シティはなぜ予測を7000億ドル上方修正したのか?「コーディングAI」が市場規模を変えた本当の理由

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本記事の要点
  • 7000億ドル、と言われても何も決まらない
  • このニュースに反応した瞬間に、私たちは負けている
  • なぜ「コーディングAI」がプロの予測を変えたのか
  • ここから先、どう転んでもいい3つの構え

AI相場の何を見て、何を捨てるかが分かる記事です。

7000億ドル、と言われても何も決まらない

7000億ドル。

マーケットアナリスト
このテーマの肝は「7000億ドル、と言われても何も決まらない」にあります。表面的な値動きより構造を見ましょう。

シティグループが今週、世界のAI市場予測をこの規模で上方修正しました。2030年までに4.2兆ドルへ、というのが新しい数字です。

数字だけを並べれば、確かに大きな話です。ただ、私はこういうニュースを最初に見た時、いつも警戒します。理由は単純で、自分が過去に同じ種類のニュースで何度も判断を誤ってきたからです。

「市場規模が拡大する」「投資銀行が予測を引き上げた」。こういう見出しは、私たちの中の「乗り遅れたくない」という感情をピンポイントで狙ってきます。

実際、私のところにも友人から連絡が来ました。「これって、もう一度AI関連を買い直すサインじゃない?」と。気持ちは分かります。私自身、2023年の春に同じ感情に動かされて手痛い思いをしているからです。

ですが、ここで一度立ち止まりたいのです。

7000億ドルという数字が、自分の口座で取れるリスクや、明日のクリック1つにどう関係するのか。そこまで降りてこないと、この数字は単なる景気のいい話で終わります。

この記事では、まずニュースの中の「無視していい部分」と「本当に注視すべき部分」を仕分けます。次に、シティの上方修正が示している構造変化を整理します。最後に、私自身の失敗から作った、こういう相場での具体的な歩き方をお渡しします。

正直に言うと、AI相場は私にとっても今なお迷いの多いテーマです。だからこの記事は「これが正解」ではなく、「私はこう構えている」という温度で書いていきます。

区分本記事の論点要約ポイント
セクション17000億ドル、と言われても何も決まらない7000億ドル。シティグループが今週、世界のAI市場予測をこの規模で上方修正しました。2030年までに4.2兆ドルへ、というのが新しい数字です。数字だけを並べれ…
セクション2このニュースに反応した瞬間に、私たちは負けている最初に、私が今回のニュースで「無視していい」と判断したものを3つ挙げます。ひとつ目。「AI市場4.2兆ドルへ」という見出しだけを見て売買判断をしようとする動き。
セクション3なぜ「コーディングAI」がプロの予測を変えたのかここから一段深い話をします。今回の上方修正の本質を、3つの層に分けて整理します。まず、一次情報として何が起きたのか。シティは4月27日付のレポートで、世界AI市…
セクション4ここから先、どう転んでもいい3つの構え3つのシナリオを置いておきます。読みながら、自分が今どこに立っているかを確認してみてください。
セクション5基本シナリオ:エンタープライズ需要が継続する場合発生条件は、ハイパースケーラーのCapExが拡大基調を続け、各社決算でAI関連売上の伸びが確認できる状態です。このシナリオでやることは、インフラ層と組み込み層へ…
本記事「シティはなぜ予測を7000億ドル上方修正したのか?「コーディングAI」が市場規模」の構成マップ

このニュースに反応した瞬間に、私たちは負けている

最初に、私が今回のニュースで「無視していい」と判断したものを3つ挙げます。

ひとつ目。「AI市場4.2兆ドルへ」という見出しだけを見て売買判断をしようとする動き。

このニュースが誘発する感情は「乗り遅れ恐怖」です。ですが、市場規模の予測は「誰がその4.2兆ドルを取るか」を教えてくれません。市場が10倍になっても、自分の持っている銘柄が選ばれなければ意味がありません。私は過去、テーマ全体の追い風を「自分の持ち株への追い風」と取り違えて、何度か授業料を払いました。

ふたつ目。シティ自身の株価がこのニュースの後で軟調だった、という皮肉な動き。

ここから「市場はAIに懐疑的だ」と読み取るのは早計だと思います。マクロの長期予測と、足元の株価が示す投資家心理は別物です。両者を混ぜて1つの結論にすると、たいてい判断を間違えます。私は短期の値動きを見てマクロの見立てを変える癖がありました。それで何度も損をしました。

みっつ目。「OpenAIとAnthropic、勝つのはどっちか」というプレイヤー間の優劣論争。

これはニュースとして面白いです。ですが、個人投資家の私たちが日々ウォッチして利益に変えられる種類の情報ではありません。誰が勝つかが見える頃には、株価はとっくに動いています。

では、何を見るのか。私が今回のニュースから抽出した「注視すべきシグナル」を3つ挙げます。

ひとつ目は、ハイパースケーラーつまりクラウド大手3社の設備投資の伸びです。

シティのレポートによると、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの3社合計で今年だけで6300億ドル超のAIインフラ投資が見込まれています。この数字が前年比でプラスを維持しているうちは、今回の上方修正の前提が生きていると私は判断します。確認するなら、各社の四半期決算とそこで示されるCapExガイダンスです。

ふたつ目は、エンタープライズ向けAIの売上が実際に伸びているかどうか。

シティが上方修正の根拠にしたのは、企業がコーディング支援や業務自動化にAIを使い始めた、という事実でした。これが本物なら、各社の決算で「AI関連サービスの売上比率」が増え続けるはずです。逆にこの数字が頭打ちになれば、市場予測の前提は揺らぎます。

みっつ目は、AIスタートアップの収益が「実需」から来ているかどうか。

シティはAnthropicの売上の約80%が法人顧客から来ていると指摘しました。これは消費者向けの「面白いから使う」需要ではなく、企業が業務フローに組み込んで使っているという話です。この比率が今後も維持されるか、似た構造が他社にも広がるか。ここが見えれば、AI相場の足腰が分かります。

なぜ「コーディングAI」がプロの予測を変えたのか

ここから一段深い話をします。今回の上方修正の本質を、3つの層に分けて整理します。

まず、一次情報として何が起きたのか。

シティは4月27日付のレポートで、世界AI市場の2030年予測を3.5兆ドル超から4.2兆ドル超へ引き上げました。中でも企業向けAIの部分が大きく、これまでの1.2兆ドル予測から1.9兆ドルへ拡大しています。

つまり、上方修正の額面7000億ドルのほぼ全てが、企業向けAI市場の見直しから来ているということです。コンシューマー向け、つまり一般消費者向けのAI予測はそれほど変わっていません。

次に、私の解釈です。

この修正は、単なる数字の引き上げではなく、AIの「収益化ルート」に対する認識が変わった、という出来事だと私は見ています。

2023年から2024年前半まで、AI相場の主役はチャットボットでした。ChatGPTの月間利用者数や、画像生成AIの話題性が指標でした。ところが今回シティが評価したのは、ソフトウェア開発の現場でAIがコードを書き、業務フローの中でAIが多段階のタスクをこなす、いわゆるエージェント型の使われ方です。

企業はもはやAIモデルの性能ベンチマークではなく、自社の業務に組み込んだ後の信頼性や統合の深さで選び始めていると。これが本当なら、一度組み込まれたAIは簡単には引き剥がせません。SaaSのスイッチングコストと同じ構造です。

ここで私が置く前提を、できるだけ具体的に書きます。

前提その1。ハイパースケーラー3社の合計CapExが、四半期ベースで前年同期比プラスを維持していること。これが減速に転じたら、今回の上方修正の地盤が崩れます。

前提その2。エンタープライズAIを牽引する代表企業の年換算売上が、加速ではないにせよ伸びを維持していること。報じられているAnthropicの300億ドル規模の年換算売上は、急減速すれば「最大顧客はハイパースケーラー自身ではないか」という疑念を招きます。

前提その3。米国企業の設備投資意欲が極端に冷え込まないこと。リセッション本格化で企業のIT予算が削られれば、AI導入は後回しになります。

正直に言うと、私はこの3つの前提に絶対的な自信があるわけではありません。特に前提3は、足元のマクロ次第で簡単にひっくり返ります。だから私はこの記事の中で「買え」とは一度も書きません。

最後に、読者の行動レベルに落とします。

この解釈を採用するなら、構えるべきは「AIブームに乗る」ではなく、「企業がAIに払うお金がどこに流れるか」を追うことです。流れる先は大きく3層に分かれます。

第1層、計算資源を提供する側。半導体、データセンター、電力。 第2層、AIモデルを提供する側。これは多くが非上場で、私たち個人投資家から直接買えるのは限定的です。 第3層、AIを業務に組み込んで使う企業側。SaaS各社、業務ソフト各社、そしてAIによって生産性が上がる労働集約的なビジネス。

シティの上方修正は、この第3層が想定より早く立ち上がっている、という話だと私は読んでいます。

ここから先、どう転んでもいい3つの構え

3つのシナリオを置いておきます。読みながら、自分が今どこに立っているかを確認してみてください。

基本シナリオ:エンタープライズ需要が継続する場合

発生条件は、ハイパースケーラーのCapExが拡大基調を続け、各社決算でAI関連売上の伸びが確認できる状態です。

このシナリオでやることは、インフラ層と組み込み層への分散投資です。インデックスを軸にしつつ、個別を組み入れるなら時間分散で。

やらないことは、小型のAIテーマ株への集中投資です。テーマが当たっても、個別が当たるとは限りません。私はこれで何度もやられました。

チェックするのは、四半期ごとのクラウド大手CapExガイダンス、SaaS各社の決算で語られるAI関連売上の伸び率です。

逆風シナリオ:投資ROIが見えず減速する場合

発生条件は、ハイパースケーラーが「AI投資の回収が想定より遅い」と決算で言及し始めた時、もしくは大手企業がAI関連の予算を削り始めた時です。

このシナリオでやることは、ポジションサイズを落とし、現金比率を上げることです。AI関連の利益が出ているなら一部利確することも検討対象になります。

やらないことは、「押し目」と決めつけてナンピンすることです。テーマ株の調整は思っているより深く、長くなる傾向があります。

チェックするのは、ハイパースケーラーの粗利率、AIサブスクリプションの解約率、そしてVIX指数の水準です。VIXは恐怖指数とも呼ばれ、市場参加者の不安感の温度計です。これが急上昇する局面では、テーマ株は容赦なく売られます。

様子見シナリオ:判断がつかない時(今ここに近い)

発生条件は、上方修正のような前向きなニュースと、足元の株価軟調が併存している状態です。まさに今、シティの予測引き上げ翌日にシティ自身の株が下がる、という温度感です。

このシナリオでやることは、新規投資をするなら半分のサイズで、3〜4回に分けて入ることです。判断がつかない時に一括で動くと、間違えた時に身動きが取れなくなります。

やらないことは、レバレッジをかけることと、信用取引の建玉を増やすことです。ボラティリティの高い局面で時間を味方につけられない取引は、私の経験上ほとんど報われません。

チェックするのは、決算シーズンの個別ガイダンス、米10年債利回り、そしてVIX指数です。

私が2023年の春に買ったAI関連株の話

ここから少し恥ずかしい話をします。

2023年の春、ChatGPTが一般に広まり始めた頃の話です。私はAI関連と呼ばれる銘柄を、十分な検討もなく買いました。買ったのは1社ではなく、ニュースサイトと投資SNSで「AI関連」とタグづけされていた銘柄を、いくつかバスケットでまとめて。

何を見て判断したか、正直に書きます。

ひとつは、SNSのタイムラインでした。投資クラスタの誰かが利益を出した話、別の誰かが「まだ間に合う」と言っている投稿。それが流れてくる頻度が、ある時から急に増えていました。

もうひとつは、知人との立ち話です。普段あまり投資の話をしない知人が「最近AI関連で結構儲かってる」と笑っていました。私はそれを聞いて、軽く焦りました。

そして決定打は、自分の頭の中の声でした。「ここで動かないと、次の波には乗れない」。買い注文のボタンに指を置いた時、頭の中ではそう繰り返されていました。胃のあたりが少し熱くて、心拍が速くなっていたのを今でも覚えています。あれは、相場で一番危険な体の状態です。

買った後、最初の2か月は順調でした。含み益が増えていく画面を見ながら、自分の判断は正しかったと思っていました。むしろポジションを増やしてもよかった、と。

ところが、夏頃から雲行きが変わります。AI関連というだけで買われていた小型株が、決算で実態の薄さを露呈し始めたのです。「AIを使った何かをやる予定」というレベルの企業まで一緒に上がっていたのが、一斉に売られました。

私のバスケットは、半年後に高値から平均で3割ほど下がっていました。気づいた時には損切りラインを大きく割り込んでいて、結局、塩漬けにしました。何年か持ち続けた銘柄もあれば、ほぼ全損のような形で諦めた銘柄もあります。

何が間違いだったのか、後から整理しました。

判断の入り口で、銘柄選択ではなく「テーマ全体への乗り入れ」をしていた。これが第一の間違いです。テーマは当たっていても、個別が当たらない、という現象を私は理解していませんでした。

サイズが大きすぎた。これが第二の間違いです。一括で入った結果、含み損が膨らんだ時に身動きが取れなくなりました。分割していれば、2回目以降の判断を冷静にできたはずです。

そして、撤退基準を決めずに買っていた。これが致命的でした。「上がったら儲け、下がったら様子見」では、撤退基準ではなくただの願望です。

今でも、当時のあの軽い焦りと、夏以降の胃の重さを思い出すと、なんとも言えない感情が残ります。完全には消えていません。あの経験を踏まえて、今の私は次のようなルールを作りました。

あの失敗から作った、AI相場の歩き方

ここから具体的な数字の話をします。すべて私個人のルールですので、そのままコピーするのではなく、自分の資金量と生活環境に合わせて調整してください。

投資リサーチャー
個別銘柄の背景にある業界構造を理解すると、シティはなぜ予測を7000億ドル上方修正したのか?コーディングAIが市場規模を変 の捉え方が変わります。

資金配分のレンジ

AI関連の個別銘柄に充てる資金は、リスク資産全体の10〜20%までと決めています。市場が過熱気味の時は10%寄り、調整が入って割安感が出てきた時は20%寄り、という幅です。

現金比率は、平時で15〜25%を目安にしています。今のように上方修正と株価軟調が併存する局面では、現金比率を上限寄りに置いておくと、いざという時に動けます。一度ポジションを満杯にすると、機会が来た時に何もできなくなる、というのを過去に学びました。

建て方

新規でAI関連を建てる時は、最低でも3回に分割します。間隔は2〜4週間。理由は、私が一括で入ると必ず最初の調整で動揺するからです。分割しておくと「下がったら2回目を入れる」と前向きに捉えられます。

それから、テーマ全体ではなく層を絞ります。インフラ層、組み込み層、利用層、と書きました。今の私はインフラ層と利用層を中心に見ます。理由は、私の理解で勝負できる範囲だからです。AIモデルそのものを作っている会社の優劣を、私は正直、判定できません。

撤退基準(ここを決めずには絶対に入らない)

価格基準。直近3か月の安値を明確に終値で割り込んだら、一度ポジションを半分にします。ここで言う「明確に」は、終値ベースで安値を3%以上下回る、という運用です。

時間基準。買ってから3か月経っても想定したシナリオに動かない場合、一度降ります。負けではなく、自分の見立てが間違っていた可能性を認める作業です。

前提基準。先ほどM3で挙げた3つの前提のうち、ハイパースケーラーのCapExが前年比減速に転じたら、私は構えを変えます。具体的には、AI関連のポジションを段階的に半分まで落とします。これがいちばん大事な基準です。なぜなら、価格や時間の基準は遅行指標で、前提の崩れの方が早く出ることが多いからです。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

私のミスを防ぐルール

  • SNSで投資成功の投稿を見て心拍が上がったら、その日は新規注文を出さない

  • 知人から「儲かっている」と聞いて買いたくなった時は、48時間置く

  • 「乗り遅れる」という感情で動こうとしている時は、ポジションを半分にする

  • 銘柄ではなく「テーマ」で買おうとしている自分に気づいたら、一度手を止める

  • 撤退基準を決めずに発注画面を開いていることに気づいたら、画面を閉じる

これらは全部、2023年の私が破ったルールです。だから今の私には文字にして見えるところに置いてあります。

「結局これってAIバブルでは?」という指摘について

この記事を書いていて、自分の中で何度か湧き上がった反論があります。「シティの上方修正は、結局AIバブルの最終局面のサインなのではないか」と。

その指摘は、もっともだと思います。実際、過去の大型テーマ相場の終盤では、必ず投資銀行の予測引き上げが連鎖しました。ドットコムバブルの2000年初頭も、似た風景でした。

ただ、ここは条件分岐で考えたいのです。

コンシューマー向けAI、つまり個人ユーザー相手のチャットボットや画像生成サービスについては、私もバブル的な過熱感はあると見ています。広告売上やサブスクリプションだけで巨大インフラ投資を回収するのは、現状の単価では難しい。ここに過剰な期待が乗っているのは事実です。

一方で、エンタープライズAI、つまり企業がコーディングや業務自動化に組み込んでいる部分は、契約と継続利用の世界です。一度業務に深く組み込まれたAIサービスは、置き換えコストが高く、剥がしづらい。これはSaaSビジネスで何度も繰り返されてきた構造で、私はバブルというより「インフラ化の初期」と捉えています。

なので私の答えは、「コンシューマー側の熱狂は割り引いて見て、エンタープライズ側の数字を四半期ごとに確認する」です。両方をひとまとめに「AIバブル」と切り捨てるのも、「AI黄金時代」と決めつけるのも、私は両方危ないと思っています。

判断するための材料は、企業のIT予算開示と、SaaS各社の決算で示されるAI関連サービスの解約率と粗利です。ここが弱含めばバブルの色が濃くなり、底堅ければインフラ化が進んでいる、と私は読んでいます。

今、誰が買って誰が売っているのか

短く需給の話を入れておきます。推測と事実が混ざりますので、そこは分けて書きます。

事実として、ハイパースケーラー3社は今年だけで合計6300億ドル超のAIインフラ投資を計画していると報じられています。これは「事業会社が自分のサービスを良くするために設備を買う」という、株式市場の売買とは別の流れです。

事実として、AIスタートアップは大型の計算資源契約を相次いで結んでいます。Anthropicは今週、Amazonとの間で大規模な計算契約を結んだと報じられました。

ここから先は推測です。機関投資家は、AI関連を「持たないわけにはいかないが、持ちすぎるのも怖い」というポジションだと思います。指数に占めるウェイトが重くなりすぎ、リバランスの売りも出やすい状態です。

個人投資家は二極化しているように見えます。早くから買って大きな含み益を持つ層と、今からどう入ればいいか分からず迷っている層と。

この構造で大事なのは、自分がどちらの立場で読んでいるかを自覚することです。含み益のある人は利確の判断、迷っている人は新規の判断。同じニュースでも、見るべきポイントは違います。

スマホを開く前に確認したい3つの問い

最後に、自分のために置いておく問いを3つ書いておきます。手帳の最初のページに書いておくくらいの粒度です。

ひとつ。あなたの今のポジションは、最悪のシナリオでいくらの損失になりますか。金額で答えられない場合、サイズが過大か、撤退基準が曖昧かのどちらかです。

ふたつ。AI関連を買い増したいと思った時、その判断は「数字の確認」から来ていますか、それとも「乗り遅れ恐怖」から来ていますか。後者の自覚があれば、その日は注文を出さないと決めておきましょう。

みっつ。次にハイパースケーラー3社の決算でCapExが前年比マイナスに転じた場合、あなたは何をしますか。これに即答できないなら、シナリオがまだ自分の中で組み立てられていないということです。

保存用:AI相場で迷った時の自己点検リスト

スクショで保存して、迷った時に見返してみてください。Yes/Noで答えられるはずです。

  • 自分のAI関連ポジションが、リスク資産全体の20%以下に収まっているか

  • 撤退基準を、価格・時間・前提の3つの観点で具体的に書いているか

  • 直近2週間で、SNSや知人の話に動かされて発注した取引はゼロか

  • 持っているAI関連銘柄が、インフラ層・組み込み層・利用層のどこに属するか説明できるか

  • ハイパースケーラー3社の直近のCapExガイダンスを把握しているか

  • 「乗り遅れたくない」という感情で買いそうになった経験を、今月1度でも自覚したか

  • 現金比率が、自分のルールのレンジ内に収まっているか

ひとつでもNoがあれば、その項目を埋める作業が、今いちばん利益率の高い行動です。

明日の朝、スマホを開いてまず見るもの

ここまでで言いたかったことを、3つに絞ります。

ひとつ。シティの7000億ドル上方修正は、AI市場全体の話ではなく、企業向けAI、特にコーディングや業務自動化の伸びを認識し直した結果です。コンシューマーAIの話と混同しないこと。

ふたつ。注視すべきは、ハイパースケーラーのCapEx、エンタープライズAI売上の伸び、そしてAI企業の収益が法人比率を維持できているか、の3点。これが揺らいだ時、今の構造前提が変わります。

みっつ。私たちが取れる行動は、銘柄を当てに行くことではなく、自分の撤退基準を先に置き、サイズと現金比率を相場環境に合わせることです。当てに行く投資は、当たった時にしか勝てません。

明日の朝にスマホを開いたら、ひとつだけ確認してほしいことがあります。次の四半期決算で、アマゾン、マイクロソフト、グーグルのうち1社のCapExガイダンスをチェックしてください。前年同期比でプラスかマイナスか。これだけで、今回の上方修正のシナリオが生きているかどうかの第一報が分かります。

AI相場は、まだしばらく続くと私は見ています。ただ、続くからといって、いつ入っても勝てるわけではありません。続く相場で生き残るために、今やることは、銘柄を探すことよりも、自分のルールを点検することです。

私自身、2023年に焦って動いた時の胃の重さを、今でも体が覚えています。あの感覚を二度と味わいたくないから、こうしてルールを書き残しています。

この記事を閉じた後、あなたのリスク管理表に1行だけ書き足してもらえれば、それで十分です。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。


本記事のポイント:明日の朝、スマホを開いてまず見るもの を踏まえ、自身のリスク許容度に合わせて判断してください。

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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