東証スタンダード市場に眠る”お宝銘柄”の探し方、プライム偏重の個人投資家が見逃す隠れ優良株の共通点

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この記事のポイント
  • プライムのボードを眺めながら、何かが違うと感じた夜
  • このニュースに反応したら、たぶん遠回りになる
  • なぜスタンダードに歪みが残り続けるのか
  • 3つの道筋と、それぞれでやってはいけないこと

流動性という見落としがちな前提を置いた上で、スタンダードの”歪み”をどう拾い、どう逃げるかの話

マーケットアナリストマーケットアナリスト

週末、プライム市場の主要銘柄を一通りチェックして、ため息をつく。

目次

プライムのボードを眺めながら、何かが違うと感じた夜

週末、プライム市場の主要銘柄を一通りチェックして、ため息をつく。

PERは15倍を超え、PBR1倍割れの銘柄は減り、どれを見ても「今さら買い増す理由」が見つからない。配当利回りも3%台半ばで頭打ち。指数はまだ高値圏にいる。

そんな夜に、ふと思うわけです。

「自分が見ている相場って、全体の一部でしかないんじゃないか」と。

私も同じでした。日経225の構成銘柄とTOPIXコア30ばかり眺めて、気づけば同じような銘柄を行ったり来たり。隣のスタンダード市場には1600以上の銘柄があるのに、そこに目を向けたことすらなかった時期があります。

正直に言うと、スタンダードは「なんとなく地味」「情報が少なくて怖い」というイメージだけで遠ざけていました。

でも、情報が少ないということは、裏を返せば価格が正しく織り込まれていない可能性がある、ということでもあります。プライムは世界中の投資家が24時間監視している市場です。スタンダードは、その視線がぐっと薄くなる場所です。視線が薄い場所には、歪みが残ります。

この記事では、まずスタンダードが「見られていない理由」を整理し、次に隠れ優良株に共通する特徴を私の失敗も交えてお話しします。最後に、実際に拾いにいく時の具体的な買い方と、何より大事な「逃げ方」をお渡しします。

隠れ優良株という言葉に心を動かされた方ほど、最後の撤退基準のパートだけは必ず読んでください。私がスタンダードで授業料を払ったのは、銘柄選定を間違えたからではなく、逃げ方を考えていなかったからです。

このニュースに反応したら、たぶん遠回りになる

スタンダード市場の銘柄を探す時、SNSや投資メディアには毎日のように「お宝銘柄」「割安株」の情報が流れてきます。このノイズを最初に整理しておかないと、時間とメンタルの両方を削られます。

私が無視すると決めているノイズを3つ挙げておきます。

1つ目は、「PBR0.5倍の超割安株ランキング」の類。数字だけを並べた記事です。これを見るとワクワクします。「え、こんな優良そうな会社がこんな安いの?」という感情が先に立つ。でも、PBRが0.5倍で放置されている会社には、たいてい放置される理由があります。その理由を調べないままランキング上位から買っていくと、塩漬けコレクションが増えるだけです。

2つ目は、「東証のPBR改善要請で爆上げ候補」といった煽り系です。これは2023年春から定期的に流れてきますが、要請が出てから数年経った今、反応する銘柄はほぼ反応し終わっています。今さら新規に取り上げられる銘柄は、要請に反応する確率がむしろ下がってきている銘柄たちです。

3つ目は、SNSで見かける「◯◯は絶対買い」の個別銘柄推奨。発信者がいつ買ったか、どれくらい持っているか、いつ売るつもりかが分からない情報に、自分の資金を載せる理由はありません。

逆に、私が毎週チェックしているシグナルを3つ。

1つ目は、スタンダード市場全体の売買代金の推移です。東証のサイトで市場区分別の売買代金は毎営業日公開されています。スタンダード全体の売買代金が増えてきた時期は、個別の流動性も上がっています。買うタイミングよりも、買った後に「売れない」状態を避けるための指標として見ています。

2つ目は、適時開示の「自己株式取得」と「配当予想の修正(増配)」です。TDnetを毎日見る必要はありません。週に1回、スタンダード市場でこの開示を出した会社を洗い出すだけで十分です。ここから面白い銘柄が拾えることが多い。理由はこの後で書きます。

3つ目は、プライムから降格した銘柄の株価推移。降格が発表された直後は売られますが、半年から1年経った後の動きを追うと、事業の実態と株価の乖離が見えてきます。

投資リサーチャー投資リサーチャー

3つ目は、プライムから降格した銘柄の株価推移。降格が発表された直後は売られますが、半年から1年経った後の動きを追うと、事業の実態と株価の乖離が見えてきます。

なぜスタンダードに歪みが残り続けるのか

スタンダード市場に歪みが残る理由を、事実と解釈に分けて整理しておきます。断定はしません。前提が崩れたら、私も見方を変えます。

事実として、スタンダード市場の1日あたり売買代金はプライムの10分の1以下で推移しています。構成銘柄数はスタンダードが約1600、プライムも約1600でほぼ同数です。つまり、銘柄あたりの売買代金はスタンダードがプライムより大幅に低い、ということになります。

もう1つの事実として、海外投資家の保有比率はプライムに集中しています。スタンダードは個人と地場の金融機関、事業法人の持ち合いが主体で、海外勢がほとんど入ってきません。アナリストのカバレッジも極端に少なく、スタンダード銘柄の半分以上には専業アナリストのレポートが存在しない、というのが肌感覚です。

ここから、私はこう解釈しています。

スタンダードに歪みが残る最大の理由は、「見ている人の数が少ないこと」です。株価は、参加者の合意で決まります。参加者が少なければ、合意形成は粗くなる。粗い合意の結果が、PBR0.5倍で放置される優良企業を生みます。

ただし、ここが重要なのですが、歪みがあること自体は「買い」の理由にはなりません。歪みが「縮まる可能性があるかどうか」が問題です。

縮まる可能性がある歪みの条件として、私は次の3つを前提に置いています。

1つ目。会社側に株主還元の意思があること。配当性向の引き上げや自己株式取得の実績、または中期経営計画にROE目標が具体的な数字で書かれていること。意思がない会社の割安は、永遠の割安になります。

2つ目。事業自体がじわじわ伸びているか、少なくとも縮んでいないこと。売上高が10年前と同水準でも、営業利益率が改善していれば私は合格と見ます。ただし、売上も利益も横ばいか減少トレンドの会社は、安さには理由があります。

3つ目。ネットキャッシュ(現預金から有利子負債を引いた額)が時価総額の30%以上を占めていること。これは私の個人的な基準です。30%以上のキャッシュを持ちながら株価が放置されている会社は、株主還元のアクションが出た瞬間に評価が変わる余地があります。

この3つの前提が揃った銘柄は、スタンダードの中に確かに存在します。肌感覚として、1600銘柄のうち30〜50銘柄くらい、というのが今の私の見立てです。

ただし繰り返しになりますが、この前提のうち1つでも崩れたら、私はその銘柄をリストから外します。特に1つ目の「還元の意思」は、決算説明資料や社長メッセージを読まないと分かりません。スクリーニングだけで完結しないのがスタンダード投資の難しさであり、面白さでもあります。

3つの道筋と、それぞれでやってはいけないこと

スタンダードで拾った銘柄が、その後どう動くか。私の経験上、大きく3つの道筋に分かれます。それぞれで「やること」と「やらないこと」を整理しておきます。

想定通りに再評価が進むシナリオ

発生条件は、自己株式取得や増配、または大株主の異動といった触媒となる開示が出ること。あるいは、スタンダード市場全体に資金流入が起きて、割安株全体が底上げされること。

このシナリオに入ったら、やることは「追いかけない」です。すでに持っているポジションはそのまま保有し、新規の買い増しは見送ります。自分が最初に買った水準から20%以上上がった銘柄を追加で買う判断は、私は基本的にしません

やってはいけないのは、「まだ上がる」と思って買い増すことです。スタンダードの再評価は、上がる時は一気に上がりますが、買い手が薄いので天井も薄い。買い増したところで天井を掴む確率が高くなります。

チェックするのは、出来高の推移です。再評価局面で出来高が平時の3倍を超えて数週間続いたら、利益確定を検討するサインと見ています

前提が崩れて逆風になるシナリオ

発生条件は、前章で置いた3つの前提のいずれかが崩れること。具体的には、減配の発表、ネットキャッシュを使った不採算M&A、売上トレンドの明確な悪化、のいずれかです。

このシナリオに入ったら、やることは感情を抜きにして撤退することです。価格が買値を下回っていようが関係なく、前提が崩れたら降ります。

やってはいけないのは、ナンピンです。スタンダードの流動性の低さは、ナンピン投資家にとって最悪の相性です。買い下がった結果、売りたい時に売れない状況に追い込まれます。これは私自身が払った授業料でもあります。詳しくはこの後で書きます。

チェックするのは、四半期ごとの決算短信と、月次の売上動向(開示している会社のみ)です。

動かずに時間だけが過ぎるシナリオ

実はこれが一番多いパターンです。発生条件、というより「発生しない」のがこのシナリオです。買ってから1年経っても、何も起きない。割安なまま、割安であり続ける。

このシナリオに入ったら、やることは「時間を決めて判断する」です。私は買ってから18ヶ月を1つの目安にしています。18ヶ月経っても触媒が何も出ず、株価も横ばいなら、資金効率を考えて入れ替えます。

やってはいけないのは、「いつか上がるから」と無期限に保有することです。機会費用という言葉があります。そのお金で別のものを買えたのに、という費用です。動かない銘柄を抱え続けることは、見えないコストを払い続けることでもあります。

チェックするのは、半年に1回の決算説明資料と、中期経営計画の進捗です。計画が止まっている会社は、株価も止まります。

私が”安さ”に目を奪われてスタンダードで学んだこと

少し長くなりますが、私がスタンダード投資で払った授業料の話をさせてください。今でもこの話を書くと、少し胸の奥が重くなります。

あれは、コロナ後の相場がまだ不安定だった時期のことです。プライムの優良株は戻りが早くて、すでに買いにくい水準まで戻していた。私は「プライムが買えないなら、置いていかれているスタンダードから拾おう」と考えました。

スクリーニング条件は単純でした。PBR0.6倍以下、配当利回り4%以上、自己資本比率70%以上。この条件で出てきた20銘柄ほどを眺めて、その中で特に「無名だけど財務が綺麗で、老舗の地方企業」に目をつけました。具体的な社名は伏せますが、創業70年を超えるニッチ産業の会社で、全国シェアも悪くない。決算書を見る限り、潰れる要素は見当たらない。

買ったのは3回に分けてでした。最初は普段のポジションサイズの3分の1。2週間後にさらに3分の1。さらに1ヶ月後に残りの3分の1。買った平均株価は、その時の私の目線では妥当でした。

問題は、買い方ではなく、サイズでした。私はその銘柄を、普段の個別株の1銘柄あたりサイズの、約2倍入れました。「流動性は低いけど、これだけ財務が良ければ持ち続ければいい」と自分に言い聞かせて。

この判断の瞬間を今でも覚えています。買い注文のボタンを押す前、1日の売買代金が3000万円程度しかないこと、自分の買いだけで出来高の10%近くを占めそうなことに、頭のどこかで気づいていました。でも、「長期で持つなら関係ない」という声の方が大きかった。正直に言えば、自分の調査に自信があった。発見した気になっていた。

半年後に、事件は起きました。

その会社が、創業家一族の相続税対策と思われる大口売却を発表したのです。発表は週末の朝。週明けの寄り付きで株価は15%下落し、私は売ろうとしましたが、買い手がほとんどいません。板が寂しい。成行で売れば、さらに自分自身で株価を叩き落とすことになる。

結局、3日かけて少しずつ売却しましたが、途中でさらに5%下がり、合計20%以上の損失を確定させました。損失額そのものよりも、「売れない恐怖」の方が記憶に残っています。板を見ながら、気配値が1ティック下げるごとに胃が冷える感覚。あれは、財務諸表をいくら読んでも見えなかった景色でした。

何が間違っていたか。

銘柄選びは、後から振り返っても、そこまで悪くありませんでした。会社自体は今も潰れていない。配当も維持されている。私があの時売らずに持ち続けていたら、今頃は含み益が出ていたかもしれません。

間違いは、流動性を無視してサイズを入れたことです。そして、「売れない市場」で何かが起きた時の撤退シミュレーションを全くしていなかったことです。

今の自分ならどうするか。スタンダード銘柄は、1銘柄あたりの最大投入額を「その銘柄の直近3ヶ月の平均日次売買代金の5%以内」にしています。たとえば日次売買代金が3000万円なら、最大で150万円。これなら、何か起きた時に1日か2日で抜けられます。

この「売買代金の5%ルール」が、私がスタンダードで払った授業料から作ったルールの1つです。次に、このルールを含めた実践戦略の話をします。

焦らない、サイズを張らない、逃げ道を先に作る

ここからは、具体的な立ち回り方をお話しします。抽象論にならないよう、数字はレンジで出します。自分の資金量やリスク許容度に合わせて、幅の中で調整してください。

全体のポートフォリオの中でのスタンダードの位置づけ

日本株の個別銘柄に投資する部分のうち、スタンダード銘柄に配分する比率は、私は最大30%までに抑えています。相場環境が良くてもスタンダードだけで突っ走らない。理由は、流動性が低い市場に偏ると、相場全体が崩れた時に身動きが取れなくなるからです。

平時の配分は、プライム70%、スタンダード20%、現金や短期債10%くらいのイメージです。割安感が強まる局面ではスタンダードを30%寄りに、相場が過熱気味の局面では10%寄りに下げます。

1銘柄あたりのサイズ

スタンダードでは、1銘柄あたりの投入額を、その銘柄の直近3ヶ月の平均日次売買代金の5%以内にします。これは前章で書いたルールです。

たとえば、日次売買代金が5000万円の銘柄なら、最大で250万円まで。この金額なら、最悪1日で売り切れます。

プライム銘柄と同じ感覚でサイズを入れると、後で必ず後悔します。

建て方

1銘柄あたり3回から5回に分割して入れます。間隔は2週間から1ヶ月。一度に全額入れない理由は、自分の買いで株価を動かしてしまうことを避けるためと、判断が間違っていた時のダメージを限定するためです。

買い始める前に、「全量買い終わるまでの上限価格」を決めておきます。分割している途中で、最初に買った値段から15%以上上昇したら、残りの買いは見送ります。追いかけないというルールです。

撤退基準(3点セット、ここが一番大事です)

価格基準。直近3ヶ月の安値を明確に割り込んだら、ポジションの半分を手放します。「明確に」というのは、終値で割り込む、または1日のうちに3%以上下で引けること。ヒゲで一瞬触っただけでは動きません。

時間基準。買ってから18ヶ月経っても、前章で置いた前提に沿った動き(自社株買いの発表、増配、中期計画の進捗など)が何も出ていなかったら、一度全量を手放して資金を別に回します。18ヶ月というのは、機関投資家のリバランスのサイクルに合わせた目安です。

前提基準。前章で置いた3つの前提(還元の意思、事業の継続性、ネットキャッシュ)のいずれかが崩れる材料が出たら、即座に撤退します。減配発表、不採算M&A、売上の2四半期連続の大幅減、のいずれかが出たら迷わず降ります。

この3つの基準は、買う前に紙に書いておきます。買った後で決めようとすると、必ず自分に甘くなります。私も何度も経験しました。

初心者の方への、1つだけのお願い

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

特にスタンダード市場では、「迷ったら半分」を機械的に実行するだけで、生存率がかなり変わります。私自身、スタンダードで生き残っている最大の理由は、迷った時に半分にする習慣がついていたからだと今では思います。

あの失敗が作った、最後の防波堤

前のパートで書いた「売れない恐怖」の経験から、私は今、スタンダード銘柄を買う前に必ず次の計算をします。

「この銘柄を、想定外の悪材料が出た場合に、3日以内に全量売却できるか」

この問いにYesと答えられないサイズでは、絶対にポジションを持ちません。これが、私がスタンダードと付き合う上での最後の防波堤です。

スクショして保存してもらいたい、9つの確認項目

スタンダード銘柄を買う前に、私がチェックしている項目を置いておきます。全部にYesがつかない銘柄は、基本的には見送ります。

  1. 直近5年、配当は減配なく維持または増配されているか

  2. ネットキャッシュが時価総額の30%以上あるか

  3. 中期経営計画にROE目標が具体的な数字で書かれているか

  4. 直近3年で自己株式取得の実績があるか

  5. 売上高は10年前と比較して横ばい以上か(大幅減少していないか)

  6. 営業利益率が業界平均を上回っているか、または改善トレンドか

  7. 直近3ヶ月の平均日次売買代金の5%以内で、自分の投入額が収まるか

  8. 大株主に創業家以外の安定株主(金融機関、事業法人)が複数いるか

  9. 過去3年で社長や取締役の大幅な入れ替えがなかったか

この9項目は、完璧な会社を探すためではなく、「致命傷を負わない銘柄を選ぶ」ための項目です。全部にYesがついても、必ず上がる保証はありません。ただ、全部にYesがつく銘柄は、大きく負ける確率が明らかに下がります。

あなた自身に向けて、3つの問い

読者の方に、今ここで答えてほしい問いを3つ置いておきます。

1つ目。あなたが今、スタンダード銘柄を買ったとして、その銘柄の平均日次売買代金を即答できますか。

2つ目。買った銘柄で何か悪材料が出た時、あなたは何日以内に全量を売却できますか。試算したことがありますか。

3つ目。あなたは、買う前に「この条件が崩れたら売る」という撤退基準を、紙に書き出していますか。

この3つに即答できなかった項目があれば、それが次にあなたが埋めるべき穴です。答えられないこと自体が、今回の記事で最も大事な発見かもしれません。

それって結局、個別株投資全般の話では、という問いに

ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。

「結局、それはスタンダードに限った話ではなくて、全ての個別株投資に共通する基本では?」

その指摘はもっともです。撤退基準を決める、流動性を確認する、前提が崩れたら降りる。これらはプライム銘柄でも、米国株でも、本来なら同じはずです。

ただ、私があえてスタンダードについてここまで書くのは、プライム銘柄では「流動性のリスク」を体感しにくいからです。

プライム銘柄は、売りたい時にたいてい売れます。1日の売買代金が100億円を超える銘柄なら、個人投資家の注文が市場に影響を与えることはほぼありません。だから、撤退基準を曖昧にしていても、大きな事故にはなりにくい。曖昧なまま生き残れてしまう。

でも、スタンダードに足を踏み入れた瞬間、この「甘えられる前提」が消えます。流動性という名の緩衝材がなくなる。だから、プライムでは見えなかった自分の弱点が、スタンダードでは一気に露呈します。

もう1つの想定反論。「スタンダードは初心者には難しすぎるのでは」。

これもその通りの面があります。情報が少なく、アナリストのカバレッジも薄く、決算説明資料すら公開していない会社もあります。ですから、私は初心者の方がいきなりスタンダードに飛び込むことは勧めません。

ただし、「将来的にスタンダードも視野に入れたい」と思っているなら、今のうちにプライム銘柄で撤退基準を紙に書き、実際にそのルールで売買する練習をしておくべきです。ルールを守る筋力は、プライムで鍛えてからスタンダードに持ち込む。逆はできません。

私のルールの作り方、あるいは、失敗のアーカイブ方法

最後に、私がどうやってこうしたルールを作ってきたかを、少しだけ。

ルールは、本を読んで作ったものはほとんどありません。ほぼ全部、自分の失敗から作りました。手順としてはこんな流れです。

負けた後、できるだけ時間を空けずに、「何を見て、何を感じて、何を判断したか」を書き出す。数日経つと、記憶は自分に都合よく加工され始めます。感情の熱が残っているうちに書かないと、同じ失敗を繰り返します。

次に、「この失敗を防ぐには、買う前に何を確認していればよかったか」を考える。すると、1つか2つ、具体的なチェック項目が出てきます。それを自分のチェックリストに追加する。

最後に、そのチェック項目を、次の3回の売買で実際に使ってみる。使いにくければ削るか修正する。使いやすければ定着させる。

この繰り返しで、ルールは少しずつ積み上がっていきます。

1つだけ強くお願いしたいのは、私のルールをそのままコピーしないでください。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境、そして過去の失敗は、私とは違います。同じルールを使っても、あなたに合うとは限りません。

私のルールは、あくまで参考。あなた自身の失敗から作ったルールだけが、本当の意味であなたを守ります。

項目詳細
テーマ東証スタンダード市場に眠る”お宝銘柄”の探し方、プライム偏重の個人投資家が見逃す
対象市場東証
分析視点ファンダメンタルズ重視

明日、スマホを開いたらまず見てほしいこと

ここまでお読みいただいて、ありがとうございます。

覚えておいてほしい要点は3つだけです。

スタンダード市場には確かに歪みがある。ただしそれは、還元の意思と事業の継続性とネットキャッシュの3条件が揃った銘柄にのみ縮まる可能性がある歪みです。

流動性は銘柄選定より先に見る。1日の平均売買代金の5%を、1銘柄の上限サイズにする。これを守れるかどうかで、生存率が変わります。

撤退基準は買う前に決める。価格、時間、前提の3点セットを紙に書く。買った後に決めようとすると、必ず自分に甘くなります。

明日スマホを開いたら、まず1つだけ確認してください。

今あなたが持っているスタンダード銘柄(もしあれば)の、直近3ヶ月の平均日次売買代金です。Yahoo!ファイナンスでも、証券会社のアプリでも、出来高から計算できます。それがあなたのポジションサイズに対して過大でないかを確認する。ここから、全てが始まります。

知らない市場を怖がる気持ちは、私にもずっとあります。でも、怖がり方を変えることはできます。正体が分からないものを怖がるのではなく、正体が分かった上でサイズを調整する。それができれば、スタンダードはもう怖い場所ではなく、ただの選択肢の1つになります。

私がこの市場と付き合う上で守っている、シンプルな3つのルール

  • 流動性を銘柄選定より先に見る

  • 買う前に撤退基準を紙に書く

  • 迷ったらポジションを半分にする

これだけで、致命傷の大半は避けられます。生き延びていれば、歪みが縮まる瞬間に、また立ち会えます。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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