- 「奈良の町工場」が世界の脱炭素を握っている、と言われたら信じられるだろうか
- この記事を読むと何が分かるか
- 企業概要
- 「奈良の機械屋」が世界トップに立つまで
「奈良の町工場」が世界の脱炭素を握っている、と言われたら信じられるだろうか
奈良県橿原市に本社を置くタカトリ(6338)は、表向きはあまり目立たない中小規模の機械メーカーである。東証スタンダード市場で時価総額も派手な水準ではなく、知名度もディスコや東京エレクトロンとは比較にならない。けれど、世界中で進められている電気自動車(EV)化の現場で、タカトリの装置が動いていなかったら、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体のウエハーは、いまの規模では一枚も製造できなかっただろうと言われている。会社資料や複数の業界メディアでは、SiCのインゴット切断装置において世界シェアが九割前後にのぼると説明されている。
タカトリの強みは、「世界で誰も真似できない加工」をニッチで掘り下げ続けてきたことにある。硬くて脆いという二律背反の物性を持つSiCを、薄く、まっすぐ、均一に切るという作業は、見た目以上に難しい。同社はそこに、首振り式ワイヤーヘッド機構や独自のダイヤモンドスラリー「刃─YAIBA─」など、特許で囲い込まれた小さな技術の積み重ねで応えてきた。これがいわゆる「小さな巨人」と呼ばれる所以である。
ただし、好調一辺倒の銘柄ではない。直近のEV市場は世界的に踊り場に差し掛かっており、SiCの設備投資はいったん冷え込んでいる。さらにディスコのレーザー方式(KABRAプロセス)という代替技術も視野に入りつつあり、「世界シェア九割」という看板にも、薄い影が差し始めているのが現状である。本記事では、ニッチトップ企業としてのタカトリの「勝ち方」と、その勝ち方が崩れる条件を、できるだけフラットに整理してみたい。
この記事を読むと何が分かるか
タカトリがなぜSiC加工機で世界シェアを取れているのか、その「構造的な勝ち方」の骨格
同社がさらに成長するために満たさなければならない条件、つまり「シェアを利益に変換する」ためのハードル
EV踊り場、レーザー方式の台頭、SiCの大口径化など、注意すべきリスクの種類
同社を継続ウォッチする際に、IR資料や適時開示で何を見ればいいかという、具体的な確認ポイントの方向性
サムコ、ディスコといった「半導体装置」と一括りにされがちな企業群の中で、タカトリがどこに位置付けられるのか
企業概要
「奈良の機械屋」が世界トップに立つまで
タカトリは、まず「何屋なのか」を一言で言いづらい会社である。表向きは精密機械メーカーだが、扱っている領域は半導体製造機器、ディスプレイ製造機器、新素材加工機器、繊維機器、医療機器と、一見ばらばらに見える。これらを束ねる軸になっているのが、同社が長年磨いてきた真空、切断、搬送、貼付、剥離、研磨、計測といった精密制御技術であり、これを応用しながら時代ごとに有望な領域へ展開してきたのが現在のタカトリだとされている。
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