- 【免責事項】
- 【世界シェア1位の地熱タービン王者】富士電機 (6504)
- 【ファーボ出資で次世代地熱の本命】三菱重工業 (7011)
- 【データセンター×地熱で先手】三井物産 (8031)
しかし2026年4月、流れが一変します。経済産業省は温泉地以外でも発電できる次世代型地熱発電に対して、2026〜30年度に1102億円を支援することを決定。マグマ上部の高温高圧の流体から蒸気を生産して発電する「超臨界地熱」、高温の岩盤にパイプで水を通して熱を集める「クローズドループ」、地下で人工的につくった亀裂に水を注入して地熱をためる「EGS」の3方式に対し、調査・試験掘削費用の3分の2を国が出すという、過去にない規模の本格支援です。
なぜ今、地熱なのか。日本は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位の地熱資源を保有しながら、現状の設備容量は約52万kWと全電力のわずか0.3%程度。一方、生成AIの普及によるデータセンターの電力爆食、化石燃料依存からの脱却、エネルギー安全保障――あらゆるベクトルが「安定電源としての地熱」を指しています。経済産業省は2025年10月に次世代型地熱発電の導入に向けたロードマップを策定し、2040年には1.4GW、2050年には7.7GWにする計画を掲げました。
地熱発電所一基あたりの建設費は数百億円規模。タービン、発電機、耐熱合金、掘削、ポンプ、配管、地質調査、EPC、運営会社――その経済波及は驚くほど広範なバリューチェーンに及びます。本記事では、その流れの恩恵を直接受ける可能性が高い東証上場の20銘柄を、設備メーカー・操業者・素材・エンジニアリング・調査の各レイヤーで網羅的に整理しました。テーマ株として瞬間的に物色されるだけでなく、10年単位の構造変化を読み解く一助となれば幸いです。
【免責事項】
本記事は地熱発電関連銘柄に関する情報提供を目的とするものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。記載内容は執筆時点の公開情報に基づいており、正確性に万全を期しておりますがその完全性を保証するものではありません。株価・業績・各種数値は変動しますので、最新の情報は各企業のIRページ、有価証券報告書、適時開示等で必ずご確認ください。投資には元本割れのリスクが伴います。
【世界シェア1位の地熱タービン王者】富士電機 (6504)
◎ 事業内容:
富士電機は、発電プラント、産業用パワーエレクトロニクス、半導体、食品流通機器を主力とする総合電機メーカーです。発電プラント事業の中でも地熱発電設備は世界トップクラスのシェアを誇り、火力・原子力・水力など多様な発電技術と組み合わせたソリューション提供を強みとしています。 ・ 会社HP:
◎ 注目理由:
富士電機はこれまで国内外で84台(国内9台)、3,469MWの地熱蒸気タービン発電設備を受注しており、2000年以降の受注実績は世界シェア1位(36%)です。これは脱炭素を背景に世界中で地熱開発が活発化する中、極めて競争力のあるポジションといえます。
特筆すべきは業界では唯一、フラッシュ式とバイナリー式の両方のラインアップと実績を持つ点。これにより温泉地の小規模案件から大型IPPまで、あらゆる規模・性状の地熱資源に対応できます。1102億円の国費投入は、設計から製作・建設まで一貫して請け負えるEPC能力を持つ国内メーカーへ優先的に流れる可能性が高く、富士電機はその筆頭格です。次世代型でも、クローズドループや超臨界地熱に対応するタービン技術の高度化で先行しており、今後の国内案件公募で受注の中核を担うシナリオが描けます。
加えて同社はパワエレ・半導体事業も好調で、利益のクッションがある中で地熱という長期テーマを伸ばせる財務体力があるのも安心材料です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1923年に古河電気工業とドイツ・シーメンスの合弁会社として発足。戦後は日本の重電を支える存在となり、1960年に日本初の実用的地熱発電設備を松川向けに納入した歴史を持ちます。近年は半導体・パワエレが牽引役となり業績は最高水準を更新中。地熱では2020年代以降もインドネシア、ケニアなど海外大型案件を継続受注しています。
◎ リスク要因:
地熱案件はリードタイムが長く一過性の特需に左右されやすい点、為替変動の影響を受けやすい点、半導体市況の調整リスクなどには注意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
【ファーボ出資で次世代地熱の本命】三菱重工業 (7011)
◎ 事業内容:
エナジー、プラント・インフラ、物流・冷熱・ドライブシステム、航空・防衛・宇宙の4セグメントを柱とする日本最大の総合重機メーカーです。発電プラント、ガスタービン、原子力、防衛装備、商用航空機エンジン部品まで、社会インフラの中核を担う事業ポートフォリオが特徴です。 ・ 会社HP:
◎ 注目理由:
地熱の三大タービンメーカーの一角であり、東芝(24%)、三菱重工業(22%)、富士電機(20%)と高いシェアを有している世界市場の主役の一つです。日本で最初の地熱発電設備を納入した同社は、メキシコ・ニュージーランド・インドネシアなど海外で豊富な実績を積んでいます。
特に注目すべきは、2024年に米地熱発電スタートアップのファーボ・エナジー社に少額出資した戦略行動です。米ファーボは、石油ガス産業の水平掘削や水圧破砕などの掘削技術、分散型光ファイバーセンシング技術を地熱発電に応用することで、地下の高温岩体層に蓄えられたエネルギーを発電・工業熱源としてベースロードで利用できるシステム開発を行っている次世代地熱の最有力プレイヤー。100MWの商業案件を建設中で、2026年以降の運転開始、最終的には500MWへの拡張を目指しています。
つまり三菱重工は、従来型タービンの世界シェアと次世代地熱の中核技術への布石、両方を握っているわけです。1102億円の補助対象3方式すべてに関与できる体制を持つことが、他社にない強みです。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1884年の三菱重工業所創立以来、日本の重工業を牽引。近年は国産防衛装備の需要拡大、データセンター向けガスタービン受注、SMR(小型原子炉)開発でも注目を集め、2024〜2025年に株価が大きく評価切り上げを経験。地熱では2024年にインドネシア向け55MW級設備の商業運転を開始。
◎ リスク要因:
業績の中核は防衛・エネルギー大型案件で構成サイクルが長く、為替や資源価格の変動に左右される点、株価が既に大きく上昇しPERが高水準にある点には留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
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◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
【データセンター×地熱で先手】三井物産 (8031)
◎ 事業内容:
世界中で資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品、鉄鋼製品、生活産業、ヘルスケア、ICT、不動産、金融まで多種多様な事業を手がける総合商社です。LNGや鉄鉱石、原油など資源権益の保有規模では国内屈指で、近年は再エネ・水素・CCSなどエネルギートランジション分野への投資を加速させています。 ・ 会社HP:
https://www.mitsui.com/jp/ja/
◎ 注目理由:
地熱関連の文脈で三井物産を外せないのは、次世代型の地熱発電技術を開発する米新興のファーボ・エナジーと資本提携する動きが2025年12月に表面化したからです。温泉地以外でも熱を回収できるファーボの技術を活用し、データセンターと次世代地熱発電所の一体開発を検討する。人工知能の普及で電力需要が増えていく中、安定的な電力供給に寄与する次世代地熱の提携の動きが広がってきたと報じられています。
この動きの戦略的意味は極めて大きい。生成AIブームでデータセンターの電力需要は爆発的に増加していますが、太陽光・風力では24時間安定供給が難しく、原子力は地域的制約が大きい。次世代地熱+データセンターの組み合わせは、ハイパースケーラー(MS、Google等)が喉から手が出るほど欲しい構造です。三井物産はその橋渡し役を国内外で担えるポジションにいます。
三菱重工が機器、三井物産が事業組成――同じファーボ陣営にいながらレイヤーが違い、両社とも独自のアップサイドがあります。
◎ 企業沿革・最近の動向:
戦前から続く三井財閥の中核商社で、戦後分割を経て1959年に現在の体制で再発足。LNG事業や鉄鉱石権益で巨額の利益を生み出す体質を構築し、近年は脱炭素・ヘルスケアへの戦略投資を本格化。2025年は北米でのAIデータセンター・電源開発の動きを矢継ぎ早に発表しています。
◎ リスク要因:
資源価格の変動が業績に与える影響が大きく、原油・LNG・鉄鉱石市況の急落シナリオには留意が必要です。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/8031
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/8031.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC108J00Q5A211C2000000/
【国内地熱事業で50年の蓄積】出光興産 (5019)
◎ 事業内容:
石油精製・販売、石油化学、資源(石炭・石油・天然ガス)、電力・再生可能エネルギー、機能材料を主軸とする総合エネルギー企業です。SS(サービスステーション)の「apollostation」ブランドで国内屈指のネットワークを持ち、近年は脱炭素事業への大型投資を進めています。 ・ 会社HP:
https://www.idemitsu.com/jp/
◎ 注目理由:
地熱事業の歴史は意外なほど長く、1973年の第1次オイルショックを受け、エネルギーの多様化が重要と考え、新たなエネルギー源の一つとして地熱資源に注目し、同時期から地熱資源調査を行ってきました。大分県において、1996年に九電みらいエナジー株式会社滝上発電所への蒸気供給事業を、2017年に滝上バイナリー発電所の単独操業を開始しています。
つまり出光は、半世紀近くにわたって地下の蒸気資源を実際に「掘り続け、見続けてきた」企業です。次世代地熱で重要なのは、地下構造への深い理解と、リスクの高い試掘を粘り強くやり切れる体力。1102億円の補助金で試掘費用の3分の2が国費でカバーされるなら、すでに調査データの蓄積を持つ出光の優位性は際立ちます。
加えて、滝上発電所では地下の持続可能な資源量に見合う適正な発電出力の選定を行っており、安定した高い設備利用率が特長である地熱発電所の中でも、特に高い水準の設備利用率を維持・継続と発表されており、運営ノウハウのレベルも高い。再エネ「24時間電源」テーマの本命の一つとして見ておきたい銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1911年創業の出光商会を起源とし、2019年に昭和シェル石油と経営統合。EV化やカーボンニュートラルへの構造転換を急ぎ、SAF(持続可能な航空燃料)・水素・アンモニア・地熱・洋上風力など多方面に投資を加速しています。
◎ リスク要因:
石油精製事業の構造的縮小、原油市況の変動、再エネ投資の収益化までのタイムラグなどがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5019
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5019.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.idemitsu.com/jp/business/geothermal/
【掘削技術を地熱に転用する資源王者】INPEX (1605)
◎ 事業内容:
日本最大の石油・天然ガス開発企業で、上流(E&P)事業を中核に、世界20カ国超でプロジェクトを展開しています。オーストラリアのイクシスLNGを旗艦に、低炭素化に向けた水素・アンモニア・CCS・再エネ・地熱の事業ポートフォリオを構築中です。 ・ 会社HP:
https://www.inpex.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱開発の最大のハードルは「地下を掘る」ことです。INPEXは石油・ガス開発で世界に出ていく中で蓄積した掘削技術・地質モデリング・リザーバー解析・物理探査の能力を、地熱に応用できる稀有な企業です。2011年から、秋田県と北海道で地熱発電の事業化に向けた共同調査を実施し、2013年7月からは構造試錐井の掘削を開始しており、足の長い投資を継続しています。
また2021年09月13日に、総額100億円のグリーンボンド(環境債)を発行すると発表。この調達資金は国内外の地熱発電所や風力発電所の開発に充てるとのこと。資金調達面でも地熱を「事業化フェーズ」として位置付けていることが明確です。
次世代地熱の3方式――特に超臨界地熱とEGS――はどちらも「深く・正確に・経済的に」掘ることが核心です。シェールガス革命を実現したのが石油業界の掘削技術であったのと同様に、次世代地熱革命を実現するのも掘削プレイヤーの技術。資源大手INPEXは、技術と資金とノウハウの三拍子が揃った稀有な存在です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
国際石油開発と帝国石油の経営統合で2008年に発足。イクシスLNG稼働後はキャッシュ創出力が劇的に強化され、自社株買い・増配・脱炭素投資の三本柱を進めています。2024〜2025年には洋上風力・水素・CCSプロジェクトを国内外で次々と推進。
◎ リスク要因:
原油・LNG価格の急落、為替、地政学リスク、国内地熱事業のリードタイムの長さなどがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/1605
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/1605.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.inpex.co.jp/news/
【国産E&P技術で地熱に攻める】石油資源開発・JAPEX (1662)
◎ 事業内容:
国内最大手の独立系石油・天然ガス開発・販売会社で、新潟・秋田・北海道などで原油・天然ガスの生産を行うほか、ガスパイプライン網の建設・運営、LNG輸入、海外権益、CCS、地熱発電など多角的に事業展開しています。 ・ 会社HP:
https://www.japex.co.jp/
◎ 注目理由:
JAPEXは日本国内のエネルギー資源開発の歴史そのものといえる企業で、1955年の創業以来半世紀以上にわたり、日本におけるエネルギーの安定供給に貢献しており、長年の石油・天然ガスのE&P(探鉱・開発・生産)で培った、豊富な実績と確かな技術力を保有しています。
注目したいのは、地熱資源と石油・ガス資源の地下構造評価が共通する技術基盤を持つ点。地震探査、坑井掘削、貯留層シミュレーション、坑井検層――これらの技術の応用先として、地熱は同社にとって極めて自然な拡張領域です。秋田県鹿角市八幡平地区には澄川・上の岱の発電所・蒸気供給事業の長年の実績があり、国内地熱の有数の事業者です。
特筆すべきは、JAPEXは工場や火力発電などから発生する二酸化炭素を、大気へ放散する前に地層に圧入して長期間貯蓄する技術である「CCS」の技術開発に貢献している点。地熱もCCSも「地下に深く正確に掘り、長期に管理する」技術。1102億円の次世代地熱補助は、こうしたE&P技術を国内インフラに転用する政策意図そのものであり、JAPEXは政策プレーの中心に置かれる可能性が高い。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1955年に国策会社として設立。1970年に民営化し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場。低炭素化戦略を加速し、CCS実証、海外権益拡大、地熱・洋上風力への参画を進めています。
◎ リスク要因:
国内ガス需要の構造的減少、原油・LNG市況、地熱開発リードタイムの長さがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/1662
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/1662.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.japex.co.jp/ir/library/
【日本の地熱フロンティアを抱える電力】九州電力 (9508)
◎ 事業内容:
九州地域における電力供給を担う大手電力会社で、原子力(玄海・川内)、火力、再生可能エネルギー、送配電網運営を主力とします。海外の発電事業、ICT・通信、不動産など多角化も進めており、グループの九電みらいエナジーが地熱・太陽光・風力等の再エネ運営を担っています。 ・ 会社HP:
https://www.kyuden.co.jp/
◎ 注目理由:
火山列島・日本で最も地熱資源に恵まれているのが九州です。八丁原・大岳・滝上・大霧・山川など、国内主要地熱発電所の多くが九州電力グループの運営・関与のもとにあり、国内地熱の累積運転ノウハウは群を抜きます。火山フロントが集中する九州は、まさに次世代地熱の最重要フロンティアです。
注目点は、原発再稼働で得たキャッシュフローを再エネ・地熱開発に振り向けやすい財務体質。原発再稼働組合せで電源バランスを安定させつつ、補助金を活用した地熱新設という王道の戦略が描けます。1102億円の補助対象は「次世代型」ですが、これは既存運営者にとっても既設サイト周辺での増強・リプレース機会を意味します。
加えて、九州はTSMC熊本工場をはじめとした半導体投資の集積地となっており、域内電力需要は構造的に拡大中。地熱でクリーン電力を増設できれば、半導体・データセンター誘致のさらなる呼び水となる――政策的にも経済合理性が高いプレーです。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1951年の電気事業再編で発足。原発再稼働でいち早く実績を上げ、近年は半導体需要の追い風で業績好調。海外IPP事業の拡大、SMR検討、地熱増強など電源多様化を加速しています。
◎ リスク要因:
電力小売自由化に伴う競争、火力発電の燃料費変動、原発の安全規制・地域社会との調整、台風など自然災害リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/9508
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/9508.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.kyuden.co.jp/company_news.html
【23年ぶり大規模地熱を実現した卸電力】J-POWER・電源開発 (9513)
◎ 事業内容:
火力、水力、原子力、風力、地熱、海外発電など多様な電源を有する卸電力会社です。一般電気事業者やIPPに電力を販売し、海外でも発電・送電事業を展開。脱炭素戦略「BLUE MISSION 2050」を掲げ、再エネ・水素・CCSへの投資を加速しています。 ・ 会社HP:
https://www.jpower.co.jp/
◎ 注目理由:
J-POWERは国内地熱開発の歴史的なエポックメーカーです。湯沢地熱株式会社は山葵沢地熱発電所の建設を進め、2019年5月20日に営業運転を開始。秋田県湯沢市の有望な地熱資源を活用して、発電出力46,199kWの発電を行うものであり、出力10,000kWを超える大規模地熱発電所の稼働は国内では23年ぶりという快挙でした。
さらに2024年3月1日からは安比地熱発電所(出力14,900kW)の営業運転を開始。三菱マテリアル、三菱ガス化学、Jパワーの3社の共同出資による地熱発電共同事業として、山葵沢に続き2ヶ所目。岩手県において発電出力10,000kWを超える地熱発電所の稼働は28年ぶりです。
つまりJ-POWERは、国内地熱の「凍結を解凍した」立役者の中核。1102億円の次世代地熱補助の主要受益者として最も整合性が高いプレイヤーの一つです。卸電力という安定収益基盤の上に、地熱・洋上風力・水素混焼石炭などの脱炭素オプションを積み上げている姿は、長期投資家にとって魅力的な構造です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1952年に国策会社として設立。2004年民営化。近年は石炭火力の脱炭素転換、水素・アンモニア混焼、洋上風力大型化、海外発電事業の拡大を進めています。山葵沢・安比に続く地熱新規開発も継続検討中。
◎ リスク要因:
石炭火力比率の高さに伴う脱炭素圧力、海外IPPの政治・為替リスク、地熱開発のリードタイムの長さがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/9513
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/9513.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.jpower.co.jp/news_release/
【地熱発電を本業に持つ非鉄大手】三菱マテリアル (5711)
◎ 事業内容:
非鉄金属(銅製錬・加工)、セメント、シリコンウェハー、超硬工具、加工事業、リサイクル、エネルギー事業を展開する三菱グループの大手素材メーカーです。地熱発電は「再生可能エネルギー事業」の中核セグメントとして位置付けられています。 ・ 会社HP:
https://www.mmc.co.jp/
◎ 注目理由:
意外に思われるかもしれませんが、三菱マテリアルは長年にわたり日本国内の地熱発電を実質的に運営してきたプレイヤーです。大沼地熱発電所(出力9,500kW)は、昭和49年6月に運転を開始しました。東北では2番目、全国では3番目に完成した歴史を持ち、半世紀にわたる運営実績があります。
加えて湯沢地熱(株)が国内で23年ぶりの大型地熱発電所である山葵沢地熱発電所(秋田県湯沢市)の営業運転を開始させた共同事業の中核。J-POWER・三菱ガス化学との共同出資の山葵沢、続く安比と、国内地熱大型案件のキープレイヤーです。
注目したいのは三菱マテリアルが、銅製錬で培った熱・流体・腐食対策のノウハウを地熱に応用できる点。地下から取り出す熱水には腐食性が高く、配管・タービン部材の選定・保守が運営の決め手になります。非鉄金属メーカーとしての素材知見が、運営の「目に見えない競争力」になっているわけです。1102億円補助の追い風を、銘柄横断のテーマで受けやすいバランス型銘柄として注目です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して発足。落雷により安比地熱発電所が操業停止したことが、再生可能エネルギー事業の減収減益要因になるなど短期の波はあるものの、地熱事業は確実に再生エネ部門の柱に育っています。
◎ リスク要因:
銅市況の変動、セメント・シリコンウェハー事業の市況、地熱発電所の自然災害による停止リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5711
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5711.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/company/future.html
【メタノール世界首位の隠れた地熱パートナー】三菱ガス化学 (4182)
◎ 事業内容:
メタノール、芳香族化学品、機能化学品、無機化学品、エレクトロニクス材料、特殊機能材を展開する大手化学メーカーです。半導体用過酸化水素や光学樹脂で世界トップシェアを持つほか、近年は脱炭素関連事業として地熱発電にも参画しています。 ・ 会社HP:
https://www.mgc.co.jp/
◎ 注目理由:
化学メーカーがなぜ地熱に?と意外に思われるかもしれませんが、湯沢地熱株式会社は電源開発・三菱マテリアル・三菱ガス化学の共同出資。山葵沢・安比という国内地熱の歴史的プロジェクトに化学メーカーとして資本参画している珍しい立ち位置です。
なぜか――地熱熱水には溶存ガス(CO2、H2S等)や有価鉱物(リチウム、リチウム塩、ヨウ素、ホウ素など)が含まれており、化学プロセスとして処理・回収する技術が必要になります。三菱ガス化学は実はヨウ素の世界的生産者であり、地下流体からの有価成分回収の技術知見が深い。次世代地熱では「地熱発電+リチウム回収」のような複合事業モデルも検討されており、化学メーカーの参画は今後さらに価値を増す可能性があります。
時価総額は重厚長大よりは中堅で値動きも軽く、地熱テーマでの再評価余地が大きい銘柄。半導体・電子材料の伸びが本業を支える中、地熱は将来の選択肢を広げる戦略事業として見ておきたい存在です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1971年に三菱江戸川化学と日本瓦斯化学工業が合併して発足。半導体材料、ヨウ素、光学樹脂など世界シェア上位のニッチを多数保有。脱炭素では地熱に加え、メタノールを起点とした水素・CCU関連事業を強化しています。
◎ リスク要因:
メタノール市況の変動、半導体需要の調整、地熱発電所の自然災害停止リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/4182
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/4182.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.mgc.co.jp/news/
【国内最大バイナリー所有のリース大手】オリックス (8591)
◎ 事業内容:
リース、銀行、生命保険、不動産、環境エネルギー、事業投資、海外事業など多角化経営を展開する総合金融サービス企業です。再生可能エネルギー事業ではメガソーラー、風力、地熱、バイオマスを国内外で運営しており、運営資産規模は同業の中でも屈指です。 ・ 会社HP:
https://www.orix.co.jp/grp/
◎ 注目理由:
オリックスは別府温泉の「杉乃井ホテル」をグループに持つことから、地熱に関する実地のノウハウを蓄積してきた珍しい金融プレイヤーです。北海道函館市南茅部地域において、バイナリー方式では国内最大規模となる設備容量6,500kW(6.5MW)の地熱発電所「南茅部地熱発電所」の商業運転を2024年5月に開始。さらに秋田県湯沢市において、設備容量4,500kW(4.5MW)程度の地熱発電所を建設する計画で調査・掘削を進めており、東京都八丈島においても新たな地熱開発を計画しているなど、複数地点で開発パイプラインを持っています。
オリックスの強みは、地熱という「リスクは高いが安定電源」を、リース・金融としての与信判断+運営ノウハウ+資金力の3点セットで開発できる点。1102億円の補助金は調査・試掘の3分の2を国が負担する仕組みなので、開発資金リスクが大幅に低下した今、オリックスのような事業者にとって投資ハードルは過去最も低くなっています。
PER10倍前後の割安バリュエーション、増配・自社株買いの株主還元姿勢、再エネポートフォリオの広がり――地熱テーマだけでなく総合的に魅力のある銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1964年に「オリエント・リース」として設立。70年代以降、金融複合経営に転換し、現在は環境エネルギー事業を成長の柱の一つに据えています。別府温泉 杉乃井ホテルは「杉乃井地熱発電所」を所有・運営。南茅部地熱発電所の運転開始は近年最大のトピックの一つ。
◎ リスク要因:
リース・金融事業の与信、不動産市況、海外事業の為替・地政学、地熱開発の試掘失敗リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/8591
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/8591.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.orix.co.jp/grp/business/geothermal_power.html
【次世代地熱の素材で日本を背負う】大同特殊鋼 (5471)
◎ 事業内容:
特殊鋼の国内最大手で、高合金、磁石、ステンレス、機能材料を主力とし、自動車・半導体・航空宇宙・エネルギーの幅広い分野に高機能素材を供給しています。耐熱・耐食合金の技術力では世界トップクラスで、過酷環境向けニッチ市場での競争力が際立ちます。 ・ 会社HP:
https://www.daido.co.jp/
◎ 注目理由:
次世代地熱、特にEGSや超臨界地熱の最大の技術課題は「地下深部・高温高圧・腐食性ガス環境に耐える機材」です。2022年10月に、EGS(強化型地熱発電システム)で使用が可能な熱安全性に優れる耐食合金および密閉技術開発が日本財団の助成プログラムに採択。大深度層での地熱発電を実現する技術開発を推進している。シェブロン向けに専用鋼管部品を開発との報道もあります。
ここがポイントです。1102億円補助の対象は「超臨界地熱」「クローズドループ」「EGS」の3方式すべて、いずれも従来型より厳しい環境(地下3,000m以深、超高温・高圧・腐食性流体)で機材が稼働します。耐熱合金、耐食合金、特殊継手――こうした「縁の下の力持ち」素材の供給で先頭に立てる企業は、国内では大同特殊鋼が筆頭です。
高温強度、高耐食性、高靭性などを備え、過酷な環境下においても半永久的な耐久性が求められる発電設備用製品の供給で実績を積んできた同社にとって、次世代地熱は新しい巨大需要源となる可能性があります。半導体・EV関連の足元の市況不透明感を、地熱テーマが下支えする展開を期待したい銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1916年に「電気製鋼所」として創業。特殊鋼業界の長年のリーダー。航空機エンジン用超耐熱合金、EV用磁石、半導体製造装置向け部材など高付加価値領域で成長中。2025年以降は地熱・水素・SMRなど次世代エネルギー向け素材を本格的に伸ばす方針。
◎ リスク要因:
自動車・半導体市況の変動、原材料(レアアース等)価格の変動、為替変動がリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/5471
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/5471.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.daido.co.jp/products/superalloy/heat/index.html
【クローズドループの日本側パートナー】東洋エンジニアリング (6330)
◎ 事業内容:
肥料、石油化学、石油・ガス処理、資源開発、発電などの幅広い分野にエンジニアリングサービスを提供する総合エンジ会社です。EPC(設計・調達・建設)の一気通貫でプラントを構築する力に強みを持ち、グローバルに60カ国超で実績を持ちます。 ・ 会社HP:
https://www.toyo-eng.com/jp/
◎ 注目理由:
東洋エンジニアリングは次世代地熱の中で、明確な勝ち筋を握りつつある銘柄です。2025年9月、米国の地熱開発事業者GreenFire Energy Inc.と、GFE社がもつ先進地熱システム(AGS)である同軸二重管方式クローズドループ技術を、アジア太平洋地域において共同展開するための協業契約を締結。2025年度〜2026年度中に実証試験を行う予定と明示されています。
クローズドループは1102億円補助の3方式の一つで、従来型の地熱開発には地下水、地熱貯留層、熱源の三要素が必要だが、当技術においては熱源が確保できれば、地下水、地熱貯留層がなくても多様なフィールド条件での適用が期待される技術。日本の地熱開発が立地的・社会的制約で進まなかった構造的課題を、文字通り「迂回」できる革新です。
加えてJOGMECが委託する「次世代型地熱発電技術」に関する実現可能性調査事業にTOYO提案が採択されており、官民の両側面から推されている形。エンジニアリング会社としては小型〜中型の時価総額ながら、地熱テーマでの注目度は群を抜きます。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1961年に三井グループの肥料・化学プラント専業エンジ会社として設立。インドネシア、サウジ、米国、ロシアなど大型プラント案件で世界的な実績を蓄積。2023年9月にもインドネシアでクローズドループ・リチウム回収・グリーン水素の共同研究を発表しており、地熱への一貫したコミットメントが目立ちます。
◎ リスク要因:
大型EPC案件の損益振れ、コスト・工期管理、為替、地政学リスク、地熱実証案件の事業化までのタイムラグがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6330
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
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◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.toyo-eng.com/jp/ja/solution/geothermal/
【プラント建設最大手のEPC機会】日揮ホールディングス (1963)
◎ 事業内容:
LNG、原油・天然ガス処理、石油化学、医薬品、エネルギー、バイオマス、原子力など世界中で多種多様な大型プラントを建設する総合エンジニアリング最大手です。総合エンジニアリング事業に加え、触媒・ファインケミカル・電子材料の機能材製造事業も展開しています。 ・ 会社HP:
https://www.jgc.com/jp/
◎ 注目理由:
日揮ホールディングスは、地熱を本業として強調するタイプではありませんが、国内外の大型エネルギープラント建設では国内最大手であり、地熱発電所のEPC受注力では富士電機・三菱重工と並ぶ実力者です。1102億円補助の出口は最終的にプラント建設工事に流れ込むため、国内EPC市場の構造的拡大は同社にとって追い風になります。
注目すべきは2024年以降の国内EPC体制の強化。日揮株式会社は、2024年11月に、今後国内で低・脱炭素分野や資源循環分野におけるプラントの設計・調達・建設(EPC)案件の増加に対応していくために、長崎県長崎市に新たなエンジニアリング拠点を開設しており、また同年に高田工業所の株式約20%を取得するなど国内施工力の補強を急いでいます。
これは政府の脱炭素・GX政策に伴う国内案件の急増を見越した動きで、次世代地熱はその中核テーマの一つ。LNG・水素・アンモニア・SAF・CCSなど他テーマとの掛け算でも恩恵を受けやすく、長期的なエネルギートランジション投資先として組み入れる価値があります。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1928年「日本揮発油」として創業。日本のプラントエンジ業界を切り開いてきた老舗。2024〜2026年は受注残高が好調に推移し、業績見通しも上方修正基調が続いています。
◎ リスク要因:
大型海外案件の損益振れ、為替、地政学、原材料費高騰、コスト管理のリスクがあります。
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https://minkabu.jp/stock/1963
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◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.jgc.com/jp/news/
【地質調査の日本最大手】応用地質 (9755)
◎ 事業内容:
地質調査の国内最大手で、防災・インフラ・環境エネルギー・国際事業を4本柱に展開する東証プライム上場企業です。地震観測、物理探査、地下水・土壌調査、社会インフラの非破壊検査、海洋物理探査、ハードウェア機器販売など、地下と環境を「見える化」する技術ポートフォリオが特徴です。 ・ 会社HP:
https://www.oyo.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱発電の最大のコスト・リスクは「地下を当てる」こと。十分な蒸気が噴出するかどうかは掘削して確かめなければならず、初期調査だけでも10億円以上かかるとも言われている。成功率は2〜3割程度です。だからこそ、掘る前の物理探査・地質モデル構築の精度が事業の成否を分けます。応用地質はここで圧倒的な国内シェアを誇る企業です。
物理探査機器の開発・製造・販売、海外地域のインフラを支える調査・設計・工事・施工管理サービスを一手に引き受けており、地熱事業の最上流から関わることができる稀有なポジションを占めています。1102億円のうち「調査・試験掘削」に充てられる部分は3分の2が国費負担。つまり初期調査の発注は国費でカバーされるため、調査会社にとっては受注機会の純増です。
防災・国土強靭化の構造的需要に加え、次世代地熱という新しい大型テーマが追加される構図は、業績の二重底上げ要因となる可能性があります。時価総額500〜600億円規模で、地熱テーマ独自の値動きの軽さも期待できる銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1957年に日本初の地質コンサルタントとして創業。防災・インフラ分野での実績を強みに、近年は海洋風力・地熱・カーボンマネジメントなど環境エネルギー領域への展開を加速しています。
◎ リスク要因:
公共工事関連の予算動向、国際事業の地政学リスク、人件費高騰、為替変動などがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/9755
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
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◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.oyo.co.jp/cms/ir/
【空から地熱適地を見つける航空測量大手】アジア航測 (9233)
◎ 事業内容:
航空測量、空間情報サービス、防災コンサルティング、社会インフラ、環境エネルギー分野で事業を展開する東証スタンダード上場の専業大手です。航空写真、LiDAR、衛星画像、GIS、地形解析を組み合わせて、国土の「見える化」と意思決定支援を提供しています。 ・ 会社HP:
https://www.ajiko.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱適地の選定では、地形・断層・温泉湧出・植生・河川などを総合解析することが第一歩。航空測量と高精度LiDARが圧倒的な威力を発揮するフィールドです。アジア航測は国内航空測量の老舗で、地熱開発における広域スクリーニングや環境影響評価支援で多数の実績を持ちます。
特に次世代地熱の補助対象である超臨界地熱・クローズドループ・EGSは、いずれも「従来は開発できなかった場所」での実証が中心となります。新しい候補地を広域で発掘する作業は、空からの俯瞰なしには進みません。1102億円の補助金が試掘前段階の調査にも充てられる中で、アジア航測のようなフロント業務を担う企業の受注機会は確実に増えるでしょう。
時価総額が小さく、テーマ株として瞬発的に物色される展開もしばしば。本業の防災・国土強靭化と地熱テーマの掛け算で、中長期的にも面白い銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1954年に「アジア航空測量」として設立。長年、国土地理院や自治体向けの航空測量で実績を積み、近年は防災DX、3D都市モデル、衛星リモートセンシングなどで領域を拡大しています。
◎ リスク要因:
公共予算依存度が高く、財政政策の影響を受けやすい点、競争激化、人材確保の課題がリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
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◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.ajiko.co.jp/news/
【再エネ向け重電で受注好調】明電舎 (6508)
◎ 事業内容:
変圧器、配電盤、開閉装置、産業システム、水処理プラント、電動車両駆動システムを主力とする住友系の重電メーカーです。電力会社向け重電機器、上下水道インフラ制御、再生可能エネルギー向け発電機・系統連系設備など、社会インフラの基幹を支える事業構成です。 ・ 会社HP:
https://www.meidensha.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱発電所には、タービンに直結する発電機、変圧器、開閉装置、保護リレー、系統連系設備など多くの重電機器が必要です。明電舎はこれらの分野で長年の実績があり、地熱・水力・バイオマスなど分散型再エネ向けの「裏方」を支えてきました。
直近では変圧器増産へ160億円 明電舎、再エネ需要増加でといった報道に見られるように、再エネ拡大・送電網投資の流れで重電設備の需要が構造的に強くなっています。地熱はその中の重要なピースで、1102億円補助で全国の地熱発電所新設・既設更新が進めば、重電機器の受注機会は確実に増えるはずです。
加えて明電舎は水処理・下水処理での実績も豊富で、地熱熱水の処理・還元井設備など周辺領域でも貢献余地があります。重電の中堅という安定基盤と、再エネ・データセンター向け変圧器という成長領域を併せ持つバランス型の銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1897年創業、長年の電動機・発電機・変圧器の老舗。近年は再エネ拡大、データセンター向け変圧器の引き合いが強く、業績拡大が継続しています。EV駆動システム、水素関連機器など脱炭素の伸び代も豊富です。
◎ リスク要因:
公共投資・電力会社の設備投資動向、原材料費、為替変動、半導体・部材調達リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6508
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6508.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.meidensha.co.jp/news/
【日本最古の地熱地点に蒸気を供給】日鉄鉱業 (1515)
◎ 事業内容:
石灰石採掘・販売、銅鉱山開発、再生可能エネルギー(地熱・太陽光)、不動産を主力とする資源・素材企業です。鳥形山(高知)の石灰石は日本製鉄など鉄鋼向けの主要供給源で、チリのアタカマ銅鉱山では電気銅も生産。日本製鉄系の旧財閥系資源会社です。 ・ 会社HP:
https://www.nittetsukou.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱との関わりは深く長く、大霧発電所は事業用としては国内で10番目の地熱発電所で、蒸気供給部門を日鉄鉱業(株)が、発電部門を九州電力(株)が担当し、共同で運営しています。再生可能エネルギー事業は、地熱部門の増収に加えて修繕費の減少もあり、利益が増加しました。稼働が安定すれば、比較的変動要因が少ない収益源としての役割が高まると業績解説でも示されています。
日鉄鉱業の特徴は、「掘る」ことを本業としてきた企業ならではの地下知見の深さ。鉱山開発の探鉱・坑井掘削・地質モデリングのノウハウは、そのまま地熱資源の評価に応用できる強みです。1102億円補助の「試掘費用3分の2国費負担」は、日鉄鉱業のような既存掘削プレイヤーの新規地点開拓のハードルを大きく下げます。
時価総額は比較的小ぶりで、銅・石灰石・地熱という3つの異なる構造の収益源を持つユニークなポートフォリオ。テーマ株として注目される際の値動きの軽さも魅力です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1939年「日鉄鉱業」として日本製鐵から分離独立。1989年7月に新日本製鐵・日鉄鉱業と九州電力が地熱発電に関する基本協定を締結。大霧発電所の蒸気供給で長期的な実績を持ち、銀湯地区の南東方に隣接する白水越地区においても新たな地熱開発を目指しています。
◎ リスク要因:
銅・石灰石の市況変動、海外鉱山の地政学・為替リスク、自然災害による出荷停止、地熱関連の係争(子会社)などがリスクです。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/1515
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/1515.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.nittetsukou.co.jp/geothermal/
【医薬CROと地熱の異色二刀流】新日本科学 (2395)
◎ 事業内容:
医薬品の非臨床試験・臨床試験を受託するCRO(医薬品開発受託機関)事業を中核に、経鼻投与基盤技術のトランスレーショナルリサーチ(TR)事業、メディポリス指宿の自然資本を活用する社会的利益創出事業(地熱発電・ホテル等)を展開する東証プライム上場企業です。 ・ 会社HP:
https://www.snbl.com/
◎ 注目理由:
CRO事業がメインの会社になぜ?と思われるでしょうが、メディポリス事業では、発電事業並びにホスピタリティ事業を運営。前者では、自社保有するメディポリス指宿敷地内に環境に配慮したバイナリー式地熱発電所(1500kW級)を建設し、売電事業を行っており、加えて、既存のホテル泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所が2025年4月10日に稼働を開始しています。
鹿児島県指宿という日本有数の温泉地で、地熱資源の自社管理権を持っているのは大きな差別化ポイントです。次世代地熱でも、既存温泉地での蒸気活用は無視できない選択肢の一つ。FIT制度を活用した売電に加え、新たな温泉発電625kWの追加稼働で再エネ収益が階段状に積み上がる構造です。
CRO事業という医薬品開発の追い風業種を本業とした上で、地熱という長期テーマも握っているという二刀流的構造は他にあまり見られません。テーマ株として地熱の物色が来た際の値動きも軽く、時価総額の点でも個人投資家が参戦しやすい銘柄です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1957年創業。CRO事業で国内有数の地位を築き、近年はメディポリス指宿で陽子線治療センター運営、地熱発電、ホテル運営を組み合わせた独自の医療リゾート構想を推進しています。
◎ リスク要因:
CRO事業の受注変動、医薬品開発市場の規制変更、地熱発電所の自然災害停止リスクなどがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/2395
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/2395.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://snbl.com/service/medipolis/
【地熱の縁の下を支えるポンプ専業】電業社機械製作所 (6365)
◎ 事業内容:
大型ポンプ、送風機、水力発電用水車などを主力とする産業機械メーカーです。上下水道、発電所、化学プラント、地熱発電向けの流体機械を専業で手がけており、ニッチながら高シェアの分野を多数持つ、東証スタンダード上場の老舗企業です。 ・ 会社HP:
https://www.dmw.co.jp/
◎ 注目理由:
地熱発電所には実は驚くほど多くのポンプが使われます。生産井から熱水を引き上げる揚水ポンプ、還元井に熱水を戻す還元ポンプ、復水器の冷却水ポンプ、補機の温水ポンプ――いずれも高温・腐食性流体に耐える特殊仕様が要求されます。電業社機械製作所は、この地熱発電プラント向けポンプを長年供給してきた数少ない国内専業メーカーの一つです。
時価総額は数十億円規模と小さく、株価の値動きも軽い銘柄ですが、本業の上下水道インフラの構造的需要に加えて、1102億円補助による地熱新設の波及は売上規模に対するインパクトが相対的に大きくなり得ます。テーマ株物色の対象としても面白いポジションです。
加えて同社は大型ポンプが主力。送風機でも実績あり、データセンター冷却向けや風力発電向け関連事業の伸びも期待できる総合性も併せ持ちます。地熱の周辺機器の本命として、機関投資家のレーダーに乗りにくい銘柄だからこそ注目しておきたい一社です。
◎ 企業沿革・最近の動向:
1910年創業、100年超の歴史を持つポンプ専業メーカー。上下水道インフラの老朽化更新需要、再エネ向け流体機械の需要が業績を下支えしています。
◎ リスク要因:
公共投資の動向、原材料・人件費の高騰、為替変動、競合との価格競争、時価総額の小ささからくる流動性リスクがあります。
◎ 参考URL(みんかぶ):
https://minkabu.jp/stock/6365
◎ 参考URL(Yahoo!ファイナンス):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/6365.T
◎ 参考URL(最新のIRや関連ニュース):
https://www.dmw.co.jp/news/
ここまで、次世代地熱発電の1102億円補助によって直接・間接に恩恵を受けうる東証上場の20銘柄を、タービン・操業者・素材・エンジニアリング・調査の各レイヤーで横断的に整理しました。
地熱は太陽光や風力と違い、設備利用率70%超という安定電源としてのポテンシャルを持ちながら、長らく日本では「政策の空白地帯」に置かれてきました。その地殻変動が、まさに2026年に始まろうとしています。テーマ株として一過性の物色対象になるだけでなく、10年、20年の構造変化を読み解く参考になれば幸いです。最終的な投資判断は、各社の最新IR・有価証券報告書・適時開示を必ず確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
| No. | 記事内セクション | 関連データ/補足 |
|---|---|---|
| 1 | 【免責事項】 | 102億 |
| 2 | 【世界シェア1位の地熱タービン王者】富士電機 (6504) | 52万 |
| 3 | 【ファーボ出資で次世代地熱の本命】三菱重工業 (7011) | 0.3% |
| 4 | 【データセンター×地熱で先手】三井物産 (8031) | 36% |
| 5 | 【国内地熱事業で50年の蓄積】出光興産 (5019) | 24% |


















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