- あなたの画面は、ひとつの色に染まっていませんか
- 毎日飛び交うニュースの嵐から身を守るために
- 「米国株だけ持っていればいい」という声に対する私の答え
- 今、市場の裏側で静かに起きている歪み
全員が同じ方向を向いて走っているとき、本当に怖いのはその道が間違っていたときではありません。引き返そうとしたとき、出口に人が殺到して誰一人抜け出せなくなることです。この記事を読むと、あなたのポートフォリオに潜む見えない死角の正体が分かり、嵐が来る前に静かに避難所を構築するための具体的な手順を持ち帰ることができます。
あなたの画面は、ひとつの色に染まっていませんか
あなたの証券口座のアプリを開いてみてください。そして、保有している資産の円グラフをじっと眺めてみてください。
その資産の8割、あるいは9割以上が、海を越えたひとつの国の通貨と、ひとつの国の企業群の成績に依存していませんか。米国株のインデックスファンド、あるいは世界株式と呼ばれるものの内訳の大部分を占めるアメリカの巨大企業たち。それらが画面の大部分を占領しているなら、あなたは今、私がかつて味わったのと同じ種類の、非常に心地よい麻酔にかかっている状態かもしれません。
新NISAが始まり、多くの人が投資という海に漕ぎ出しました。「S&P500を買っておけば間違いない」「全世界株式を毎月積み立てていれば老後は安泰だ」。そんな声がSNSでも、書店に並ぶ雑誌でも溢れ返っています。
私も、米国企業のイノベーションの力や、株主を向いた経営の強さを否定するつもりは毛頭ありません。私のポートフォリオの核の一部にも、当然アメリカの企業は組み込まれています。
ですが、全員が同じ船に乗り、誰もが「この船は絶対に沈まない」と信じ切って甲板でパーティーをしている風景を見ると、私はどうしても背筋が冷たくなるのです。相場の世界で長く生き残ってきた人間は、誰もが疑わない絶対の正解が生まれた時にこそ、最大の危機が静かに口を開けて待っていることを、痛みを伴う記憶として知っているからです。
この記事では、今すぐ米国株をすべて売れなどという暴論を吐くつもりはありません。そんな極端な行動は、投資において最もやってはいけないことのひとつです。
そうではなく、現在あなたの資産が抱えている「過度な一極集中」という見えないリスクを言語化し、そこから少しだけ資金を切り離して、今は誰も見向きもしていない「日本の中小型バリュー株」という場所に小さなテントを張っておくことの切実な理由をお話しします。
この記事を最後まで読んでいただければ、情報に振り回されて不安になる夜を減らし、次に相場の空気が変わった時、慌てて逃げ惑う群衆を横目に、冷静に次の行動を選べるようになるはずです。
毎日飛び交うニュースの嵐から身を守るために
| 論点 | 本記事での扱い |
|---|---|
| 論点1 | あなたの画面は、ひとつの色に染まっていませんか |
| 論点2 | 毎日飛び交うニュースの嵐から身を守るために |
| 論点3 | 「米国株だけ持っていればいい」という声に対する私の答え |
| 論点4 | 今、市場の裏側で静かに起きている歪み |
| 論点5 | 誰も見向きもしない場所だからこそ、需給の真空が生まれる |
投資をしていると、毎日スマートフォンに大量の通知が届きます。昨晩のニューヨーク市場がどうだった、あの有名企業の決算がどうだった、誰かが新しい見解を出した。その洪水の中にいると、私たちは何が重要で、何がどうでもいいことなのか分からなくなってしまいます。
まずは、あなたの心を削るだけの「無視していいノイズ」を仕分けましょう。
一つ目のノイズは、毎朝のニュースで流れる「昨晩のNYダウは大幅に反落し…」という日々の株価の上下動です。このニュースは、私たちに「今日のうちに何か行動しなければ」という焦りを誘発します。しかし、長期的な資産形成において、一日のセンチメントの変化は単なる波しぶきに過ぎません。あなたが数年、十数年単位で資金を育てるつもりなら、毎日の波しぶきの高さに一喜一憂する理由はどこにもありません。
二つ目のノイズは、SNSで声高に叫ばれる「やはり米国株が最強だ」「日本株なんてオワコンだ」という極端な二元論です。これは、みんなと同じことをしているという同調圧力と、そこから外れることへの恐怖を刺激します。相場に絶対の最強も最弱もありません。あるのは「今はどちらに資金が集まりすぎているか」という偏りだけです。極端な言葉はエンターテインメントとして消費するに留め、あなたの判断基準から外してください。
三つ目のノイズは、著名なアナリストが語る「○○ショックが来る」というようなセンセーショナルな暴落予測です。これは純粋な恐怖を煽ります。確かに暴落はいつか必ず来ます。しかし、それがいつ、どのような引き金で起こるかを正確に当て続けられる人間はいません。当たらない予測に怯えて動けなくなるよりも、いつ来ても致命傷を負わない仕組みを作ることの方がはるかに重要です。
では、私たちが本当に注視すべきシグナルは何でしょうか。
一つ目のシグナルは、「日米の金利差のトレンドの変化」です。これが動くと、為替を通じてあなたの保有する米国株の円建てでの評価額が劇的に変わります。毎日見る必要はありませんが、月に一度、中央銀行の政策の方向性がどう傾いているのか、その「傾き」だけは確認するようにしてください。
二つ目のシグナルは、「日本の中小型株市場におけるPBR(株価純資産倍率)の底上げの動き」です。PBRとは、簡単に言えば企業の解散価値に対して株価がどれくらい割安かを示す指標です。つまり、これが1倍を割っている企業は、会社を畳んで資産を分けた方がマシという状態です。長年放置されてきたこの異常な状態に対し、取引所が重い腰を上げ、企業が自社株買いや配当増に動き始めているか。決算発表の時期に、中小型企業の株主還元の姿勢に変化があるかを定点観測してください。
三つ目のシグナルは、「国内機関投資家の資金フローの変化」です。年金基金などの巨大な資金が、これまで見向きもしなかった国内のバリュー株(割安株)に少しでも資金を振り向け始めているか。これはニュースの隅に小さく載るような地味な情報ですが、巨大な船の舵が少し切られたことを意味する重要なシグナルです。
「米国株だけ持っていればいい」という声に対する私の答え
ここで、おそらくあなたが抱いているであろう最大の疑問、あるいは反論に答えておきたいと思います。
「長期的に見れば米国経済は成長し続けるのだから、余計な分散など考えず、S&P500や全世界株式をひたすらバイアンドホールド(買って持ち続ける)するのが一番合理的ではないか。わざわざ成長性の低い日本株に資金を移す意味が分からない」
この指摘は、あるひとつの強力な前提の上では、まったくその通りです。その前提とは「アメリカが今後数十年間にわたり、今と同じように世界の覇権を握り続け、テクノロジーの進化を独占し、ドルが圧倒的な基軸通貨であり続ける」というものです。
もしこの前提が未来永劫崩れないと信じ切れるのであれば、あなたは今すぐこの記事を閉じて、これまでの積立設定を維持したまま眠りについていただいて構いません。
しかし、相場の歴史を長く見てきた人間として、私はひとつの国、ひとつのセクターが永遠に勝ち続けることを無邪気に信じることがどうしてもできないのです。
1980年代の終わり、世界の株式市場の時価総額ランキングの上位は日本の銀行や企業で埋め尽くされていました。当時の日本人は「日本の土地と株は永遠に上がり続ける」と信じていました。2000年代には新興国ブームが起き、BRICsという言葉がもてはやされ、誰もが新興国株のファンドを買い求めた時期がありました。
しかし、永遠に続くと思われたブームは必ず転換点を迎えます。
今、米国株インデックスに投資をしている人の多くは、無意識のうちに「為替」という巨大なリスクを見落としています。もしアメリカの景気が後退し、金利が引き下げられ、同時に日本の金利が引き上げられるような局面が来たらどうなるでしょうか。株価の下落と急激な円高が同時に襲いかかってきます。
ドル建ての資産が下落し、さらにそれを円に換算した時に目減りするというダブルパンチを受けた時、果たしてあなたは「長期投資だから大丈夫だ」と平常心で画面を見つめ続けることができるでしょうか。正直なところ、私なら胃が痛くて夜も眠れなくなるでしょう。
だからこそ、アメリカの金利が下がり、日本の金利が上がるという、米国株にとっての逆風が吹いた時に、逆に追い風を受ける資産を持っておく必要があるのです。それこそが、内需を中心とし、金利上昇が収益改善につながりやすい、日本の中小型バリュー株なのです。
今、市場の裏側で静かに起きている歪み
では、なぜ日本の、しかも「中小型」の「バリュー株」なのでしょうか。大型の優良企業ではダメなのでしょうか。
ここで、現在の市場で何が起きているのか、事実を整理してみましょう。
一次情報として確認できるのは、米国市場の主要企業のPER(株価収益率)が歴史的に見てもかなり高い水準にある一方で、日本の地方銀行や中堅の製造業、インフラ関連企業の多くが、依然としてPBR1倍を大きく割り込む水準で放置されているという事実です。また、新NISAを通じて毎月数千億円規模の個人の資金が、機械的に海外のインデックスファンドへと流出しているというデータもあります。
私には、この事実が巨大な「マネーの偏重が生む歪み」に見えます。
誰もが世界基準の巨大企業ばかりを見ています。その結果、地方で堅実に利益を出し、たっぷりと現金を抱え、地元に根付いた強固なビジネスモデルを持っているにもかかわらず、知名度がないという理由だけで、驚くほど安い値段で放置されている企業が日本には数え切れないほど存在しています。
市場参加者の多くが「米国株一強」という眩しい光に目を奪われているため、その足元にある暗がりに落ちている宝石に誰も気づいていないのです。
この解釈が正しいのであれば、私たち読者がとるべき行動は明確です。巨大な波に乗っている米国株のポジションはそのまま生かしつつ、毎月の新規資金の一部、あるいは利益が乗っている部分のほんの少しだけを削り、この「誰も見向きもしていない、しかし会社としての実体価値は確かな場所」に静かに移しておくことです。
ただし、私の中には明確な前提があります。それは「日本の取引所主導の企業改革(資本コストや株価を意識した経営の要請)が後退せず、企業が株主還元に本腰を入れ続けること」そして「日本の物価上昇がデフレに逆戻りせず、緩やかなインフレが定着すること」です。
もし、取引所が改革の旗を下ろし、企業が再び現金をため込むだけの古い体質に戻ったり、日本経済が再び重篤なデフレに陥ったりした場合、私はこの見立てを潔く撤回し、中小型バリュー株から静かに撤退します。状況が変われば、判断も変える。それが生き残るための最低条件です。
誰も見向きもしない場所だからこそ、需給の真空が生まれる
少しだけ、市場に参加している人々の心理について考えてみましょう。
今、日本の株式市場でメインプレイヤーとなっているのは海外の機関投資家です。彼らが買うのは、流動性が高く時価総額の大きな日本の大型株です。トヨタやメガバンク、大手商社などです。
一方で、個人のマネーは先ほど述べたように、海外のインデックスファンドに吸い込まれています。
では、時価総額が数百億円から一千億円程度の中小型株は、誰が買っているのでしょうか。
答えは「ほとんど誰も本気で買っていない」のです。海外の機関投資家にとっては規模が小さすぎて資金を入れられず、個人投資家は米国株に夢中で見向きもしない。ここには、売り手も買い手も極端に少ない「需給の真空地帯」が生まれています。
これが何を意味するかお分かりでしょうか。
もし今後、国内の年金基金などが日本株の比率を見直し、中小型株へ少しでも資金を振り分け始めたら。あるいは、業を煮やした経営陣が大規模な自社株買いやMBO(経営陣による買収)を発表したら。
誰もいなかった小さな池に、突然大きな石が投げ込まれることになります。その時、株価は水しぶきを上げるように跳ね上がります。割安で放置されているというバネが極限まで縮んでいる状態だからです。私たちは、その石が投げ込まれる前に、静かにその池のほとりに座っておく必要があるのです。
未来は誰にも分からないからこそ、シナリオを用意する
私たちは預言者ではありません。明日、相場がどう動くかを当てることは不可能です。だからこそ、一つの未来に賭けるのではなく、複数のシナリオを想定して、それぞれの場合の自分の行動をあらかじめ決めておく必要があります。
ここでは、今後考えられる3つのシナリオを提示します。
一つ目は「基本シナリオ」です。 発生条件は、アメリカ経済が深刻な不況に陥ることなく軟着陸(ソフトランディング)し、同時に日本経済も緩やかなインフレを維持しながら企業業績が向上していく状態です。 この場合、やることとしては、米国株の積立を継続しつつ、日本の中小型バリュー株にも資金を振り分け、両方の果実を享受します。やらないことは、焦ってどちらかの資産をすべて利益確定してしまうことです。チェックするものは、日米の企業の四半期決算の進捗です。
二つ目は「逆風シナリオ」です。 発生条件は、アメリカのインフレが再燃し、高金利が維持された結果、ついに景気が腰折れしてリセッション(景気後退)に突入し、同時に日銀が利上げを急ぎ、急激な円高と株安が同時に進行する状態です。これが多くの人が最も恐れるシナリオでしょう。 この場合、やることとしては、下落の初期段階で米国株の一部をルールに従って機械的に損切り、あるいは利益確定し、現金を確保することです。日本の中小型バリュー株は相対的に下落圧力が小さい可能性がありますが、全体のパニックに引きずられるため、こちらも無理に買い向かわず静観します。やらないことは、下がったからといって根拠のないナンピン買い(買い下がり)をすることです。チェックするものは、アメリカの雇用統計と、為替のボラティリティ(変動率)です。
三つ目は「様子見シナリオ」です。 発生条件は、大きなショックは起きないものの、日米ともに決定的な方向感が出ず、インフレも金利も高止まりしたまま、相場全体が長期間にわたって横ばい、あるいは緩やかな下落を続ける状態です。 この場合、やることとしては、高配当を出す日本の中小型バリュー株からの配当金を受け取りながら、ひたすら耐え忍ぶことです。やらないことは、退屈な相場に嫌気がさして、短期的な利益を求めて見知らぬテーマ株や仮想通貨などに手を出してしまうことです。チェックするものは、保有企業の配当維持能力と、財務の健全性です。
このようにシナリオを分岐させておけば、明日どんなニュースが飛び込んできても「あ、これは逆風シナリオの兆候だな」と冷静に受け止めることができます。正体が分かっていれば、恐怖は半減します。
あなたの今のポジションは、最悪のシナリオで何%の損失になりますか?
ここで、少し手を止めて、ご自身の胸に問いかけてみてください。
質問1:もし明日、急激な円高と米国株安が重なり、あなたの資産評価額が現在の半分になったとしたら、あなたは夜、静かに眠ることができますか?
質問2:あなたのポートフォリオの中で、アメリカの景気が悪くなった時に「逆に価値が上がる、あるいは価値を維持できる資産」は全体の何%を占めていますか?
質問3:今、あなたが持っている株を「明日、もう一度今の値段で買い直したい」と心から思えますか?それとも「みんなが持っているから」という理由だけで握りしめていますか?
この問いに少しでも言葉が詰まるなら、あなたのポートフォリオはいま、非常に脆い状態にあるということです。
私が退路を断たれて支払った、重すぎる授業料
なぜ私がここまで「一極集中の恐怖」や「撤退の準備」について口うるさく語るのか。それは、私自身が過去に、信じ切っていたシナリオが崩壊した時に動けなくなり、莫大な授業料を市場に支払った経験があるからです。
今でもあの時のチャートを思い出すと、胃の奥が重く鉛のように沈む感覚が蘇ります。
あれは、ある特定のテーマ株(ここでは仮に新興のテクノロジー関連とします)が市場を席巻していた時期でした。連日ストップ高を記録し、SNSを開けば誰もがその銘柄群の明るい未来を語り、アナリストは目標株価を毎日のように引き上げていました。
私は最初、警戒していました。しかし、毎日上がり続ける株価を横目に、私の中の「取り逃し恐怖(FOMO)」が理性を侵食していきました。同僚も、ネットの友人も、みんなが信じられないほどの利益を出している。私だけが取り残されている。その焦りに耐えきれず、私はついに、手持ちの現金の大部分をそのテーマ株に突っ込みました。
買った直後は順調でした。口座の数字は毎日増え、私は自分が天才になったかのような錯覚に陥りました。「これは一生持ち続けるべき資産だ」と本気で信じていました。
転落は、ある日の小さなニュースから始まりました。規制当局のちょっとした方針転換の報道。最初は誰も気に留めず、「絶好の押し目買いのチャンスだ」とネット掲示板は沸き立ちました。私もそう思い、残っていたわずかな現金でさらに買い増しをしました。
しかし、株価はそこから反転することなく、ズルズルと下がり始めました。
その時、私を支配していたのは「祈り」でした。「明日には反発するはずだ」「ここで売ったら負けを認めることになる」「こんなに素晴らしい技術を持った企業が、こんなに安くなるはずがない」。そうやって自分に言い訳をし、損切りという痛みを伴う決断を先送りし続けました。
毎日小さくなっていく資産残高。証券口座にログインすることすら恐怖になり、現実から目を背けました。
結局、その銘柄群はピークから数分の一にまで下落し、私は数年分の貯蓄を失ったところで、ついに精神的な限界を迎えてすべてを投げ売りしました。私が売ったその場所が、皮肉にも大底でした。
あの時の私の何が間違っていたのでしょうか。
企業の分析が足りなかった?タイミングが悪かった?
違います。私の最大の過ちは、「自分が間違っているかもしれない」という前提を完全に捨て去り、逃げ道を一切用意せずに一点張りをしてしまったことです。熱狂という麻薬に酔い、自分の中の撤退ルールを持たないまま戦場に出てしまった。ただそれだけのことだったのです。
この手痛い失敗のおかげで成長できた、などと綺麗にまとめるつもりはありません。失った資金と時間は二度と戻ってきませんし、今でも思い出すだけで苦い後悔が込み上げます。
だからこそ、今の自分は当時の自分にこう言い聞かせます。「どれだけ確信があっても、資金を一度に全部入れるな。そして、入る前に必ず出口の扉の場所を確認しろ」と。
嵐の前に避難所を作るための実践戦略
私の痛々しい失敗談に付き合っていただき、ありがとうございます。ここからは、あの失敗を血肉として作り上げた、具体的な「負けないための実践戦略」をお渡しします。
抽象的な精神論は言いません。具体的な数字と手順です。ただし、投資に絶対はないため、レンジ(幅)を持たせてお伝えします。
1. 資金配分の目安
今すぐ米国株を全部売って日本株に乗り換える必要はありません。それはかつての私と同じ「極端な一点張り」への逆回転に過ぎません。
目安として、あなたの全投資資産の「5%〜15%」の範囲で、日本の中小型バリュー株(あるいはそれを対象としたアクティブファンドやETF)の枠を作ってみてください。
なぜ5〜15%なのか。5%未満だと、もし日本株が見直されて上昇してもポートフォリオ全体への恩恵が薄すぎます。逆に15%を超えると、今度は日本市場特有のリスク(例えば極端な円高デフレの再来など)に足を引っ張られる可能性が高くなります。あくまで「メインのエンジン(米国株)」に対する「予備の発電機」としてのサイズ感です。相場環境に不安を感じるなら多めの15%、米国経済の強さを信じるなら少なめの5%というように、ご自身の感覚で調整してください。
2. ポジションの建て方(買い方)
決めた金額を、明日一括で買ってはいけません。必ず分割してポジションを構築します。
おすすめは「3回〜5回に分割し、それぞれ2週間〜1ヶ月の間隔を空ける」ことです。
例えば、全体で50万円を移そうと決めたなら、明日は10万円だけを買う。そして1ヶ月後にまた10万円を買う。これを繰り返します。
なぜこれほど時間をかけるのか。それは、人間の感情の揺れを平準化するためです。一括で買ってしまうと、翌日下がった時に「失敗した」と激しく後悔します。しかし、分割して買っていれば、下がった時は「次はもっと安く買える」と思えますし、上がった時は「少しでも買っておいてよかった」と思えます。どちらに転んでも心理的なダメージが少ない設計にしておくことが、長く続けるためのコツです。
3. 命を守るための撤退基準(3点セット)
ここが最も重要です。買う理由よりも、売る理由を先に決めておく。これが生き残る投資家の鉄則です。以下の3つの基準のどれかに触れたら、迷わず一度撤退(売却)してください。
価格基準: 「自分が買った後の直近の明確な安値を、終値で下回った時」 具体的な%で決める(マイナス10%で切るなど)のも悪くありませんが、相場のボラティリティによっては簡単に狩られてしまいます。チャートを見て、多くの人が「ここを割ったらヤバいな」と思うポイントを割ったら、そこにはもう私たちの知らない悪材料が潜んでいると考え、機械的に降ります。
時間基準: 「エントリーしてから3ヶ月〜半年経過しても、想定した方向に株価が動かない時」 私たちが資金を入れるのは「割安なものが評価されるはずだ」というシナリオがあるからです。しかし、半年経っても市場が評価しないのであれば、それは「お前のシナリオが間違っている」という市場からの静かな宣告です。資金を死蔵させず、一度引き上げます。
前提基準: 「この記事のSTEP 5(前述)で置いた前提が壊れた時」 つまり、日本の取引所が企業改革の要求をトーンダウンさせたり、日本経済が再び深刻なデフレに突入したという明確なニュースが出た時です。前提が崩れたゲームを続けてはいけません。
初心者への救命具
ここまで読んで、もしあなたが「いろいろ難しくて、結局どうすればいいか迷ってしまう」と感じたなら、たった一つだけ覚えておいてください。
「判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください」
売るべきか、持っておくべきか。迷うということは、あなたが取っているリスクが、あなたの許容量を超え始めているという市場からのサインです。全部売る決断ができなくても、半分だけ売って現金にしてみてください。驚くほど心が軽くなり、視野がクリアになります。間違えて上にいってしまっても、半分残っているので利益は出ます。下にいっても、ダメージは半分で済みます。迷ったら半分。これは魔法の合言葉です。
私のルールの作り方
私がいかにして日本の中小型株を見つけ、ルール化しているか、その裏側を少しだけ明かします。
私は最初、有名投資家の真似をして、スクリーニングソフトで「PER10倍以下、PBR0.5倍以下」というような数字だけで機械的に銘柄を選んでいました。しかし、これではただ業績が右肩下がりの「万年割安株(バリュートラップ)」を掴むばかりで、一向に株価は上がりませんでした。
数字が安いことには、必ず安いなりの理由があったのです。
そこで私は仮説を立てました。「数字が安いことに加え、何か『変わろうとしている兆し』がある企業だけを選べばいいのではないか」と。
検証として、過去に株価が大きく見直されたバリュー株の過去の開示情報を読み漁りました。すると、株価が本格的に上がる半年から1年前に、「経営計画の変更」「増配の発表」「社長の交代」「中期経営計画での資本効率への言及」など、会社からの小さなメッセージが出ていることが多いことに気づきました。
それ以来、私のルールは「財務が健全でPBRが低い企業リストを作り、その企業から『株主を意識した変化の兆し(定性的な情報)』が出た瞬間に、打診買い(試しに少しだけ買うこと)を入れる」というものにアップデートされました。
ただし、この私のルールをそのままコピーしないでください。あなたの性格、使える時間、資金量によって、心地よいルールは全く異なります。私のルールはあくまで一つのサンプルです。あなた自身が小さな失敗を繰り返し、そこから自分だけのルールを紡ぎ出してください。
米国株一極集中リスク診断チェックリスト
ここで、あなたの現状を客観視するための保存用チェックリストを用意しました。スマートフォンでスクリーンショットを撮り、時々見返してみてください。
米国株(または米国株偏重の世界株)の割合が、投資資産の80%を超えているか?
過去1週間で、株価の変動を理由に予定外の売買をしたか?
今、急速な円高(例えば1ドル120円)になった場合、自分の資産がいくら減るか即座に計算できないか?
「長期投資だから」という言葉を、思考停止の免罪符に使っていないか?
自分が保有しているファンドや銘柄が「なぜ上がっているのか」を、他人に1分で説明できないか?
撤退する(売却する)ための明確なルールを、文章で書くことができないか?
相場が下がった夜、不安でSNSや掲示板を何度も見てしまうか?
この中で「Yes」が3つ以上ある場合、あなたのポートフォリオと心は、次に大きなショックが来た時に耐えられない可能性があります。
私のミスを防ぐためのルール
最後に、私が自分自身を戒めるためにパソコンのモニターの横に貼っているルールを共有します。
「絶対」と「みんな」という言葉が聞こえたら、手と画面から離れる。
エントリーする前に、損切りの注文を同時に設定しない限り、絶対に買わない。
夜の22時以降に、相場に関する重要な決断を下さない(感情が優位になるため)。
ポジションサイズが適正かは、夜ぐっすり眠れるかどうかで測る。
明日、スマホを開いたらまず見ること
ここまで長い文章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この記事で私がお伝えしたかった要点は、以下の3つに集約されます。
米国株への一極集中は、為替とセクターの偏りという巨大な見えないリスクを抱えている。
日本の中小型バリュー株という、現在誰にも見向きもされていない場所に資金の一部を移すことで、ポートフォリオの重心を安定させることができる。
買うことよりも、事前に撤退基準(価格・時間・前提)を決めておくことこそが、相場で生き残るための唯一の盾である。
さて、明日あなたがスマートフォンを開いたら、ニュースアプリやSNSを見る前に、真っ先に証券口座のアプリを開いてください。
そして、資産の円グラフの内訳を確認し、米国株の比率が自分の許容できる範囲を超えていないか、静かに自問自答してみてください。
もし多すぎると感じたら、明日慌てて売る必要はありません。まずは来月の積立金額の配分を少しだけ見直すか、あるいは次回資金を投入する際に、この記事で紹介したような「別の場所」を探す時間を10分だけ作ってみてください。
相場の世界は、決して私たちを優しく歓迎してはくれません。しかし、正体を暴き、しっかりとした準備をして向き合えば、ただ恐れるだけの場所でもありません。
あなたがこの先、どんな荒波が来ても決して退場することなく、あなたの大切な資産を守り、そして育てていけることを、私は心から願っています。
本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。




















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