「含み益で踊る人、含み損で固まる人」──強気相場の終盤に資産を守り切る投資家だけが知っている5つの鉄則

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この記事の要点
  • あの夜、ニヤついていた自分を思い出す
  • このニュースに反応したら、たぶん負ける
  • 無視していいノイズ、3つ
  • 注視すべきシグナル、3つ


勝った記憶ではなく、守った記憶を残すための話をします。

目次

あの夜、ニヤついていた自分を思い出す

あの夜のことを、今でも覚えています。

ベッドに入る直前、もう一度だけとスマホを開いて、証券口座のアプリをタップしました。含み益の数字を見て、口元がゆるむのが自分でも分かりました。

布団に入ってからも、買い増しのシミュレーションをしていました。今の利益にもう少し積めば、来年には目標額に届くかもしれない。そんな計算を、暗闇の中で何度も繰り返していました。

今思えば、あれが一番危ない瞬間でした。

強気相場の終盤で口座を溶かす人は、弱気な人ではありません。含み益に酔った人です。私も何度か、そちら側の人間になりました。この記事は、その時の私に向けて書いています。

この相場で何を信じ、何を捨てればいいのか。明日スマホを開いた時、何を見て、何を無視すればいいのか。そして一番大事な、どの水準で一度降りるのか。そのあたりを、順番に整理していきます。

派手な銘柄論や相場予測は書きません。私が書けるのは、何度も痛い目に遭って、それでもまだ市場にいる人間の、生き残るための手順だけです。

この記事を読み終わった時、あなたのポートフォリオが少し軽くなっているか、あるいは撤退の線が引かれている。そこまで持っていくのが、この記事の役割です。

このニュースに反応したら、たぶん負ける

強気相場の終盤は、情報の量がおかしなことになります。

ニュースも、SNSの投稿も、証券会社のレポートも、みんな強気です。強気だから、さらに買う人が増えて、価格が上がって、また強気の記事が出る。この循環の中にいると、慎重な声は全部ノイズに聞こえてきます。

でも、本当のノイズは別のところにあります。

無視していいノイズ、3つ

ひとつ目は、著名投資家の買い推奨ニュースです。

「あの人がこの銘柄を買った」という話を見ると、乗り遅れたくないという感情が湧きます。これは焦りと嫉妬の混ざった、厄介な感情です。でも、彼らが買ったのは数か月前で、あなたが知った時点では既に利益が乗っている可能性が高い。過去の私はこれで何度も高値を掴みました。他人の買いを追いかけて勝てた経験は、正直ほとんどありません。

ふたつ目は、「史上最高値更新」という見出しです。

高値更新は事実ですが、それが「今から買っても大丈夫」という意味ではありません。このニュースが誘発するのは、取り残される恐怖、いわゆるFOMOです。高値更新のニュースで口座を開いて買いボタンを押した経験は、私の場合ほぼ全敗でした。高値を更新したという事実と、そこから買うべきかどうかは、別の話です。

みっつ目は、SNSの資産公開ツイートです。

タイムラインに流れてくる「今月も過去最高益」のスクショ。これが刺激するのは、自分だけが取り残されているという焦燥感です。でも、負けた月を公開する人はほとんどいません。勝ちの瞬間だけを切り取った投稿を見て、自分の戦略を変える理由にはなりません。SNSは他人の勝ち試合の再生映像です。生中継ではありません。

注視すべきシグナル、3つ

一方で、本当に見るべきものは地味です。

ひとつ目は、金利の方向性です。

具体的には、米10年国債利回り。これが上がるか下がるかで、株式の居心地の良さが変わります。利回りが急に跳ねた時は、株式から資金が抜ける圧力が強まるサインです。毎日見る必要はありません。週に2回、朝の通勤前に確認する程度で十分です。Bloombergでも、証券会社のアプリの指標欄でも確認できます。

ふたつ目は、VIX指数、いわゆる恐怖指数です。

これは米株式市場がどれだけ身構えているかを示す数字です。普段は15〜20あたりをうろうろしていますが、25を超えてくると市場全体が警戒モードに入っています。私はVIXが25を明確に超えたら、まず買い増しを止めます。30を超えたら、持っているポジションを一度見直します。急激に動いた時だけ気にすればよく、日常的に睨む必要はありません。

みっつ目は、自分の含み益率です。

これは指標ではなく、自分の口座の話です。含み益が膨らんでいる時ほど、利益を確定する心理的ハードルが上がります。だからこそ、機械的に見るルールが必要です。含み益が当初想定の何倍になったか、この一点だけは週に一度確認します。後ほど、M3で詳しく触れます。

この3つは、相場が折り返す時に必ず早めにサインを出してくれる場所です。ニュースの見出しよりも、ここを見ておくほうが眠れます。

強気相場の終盤は、何が起きているのか

ここから、私が今の相場をどう見ているかの話をします。断定ではなく、前提を置いた見立てです。

一次情報として確認できること

強気相場が長く続いた局面では、いくつか共通のパターンがあります。

ひとつは、指数の上昇をごく一部の銘柄が牽引している状態です。指数全体は強そうに見えても、中身を分解すると、実質的に動いているのは一握りの大型株だけということが起きます。これは過去の天井圏で何度も見られた現象です。

もうひとつは、個人投資家の信用買い残高が膨らむこと。みんなが強気になり、借金してまで買いに向かう状態です。信用買い残は各証券取引所が公表しており、週次でチェックできます。

そしてもうひとつ、IPOやテーマ株の過熱。上場直後の銘柄が初値から大きく跳ね上がったり、特定のテーマに資金が集中する現象が増えてきたら、それは市場のリスク許容度が上がりすぎているサインです。

私はこれをどう読んでいるか

これらが同時に起きている時、私は相場の「体力」を疑い始めます。

体力というのは、新しい買い手が次々に参入してくる余力のことです。信用買いが積み上がっているということは、買える人の弾が減ってきているとも読めます。一部の銘柄だけで指数が持っているということは、屋台骨が思ったより細いということです。

ただし、これは「明日暴落する」という話ではありません。強気相場の終盤は、終わりそうで終わらない時間が長く続きます。ここで早く降りすぎると、あとで悔しい思いをします。私も一度、怖くなって全部降りた半年後に、指数が20%以上上がったのを外から眺めた経験があります。あの時の無念さは、いまだに覚えています。

だから、降りるか降りないかの二択ではなく、どの水準まで崩れたら降りるか、の前提を置きます。

読者の構え方

ここで読者に提案したいのは、ポジションを減らすことそのものではありません。撤退の線を引くこと、です。

今から私が置く前提はこうです。主要指数が直近3か月の安値を明確に割り込んだら、この強気相場は一度休憩に入ったと判断します。「明確に割り込む」というのは、ザラ場で一瞬つける程度ではなく、終値ベースで2営業日続けて下回ることを指します。

この前提は、M4で使います。この線が割れたらシナリオA、保っている間はシナリオBという形で、行動を分岐させるためのものです。

前提が崩れたら、見立てを変えます。例えば、金利が急落して株式に追い風が吹くような状況になれば、別の前提を置き直します。今の見立ては今の材料に基づくもので、材料が変われば結論も変わる。これは逃げではなく、投資の仕方そのものだと私は考えています。

3つの分かれ道、それぞれの歩き方

ここから先は、具体的に何が起きたらどう動くか、の話をします。

未来は分かりません。だから私は、未来を当てにいくのではなく、どの道が来ても迷わないように分岐を用意しておきます。

基本シナリオ:ゆっくり崩れる

最も蓋然性が高いと私が見ているのは、一気に暴落するのではなく、じわじわと高値を切り下げていく展開です。

発生条件は、前のセクションで置いた前提、つまり主要指数が直近3か月の安値を終値ベースで2営業日続けて下回った時。ここから、相場は一度呼吸を整える局面に入ると見ています。

このシナリオに入ったら、やることは3つです。新規の買い増しを止めること。含み益が乗っている銘柄の一部、目安として3分の1を利確すること。残りには、買値から10%下のところに撤退ラインを引くこと。

やらないことも明確にします。ナンピン買い、つまり下がったから安くなったと思って買い増すこと、これは絶対にやりません。過去、私はこれで何度も傷を深くしました。下げ相場のナンピンは、溺れている人の足首にもう一つ錘をつける行為です。

マーケットアナリスト

このテーマは表面的なニュース以上の構造変化を示唆しています。関連銘柄への影響を冷静に見極めることが重要です。

チェックするものは、前述のVIX指数と米10年国債利回り。それと、信用買い残の週次変化。この3つが同じ方向に警戒サインを出しているかを確認します。

逆風シナリオ:急落が来る

想定が外れて、一気に崩れる場合です。

発生条件は、一日で主要指数が3%以上下げた日が、2週間以内に2回起きた時。これは統計的にも、通常時にはあまり起きない頻度です。

ここに入ったら、迷わずポジションを半分にします。全部売る必要はありません。半分なら、戻った時の取り逃しも、下げた時の痛みも、どちらも半減します。判断に迷った時は半分、というのは私の鉄則のひとつです。

やらないことは、底を予想して買い向かうこと。急落相場で「ここが底だ」と判断して入った時、私は9割方もう一段下を見せられました。落ちてくるナイフを掴まない、という古い格言は、経験として本当です。

チェックするのは、大型株の寄り付きの気配値と、為替、特にドル円の動き。急落時は為替が一緒に動きます。相関を見ておくと、リスクオフの本気度が測れます。

様子見シナリオ:判断がつかない

これが一番多い展開です。上にも下にも決めきれない、もやもやした時間。

発生条件は、主要指数が前述の撤退ラインは割らないけれど、高値も更新しない、レンジのような動きをする時。

ここで私がやるのは、何もしないことを選ぶことです。何もしないというのは、見ないということではありません。現金比率をそのまま維持し、指標を週に一度確認するだけ、という運用に切り替えます。

やらないことは、退屈に負けて新しいポジションを持つこと。相場が動かない時ほど、何か取引しないと損している気分になります。でも、動かない相場で無理に動いた結果、手数料と小さな損失だけが積み上がる経験を、私は何度もしました。

動かない相場は、休みなさいというサインです。

私が含み益に溺れて溶かした、あの半年の話

ここからは、自慢にも美談にもならない話をします。書いていて、今でも少し胸が重くなる話です。

2021年の春から夏にかけての出来事でした。

ニヤついていた春

その年の春、私のポートフォリオは絶好調でした。前年から仕込んでいた米国のグロース株が軒並み伸びて、含み益は当時の年収に近い額になっていました。

毎晩、口座アプリを開くのが楽しみでした。布団に入る前に一度、朝起きてもう一度。数字が増えているのを見るたびに、自分が特別な選択をしたような気分になっていました。

今思えば、あの時の私は、投資家ではなくギャンブラーの顔をしていたと思います。

ある夜、Twitter(当時)のタイムラインで、ある著名投資家が「まだまだ上がる」と発言しているのを見ました。私はそれを読んで安心しました。安心して、翌日の寄り付きで、一番勢いのあったグロース株を買い増しました。現金比率は、気づけば5%を切っていました。

最初の警告を無視した

春の終わり、金利がじわじわと上がり始めました。

ニュースでは「一時的な動き」と言われていました。私もそう信じたかった。正確には、そう信じないと、ポジションを維持できなかったのです。

この時点で、私の脳は「上がる理由」だけを探すモードに入っていました。下がる理由を提示する記事を見ると、反射的にタブを閉じていました。今思えば、あれは判断ではなく、感情の自己防衛でした。

5月に入って、保有銘柄の一つが10%下げました。私は「押し目だ」と判断して、また買い増しました。この時、家計の生活防衛資金にまで手を伸ばしていました。恥ずかしい話ですが、事実です。

夏に全部溶けた

6月から7月にかけて、グロース株は一気に崩れました。

私のポートフォリオは、3月にあった含み益が消え、逆に含み損に変わりました。買い増した分は、そのまま損失を拡大させる燃料になっていました。

この時、私は動けませんでした。売れば損失が確定する。でも持っていれば、もっと下がるかもしれない。どちらも選べず、毎朝口座を開いては、減っていく数字を眺めるだけの日々が続きました。

口座を開くのが怖くなり、1週間見ないようにしたこともあります。でも、見ないでいる間に、状況は勝手に悪くなっていました。

最終的に、損切りしたのは8月でした。底値圏に近いところで、ほぼ全て損切り。取り戻すのに、そこから1年以上かかりました。

何が間違っていたのか

振り返って、判断の間違いは一つではありませんでした。

含み益が乗っていた時に、利確ルールを決めていなかったこと。「いつ売るか」を決めずに「どこまで上がるか」だけを夢見ていたこと。下げ始めた時、現実を受け入れる代わりに、上がる理由を探したこと。そして、最大の間違いは、撤退ラインを引かずに買い増したことでした。

判断そのものよりも、ルールが無かったことが問題でした。

あの時、もし買値から15%下という撤退ラインを機械的に引いていたら、損失は半分で済んでいました。もし含み益が2倍になった時点で半分利確するルールを決めていたら、溶けた含み益の一部は手元に残っていました。

あの夏以降、私は自分に向かって何度も言いました。「判断ではなく、ルールで動け」と。だから今の私は、次のセクションで話す、いくつかの決まりごとで動いています。

生き残るための5つの鉄則

ここから先は、あの失敗から組み立てた、私自身の運用ルールです。数字はレンジで出します。これを真似てほしいわけではなく、あなた自身のルールを作る時の叩き台にしてもらえればと思っています。

鉄則1:現金比率のレンジを決める

私は現在、現金比率を20〜40%の間で動かしています。

強気相場の前半、つまりまだ上昇の初動段階では20%寄り。今のような終盤が疑われる局面では、35〜40%寄りに調整しています。

なぜこの幅かというと、一つには暴落が来た時に買い向かう弾を残すため。もう一つは、自分が間違えた時に追加の損失を避けるためです。現金は、選択肢を持っているということそのものです。

あの2021年の夏、私の現金比率は5%を切っていました。あの時、もし現金が30%あったら、8月の底で買い戻すことができていました。現金比率は、次のチャンスへのパスポートだと今は考えています。

鉄則2:買いは必ず分割する

一度に全額を入れることは、もうしません。

私の場合、新規のポジションは3〜5回に分割します。間隔は1週間〜1か月。一気に入らないのは、一気に入ると、下げた時に精神的に動けなくなるからです。

分割すると、平均取得価格が平準化されます。上がれば追加で買えないで悔しい思いをすることもありますが、下がった時に「まだ買える弾がある」という安心が、冷静さを保たせてくれます。

この安心感こそが、長く市場にいるために必要なものだと、経験から学びました。

鉄則3:撤退ラインの3点セットを必ず引く

これが、あの夏の失敗から生まれた、一番大事なルールです。

新しいポジションを建てる時、私は必ず3つの撤退基準を同時に決めます。

ひとつは価格基準。買値から一定幅、目安として10〜15%下に線を引きます。そこを終値ベースで割り込んだら、理由を問わず降ります。

項目ポイント
あの夜、ニヤついていた自分を思い出す本文で詳細解説
このニュースに反応したら、たぶん負ける本文で詳細解説
無視していいノイズ、3つ本文で詳細解説
注視すべきシグナル、3つ本文で詳細解説
強気相場の終盤は、何が起きているのか本文で詳細解説

ふたつめは時間基準。買ってから3か月経っても、想定した方向に動かなかったら一度降ります。動かない銘柄に資金を塩漬けにする機会損失を避けるためです。

みっつめは前提基準。ポジションを建てた時の前提、例えば「金利が上がらない限り」のようなもの。この前提を壊す材料が出たら、価格がまだ下がっていなくても撤退します。

この3つを同時に設定するのは、どれか一つだけでは抜け穴ができるからです。価格基準だけだと、ダラダラ動かない銘柄に居続けてしまう。時間基準だけだと、急落時に反応が遅れる。3つセットにすることで、自分を守る網が完成します。

鉄則4:含み益は一部を必ず刻む

あの夏の失敗の核心は、含み益を確定しなかったことでした。

だから今は、ポジションが想定利益の半分に到達したら、まずポジションの3分の1を利確します。想定利益に到達したら、もう3分の1を利確。残りの3分の1だけを、追加の上昇に付き合わせます。

この3分割で、私は「全部持ち続けて天井で溶かす」パターンを避けられるようになりました。3分の1を早めに利確しても、全体の利益がゼロになるわけではありません。完璧な利確タイミングを狙うより、そこそこのタイミングを3回に分けるほうが、結果的に手元に残るお金は多いのです。

鉄則5:迷ったら半分にする

これは初心者の方に一番伝えたいルールです。

判断に迷う時というのは、市場が「サインを出しているけど、どちらにも読める」状態です。こういう時、全部売るか、全部持つかの二択で考えると、必ずどちらかで後悔します。

だから、迷ったら半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは、市場からのサインです。無理に白黒つけようとしないほうが、長く続きます。

この「半分ルール」は、私が持っている全てのルールの中で、一番使用頻度が高いものです。プロでもない私たちが、プロのような判断精度を求める必要はありません。半分残して、半分動く。それで十分です。

ここで自分に問うべき3つのこと

読んでいる途中かもしれませんが、一度スクロールを止めて、答えてみてほしい質問が3つあります。

ひとつ、あなたの今の含み益は、いくらを超えたら利確するか、具体的な数字で決めていますか。

ふたつ、今持っている中で一番大きいポジションは、どこまで下がったら損切りするか、数字で言えますか。

みっつ、明日、指数が5%下げたら、あなたは何をしますか。買うのか、売るのか、何もしないのか、その基準を持っていますか。

この3つのうち、一つでも「答えられない」があったら、それは記事を読んだ時間よりも、自分のルールを作る時間を優先したほうがいい、というサインです。

スクショして保存してほしい、9つの問い

読み返した時に、自分を点検するためのリストです。

  1. 投資リサーチャー

    過去のケースと比較すると、今回の状況は類似点と相違点の両方があります。安易な楽観も悲観も避けたいところです。

    自分の現金比率は、今の相場環境に合った水準になっているか

  2. 新規ポジションを建てる時、3回以上に分割する習慣ができているか

  3. 保有銘柄すべてに、価格・時間・前提の3つの撤退基準を設定しているか

  4. 含み益が想定の半分に達したポジションで、一部利確を実行できているか

  5. VIX指数と米10年国債利回りを、週に2回以上確認しているか

  6. 信用買い残の変化を、月に1回は確認しているか

  7. SNSで他人の資産公開を見た直後に、売買判断をしていないか

  8. 今持っている全ポジションが30%下落したら、いくらの損失になるか計算できているか

  9. 明日から3か月、相場を見ない生活に入っても平気なポートフォリオになっているか

全部にYesと言えるなら、強気相場の終盤でも、たぶん生き残れます。

「まだ上がるなら、売る必要なくない?」への答え

ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。

まだ上がるなら、売る必要なんてないのでは。早く降りるのは機会損失ではないか。

その指摘は、もっともです。実際、強気相場の終盤で早く降りて、その後の上昇を指をくわえて眺めるのは、私も何度も経験しました。悔しい、という言葉では足りないくらいの感情です。

でも、考えてみてほしいのです。

もし相場がこのまま10%上がったとして、あなたの資産は10%増えます。もし相場がここから20%下がったら、あなたの資産は20%減ります。上がる時の増加分と、下がる時の減少分は、絶対値で対称ではありません。

100万円が120万円になる時の喜びと、120万円が80万円になる時の痛み。経験上、痛みのほうが2倍くらい大きく感じます。行動経済学ではこれを損失回避バイアスと呼びますが、要するに「減るのは、増えるより何倍も辛い」という話です。

だから、強気相場の終盤は、上がる利益を取りきることよりも、下がる痛みを避けることのほうが、トータルで資産を増やします。

ただし、これはあなたが「強気相場の終盤」と判断している場合の話です。まだ初動だと判断しているなら、ポジションを維持するのが正解です。重要なのは、今が相場のどこなのか、自分なりの基準で判断すること。その判断基準がない状態で売るのも、持つのも、どちらも博打です。

条件が変われば、答えも変わります。あなた自身が、今をどう見ているかに、答えはあります。

明日の朝、最初に見てほしいもの

この記事の要点は、3つです。

ひとつ、強気相場の終盤で口座を溶かすのは、弱気な人ではなく、含み益に酔った人です。敵は相場ではなく、自分の高揚感です。

ふたつ、判断ではなくルールで動くこと。価格・時間・前提の3点セットで撤退ラインを引いておくこと。迷ったら半分にすること。この3つだけで、生存率が大きく変わります。

みっつ、勝ちの9割は、守りで決まります。攻めるタイミングを探すより、降りるタイミングを決めるほうが、結果的に攻められる場面が増えます。

明日、スマホを開いたら、まず一つだけ確認してください。自分のポートフォリオで、一番大きいポジションの撤退ラインを引いているか、です。

引いていなければ、今すぐ引いてください。相場の見通しを考える前に、自分の撤退ラインを決めるほうが、先です。

強気相場の終盤は、終わりそうで終わらない時間が長く続きます。焦る必要はありません。大きな判断をする時期ではなく、小さなルールを整える時期です。

この記事を閉じた後、静かに口座アプリを開いて、一つだけルールを書き足してみてください。それだけで、あなたはすでに、踊っている人たちとは違う場所に立っています。

生き残った先にしか、次の相場はありません。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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