い増しは、自分の平均取得単価をどんどん不利にします。

チェックするのは、決算ごとのCapexと、米長期金利の月次推移です。

逆風シナリオ — 設備投資が止まり、業績見通しが一斉に下がる

「ハイパースケーラーのCapexが連続で減速し、AI関連の業績見通しが一斉に下方修正される」展開です。

このシナリオに入る条件は、上位4社のうち2社以上が、Capex計画を据え置きまたは引き下げに転じることです。

ここで私がやることは、テーマに乗っている部分のポジションを段階的に半減させることです。一気に売らない理由は、一気に売って戻された時の後悔が大きいからです。

やらないことは、「もう少し戻したら売ろう」と思うこと。これは、過去の私が何度も失敗した思考パターンです。戻りを待っている間に、さらに下がります。

チェックするのは、Capexのガイダンスと、半導体大手の受注残データです。

様子見シナリオ — 動いているが、読み取れない

相場は動いているが、ファンダメンタルズの変化が読み取れない状態です。

このシナリオに入る条件は、決算もCapexも金利も、明確な方向感を出していない状態が4週間以上続くことです。

ここで私がやることは、ほぼ何もしません。現金比率を維持し、新規ポジションは増やしません。

やらないことは、「何もしないと不安だから」という理由で買い増すこと。これは私にとって最も危険な動機です。

チェックするのは、自分の心拍数です。比喩ではなく、判断したい衝動が湧いているかどうかを自覚することです。

2021年の春、私は同じ言葉で踊らされていた

ここからは少し恥ずかしい話です。

2021年の春、私は「データは新しい石油」という言葉を、今と同じくらい何度も目にしていました。あの頃は、コロナ後の在宅需要で、データを扱うソフトウェア企業、いわゆるSaaS銘柄が連日のように高値を更新していました。

私は完全に乗り遅れたと焦っていました。

2020年の3月、コロナショックの底で買えなかった自分への悔しさが、まだ消えていない時期でした。あの底で買えていたら、今頃は倍になっていたかもしれない。そう思うと、今動かないとまた同じ後悔をする気がしてなりませんでした。

その焦りの中で、私は「クラウドデータプラットフォーム」と呼ばれるカテゴリの銘柄群に、ある程度のサイズで一度に入りました。

判断材料はいくつかありました。著名な投資家がこのカテゴリを「次の十年の主役」と語っていたこと。経済誌が特集を組んでいたこと。チャートが綺麗に上がっていたこと。

でも今、冷静に振り返ると、私が本当に見ていたのはチャートだけでした。

買い注文のボタンに指を置いた時、頭の中では「これを逃したらまた後悔する」という声しか鳴っていませんでした。決算書はざっと見ました。でも、PSR、つまり株価売上高倍率が30倍を超えていることの意味を、私は深く考えていませんでした。売上の30年分が、株価に織り込まれているということです。それが何を意味するか、当時の私には肌感覚として理解できていませんでした。

買った直後、株価は少し上がりました。私は「やはり乗って正解だった」と思いました。SNSを開けば、同じ銘柄を持っている人たちが盛り上がっていました。自分の判断が支持されている気がして、心地よかったのを覚えています。

そして、年が明けた2022年の頭から、相場は崩れ始めました。

金利が上がり始めると、PSRが高い銘柄ほど厳しく売られました。私が買った銘柄群は、半年で半値、1年で4分の1まで落ちました。途中で、「ここまで下がったなら、もう底だろう」と思ってナンピン買いもしました。それも、さらに下に飲まれました。

最終的に、私は塩漬けと損切りの中間のような形で、ほとんどのポジションを処理しました。失った金額そのものより、自分が「焦りで動いた」という事実が、しばらく胸の奥に残りました。今でも、あの時の判断を思い出すと、胃が少し重くなります。

何が間違いだったか。

判断そのものというより、サイズと入り方が間違いでした。一度に大きく入ったこと。チャートしか見ていなかったこと。「乗り遅れた」という感情を、投資判断と取り違えていたこと。

そして、あの相場が天井に近づいていた合図を、私は完全に見落としていました。テーマがニュースの一面に出始めた時、SNSで初心者の参入が一気に増えた時、解説動画が伸び始めた時。今振り返ると、合図はいくつもありました。私はそれらを「人気の証拠」だと勘違いしていました。

この失敗があったから、今の私は「情報資産銘柄」という言葉に、一度立ち止まる癖がつきました。構造は本物かもしれません。でも、自分の入り方が間違っていれば、構造が本物でも自分は退場します。

あの失敗以降、私がテーマ株に入る時の手順

ここからは具体的な話をします。数字は私の運用規模に合わせたレンジです。あなたの資金量、年齢、リスク許容度はあなた自身のものなので、そのままコピーしないでください。考え方の枠だけ持ち帰ってもらえれば十分です。

資金配分 — 全体の10〜20%に収める

私はテーマ性の強いカテゴリ、情報資産銘柄もここに含めますが、これらへの投入比率を、全体の10〜20%に収めています。残りはインデックスや、もう少し守りの効くポジションに置いています。

なぜこの比率かというと、テーマ株は当たれば大きく伸びますが、外した時の下落幅も大きいからです。20%を超えて入ると、外した時のダメージが資産全体の体力を奪います。逆に10%を切ると、当たった時のリターンが資産全体に響きにくくなります。

相場環境による調整幅もあります。Capexが伸び、金利が落ち着いている時は20%寄り。Capexが鈍化したり金利が跳ねたりした時は、10%寄りに落としていきます。

建て方 — 3〜5回に分け、2〜6週間の間隔をあける

一度に全額入れません。3〜5回に分割し、間隔は2〜6週間あけます。

なぜこの分割にするか。一括で入ると、入った直後に下がった時、心が完全に折れます。次の判断ができなくなります。私は2021年にそれを経験しました。分割しておけば、下がった時に「予定通り次の分割を入れる」という選択肢が残ります。心の余白がポジション運用の余白になります。

撤退基準 — 入る前に、3つの基準を紙に書く

そして、ここが一番大事です。撤退基準を、入る前に決めます。

私は3つの基準で撤退を判断します。

価格基準。個別銘柄では「直近の重要な安値を明確に割り込んだら」を一つの目安にしています。「明確に」というのは、終値ベースで2〜3日連続して下回るような状態を指します。一瞬割り込んだだけで動かないようにしています。ETFで持っている場合は、200日移動平均線を割り込んで戻ってこなくなったら、半分降ろします。

時間基準。買ってから3か月経っても、自分が想定した方向に動かない場合、一度ポジションの半分を降ろします。動かないということは、自分の見立てか、サイズか、タイミングのどれかが間違っているサインだと私は受け取っています。

前提基準。先ほど置いた前提、つまり「ハイパースケーラー上位のCapexが前年比プラスを維持していること」が崩れたら、価格がどうであれ、ポジションを半減させます。価格は遅れて反応します。前提が崩れた時点で、価格の崩れはまだ来ていないことが多いです。だからこそ、ここで動きます。

この3つを、買う前に紙か、スマホのメモに書いておきます。買った後に決めようとすると、必ず甘くなります。痛みを感じている時に、自分に厳しい基準を設定できる人間はいません。少なくとも私はそうではありません。

迷ったら、半分にする

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

これは、私が後輩によく伝える言葉です。投資の世界には「半分」という選択肢があるのに、初心者ほど「全部持つか、全部売るか」の二択で考えてしまいます。迷っている時点で、自分の判断には自信がない。だったら、半分にして、残りの自信を救いに行く。これだけで救われる場面が、本当に多いです。

自分に当てはめる3つの質問

ここで、自分に当てはめてみる質問をお渡しします。

一つ目。あなたが今、情報資産銘柄に持っているポジションは、最悪のシナリオで何%の損失になりますか。具体的な数字で答えられますか。

二つ目。そのカテゴリの相場が半分になった時、あなたの生活に支障が出ますか。出るなら、サイズが大きすぎる可能性があります。

三つ目。あなたは、なぜそのポジションを持っていますか。「上がっているから」以外の理由を、3行で説明できますか。

答えに詰まったものがあれば、そこがあなたのポジションの弱点です。

入る前のチェックリスト(7項目)

一、入ろうとしているカテゴリの「構造的な根拠」を、自分の言葉で3行以内に書けるか

二、その根拠が崩れる条件を、具体的に1つ以上挙げられるか

三、ポジションサイズは、資産全体の20%以内に収まっているか

四、一度に全額ではなく、3回以上の分割で入る計画になっているか

五、価格・時間・前提の3つの撤退基準を、入る前に決めて書き残したか

六、買おうとしている理由が「乗り遅れた焦り」に支配されていないか

七、このポジションが半値になった時、自分は冷静でいられるか

この7つにすべてYesと言える状態でしか、私は新規ポジションを取りません。一つでもNoが残っているなら、サイズを半分にするか、入るのを2週間待ちます。

私のミスを防ぐ、3つの行動ルール

一、テーマがニュースの一面に出始めたら、新規ポジションは取らない

二、買い増したい衝動が湧いた時は、必ず24時間置いてから判断する

三、損切りを決めた価格に来たら、迷わず実行する。「もう少し戻すかも」を信じない

抽象的な心構えではなく、行動レベルのルールにしています。心構えはどうとでも解釈できますが、行動ルールは破ったかどうかが自分にはっきり分かります。

「でも今回は本当に違うのでは?」と思った方へ

ここまで読んで、こう思った方がいるはずです。

「でも、今回のAI革命は本当に大きい。過去のテーマ相場とは規模が違う。だから慎重になりすぎるのも違うのではないか」

その指摘はもっともです。私もこの可能性は否定しません。

実際、生成AIが業務に入り込む速度は、過去のどの新技術より速いと私も感じています。クラウドが企業に浸透するのに10年かかったとすれば、生成AIは3〜5年で同じ深さに達するかもしれません。構造変化が本物である可能性は、十分にあります。

ただ、ここで区別したいことがあります。

「構造が本物であること」と、「今の株価水準が妥当であること」は、別の話だということです。

インターネットは本物の革命でした。それでも、2000年の天井で買ったインターネット銘柄の多くは、本来の価値に追いつくまで10年以上かかりました。スマホも本物の革命でした。それでも、初期に高値で買われた関連銘柄の中には、その後一度大きく沈んで戻ってこなかったものもあります。

構造が本物だからといって、今の株価が天井ではないことを保証してはくれません。

だから、私の答えは条件分岐になります。

あなたが10年以上の保有を前提にしていて、その間の50%級の下落にも耐えられる胆力と資金力があるなら、今のままサイズを大きく取り続けても、最終的には報われる確率は高いと私は見ています。

ですが、5年以内のリターンを見込んでいて、途中の30%下落で動揺してしまうタイプなら、今のサイズは見直した方がいいです。途中で降ろすことになるなら、最初から小さく入っておいた方が、最終的なリターンは高くなります。

「今回は違う」が正しいかどうかではなく、「あなたの保有期間と耐性に、今のサイズが見合っているか」を問うべきです。

明日の朝、スマホを開いたら最初に見る一つだけのもの

長くなりました。最後に、要点を3つだけ整理させてください。

一つ目。「情報資産銘柄」の構造的な追い風は、おそらく本物です。ただし、構造が本物だからといって、今の株価水準が天井でない保証はありません。構造と価格は分けて考える必要があります。

二つ目。テーマ株で生き残るための鍵は、入る前にサイズと撤退基準を決めることです。入った後では、必ず甘くなります。

三つ目。「乗り遅れた焦り」が判断の主導権を握った瞬間、その投資は失敗の方に振れます。焦りを感じたら、サイズを半分にするか、24時間待ってください。

明日の朝、スマホを開いたら、最初に見てほしいものが一つあります。

直近のハイパースケーラー上位4社の四半期Capex合計が、前年同期比でプラスかマイナスか。それだけです。

プラスなら、今の前提は維持されています。マイナス、もしくは横ばいに転じたなら、私が置いた前提は崩れ始めています。あなたの中の前提も、一度見直すタイミングです。

たった一つの数字ですが、これを毎四半期確認しているだけで、テーマ相場の温度感は手のひらに乗ります。

「データは新しい石油」かもしれません。ただ、石油もまた、価格のサイクルがある商品でした。次の十年で、データを扱う企業の価値が積み上がっていく可能性は十分にあります。それでも、その途中で2〜3回は、相応の調整があるはずです。

その時に退場せず、生き残ること。これが、私が二度の授業料を払って、ようやくたどり着いた答えです。

派手に勝つことではなく、静かに残ること。今の私は、それで十分だと思っています。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


投資リサーチャー
そして最終的には「明日の朝、スマホを開いたら最初に見る一つだけのもの」へとつながります。あの失敗以降、私がテーマ株に入る時の手順のパートも見落とせないポイントです。
No.記事内セクション関連データ/補足
1「データは新しい石油」という言葉に、私が一瞬で頷けない理由4社
2このニュースに反応したら、私は注文ボタンを押せなくなる25%
3「情報資産銘柄」を、もう一段だけ分解してみる2社
4今、この相場を作っているのは誰なのか20%
5ここから先、私が考えている3つの分かれ道10%
「なぜ今”データは新しい石油”なのか、生成AI時代に資金が殺到…」の構成と関連データ

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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