「障害福祉」は10兆円市場——少子化日本で唯一伸び続けるディフェンシブセクターの全貌

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本記事のポイント
  • 「伸び続ける」という言葉ほど、最初に疑ってかかります
  • このテーマでいちばん怖い敵は、楽観で突っ込むことです
  • このニュースに反応したら負ける
  • 公費が入る市場では、売上よりルール変更が先に来ます
マーケットアナリスト
「「障害福祉」は10兆円市場——少子化日本で唯一伸び続けるディフェンシブセクターの」を論点別に整理すると、まず「伸び続ける」という言葉ほど、最初に疑ってかかりますの部分が記事全体の出発点になっています。表面の派手な見出しより、需要構造と業績の質に分けて読みたいところです。

少子化でも需要が消えにくい社会保障インフラを、投資テーマとしてどう見て、どこで降りるかまで決める記事です。

伸び続ける」という言葉ほど、最初に疑ってかかります

少子化の日本で、まだ伸びる市場がある。

そう聞くと、少しだけ胸が軽くなります。
人口が減る、内需が細る、若い人が減る。
そんな話ばかり聞かされていると、伸びる場所を見つけた瞬間に、そこへ逃げ込みたくなります。

正直、私も同じでした。
これは国策だ」「公費が入る」「景気に左右されにくい」。
この3つがそろうと、投資家の頭はかなり都合よく働きます。

ただ、最初に水を差すようで恐縮ですが、タイトルの「10兆円市場」は、そのまま買い材料にしてはいけません。

狭い意味での障害福祉サービス等の総費用額は、直近の公的資料では4兆円超です。厚労省資料では、令和6年度の障害福祉サービス等の総費用額が約4.18兆円、令和5年度の約3.73兆円から12.1%伸びたと示されています。これは大きいですが、10兆円そのものではありません。

では、10兆円という言葉は全部ウソか。
そうとも言い切れません。

障害福祉サービス本体に、障害児支援、就労支援、障害者雇用、人材、住まい、送迎、ICT、周辺の業務支援まで広げると、投資テーマとしてはかなり大きな経済圏になります。ですが、投資判断で最初に置くべき土台は、あくまで確認できる4兆円超の公的給付です。

私はここで、派手な夢よりも台所の数字を見ます。
家計簿を見ずに「この家は金持ちそうだ」と決めると、たいてい痛い目を見ます。
市場規模も同じです。

この記事で持ち帰ってほしいのは、障害福祉が伸びるかどうかの一発予想ではありません。

何を見れば本物のシグナルか。
どのニュースは捨ててよいか。
そして、どの条件が崩れたら撤退するか。

ここを一緒にほどいていきます。

このテーマでいちばん怖い敵は、楽観で突っ込むことです

障害福祉は、たしかにディフェンシブに見えます。
ディフェンシブとは、景気が悪くなっても需要が大きく崩れにくい、という意味です。

利用者の生活に必要なサービスであり、国と自治体の制度に支えられています。令和8年度当初予算では、障害者が地域で暮らすための福祉サービス経費として1兆8,145億円が計上されています。これは前年度から1,614億円増えた数字です。(参議院)

さらに、障害児支援に必要な経費として5,148億円がこども家庭庁で計上されています。障害福祉の本体と障害児支援を合わせると、国の予算だけでもかなり大きな柱になっています。(公認会計士協会)

ここだけ見ると、強く見えます。
でも、強く見えるものほど、投資家は雑に買います。

「国策だから大丈夫」
「少子化でも伸びるから大丈夫」
「社会に必要だから株価も上がるはず」

この3つは、半分正しくて、半分危ないです。

社会に必要な事業と、株主が報われる事業は別です。
売上が伸びる会社と、利益が残る会社も別です。
市場が拡大するセクターと、買ってよい価格も別です。

正直、ここは私も迷います。
社会的意義のある会社を見ると、応援したくなる気持ちが出ます。
ただ、応援と投資を混ぜると、撤退が遅れます。

このセクターで読者の最大の敵になるのは、恐怖ではありません。
「これは長期で伸びるから少しくらい高くてもいい」という楽観です。

その楽観が、天井掴みを生みます。

このニュースに反応したら負ける

障害福祉を見るとき、最初にやることは買う銘柄探しではありません。
ノイズとシグナルを分けることです。

まず、捨ててよいノイズからいきます。

1つ目のノイズは、「10兆円」「国策」「唯一伸びる」といった大きな言葉です。
これは気持ちを前のめりにします。置いていかれる不安、つまりFOMOを起こします。

ただ、市場規模の定義があいまいなままでは、投資判断に使えません。
狭義の給付費なのか、周辺領域込みなのか。
売上になるのか、利益になるのか。
この線引きがない数字は、買いボタンを押す理由にはなりません。

2つ目のノイズは、単発の不祥事ニュースです。
もちろん不正請求や行政処分は軽く見てはいけません。
でも、1件ごとのニュースに株価だけで反応すると、制度全体の方向を見失います。

見るべきなのは、その不祥事が制度改定につながるかどうかです。
令和8年度報酬改定では、就労移行支援体制加算について、同一利用者の離転職を繰り返して加算を得るような、本来の趣旨と異なる算定への対応が示されています。

個別事件ではなく、加算の条件が変わる。
ここまで来ると、投資判断の材料になります。

3つ目のノイズは、「少子化でも伸びる」という安心感です。
たしかに障害福祉は、子どもの数だけで決まる市場ではありません。

内閣府の令和6年版障害者白書では、身体障害者436万人、知的障害者109.4万人、精神障害者614.8万人という概数が示されています。重複があるため単純合計はできませんが、国民のおよそ9.2%が何らかの障害を有しているとも説明されています。(内閣府ホームページ)

この数字は需要の厚みを示します。
ただし、需要があることと、事業者の利益率が守られることは違います。

では、何をシグナルとして見ればよいのか。

1つ目のシグナルは、総費用額、利用者数、1人当たり費用額です。
厚労省資料では、令和5年度から令和6年度にかけて総費用額が12.1%増え、利用者数は154万人から163万人へ、1人当たり月額費用は20.1万円から21.3万円へ伸びています。

この3つは、月に1回ではなく、少なくとも四半期に1回で足ります。
厚労省、社会保障審議会、こども家庭庁の資料を見ます。
株価アプリより先に、制度の家計簿を見る感覚です。

2つ目のシグナルは、報酬改定の方向です。
障害福祉サービス等報酬改定は、売上単価と利益率に直接効きます。
厚労省は令和6年度報酬改定の概要、告示、通知、Q&Aを公表しています。ここで加算、減算、人員配置、質の評価が変わります。(厚生労働省)

報酬が上がるか下がるかだけでは足りません。
どのサービスが評価され、どのサービスが絞られるか。
ここまで見て、はじめて投資材料になります。

3つ目のシグナルは、障害者雇用と就労支援の制度変更です。
民間企業の障害者法定雇用率は、令和8年6月以前は2.5%、令和8年7月以降は2.7%で算定されます。これは企業側の採用・定着支援ニーズに関わります。(厚生労働省)

就労選択支援についても、厚労省は指定状況、通知、実施マニュアル、Q&Aを公表しています。就労支援系の会社を見るなら、ここは避けて通れません。(厚生労働省)

この3つのシグナルを、次の章で投資判断に落とします。
市場が伸びる話ではなく、利益が残る会社をどう見分けるか、です。

公費が入る市場では、売上よりルール変更が先に来ます

一次情報として、まず押さえる事実は3つです。

1つ目。障害福祉サービス等の総費用額は、令和6年度で約4.18兆円まで伸びています。令和5年度の約3.73兆円から12.1%増です。これは、一般的な内需サービスとして見ても大きい伸びです。

2つ目。伸びの中身は、利用者数と単価の両方です。
令和5年度から令和6年度にかけて、利用者数は154万人から163万人へ増えました。1人当たり月額費用も20.1万円から21.3万円へ上がっています。利用者だけでなく、支援の重さや単価も効いているということです。

3つ目。政府側は、伸びを歓迎するだけではありません。
令和8年度予算資料では、給付費が大きく増加する中で、サービスの質を確保しつつ、制度の持続可能性を確保する観点から、臨時応急的な見直しを実施すると書かれています。(公認会計士協会)

ここが大事です。

障害福祉は伸びる。
でも、伸びすぎれば見直される。

これがこのセクターの中心線です。

私の解釈では、障害福祉は「需要が消えにくい市場」ではあります。
ただし、「利益率が永久に守られる市場」ではありません。

公費で支えられる市場は、売上の見通しが立ちやすい反面、価格決定権を事業者が持ちにくいです。
つまり、利用者が増えても、報酬単価や加算要件が変われば、利益の出方は変わります。

投資家が見るべき会社は、単に事業所数を増やしている会社ではありません。

人員配置を守れる会社。
加算を正しく取れる会社。
行政処分リスクが低い会社。
報酬改定後も営業利益率を落としすぎない会社。
そして、制度が質を重視する方向へ動いたときに、むしろ評価される会社です。

私が置く前提は、次のように数字で決めます。

障害福祉サービス等の総費用額が前年比5%以上で伸び、利用者数も前年比4%以上で増えている間は、需要側の前提は崩れていないと見ます。直近資料では総費用額が12.1%、利用者数が5.8%伸びていますが、12%台はむしろ高すぎる伸びです。次の数年は5〜8%程度へ落ち着く方が、制度としては自然だと見ます。

一方で、1人当たり費用額の伸びが6%を超える状態が続き、同時に政府資料で「持続可能性」「適正化」「臨時応急的見直し」が強く出てくる場合は、報酬・加算の引き締めリスクを上げます。令和8年度資料には、すでにこの方向の文言があります。(公認会計士協会)

読者の行動に落とすと、こうです。

このテーマを買う前に、会社の成長率だけを見ないでください。
その売上が、どのサービス類型から来ているかを見てください。

就労継続支援なのか。
放課後等デイサービスなのか。
グループホームなのか。
訪問系なのか。
相談支援なのか。
ICTや人材支援のような周辺領域なのか。

そして、そのサービスが直近の報酬改定で評価されているのか、絞られているのかを確認します。

会社の売上成長が年10%でも、中心サービスの加算が見直され、営業利益率が2ポイント以上落ちるなら、私は前提を疑います。
前提が変われば判断も変えます。

伸びる市場でも、買っていい場面は3つに分かれます

ここからは、私が実際に使うシナリオ分岐です。

利用者増と単価見直しが両立する基本コース

発生条件は、障害福祉サービス等の総費用額が前年比5〜8%で伸び、利用者数が前年比4%以上を保つことです。
同時に、報酬改定で質の高い支援や人材確保への加算が残り、会社側の営業利益率が前年差1ポイント以内に収まることを見ます。

この場合にやることは、いきなり満額で買わないことです。
まず予定額の25〜30%だけ入れます。
次の四半期決算で、売上成長と利益率が両方ついてきたら追加します。

やらないことは、事業所数の増加だけで買うことです。
事業所は増えても、人が採れなければ稼働率は上がりません。
稼働率が上がっても、加算要件を満たせなければ利益は残りません。

チェックするものは、厚労省の費用資料、報酬改定資料、会社のセグメント売上、営業利益率、人件費率です。

持続可能性の言葉が強くなる逆風コース

発生条件は、1人当たり費用額の伸びが前年比5%を超えたまま、政府資料で「適正化」「持続可能性」「臨時応急的見直し」が強く出ることです。
さらに、会社の中心サービスに加算見直しや上限設定が入り、営業利益率が2ポイント以上落ちたら、かなり警戒します。

この場合にやることは、保有額を半分にすることです。
全部売るかどうかは、次の決算と制度資料を見ます。
ただ、半分にすれば、判断ミスのダメージも半分になります。

やらないことは、ナンピンです。
制度変更で利益率が落ちた銘柄を、株価が下がったから安いと見るのは危険です。
利益の前提が変わっているからです。

チェックするものは、中心サービスの報酬単価、加算要件、行政処分の有無、営業利益率の前年差です。

市場は伸びるが株価だけ先に走る様子見コース

発生条件は、総費用額や利用者数は伸びているのに、株価が半年で30%以上先に上がり、会社の利益成長が追いついていない場合です。
また、予想PERやEV/EBITDAが過去3年レンジの上限を2割以上超えている場合も、私は様子見にします。

この場合にやることは、買わない勇気を持つことです。
どうしても参加したいなら、予定額の10〜15%だけにします。
その代わり、下がったら買う価格を先に書きます。

やらないことは、「長期なら大丈夫」と自分に言い聞かせることです。
長期でよい市場でも、高値で買えば数年眠らされます。

チェックするものは、株価の上昇率、利益予想の修正幅、営業キャッシュフロー、そして制度資料です。

私が天井掴みで払った授業料

ここは少し恥ずかしい話をします。

数年前、私は福祉関連の小型株を買いました。
障害児支援や就労支援の需要が伸びる、というストーリーでした。
当時の私は、社会保障分野の成長テーマにかなり前のめりでした。

見ていたものは、売上成長率、事業所数、利用者増、そして市場規模の資料です。
どれも間違いではありませんでした。

でも、足りなかった。

私は報酬改定の細かいところを読んでいませんでした。
どの加算で利益が出ているか。
その加算が制度上、どれくらい安定しているか。
人件費が上がったときに、利益率がどれだけ残るか。

そこを見ないまま、「これは国策だから下がっても戻る」と考えました。

買った瞬間は気持ちよかったです。
株価はすでに上がっていましたが、私はそれを勢いだと解釈しました。
本当は、もう期待がかなり織り込まれていたのに。

最初の決算で、売上は伸びていました。
でも利益率が落ちました。

普通なら、そこで止まるべきでした。
売上が伸びて利益が落ちる会社は、何かが変わっています。
人件費なのか、稼働率なのか、報酬単価なのか。
少なくとも、確認するまでは追加で買ってはいけません。

私は逆をやりました。
株価が下がったので、ナンピンしました。

そのときの感情は、焦りでした。
自分の読みが間違っていたと認めたくなかった。
社会に必要な事業だから、いつか評価されるはずだと思いたかった。
今でも胃が重くなる場面です。

その後、報酬改定や事業環境の見直しが意識され、株価はさらに下がりました。
私の損失は、最初の想定より大きくなりました。
金額以上にきつかったのは、「調べたつもり」だったことです。

私は市場規模を調べていました。
社会的意義も分かっていました。
でも、会社がどのルールで利益を得ているかを見ていませんでした。

間違いは、テーマを信じたことではありません。
撤退基準を持たずに信じたことです。

今なら、こうします。

買う前に、中心サービスの報酬改定リスクを書きます。
営業利益率が2ポイント落ちたら、まず半分売ります。
制度資料で中心サービスの加算見直しが出たら、決算を待たずに半分落とします。
株価が平均取得単価から10〜12%下がり、同時に前提確認ができないなら撤退します。

あの失敗があったから、今の私は「国策」という言葉でナンピンしません。

社会に必要な事業でも、株価は容赦なく下がります。
そして、下がった株価を戻すのは、善意ではなく利益です。

ここから先は具体的な数字と運用の話です

障害福祉テーマは、全力で買うテーマではありません。
長く付き合うなら、最初から生き残るサイズで持ちます。

私なら、個人投資家の総リスク資産に対して、このテーマ全体を5〜12%に収めます。
まだ制度の読み方に慣れていない人は、3〜6%で十分です。
小型株中心になるなら、1社あたり1〜3%にします。

理由は簡単です。
制度変更、行政処分、人材不足、報酬改定が一度に来ると、個別株はかなり動くからです。
ディフェンシブな需要でも、株価はディフェンシブとは限りません。

建て方は、3〜4回に分けます。

1回目は、予定額の25〜30%。
制度資料と会社の中心サービスを確認したあとに入れます。

2回目は、次の四半期決算後。
売上成長が続き、営業利益率の低下が1ポイント以内なら追加します。

3回目は、報酬改定や制度資料の確認後。
中心サービスが評価される方向なら追加します。

4回目は、株価が一度冷えたときだけです。
最初の買値から15%以上上がっているなら、無理に追いません。

私は「良いテーマほど、ゆっくり買う」と決めています。
良いテーマなら、1日で逃げません。
1日で逃げるような値動きは、たいていテーマではなく需給です。

撤退基準は3点セットで置きます。

価格の撤退基準。
平均取得単価から10〜12%下がり、同時に制度や決算で前提確認ができない場合は撤退します。小型で値動きが荒い会社でも、15%を超えて放置しません。下げ幅を広げるなら、その分だけ保有サイズを半分にします。

時間の撤退基準。
買ってから2回の四半期決算、または6か月以内に、売上成長と利益率の両立が見えなければ半分にします。市場が伸びているのに会社の利益が残らないなら、その会社を持つ理由は弱くなります。

前提の撤退基準。
障害福祉サービス等の総費用額の伸びが前年比5%を下回り、利用者数の伸びも4%を下回る。さらに、中心サービスに加算見直しや減算が入り、営業利益率が2ポイント以上落ちる。ここまで重なったら、前提は崩れたと見ます。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

これはきれいごとではありません。
半分にすると、頭が戻ります。
全部持ったままだと、祈りが始まります。

私のミスを防ぐルールも置いておきます。

・市場規模の記事だけでは買わない
・報酬改定資料を読めないサービスには投資しない
・営業利益率が2ポイント落ちたら理由を確認するまで買い増さない
・制度変更で下げた銘柄はナンピンしない
・社会的意義と投資判断を同じ箱に入れない

保存用チェックリストです。
Yesが5つ未満なら、私は見送ります。

・その会社の売上が、どの障害福祉サービスから来ているか説明できますか
・中心サービスの報酬改定リスクを1つ言えますか
・売上成長率だけでなく、営業利益率の推移を見ましたか
・人件費率、採用状況、離職率に関する情報を確認しましたか
・行政処分や不正請求リスクを検索しましたか
・営業キャッシュフローが利益と大きくズレていないですか
・株価がすでに半年で30%以上上がっていないですか
・平均取得単価から何%下がったら売るか書きましたか
・制度資料が読めないまま、雰囲気で買おうとしていませんか

自分に聞いてほしい質問も3つあります。

この会社は、制度が厳しくなったときに残る側ですか。
売上が伸びても利益が残らない場合、何四半期まで待ちますか。
社会的に応援したい気持ちと、投資として保有する理由を分けられていますか。

答えられないこと自体が、悪いわけではありません。
ただ、答えられないまま大きく買うのは危ないです。

「公費依存なら、国が絞ったら終わりでは?」という指摘はもっともです

その指摘はもっともです。
障害福祉は公費依存の強い市場です。
だからこそ、景気に強い一方で、制度変更には弱いです。

ここを無視して「ディフェンシブ」と呼ぶのは、少し雑です。

私の答えは、条件分岐です。

総費用額が前年比5〜8%で伸び、利用者数も4%以上伸び、報酬改定が人材確保や質の評価を重視するなら、強い事業者には追い風です。
人を採れ、記録を整え、加算を正しく取り、行政対応もできる会社が残りやすくなります。

一方で、1人当たり費用額の伸びが高止まりし、政府資料で持続可能性と適正化の文言が強まり、特定サービスの加算が絞られるなら、話は変わります。
その場合、売上成長より利益率低下を優先して見ます。

障害福祉は、全部が同じ方向に動くセクターではありません。
報酬改定で勝つ会社と、苦しくなる会社が分かれます。

だから、私はセクター一括で「買い」とは見ません。
制度変更に耐える会社だけを、小さく、分けて、前提つきで持ちます。

今、誰が買い、誰が売っているのか

買っているのは、長期の社会インフラテーマを探す投資家です。
人口減の日本で、需要が制度によって支えられる場所は少ない。
その意味で、障害福祉は見つけられやすいテーマです。

一方で、売っているのは、短期の期待で入った投資家です。
「国策」「成長」「ディフェンシブ」で買った人ほど、報酬改定や不祥事、利益率低下のニュースで手放しやすいです。

ここに、事業者側の再編も重なります。
人材採用、請求事務、法令対応、ICT投資が重くなるほど、小規模事業者は単独で戦いにくくなります。
上場企業や資本力のある事業者には、買収や提携の機会が出ます。

ただし、再編期待だけで買うのは危険です。
買収は売上を増やしますが、管理できなければ不祥事リスクも増えます。

読者にとって大事なのは、誰が買っているかより、自分がどの時間軸で持つかです。
私はこのテーマを、短期の材料株ではなく、中期から長期の制度連動株として見ます。

明日スマホを開いたら、株価より先に見るもの

今日の要点は3つです。

障害福祉は、狭義で4兆円超の公的給付を土台にした成長市場です。
ただし、10兆円という言葉だけで買ってはいけません。

需要は伸びていますが、制度の持続可能性も同時に問われています。
つまり、伸びる市場ほどルール変更を見ます。

そして、良いテーマでも撤退基準なしに買えば、天井掴みになります。
核心はこれです。

伸びる市場ほど、小さく入る。

明日スマホで最初に見るものは、株価ではありません。
厚労省や社会保障審議会の障害福祉サービス等の費用資料です。
特に、総費用額、利用者数、1人当たり費用額の3つを見てください。

そのあとで、気になる会社の決算を見ます。
売上が伸びているか。
利益率が残っているか。
中心サービスが制度変更に耐えられるか。

ここまで見れば、少なくとも雰囲気で買うことは減ります。

投資で不安が消えることはありません。
でも、不安の正体が分かると、手は少し落ち着きます。

障害福祉は、静かに伸びている大きな市場です。
だからこそ、静かに見て、静かに入って、前提が崩れたら静かに降りる。
その距離感で付き合うのが、私はいちばん生き残りやすいと思っています。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。
記載内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
投資に関する最終判断はご自身の責任において行ってください。


項目本記事の要点
「伸び続ける」という言葉ほど、最初に疑ってかかります本記事固有の論点(「伸び続ける」という言葉ほど、最初に疑ってかかります)
このテーマでいちばん怖い敵は、楽観で突っ込むことです本記事固有の論点(このテーマでいちばん怖い敵は、楽観で突っ込むことです)
このニュースに反応したら負ける本記事固有の論点(このニュースに反応したら負ける)
公費が入る市場では、売上よりルール変更が先に来ます本記事固有の論点(公費が入る市場では、売上よりルール変更が先に来ます)
記事タイトル要約「障害福祉」は10兆円市場——少子化日本で唯一伸び続けるディフェンシブセクターの…
投資リサーチャー
反対側の視点も置いておきます。記事内の数字や前提が崩れたとき、どこから期待が剥がれるのか、本文末で一度棚卸ししておくと判断の精度が上がります。

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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