日経平均だけ追う投資家が勝てなくなった理由、スタンダード市場の急騰劇から読み解く”テーマ循環”の本質

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本記事の要点
  • 日経平均、上がっています。それなのに私の口座は増えていません
  • このニュースに反応すると、たぶん負ける
  • 指数が見せていないもの、スタンダードが映しているもの
  • 明日からの三つの分かれ道

一つの指数だけを見ていると、相場の半分以上が見えなくなります。テーマ循環の流れを読み、振り回されず参加するための視点と、明日見るべき一つの数字をお渡しします。

日経平均、上がっています。それなのに私の口座は増えていません

「日経平均を見ているから、相場が見えなくなる」と言われたら、どう感じますか。

マーケットアナリスト
このテーマの肝は「日経平均、上がっています。それなのに私の口座は増えていません」にあります。表面的な値動きより構造を見ましょう。

私自身、最初に聞いた時は意味が分かりませんでした。指数を見るのが投資の基本だ、と思っていたからです。

でも今、私は本気でこう思っています。日経平均だけを追っている投資家ほど、最近の相場で取り残されているのではないか、と。

理由は単純です。日経平均が動いていない日や週でも、スタンダード市場や個別テーマでは静かに大きな循環が起きているからです。

具体的には、ある月は半導体関連が走り、別の月は防衛関連、その次はAI関連というように、お金の主役が短いサイクルで入れ替わっています。

日経平均という一つの数字だけを見ていると、この入れ替わりが全く見えません。「下がっていないからいいか」で済ませてしまう。

でも、相場参加者の一部はその循環に乗っていて、確実に資産を増やしている。それが今、私たちが感じている「なんとなくの取り残され感」の正体だと、私は見ています。

正直に言います。私もこの構造に気づくのに、何年もかかりました。

「日経平均がプラスなんだから、自分のポートフォリオもプラスのはず」「そうでなければ、自分の銘柄選びが下手なだけ」と、自分を責めていた時期があります。

でも違ったんです。問題は銘柄選びより前に、見ている指標そのものにあった。

この記事では、まず日経平均だけを見ていると何が見えなくなるのかを整理します。次に、スタンダード市場の動きから読み取れる「テーマ循環」の構造を確認します。最後に、テーマに振り回されず、それでも参加する側に回るための行動の順番をお渡しします。

派手な話ではありません。「明日からどの数字を見るか」を一つ変えるだけの、地味な提案です。

区分本記事の論点要約ポイント
セクション1日経平均、上がっています。それなのに私の口座は増えていません「日経平均を見ているから、相場が見えなくなる」と言われたら、どう感じますか。私自身、最初に聞いた時は意味が分かりませんでした。指数を見るのが投資の基本だ、と思っ…
セクション2このニュースに反応すると、たぶん負けるここで、無視していいノイズと、注視すべきシグナルを仕分けます。無視していいノイズ、私が見ているのは三つあります。一つ目は、「日経平均、年初来高値更新」の見出しで…
セクション3指数が見せていないもの、スタンダードが映しているものここからメインの話です。事実、私の解釈、読者の行動の順で書いていきます。まず、事実から。日経平均は225銘柄の構成で、しかも一部の値がさ株(株価が高い銘柄)の影…
セクション4明日からの三つの分かれ道ここから、相場の展開によって私たちが取るべき行動が変わるシナリオを三つ示します。M3で置いた前提が「維持される」「崩れる」「判断不能」のそれぞれで、何をして、何…
セクション5シナリオ一:基本の流れ ― 二層化が続く場合発生条件は、TOPIXと日経平均のかい離が続き、スタンダードの出来高が一定以上保たれ、騰落レシオが80〜120のレンジで推移している時です。前提が維持されている…
本記事「日経平均だけ追う投資家が勝てなくなった理由、スタンダード市場の急騰劇から読み解く」の構成マップ

このニュースに反応すると、たぶん負ける

ここで、無視していいノイズと、注視すべきシグナルを仕分けます。

無視していいノイズ、私が見ているのは三つあります。

一つ目は、「日経平均、年初来高値更新」の見出しです。

このニュースを見ると、「相場が強いから乗らないと」という焦りが湧きます。でも、年初来高値という数字は、必ずどこかで更新されます。それ自体には方向性のヒントがありません。

過去、私は「年初来高値」の文字を見て勢いで買い増したことが何度かあります。結果は半々でした。つまりコイン投げと同じです。シグナルとして使う価値はありません。

二つ目は、「○○ショックで日経平均、◯円安」のような単発の急落ニュースです。

これは恐怖を煽ります。「すぐに何かしないと」という気持ちにさせる。でも、一日の値動きは、相場の長期的な構造とほとんど関係がありません。

私はこのタイプのニュースが流れた日は、意識して相場を見ない時間を作ります。少なくとも、その日のうちには動かない。一晩寝てから、翌朝の海外勢の反応を見て判断します。

三つ目は、SNSで流れてくる「次に来るテーマはこれだ」系の投稿です。

これは取り逃し恐怖を刺激します。みんなが知っているテーマは、もう仕込み終わった人がポジションを売る側に回っています。

私はこういう投稿を見たら、「自分が今この銘柄に飛び乗ったら、誰の利益確定の相手になるか」を考えるようにしています。たいていの場合、答えは「すでに早く動いた誰か」です。

次に、注視すべきシグナルを三つ挙げます。

一つ目は、TOPIXと日経平均のかい離率です。

つまり、東証プライム市場全体の平均的な動きと、日経平均225銘柄の動きがどれだけずれているか。これが拡大している時、相場は一部の値がさ株に引っ張られていて、全体としては弱い、ということがあります。

確認方法は、各証券会社のチャートツールで両方を重ねて表示するだけです。週に一度、土日のどこかで見れば十分です。

二つ目は、東証スタンダード市場とグロース市場の出来高です。

ここが急に膨らむ時、個人投資家のリスク許容度が上がっている合図、つまりテーマ循環が活発化しているサインだと私は読んでいます。

確認は、日本取引所グループのサイトで毎週の市場別売買代金を見るのが早いです。これも週次で十分。

三つ目は、騰落レシオです。

つまり、東証プライムの値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った数字。これが120を超えてくると過熱、70を割り込むと売られすぎ、と一般的には言われます。

私はこれを「絶対水準」よりも「方向性」で見ています。最近10日間の騰落レシオが上昇トレンドなのか下降トレンドなのか。それだけでも、相場の体感とのずれを補正できます。

これら三つは、次の章で実際の解釈に使います。

指数が見せていないもの、スタンダードが映しているもの

ここからメインの話です。事実、私の解釈、読者の行動の順で書いていきます。

まず、事実から。

日経平均は225銘柄の構成で、しかも一部の値がさ株(株価が高い銘柄)の影響が大きい指数です。具体的には、上位10銘柄程度で指数全体の動きの3〜4割を説明できてしまうほど偏っています。

つまり、ごく一部の値がさ株が動けば、日経平均は上がります。逆に、その他200銘柄以上が下がっていても、上位が強ければ「日経平均は堅調」と表示されます。

一方、東証スタンダード市場には1500社以上が上場していて、ここの動きはむしろ「裾野の景気感」や「個人投資家のリスク許容度」を映しています。

ここで私の解釈です。

最近、TOPIXより日経平均が強い日が続く一方で、スタンダード市場では別のテーマで急騰劇が起きている、という現象が散発的に観察されます。

これは何を意味するか。私はこう読んでいます。プライム市場の大型株は機関投資家の資金、特に海外勢の動きで決まる。一方、スタンダードや小型のテーマ株は個人投資家の物色対象になっていて、別のロジックで動いている。

つまり、市場が二層化していて、層ごとに別の主役、別のテーマで動いている、ということです。

この見方が正しいなら、日経平均だけを追っていても「個人の資金が今どこに向かっているか」は分かりません。それを知るには、スタンダードの出来高、グロースの値動き、テーマ別の騰落率を見る必要があります。

ここで前提を置きます。私は今、「機関投資家と個人投資家の資金が違う場所で動いている」という前提で相場を見ています。

この前提が崩れるのは、どんな時か。具体的には次のどれかが起きた時です。

一つ、TOPIXとスタンダード市場の連動性が急に高まる(一緒に上がるか、一緒に下がる)。これは、市場全体に共通の強いテーマ(金利、為替、地政学)が乗った時です。

二つ、海外勢の日本株売買代金が急増し、しかもスタンダードまで物色対象になる。これは、外資が日本株全体を「買い」と判断した時で、めったに起きません。

三つ、騰落レシオが極端な水準(150超か、60割れ)に達して、テーマ循環どころでない一方向の相場になる。

これらが起きていない限り、私は「市場が二層化していて、テーマ循環は個人投資家層で起きている」という見方を維持します。前提が変われば、判断も変えます。

ここで一度、自分に三つ問いかけてみてください。

一つ、今のあなたのポートフォリオは、最悪のシナリオで何パーセントの損失になりますか。 二つ、その損失が出た時、生活と精神を保てますか。 三つ、答えに詰まったとしたら、それはなぜですか。

答えられないこと自体が、たぶん今一番の気づきです。私もここを言語化できていなかった時期、相場の振れに必要以上に揺さぶられていました。

最後に、読者の行動について。

この解釈が大筋で合っているとして、私たちはどう構えるか。選択肢は三つあります。

一つ、テーマ循環には乗らず、プライム市場の指数(TOPIXか日経平均)を素直に持ち続ける。これは長期投資の王道で、悪くない選択です。むしろ多くの人にとっての正解だと思います。

二つ、テーマ循環の主役を見て、後追いではなく「次の主役」を予測しに行く。これは難易度が高く、外した時のダメージも大きい。私自身、ここで何度も痛い目に遭いました。

三つ、メインの資産はインデックスに置きつつ、ごく一部の余剰資金でテーマ循環を「観察と勉強の対象として」持つ。私が最近たどり着いたのはこの形です。割合は人によって違いますが、私の場合はリスク資産全体の1〜2割に抑えています。

正直、ここは私も迷います。テーマで大きく勝った人を見ると、自分の小さな配分が物足りなく感じる瞬間があります。でも、その配分にしているからこそ、外しても致命傷を負わない。これが今のところの私の落とし所です。

明日からの三つの分かれ道

ここから、相場の展開によって私たちが取るべき行動が変わるシナリオを三つ示します。M3で置いた前提が「維持される」「崩れる」「判断不能」のそれぞれで、何をして、何をしないか。

シナリオ一:基本の流れ ― 二層化が続く場合

発生条件は、TOPIXと日経平均のかい離が続き、スタンダードの出来高が一定以上保たれ、騰落レシオが80〜120のレンジで推移している時です。前提が維持されている、と判断していい局面です。

やることは、メインのインデックス保有を継続しつつ、テーマ循環の主役を週次でチェックすることです。具体的には、土日のどこかで30分、業種別騰落率と売買代金上位銘柄の入れ替わりを確認します。

やらないことは、循環中のテーマに後追いで飛び乗ることです。すでに動き始めて1週間以上経っているテーマは、私の経験では「乗っても遅い」ことが多い。ここで焦るとあとで書く失敗の話になります。

チェックするものは、業種別の週間騰落率(各証券会社のサイトで見られます)と、東証スタンダードの売買代金です。

シナリオ二:逆風 ― 二層化が崩れる場合

発生条件は、TOPIXとスタンダードが同時に大きく下落するか、騰落レシオが極端な水準(60割れ)に達する時です。前提が崩れた、と判断する局面です。

やることは、ポジション全体のリスク量を見直すことです。具体的には、現金比率を平時より高めに引き上げる(私の場合は20%程度上乗せします)。テーマ株の保有があれば、まず先に整理します。テーマ株は地合いが悪い時に最も急に売られるからです。

やらないことは、「下がったから買い」と機械的に動くことです。下落の初動と二番底は別物で、初動で買うとさらに下がった時に身動きが取れなくなります。

チェックするものは、米国市場の動向、特にナスダックとSOX指数(半導体株指数)の動きです。日本のテーマ株はこの二つに連動しやすいので、ここが弱いうちは戻りも限定的だと私は見ています。

投資リサーチャー
日経平均だけ追う投資家が勝てなくなった理由、スタンダード市場の急騰劇から読み解く を読み解く際は、ニュースの一次情報まで掘ることが大切です。

シナリオ三:判断不能 ― 様子見が正解の場合

発生条件は、TOPIXも日経平均もスタンダードも方向感のないレンジで動いている時、または重要イベント(日銀会合、米雇用統計、決算シーズン入り直前など)を控えている時です。

やることは、何もしないことです。具体的には、新規のポジションを建てない。既存のポジションも増減させない。次のシグナルを待ちます。

「何もしない」が一番難しい行動だと、私は思っています。スマホを開けば情報は流れてきて、何かしないと取り残される気がする。でも、判断材料が足りない時に動くのは、判断ではなく感情に従っているだけです。

やらないことは、「とりあえず半分仕込む」のような中途半端な行動です。シナリオが見えない時の「半分」は、根拠がないのでルール化できず、結果的にナンピンの起点になりやすい。

チェックするものは、自分の心拍数です。冗談ではなく、相場が分からない時の自分は、判断より先に手が動きがちなので、「今、自分は焦っているか」を一日一回確認します。

あの夏、私はテーマ株の天井で買いました

ここから、私自身の失敗の話をします。少し長くなりますが、お付き合いください。

数年前のことです。季節は夏で、株式市場ではあるテクノロジー関連のテーマが盛り上がっていました。具体的なテーマは伏せますが、当時の主流の話題で、SNSでも経済メディアでも毎日のように取り上げられていました。

私はもともと、テーマ株は手を出さない、と決めていました。理由は単純で、テーマには必ず終わりが来るからです。それなのに、その時の私は揺らいでいました。

きっかけは、知人との飲み会でした。普段はあまり投資の話をしない友人が、その場でその関連銘柄の含み益を見せてきたんです。「3か月で2倍になった」と。

その瞬間、私の頭の中で何かがカチッと切り替わりました。「自分だけが乗り遅れている」「このまま見ていたら、また機会を逃す」という焦りが、ほとんど反射のレベルで湧いてきた。

家に帰ってから、私はチャートを開きました。

確かに、その銘柄群はきれいな上昇トレンドの中にありました。一年前から見れば既に2〜3倍になっているものも多かった。でも、私の目には「まだ上がりそう」に映っていた。

なぜそう見えたのか。今振り返れば理由は明白です。私は上がっているチャートしか見ていなかった。下げに転じた時の同種テーマの過去のチャートは、無意識に避けていた。

買い注文のボタンに指を置いた時、頭の中では「いつもの自分のルールを破ることになるけど、今回だけ」と言い訳が走っていました。今でもこの瞬間を思い出すと、胃が重くなります。

ポジションサイズも、平時より大きくしました。具体的には普段の倍近く。「乗り遅れた分を取り返さないと」という気持ちがそうさせました。

買った直後、その銘柄はもう一段上がりました。たった数日で、含み益は5%を超えた。私は「やっぱり読みは正しかった」と思った。

でも、そこが頂点でした。

翌週から、関連銘柄群が静かに崩れ始めました。下げの初日は「一時的な利益確定だろう」と自分に言い聞かせた。二日目には「ここから反発するはず」と思った。三日目、四日目と下げは続き、私の含み益はあっという間に消え、含み損に変わりました。

ここで、もう一つ間違えました。損切りができなかった。

「ここで切ったら、結局乗り遅れたまま負ける」「もう少し待てば戻るはず」と、自分に都合のいい解釈ばかりしていました。実際にはチャートはきれいな下降トレンドに入っていて、戻る兆しは何もなかったのに。

最終的に、私は当初買った価格から3割ほど下げた水準で、ようやく損切りしました。サイズが大きかった分、金額のダメージも普段の倍。あの時の損失額は、今でも具体的に覚えています。

何が間違いだったか。整理すると四つあります。

一つ、自分のルール「テーマ株は手を出さない」を、感情で破ったこと。 二つ、ポジションサイズを平時より大きくしたこと。「取り返したい」が判断より先に立っていた。 三つ、上がっているチャートしか見ず、下げに転じた時の典型的な動きを想像しなかったこと。 四つ、損切りラインを事前に決めずに買ったこと。だから下げた時に判断できなかった。

この四つの失敗から、今の私のルールができました。

具体的には、テーマ株に手を出すなら、必ず以下を守ると決めています。資金量はリスク資産全体の1〜2割まで、ポジションサイズは平時の半分まで、買う時には同時に損切り価格をメモする、損切り価格を割ったら理由を後付けせず必ず切る。

このルールが完璧かと言われれば、自信はありません。今でもテーマが盛り上がる場面では「もっと大きく張ったら」という気持ちがよぎります。でも、あの夏の判断を思い出すたびに、ルールを守る意味が体に戻ってきます。

失敗から学んだ、というのは少しきれいすぎる言い方です。正確には、失敗の痛みが、ルールを守るためのコストの安さを教えてくれた、という方が近い。

テーマに乗るための、降りる準備

ここから、実際のルールを具体的な数字で渡します。先ほどの失敗から私が辿り着いた形です。完璧ではありませんが、少なくとも致命傷を避けるための骨組みになっています。

一つ目、資金配分のレンジ。

私の場合、リスク資産全体を100とした時、こう分けています。

インデックス(国内外):60〜70% 個別株のコア(長く持ちたい銘柄):20〜25% テーマ循環の参加枠:5〜15% 現金:相場環境による

相場がレンジで方向感のない時はテーマ枠を下限の5%寄り、明確な循環が見えている時は上限の15%寄り。動かす量は、この範囲内に厳格に収めます。

なぜこの配分か。テーマ枠を100にしてしまうと、テーマが終わった時の損失で他の枠まで崩れる。逆にテーマ枠を0にすると、循環の感覚そのものが鈍る。「観察兼参加枠」として、最低限の額は残す、というのが私の結論です。

二つ目、建て方。

テーマ枠で銘柄を買う時は、必ず3回に分割します。間隔は1〜3週間。

最初の1回目は、テーマが立ち上がってから日が浅い、つまり初動寄りで入る分です。2回目は、その後の動きを見て、想定通りなら追加。3回目は、トレンドが継続していると確認できた時のみ。

なぜこの分割にするか。一括で入ると、買った直後に下げた時に身動きが取れなくなるからです。買い増す現金がないと、心理的に追い詰められて、損切りすべき場面で塩漬けに転じやすい。

3回目の追加は、しないことの方が多いです。そこまでトレンドが続けば、もう天井圏に近いことが多いからです。

三つ目、撤退基準。これが一番大事です。

価格基準として、私は買い値から下に「直近の安値水準」を割り込んだら撤退、と決めています。テーマ株の場合、日足の直近2週間の最安値が一つの目安になります。

時間基準として、買ってから3週間経っても想定方向に動かないなら、一度ポジションを半分にします。さらに2週間経っても動かなければ全部降ります。テーマ循環は、入ったらすぐに動くのが普通で、動かない時は循環の中心が別の場所に移っている可能性が高い。

前提基準として、先ほど置いた「市場の二層化、テーマ循環は個人投資家層で起きている」という前提が崩れたら撤退。具体的には、TOPIXとスタンダードの相関が急に高まり、両方が同方向に大きく動き始めた時です。地合いが変わると、テーマ単独の話ではなくなります。

この三つは、必ず買う前に紙かメモアプリに書きます。買った後ではなく、買う前です。なぜなら、ポジションを持った後の自分は、撤退基準を緩める方向にしか考えないからです。これは私だけでなく、たぶん多くの人がそうです。

四つ目、判断に迷った時の救命具。

判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。

これは、もし他のすべてを忘れても、これだけは覚えておいてほしいルールです。

迷っている時、私たちは「正しい判断」を探そうとします。でも、迷っている時点で、もう判断材料は足りていない。足りない情報で全てを決めるよりも、半分にして判断の影響を半分にする方が、結果的に長く相場に残れます。

五つ目、私のミスを防ぐ短いルール。

最後に、これは普段のスマホのメモに貼っている短いリストです。

テーマ株はポジションを平時の半分以下にする。 SNSで話題になってから3日以上経ったテーマには触らない。 飲み会で他人の含み益を聞いた直後、最低24時間は注文画面を開かない。 損切り価格を決めずに買わない。 含み損を「育てる」言い訳をしない。

抽象的な心構えではなく、具体的な行動レベルにすることがポイントです。「冷静になる」では何をすればいいか分からない。「24時間は注文画面を開かない」なら、できる。

「結局、インデックスでいいのでは」への私の答え

ここまで読んで、こう思った方もいると思います。「テーマ循環の話は分かった。でも結局、インデックス長期保有が一番ラクで合理的なのでは?」

その指摘は、もっともです。私自身、リスク資産の60〜70%はインデックスです。多くの個人投資家にとって、長期で見ればこれが最も合理的だと、本気で思っています。

ただ、条件によって話が変わります。

インデックスだけで十分なのは、二つの条件が揃う時です。一つは、十分な投資期間(具体的には10年以上)が確保できること。もう一つは、その間の相場の上下に対して、ポジションを動かさずにいられる心理的な耐性があること。

この二つが揃えば、私もインデックスだけでいいと思います。テーマ循環を追う労力に見合うリターンの優位性は、長期で見れば消えていくことが多い。

逆に、こう感じている人には、インデックス一択は最適解にならないかもしれません。

下落局面で「何もしないのが正解」と頭で分かっていても、ログイン画面を開く頻度が増えてしまう人。 インデックスを持っていても、隣で短期で利益を上げている人を見ると平静でいられない人。 投資を「ポートフォリオの最適化」ではなく、「相場に参加する楽しみ」も含めて捉えたい人。

このタイプの人がインデックス100%にすると、地合いが悪い時にインデックス自体を投げてしまう、ということが起きます。そうなるなら、ごく一部に「動かす枠」を持っておく方が、メイン部分を守りやすい。

私の見方はこうです。インデックス長期保有は、合理性で選ぶ人にとっての正解。一方で、心理的な耐性が万全でない人にとっては、「メイン部分を守るために、一部に動く枠を作る」という配分が、長期で続けるための現実解になる場合があります。

正解は一つではありません。あなたの投資期間、心理的な耐性、相場との関わり方によって、最適な配分は変わります。

私のルールが、私のものになった日

最後に、ルールの作り方の話を少しだけします。

先ほどの失敗の後、私はすぐに「テーマ株は買わない」というルールを再確認しました。でも、これだけでは弱かった。なぜなら、また同じ場面が来た時、同じように破る可能性があったからです。

そこで、ルールの作り方を変えました。「やらない」だけでなく、「どうしてもやりたくなった時に、どこまでなら許すか」を決めることにした。

仮説として、テーマ株を完全禁止するより、上限を決めて参加枠を作る方が、衝動的な逸脱を防げるのではないか、と考えました。

検証は、実際に小さな金額で運用してみることでした。最初の半年は、平時の10分の1程度のポジションで試した。それでも勝ったり負けたりしたので、「枠の中で運用する感覚」を覚えるには十分でした。

採用したのが、今の「リスク資産の5〜15%、3回分割、撤退基準は事前にメモ」というルールです。

ここで一つだけ強調したいことがあります。私のルールをそのままコピーしないでください。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境、相場と向き合える時間は、私とは違います。

私の場合、本業を持っていて相場を見られる時間は限られています。だから、頻繁に判断するルールは合いません。週次でチェックして、月次で見直す、ぐらいの粒度になっています。

毎日相場を見られる人なら、もっと細かい撤退基準が機能するでしょう。逆に、月に一度しか見られない人なら、テーマ枠そのものを持たない方がいいかもしれません。

ルール作りで大事なのは、内容ではなく「自分の生活と性格に合っているか」です。借り物のルールは、最初に苦しい場面が来た時に必ず破られます。

私のルールは、私の失敗から作られたものです。あなたのルールは、あなたの失敗(と、これから直面する迷い)から作られていきます。

保存して使う、参加と撤退の七つのチェック

スクショして、注文画面を開く前に確認してみてください。Yes/Noで答えられるように作ってあります。

一、今、TOPIXと日経平均のどちらが強いか、説明できますか。 二、過去1か月で、業種別騰落率の上位3業種は入れ替わっていますか。 三、自分のポートフォリオの含み益(または損)は、どの銘柄が稼いで(吐き出して)いるか即答できますか。 四、テーマ枠で持っている銘柄について、撤退価格を紙かメモに書き出してありますか。 五、これから買う銘柄の損切り価格を、注文を出す前に決めましたか。 六、SNSやニュースで「次に来る」と言われた銘柄に、3日以内に飛びついていませんか。 七、判断に迷った場面で、ポジションサイズを半分にする選択肢を持てていますか。

七つすべてYesにする必要はありません。ただ、Noが三つ以上ある時、その日に新規で動くのは見送ったほうがいい、というのが私の経験則です。

明日スマホを開いたら、まずここを見てください

持ち帰ってほしいのは、三つだけです。

一つ、日経平均だけを見ていると、相場の半分以上は見えません。指数は嘘をつきませんが、指数は全部を映しているわけでもない。今、相場の中で誰がどこで動いているかを知るには、TOPIXとの比較、スタンダードの出来高、業種別の循環を見る必要があります。

二つ、テーマ循環に乗るかどうかは選択の問題ですが、乗るなら「降りる準備」を先に作る。撤退基準(価格、時間、前提の三つ)を、買う前にメモしておく。これがないまま買うと、下げた時の自分は必ず判断を先送りします。

三つ、迷ったらポジションを半分にしてください。迷いは市場からのサインです。「正しい判断」を探すより、「間違えても致命傷にならない大きさ」に下げる方が、長く相場に残れます。

明日スマホを開いたら、まず一つだけ確認してください。先週と今週で、東証の業種別騰落率の上位3業種が入れ替わっているかどうか。

入れ替わっていれば、テーマ循環が活発化している局面です。動くにしても、観察するにしても、その認識から始める。 入れ替わっていなければ、相場は同じテーマで動き続けています。今は新しい何かを探す局面ではない、と判断していい。

これだけで、明日からの「何を見ていいか分からない」が、少しだけ軽くなるはずです。

派手な勝ち方を提案する記事ではなくて、すみません。ただ、相場で長く生き残るには、勝ち方より、致命傷を避ける方法のほうが、ずっと役に立ちます。

少なくとも私は、そう信じてここまで生き残ってきました。

本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

本記事のポイント:明日スマホを開いたら、まずここを見てください を踏まえ、自身のリスク許容度に合わせて判断してください。

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この記事を書いた人

「日本個別株デューデリジェンスセンター」運営者。日本の個別株に特化した投資リサーチを専門とし、銘柄分析・企業デューデリジェンス・業界動向・IPO分析を中心に2,800本超の分析レポートを執筆。ファンダメンタルズ分析とデータドリブンなアプローチで、個人投資家の意思決定をサポートしています。毎日更新の分析レポートを通じて、プロ水準のリサーチを個人投資家に届けることをミッションとしています。

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