電力ひっ迫・水不足・農作物高騰…酷暑が日本経済に与える衝撃と投資家の処方箋

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この記事のポイント
  • 酷暑は買い材料だ、と聞いた瞬間にすべきこと
  • 暑さに便乗するニュースと、本当に見るべき数字
  • 今年の夏、私が注視している三つの前提
目次


酷暑テーマに飛びつく前に、何を見て、何を捨てるかを一緒に整理します。

酷暑は買い材料だ、と聞いた瞬間にすべきこと

酷暑は投資チャンスだと言われます。でも本当に怖いのは、そう言われた時点なのかもしれません。

私も毎年6月頃になると、同じ話を耳にします。今年は猛暑になる、電力が足りなくなる、エアコンが売れる、農作物が高騰する、だからこれを買え、と。

正直に言うと、私はこの手の話を聞くたびに、少しだけ胃が重くなります。

なぜなら、自分自身が似たような話に乗って、何度か痛い目を見てきたからです。しかもそれは、相場を始めて何年か経ってからの話でした。初心者の頃より、少し慣れてきた頃の方が危ない、というのが私の実感です。

気温が上がる、経済に影響が出る、関連銘柄が動く。この流れ自体は、半分くらいは当たります。問題は、残りの半分の方です。

気温が上がったのに株価は反応しない。逆に冷夏で空振りする。上がったのは一瞬で、気づいた時には天井を過ぎていた。こういうことが普通に起きます。

この記事では、まず酷暑をめぐる情報の中で「無視していいノイズ」と「本当に見るべきシグナル」を仕分けます。次に、私が今年の夏に置いている前提と、それが崩れた時のシナリオを整理します。最後に、テーマ株で私が過去に払った授業料と、そこから作ったルールをお渡しします。

煽るつもりはありません。ただ、情報の波に押し流されそうな時に、一度立ち止まるための杭を一本打つ。そういう記事だと思って読んでいただければ嬉しいです。

暑さに便乗するニュースと、本当に見るべき数字

酷暑というテーマは、メディアとの相性がとても良いです。映像映えするし、誰もが「暑い」という実感を共有できます。だからこそ、ノイズも増えます。

私が無視しているノイズを、まず三つ挙げます。

一つ目は、「今年は観測史上最も暑くなる可能性」という見出しです。この手の記事が誘発する感情は、乗り遅れる恐怖です。ですが、気象庁の長期予報は確率で出されるもので、「平年より高い」の確率が60%でも、「平年より低い」の確率が20%は残ります。過去にも、夏前の猛暑予想が外れて冷夏寄りになった年はあります。見出しだけで動くのは、統計ではなく空気に賭けていることになります。

二つ目は、「エアコン出荷台数が前年比◯◯%増」という単発ニュースです。ここで誘発されるのは、今買わないと遅れる、という焦りです。ですが、こうした数字は、大抵すでに株価に織り込まれています。私たちが記事を見る頃には、機関投資家はとっくに動いた後です。遅れて乗る投資家のために、その情報は流れている、と言っても言い過ぎではありません。

三つ目は、SNSで流れる「◯◯銘柄が酷暑で爆上げ」という投稿です。誘発されるのは、取り逃し恐怖です。この種の投稿は、上がった後に出てきます。上がる前に投稿する人はほとんどいません。私は過去に、SNSで話題になった翌日に買って、そこが天井だった経験を何度もしています。恥ずかしい話ですが、本当です。

では、何を見るのか。私が注視しているシグナルは三つあります。

一つ目は、電力需給の予備率です。つまり、電力供給がどれだけ余裕を持っているかを示す数字のことです。経済産業省や電力広域的運営推進機関(OCCTO)のサイトで確認できます。予備率が3%を下回ると、需給ひっ迫警報の目安になります。この数字が下がってくると、電力会社や省エネ関連の動きに実需が伴い始めます。確認頻度は、真夏であれば週1回で十分だと私は考えています。

二つ目は、主要ダムの貯水率と、利根川水系など生活・農業に直結する水系の流量です。国土交通省の水文水質データベースで見られます。貯水率が例年を大きく下回ると、農業用水の制限、水道事業への影響、さらには工業用水の制限まで視野に入ります。これは半導体工場の稼働にも関わってきます。

三つ目は、シカゴ商品取引所の穀物先物、特にコーンと小麦の価格です。海外の気象異常は日本の輸入物価に跳ね返ります。国内の酷暑と海外の気候が重なると、食品メーカーのコスト構造が変わります。これは食品株の決算で遅れて効いてきます。

これら三つは、メディアが注目し始める前に動くことが多い数字です。派手ではありませんが、派手になる前のサインとして機能します。

今年の夏、私が注視している三つの前提

ここからは、一次情報と私の解釈、そして読者の行動、の三段に分けて整理します。

まず事実から。気象庁が出している暖候期予報では、この数年、夏の平均気温が平年より高い予想が続いています。実際に2023年、2024年と記録的な暑さが続きました。一方で、2024年の夏は電力需給こそ乗り切ったものの、一部の地域では水不足が深刻化しました。農作物では、米の作況に影響が出た地域もあります。

次に、私の解釈です。私は今年の夏について、次の三つの前提を置いています。

第一に、気温は平年より高い可能性が高い、ただし「可能性」であって確定ではない、と見ています。気象庁の6月時点の3か月予報で、「平年より高い」確率が40%以上出ているかどうかを、私は判断材料の一つにしています。この確率が崩れたら、私の見立ても変わります。

第二に、電力需給はひっ迫しやすいが、計画停電に至る確率は低い、と見ています。根拠は、近年の電力会社の供給体制強化と、需要側のデマンドレスポンス、つまり需要を抑える仕組みが整いつつあるからです。ただし、大型火力の計画外停止が重なれば話は別です。この前提が崩れる条件は、特定地域の予備率が5%を下回る状態が数日続くこと。ここまで来たら、私は電力関連と省エネ関連の見方を一段強めます。

第三に、農作物高騰は一部品目で起きるが、全面的な食料インフレには至らない、と見ています。米、野菜の一部、畜産飼料の原料、この辺りはリスクがあります。ただ、日本の食料物価は複雑な流通と在庫調整を経るので、先物価格の上昇がそのまま即反映はされません。これは数か月遅れで効いてきます。

読者の行動として、この解釈が正しいなら、どう構えるか。

一つ、テーマ株を買うなら、気温の実数値や予備率の数字と連動させて、事実ベースで判断する。ニュースの見出しで動かない。

二つ、食品関連の保有銘柄は、決算発表で「遅れて効く」前提で見る。四半期決算で急にコストが膨らんで減益、という場面を想定しておく。

三つ、どの前提も「崩れた時」を想定しておく。冷夏に振れた時、水不足が回避された時、穀物先物が反落した時。その時に自分がどう動くかを、先に決めておく。

繰り返しますが、これは私の見立てです。前提が変われば私は判断を変えます。読者の方も、自分の前提を一度書き出してみてください。書き出した瞬間に、どこが曖昧かが見えてきます。

分かれ道に立った時、私はこう動く

シナリオを三つに分けます。表にはしません。自分の状況に重ねてみてください。

投資リサーチャー投資リサーチャー
この記事のテーマは今の相場環境で特に注目度が高いですね。見出しを見るだけでもなど実践的な切り口が並んでいます。投資判断の材料として非常に有用な分析です。

基本シナリオ:平年より暑い夏、部分的な需給ひっ迫

発生条件は、7月から8月にかけて平均気温が平年より1℃以上高く、電力予備率が一時的に5%を下回る場面が出ることです。気象庁の速報値と、OCCTOの日次データで確認できます。

この場面でやることは、すでに保有している関連銘柄の利益確定を段階的に進めることです。半分利確して、残りを走らせる、というイメージです。新規で飛び乗るのは、私はしません。なぜかというと、この時点ではニュースが過熱しているからです。

やらないことは、話題になっている銘柄への追加投資です。特に、上昇が3日続いた後の追撃買いは、自分の中で禁止にしています。チェックするものは、テーマ関連ワードがニュース1面や経済番組の冒頭から消えるタイミング。消えたら、テーマとしての賞味期限は終わりです。

逆風シナリオ:予想外の冷夏、または平年並み

発生条件は、7月に入っても平均気温が平年を下回る日が続き、気象庁が短期予報で「平年並み」「低温」を出す頻度が増えることです。

やることは、テーマ株の建玉を軽くすることです。利益が乗っていれば利確、含み損なら事前に決めた撤退価格で切ります。「戻ってきたら売ろう」は禁じ手にしています。戻ってこないことが多いからです。

やらないことは、ナンピン買い、つまり下がった所で買い増すことです。テーマが崩れた時のナンピンは、テーマが復活しないと報われません。そしてテーマは、一度崩れると同じ夏のうちに復活しないことがほとんどです。

チェックするものは、冷夏に振れた時に逆に追い風を受ける業種です。ビール以外の飲料、外食の一部、これらは冷夏で戻りが入ることがあります。ヘッジの視点で押さえておきます。

様子見シナリオ:判断がつかない時

発生条件は、気温の推移がまだら模様で、電力需給も大きくひっ迫せず、しかし安心もできない状態が続くこと。これが実は一番多いパターンです。

やることは、現金比率を通常より一段上げること、そして新規ポジションを取らないことです。判断できない時に動くと、大抵は動いた方が裏目に出ます。これは私自身の苦い経験です。

やらないことは、「何もしていないと置いていかれる」という焦りに動かされることです。何もしない、は立派な行動の一つです。

チェックするものは、気象庁の週間予報と、電力需給見通しの更新。週1回の確認で十分です。毎日見るとノイズに引きずられます。

2018年、エアコン関連株で私が授業料を払った夏

ここからは私の失敗談です。少し長くなります。

あれは2018年の夏でした。記録的な猛暑と呼ばれた年です。西日本豪雨が明けた後、連日35℃を超える日が続きました。熊谷で41.1℃を記録したのも、この年だったと思います。

私は当時、投資を始めて数年が経っていました。初心者ではないけれど、ベテランでもない。一番自信過剰になりやすい時期です。自分では中級者のつもりでしたが、今振り返ると、知識だけが先行して経験が足りていませんでした。

6月の下旬、テレビで「記録的猛暑の予感」という特集を見ました。続いて翌日、経済紙の一面で「エアコン出荷台数が過去最高ペース」という記事を見つけました。7月に入ると、連日の猛暑日報道。SNSを開けば、「エアコン関連株がアツい」という投稿が増えていました。

ここで、私は判断を誤ります。

ある関連銘柄のチャートを開いて、3か月で株価が3割以上上がっていることを確認しました。正直、乗り遅れていると感じました。「まだ夏は始まったばかりだ」「この夏はもっと上がる」、そう自分に言い聞かせました。

買い注文のボタンに指を置いた時、頭の中では「一部だけ、様子見の買いだ」と言い訳していました。ですが実際には、総資金の2割近くを、その一銘柄に投じていました。分割もしませんでした。一括で、成行で、買いました。

翌週、株価は少し上がりました。心の中で小さくガッツポーズをしたのを覚えています。その週末、友人にこの銘柄のことを少しだけ話しました。今思い出しても恥ずかしいのですが、少し得意げでした。

その後、何が起きたか。

買った週から2週間後、株価は天井をつけました。私はそれが天井だと気づいていませんでした。気づいたのは、1割以上下がった後です。「これは単なる調整だ、また上がる」と思い込みました。

8月の後半、盆明けに株価はさらに下がりました。理由は色々ありましたが、一言で言えば「テーマの賞味期限が切れた」のです。エアコン関連の決算が出揃う頃には、材料はすでに織り込み済みでした。そして9月、季節は変わり、ニュースの話題は次のテーマに移っていきました。

私は結局、高値から2割以上下がった水準で、損切りしました。金額で言うと、決して小さくない授業料でした。何より悔しかったのは、損失の額そのものよりも、「自分はまた同じことをやってしまった」という自己嫌悪です。

何が間違いだったのか、後になって整理しました。

判断そのものが間違っていたわけではありません。エアコン関連が強いテーマであったこと自体は、事実でした。間違っていたのは、エントリーのタイミングと、ポジションサイズと、撤退基準の不在です。

タイミングは、ニュースとSNSで話題になり、チャートが既に大きく上がった後でした。これは「気づいた時点で遅い」パターンです。ポジションサイズは、一銘柄に2割。今の私なら、テーマ株には絶対にここまで張りません。そして何より、撤退基準を決めていませんでした。いくらまで下がったら切るか、いつまでに想定通り動かなければ切るか、何も決めていませんでした。

今でも、この時のことを思い出すと、胃の奥がざらつく感覚があります。痛みは完全には消えていません。ただ、この痛みがあったからこそ、今の私のルールが出来上がりました。だから私は今、酷暑というキーワードを聞くと、真っ先にあの夏のことを思い出します。思い出して、少し冷静になります。

あの時の自分に伝えられるなら、こう言います。「テーマが見出しになった時点で、お前は最後の買い手だ」。厳しいですが、これが現実です。

酷暑を稼ぎに変える前に、身を守るための設計

2018年の失敗から、私は自分の運用にいくつかのルールを入れました。ここでは、今の私が酷暑のような季節性テーマに対してどう構えているか、具体的にお渡しします。

まず資金配分から。

現金比率は、通常時で20%から30%を目安にしています。酷暑のような不確実性の高いテーマが市場の中心にある時は、30%から40%寄りに上げます。理由は単純で、想定が外れた時に買い直せる余力を残しておきたいからです。現金は、ポジションではなく選択肢です。

テーマ株全体の比率は、総資金の10%から15%以内に抑えています。これは私のルールで、他の方には他の答えがあり得ます。大事なのは、テーマ株が当たっても外れても、ポートフォリオ全体が致命傷を受けない水準にすることです。

次に、建て方。

新規でテーマ関連を買う時は、3回から5回に分けます。間隔は、1週間から2週間です。一括で買わないのは、一括で入ると、逆行した時に身動きが取れなくなるからです。2018年の私は、これができていませんでした。

分割の利点は、平均取得価格を下げることではありません。そこは誤解されがちです。本当の利点は、「間違えた時に、間違えた自分を修正する時間が取れる」ことです。1回目の買いの後、チャートや環境が崩れれば、2回目以降を見送ればいい。これが一括だと、全額がすでに動いた後なので、修正の余地がありません。

そして撤退基準。これが一番大事です。必ず三つセットで決めます。

一つ目は価格基準。買った価格から一定のパーセント下落した水準、あるいは直近の安値を明確に割り込んだ水準、どちらかで切ります。私は個人的に、買値から8%の下落を一つの目安にしていますが、銘柄のボラティリティ、つまり値動きの荒さによって調整します。

二つ目は時間基準。買ってから4週間経っても、想定した方向に動かないなら一度降ります。テーマ株は、動く時には素早く動きます。4週間動かないなら、それはテーマが効いていない証拠です。

三つ目は前提基準。先ほどの章で置いた前提、つまり「平年より1℃以上高い気温」「予備率のひっ迫」「穀物先物の上振れ」、これらの前提が崩れる材料が出たら撤退します。前提が崩れたのにポジションを持ち続けるのは、判断の放棄です。

迷った時の救命具を一つ、お伝えします。これは私が自分に言い聞かせている言葉でもあります。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

この一文は、2018年の後、自分のノートに書き込みました。半分にすることで、判断の重さが半分になります。全部持ち続けるか、全部切るか、の二択で考えると、どうしても感情が入ります。半分、という第三の選択肢を持つだけで、頭が冷えます。

最後に、ここまで書いてきた内容を、読者がスクショして使えるチェックリストの形で置いておきます。

マーケットアナリストマーケットアナリスト
個別銘柄の分析に加えて、セクター全体の構造変化を押さえている点がポイントです。基本シナリオ:平年より暑い夏、も見逃せません。リスク管理を忘れずに実践しましょう。

酷暑関連銘柄に飛びつく前の、7つの自問

一、その銘柄、気温が平年並みに戻っても保有し続けられますか

二、あなたが気づいた時点で、株価はもう大きく上がっていませんか

三、エントリー価格と撤退価格を、買う前に紙に書きましたか

四、そのテーマ、何月頃まで話題が続くと見積もっていますか

五、ポジションサイズは、総資金の10%以内に収まっていますか

六、想定が外れた時、何を見て撤退を決めますか

七、昨年の同じ時期、このテーマ株はどう動いていましたか

すべてに自信を持って答えられるなら、進んでよいと思います。一つでも詰まる質問があれば、一度手を止めた方がいい、というのが私の考えです。

自分に当てはめる3つの質問

一、今年の夏が冷夏に振れた場合、あなたの保有銘柄全体で何%の損失になる可能性がありますか

二、あなたの資金のうち、「酷暑テーマ」と呼べる銘柄は何%を占めていますか

三、テーマが失速したら、いつ、いくらで降りるかを、今この瞬間に紙に書けますか

答えられなかったこと自体が、気づきです。答えられない状態でポジションを持っているなら、それは分析ではなく期待に賭けている状態です。

私が自分に課している5つのルール

一、テーマ株は総資金の15%まで

二、一銘柄あたりの上限は、総資金の3%まで

三、エントリー時に、必ず撤退価格を同時に決める

四、気象庁の予報と市場の織り込み具合を、週1回だけ照合する

五、ニュース1面に3日連続で出たテーマには、新規でエントリーしない

これは私のルールで、皆さんのルールではありません。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境は私とは違います。参考にしつつ、自分の形に作り変えてください。

「気候変動なら長期で持てば勝てる」への、私からの返信

想定される反論を一つだけ取り上げます。

「酷暑は今年だけの話じゃない。気候変動は構造的な変化だから、関連銘柄を長期で持てば勝てるのでは?」

この指摘は、もっともです。事実、気候変動は短期のテーマではなく、数十年単位の構造変化です。関連する業種、例えば再生可能エネルギー、省エネ技術、農業テクノロジー、水処理、こうした分野に投資する発想自体を、私は否定しません。

ただし、ここで条件が分岐します。

「気候変動を長期テーマとして持つ」のと、「夏の酷暑ニュースで関連銘柄に飛びつく」のは、全く別の行為です。

前者の場合、銘柄選定の基準は、技術力、財務、競争優位性、長期の利益成長です。株価が夏に上がろうが冬に下がろうが、長期のストーリーが変わらなければ持ち続けられます。評価の時間軸は5年、10年です。

後者の場合、売買のトリガーは気温とニュースです。時間軸は数週間から数か月です。長期投資のつもりで入ったのに、実際には季節性のテーマ投資になっている、というのが一番危険です。自分の行動が、自分の言っている時間軸と一致しているか。ここを自問する必要があります。

私自身の正直な感覚を書きます。気候変動の長期テーマは、一部認めます。再生可能エネルギーや電力インフラの更新は、10年単位で続く流れだと見ています。ただ、その流れに乗るためには、夏ごとのニュースではなく、企業の中期計画や業界全体の設備投資の動向を追うことになります。正直、ここは私も迷うことが多いです。長期投資と短期テーマの境目を、自分の中で明確に引けているか、毎年問い直しています。

結局のところ、長期で持つなら長期の目線で銘柄を選ぶ。短期のテーマに乗るなら短期の撤退基準を持つ。この二つを混ぜないことが、一番大事だと私は思っています。

この指摘を受けた方は、自分の今のポジションが、どちらの目線で保有されているかを、一度見直してみてください。自分が答えられなければ、それが答えです。

項目ポイント重要度
記事内で詳細解説★★★
酷暑は買い材料だ、と聞いた瞬間にすべきこ記事内で詳細解説★★★
暑さに便乗するニュースと、本当に見るべき記事内で詳細解説★★☆
今年の夏、私が注視している三つの前提記事内で詳細解説★★☆

今、酷暑銘柄を動かしているのは誰か

需給の話を短く触れます。ここは推測も含みますので、事実と分けて読んでください。

酷暑関連というテーマ株は、機関投資家の主戦場ではありません。彼らは四半期決算や業績予想の修正で動くことが多く、季節性のテーマに短期で張ることは少ないです。もちろん、ヘッジファンドの一部は短期勝負で入ることがありますが、全体のボリュームで言えば限定的です。

では誰が動かしているかというと、私の推測では、個人投資家の比率が高いと思います。特に、ネット証券経由の個人マネーが、ニュースに反応して流入することが多いです。SNSの投稿が増えるタイミングと、出来高が増えるタイミングは、おおむね連動しているように見えます。

この構造が読者にとって何を意味するか。

一つは、テーマが崩れた時の下げが速い、ということです。個人主導の上昇は、個人が逃げ始めた時の下げも急になります。機関投資家が下値を支える展開になりにくい、ということです。

もう一つは、機関投資家が本気で動く別の材料、例えば決算、増配、M&Aが出ると、テーマ主導の株価は一気に置いていかれることがあります。短期の季節性と、中長期の業績、両方を同じ一銘柄で期待するのは難しい、ということでもあります。

ここは断定的には書けません。市場参加者の内訳は正確には分からないので、あくまで私の推測として受け取ってください。ただ、この視点を持っておくと、株価の動きに対して自分が今何を見ているかを整理しやすくなります。

明日の朝、画面を開く前に一度だけ確認すること

長く書いてきましたが、要点は三つに絞ります。

一つ目。酷暑がテーマとして見出しを飾った時点で、先行する情報はすでに株価に入っています。見出しではなく、その奥にある数字を見る。テーマは追うな、歪みを探せ、というのが私の核です。

二つ目。気温、電力予備率、ダム貯水率、穀物先物。この四つの数字を週に1回だけ確認する。毎日見ると、見過ぎて感情に引きずられます。

三つ目。買う前に撤退価格を決める。価格、時間、前提の三つで決める。決められないなら、買うべきではない、というのが2018年の私が自分に言いたかったことです。

明日、スマホを開いたらまず何を見るか。一つだけ、指定します。

気象庁の最新の週間予報と、3か月予報のページを開いて、「平年より高い」の確率が何%になっているかを確認してください。その数字が、今の季節性テーマの「前提」の土台です。前提が揺れていれば、ポジションも見直す。前提が固いなら、別のリスク要因に目を移す。

酷暑という言葉は、刺激的です。でも、投資家にとって大事なのは、刺激に反応することではなく、刺激の奥にある数字を静かに追うことだと、私は思っています。

派手に勝とうとしなくていい。今年の夏を、大きく負けずに通過できれば、それだけで次の機会が巡ってきます。生き残ることが、何よりの戦略です。

今日はこの辺りで終わりにします。暑い夏になりそうですが、どうかご自愛ください。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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