- 第1章:「AIは水を飲む」とはどういうことか
- ChatGPTに一言聞くたびに、ペットボトル数本分の水が動いている
- データセンターはなぜ、そもそも水を必要とするのか
- 第2章:数字で見る「水」の現実
生成AIに質問を投げかけると、答えが一瞬で返ってきます。その手軽さの裏側で、目に見えない「水」と「電気」が静かに、しかし大量に消費されていることをご存じでしょうか。
「AIが水を飲む」と聞くと比喩のように感じるかもしれませんが、これは現実に起きている物理現象です。そして、この水と電力という二つの制約こそが、これからの数年間で日本株のなかに新しい投資テーマを生み出そうとしています。

この記事では、まず「AIがなぜ水と電気を必要とするのか」という仕組みを丁寧に押さえたうえで、世界で何が起きているのかを数字で確認し、最後に、その流れの恩恵を受けそうな、あまり名前を聞かない日本の中小型銘柄を5つ取り上げます。大型株では味わえない「自分で銘柄を発掘する楽しみ」を感じていただければ幸いです。
なお、本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は必ずご自身で行ってください。
第1章:「AIは水を飲む」とはどういうことか
ChatGPTに一言聞くたびに、ペットボトル数本分の水が動いている
少し前に研究者の間で話題になった試算があります。ある世代の大規模言語モデルに150〜300語ほどの文章を生成させると、その一回のやり取りで約16.9ミリリットルの水が使われる、というものです。コップ一杯にも満たない量ですが、世界中で毎日何億回とリクエストが飛び交っていることを思えば、塵も積もれば山となります。
興味深いのは、この16.9ミリリットルの内訳です。データセンターの設備を直接冷やすために使われる「直接水」はそのうち2.2ミリリットルにすぎず、残りの14.7ミリリットルは、サーバーを動かす電気をつくる発電所側で消費される「間接水」だとされています。つまり、私たちが「AIが水を飲んでいる」と感じる量の大半は、実は発電の裏側で消えているのです。
この試算の出どころや前提については、次の記事が詳しく整理しています。
データセンターはなぜ、そもそも水を必要とするのか
コンピューターは電気を使うと必ず熱を出します。スマートフォンが熱くなるのと同じ理屈です。データセンターには高性能なサーバーがびっしりと詰め込まれており、その熱を放っておくと機器が壊れてしまうため、24時間休みなく冷やし続けなければなりません。
伝統的なデータセンターでは、この冷却に「水の蒸発」を利用してきました。打ち水をすると涼しくなるのと同じで、水が蒸発するときに周囲の熱を奪う性質を使い、効率よく温度を下げているのです。空気だけで冷やす方式に比べて電気の消費を抑えられる一方で、蒸発した水はそのまま大気に逃げてしまうため、水を「消費」してしまうという宿命があります。
ここに、この記事のテーマである「二重苦」の出発点があります。電気を節約しようとすると水を使い、水を節約しようとすると電気を使う。データセンターは、この二つの資源のあいだで綱引きをしながら運営されているのです。
冷却方式ごとの水と電力の関係については、技術的な視点から次のブログがよくまとまっています。
第2章:数字で見る「水」の現実
米国データセンターの年間水使用量は、9年で3倍に
抽象的な話だけでは実感が湧きにくいので、規模感のわかる数字を見てみましょう。報道によれば、米国のデータセンターが1年間に使う水の量は、近年で約660億リットルに達しています。これは9年間でおよそ3倍に膨らんだ計算で、日本に置き換えるとおよそ50万人分の生活用水に相当する量だとされています。
しかも、この水の多くは私たちの飲み水と同じ「きれいな水」です。地下水や河川から取水される地域も多く、データセンターの建設が集中するエリアでは、住民が地下水の枯渇や干ばつを心配し始めているという深刻な現実があります。
この水消費の急増を取り上げた報道は次の通りです。
2028年までに、さらに2倍から4倍へ
問題は、これがピークではないという点です。米国のある研究機関の報告では、データセンターが直接消費する水の量は2028年までにさらに2倍から4倍に増えると予測されています。AIの普及が前提として織り込まれており、生成AIブームが続く限り、水の需要は右肩上がりで増えていくとみられているのです。
さらに視野を広げると、AIの学習と運用に伴う水消費は、年間で家庭用水に換算して数百万人から1000万人規模に達するという試算もあります。AIの環境負荷というと二酸化炭素の排出ばかりが注目されがちですが、水に関する議論は対策がまだ遅れている、と指摘する声もあります。
AIの水消費を地球規模で論じた記事として、次のものが読みやすく整理されています。
「水のない場所」にデータセンターが建つという皮肉
水問題をさらにややこしくしているのが立地です。報告によれば、近年に新設された米国のデータセンターのうち、かなりの割合が「水ストレスの高い地域」、つまりもともと水が乏しい乾燥地帯に建てられているといわれます。土地が安く、税制優遇が手厚く、送電網に近いといった事情から、皮肉にも水の少ない場所に水を大量に使う施設が集まってしまっているのです。
こうした矛盾を受けて、世界では「データセンターの水利用をどう持続可能にするか」という議論が本格化しています。設計と立地の高度化、水使用量そのものの削減、水の再利用と持続可能な水源の活用、そして地域社会との連携。こうした原則を業界全体で共有しようという動きが、企業や自治体、水道事業者を巻き込んで始まっています。
この国際的な議論の中身については、次の解説が参考になります。
第3章:もう一つの重荷「電力」
2030年、データセンターの電力消費は「日本一国分」に迫る
水と並ぶもう一つの重荷が電力です。国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、世界のデータセンターの電力消費量が2030年までに約9450億キロワット時に達すると見込まれています。これは2024年の水準からおよそ倍増するペースで、日本一国の年間電力消費量を上回る規模です。参考までに、日本の2024年度の需要電力量はおよそ8524億キロワット時でした。
つまり、世界のデータセンターが「もう一つの日本」をまるごと電化したかのような電気を、数年のうちに飲み込むことになる、というイメージです。特に米国では、2030年までに見込まれる電力需要の増加分のおよそ半分をデータセンターが占めるとの見方もあり、その影響の大きさがうかがえます。
IEAの報告書の内容を日本語で整理したものとして、次の解説が読みやすいです。
AI専用のデータセンターに絞ると、電力需要の伸びはさらに急です。AI向けの大規模施設は、大型でエネルギーを大量に使うGPUを大量に積んでいるため、一般的なサーバーよりもはるかに電気を食います。一般的なAIデータセンターの年間電力消費量は10万世帯分に相当するとされ、建設中の最大規模の施設ではその20倍にもなるといわれています。
この点を整理した記事として、次のものがあります。
AIサーバーは電気を「食べて」熱を「吐く」
電力消費が急増している主因は、AIに最適化されたサーバーの普及です。ある調査会社の予測では、AIに最適化されたサーバーの電力消費は2025年の93テラワット時から2030年には432テラワット時へと、ほぼ5倍に膨らむとされています。データセンター全体の電力消費も2025年に前年比で増え、2030年までにおよそ2倍になるとの見立てです。
この調査会社の予測は次のプレスリリースで確認できます。
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20251119-dc
ここで重要なのは、電気を使えば使うほど熱が出るという物理法則です。最新のAI向け半導体は、1つのチップだけで700ワットを超える熱を発するものもあり、これは小型の電気ストーブに近い発熱量です。それがラックに何十枚も詰め込まれるのですから、施設全体は巨大な暖房器具のようなものになります。
空冷には「物理的な限界」がある
従来の空気で冷やす方式には、越えられない壁があります。技術的な分析によれば、空冷でまかなえるのは1つのラックあたりおよそ41キロワットあたりが限界とされ、これを超えると、必要な空気の量が現実的な設計で送り込める量を上回ってしまうといわれます。簡単に言えば、扇風機をいくら増やしても追いつかなくなる領域に入ってきた、ということです。
そこで主役に躍り出ているのが「液体冷却」です。水や冷媒を使ってチップを直接、あるいは間接的に冷やす方式で、空気よりもはるかに効率よく熱を運び去ることができます。市場調査では、データセンター向け液体冷却の市場規模は2025年に55億ドル規模に達し、2030年には150億ドルを超えるとの予測もあります。年率20パーセント超の高い成長が見込まれる分野です。
ただし、液体冷却は導入コストが高く、既存施設への後付けには大きな投資が必要になります。それでも採用が進むのは、空冷ではもはや冷やしきれないという切実な事情があるからです。
液体冷却と空冷の比較、市場規模の見通しについては、第1章でも紹介した次のブログが詳しいです。
「電力か、水か」というトレードオフ
ここで第1章の話につながります。空気で冷やせば水は使いませんが電気を多く使います。水を蒸発させて冷やせば電気は節約できますが水を消費します。液体冷却は効率が良い一方で、その冷却水を循環させ、最終的にどこかで放熱するために、やはり水か電気のどちらかを使います。
つまりデータセンターは「電力を取るか、水を取るか」というトレードオフの中で運営されており、どちらか一方だけを最適化しても、もう一方にしわ寄せがいきます。この構造こそが、本記事のタイトルにある「水と電力の二重苦」の正体です。そして、この二重苦を少しでも和らげる技術や設備こそが、これから投資マネーを呼び込む可能性を秘めています。
なお、電力需要の急増は確かなトレンドですが、現場の電力会社からは「報道ほど短期的に需要が跳ねているわけではない」という慎重な声も出ています。テーマに乗る前に、こうした温度差にも目を配っておくと冷静な判断ができます。
供給側の本音を取材した記事として、次のものが参考になります。
第4章:二重苦が生む、三つの投資テーマ
ここまでの話を投資の言葉に翻訳すると、データセンターの「水と電力の二重苦」は、大きく三つの解決ニーズを生み出します。順番に整理してみましょう。
テーマ1:水を「作る・回す・減らす」
データセンターや、その隣で増え続ける半導体工場では、ただの水道水ではなく、不純物を極限まで取り除いた「超純水」や、用途に応じて処理された高品質の水が必要になります。さらに、貴重な水を使い捨てにせず、排水を回収して再び使う「水のリサイクル」や、蒸発に頼らない「ゼロウォーター設計」への関心も高まっています。
ここでは、超純水を作る技術、排水を処理して循環させる技術、そして水の使用量そのものを減らす技術を持つ企業が恩恵を受けます。地味ながら、AIインフラの土台を支える「水の黒子」たちです。
テーマ2:熱を「効率的に逃がす」
第3章で見たように、AIサーバーの発熱は空冷の限界を超えつつあり、液体冷却への移行が進んでいます。チップを直接冷やす方式、サーバーごと液体に浸す方式、ラックの背面で熱を受け止める方式など、冷却技術は多様化しています。
同時に、外気をうまく取り込んで電力消費を抑える高効率の空調も、引き続き重要な役割を果たします。「いかに少ない電気と水で、より多くの熱を逃がすか」という競争のなかで、冷却装置や配管、熱交換、空調システムを手がける企業に出番が回ってきます。
テーマ3:電力を「受けて・配って・貯める」
どれだけ立派なサーバーを並べても、安定した電気が届かなければ意味がありません。発電所から送られてくる高い電圧の電気を受け取り、施設内の各機器が安全に使える電圧に変換し、適切に分配する。この「受配電」の設備は、すべてのデータセンターに必ず必要です。
加えて、電力供給を安定させるための蓄電池や、停電時に備える電源設備の需要も高まっています。華やかなAIチップの陰で、電気を確実に届ける縁の下の力持ちが静かに潤う構図です。
この「冷却・受配電」という切り口で関連銘柄を俯瞰した資料として、次の証券会社のテーマ解説が参考になります。
https://www.nomura.co.jp/promo/market/theme/datacenter2603/pdf/cpsl_datacenter2603.pdf
冷却システムの省エネ化という観点での関連銘柄紹介は、次の記事もわかりやすいです。
https://note.com/tatsuya_sabato/n/n50b2f4412abf
サーバー冷却というテーマで関連する企業を一覧で眺めたい場合は、次のページが便利です。
第5章:個人投資家のための関連銘柄5選
ここからが本題です。投資の世界には「ゴールドラッシュで最も儲けたのは、金を掘った人ではなく、ツルハシとスコップを売った人だ」という有名な言い回しがあります。AIという金鉱に群がる人々が増えるほど、その作業に欠かせない「水」と「電気」と「冷却」を提供する企業には、安定した需要が舞い込みます。
ここで紹介するのは、トヨタやNTTのような誰もが知る大型株ではありません。普段あまり名前を聞かない、しかしAIインフラの土台を支える専門メーカーたちです。それぞれの「みんかぶ」のページも添えますので、株価や業績、市場の評価を確認しながら、ご自身の銘柄発掘の入り口にしていただければと思います。
繰り返しになりますが、以下は推奨ではなく、テーマを理解するための具体例です。株価や業績は刻一刻と変わりますので、必ず最新の情報をご自身で確認してください。
① 野村マイクロ・サイエンス(6254)― AIの「水」を作る超純水の黒子
最初に取り上げるのは、テーマ1「水を作る」の代表格です。同社は、半導体の製造工程に欠かせない「超純水」を作る装置の専業メーカーで、設計から施工、メンテナンスまでを一貫して手がけています。半導体の洗浄にはわずかな不純物も許されないため、極めて高純度の水を安定供給できる技術は、簡単には真似のできない参入障壁になっています。
注目すべきはその成長スピードです。連結売上高は2021年3月期の約303億円から、2025年3月期には約964億円へと、わずか数年で3倍以上に拡大しました。半導体投資の拡大とAI需要を追い風に、韓国・台湾・米国といった世界の半導体激戦区でも存在感を高めています。
一方で、半導体業界の設備投資は景気サイクルの影響を受けやすく、業績が大きく振れる可能性があります。受注の波を理解したうえで、長期目線で向き合いたい銘柄です。
野村マイクロ・サイエンスのみんかぶページはこちらです。
② オルガノ(6368)― 水を「回す」総合水処理エンジニアリング
二つ目も水のテーマですが、こちらは「作る」だけでなく「回す」、つまり水のリサイクルや排水処理まで含めた総合力が強みの会社です。東ソー系の総合水処理エンジニアリング企業で、純水・超純水の製造設備に加え、排水を処理して再利用する設備、水処理薬品などを幅広く手がけています。
電子産業向けの大型案件が業績を牽引しており、直近の四半期決算でも増収増益基調が続いています。データセンターや半導体工場で「貴重な水をいかに無駄なく循環させるか」という課題が重みを増すほど、同社の出番は広がっていくと考えられます。
野村マイクロ・サイエンスが「超純水の専門特化」だとすれば、オルガノは「水まわり全般の総合商社的なエンジニアリング」というイメージで、両者を比べてみると水ビジネスの幅がよく見えてきます。
オルガノのみんかぶページはこちらです。
③ 三櫻工業(6584)― クルマの配管技術で「水冷」に挑む異色の挑戦者
三つ目は、テーマ2「熱を逃がす」に挑む異色の企業です。三櫻工業はもともと、自動車向けの各種チューブや配管を手がけてきたメーカーですが、その配管・熱交換の技術を応用して、データセンター向けの水冷・液冷装置という新分野に乗り出しています。
同社はラックの背面で熱を受け止める方式の水冷装置を開発したことを公表し、その後も製品ラインアップを拡充してきました。直近では、水冷システム関連部品の量産受注を複数の取引先から獲得し始めており、ようやく実績が形になりつつある段階です。将来的には、冷却分配ユニットと呼ばれる中核装置まで含めて、モジュールごとシステム販売する構想も描いているとされます。
自動車という成熟産業で培った技術を、AIという成長分野に転用する。この「技術の横展開」がうまくいくかどうかが見どころですが、新規事業ゆえに、受注がどこまで利益に結びつくかは慎重に見極める必要があります。期待が先行しやすいテーマ株でもあるため、株価の値動きが荒くなりやすい点には注意が必要です。
三櫻工業のみんかぶページはこちらです。
④ 木村工機(6231)― 外気で冷やし、電力を減らす空調の小型主役
四つ目は、テーマ2のなかでも「電力を減らす」方向に効く銘柄です。木村工機は業務用空調機器の専門メーカーで、ヒートポンプ式の外調機などに強みを持っています。データセンター向けには、外の冷たい空気を取り込んで冷房に活用する外気冷房用の空調機を手がけており、これは冷却にかかる電力を抑える省エネ技術として注目されています。
データセンターの消費電力のうち、冷却システムが占める割合は決して小さくありません。だからこそ、冷却を効率化して電気代を下げる技術は、施設の運営者にとって直接的なコストメリットになります。猛暑が常態化するなかで、空調の高効率化ニーズは構造的に高まっています。
時価総額が比較的小さく、自己資本も厚めで、収益性を示す指標も良好な水準を保ってきた、いわゆる「割安成長株」として個人投資家の間で話題に上ることがある銘柄です。規模が小さいぶん値動きが軽い傾向があり、その点は妙味でもありリスクでもあります。
木村工機のみんかぶページはこちらです。
⑤ かわでん(6648)― 電気を「配る」配電盤の隠れた実力者
最後は、テーマ3「電力を受けて・配る」を担う銘柄です。かわでんは、ビルや工場、産業施設などに向けて、高低圧の配電盤や制御盤、分電盤といった「配電制御設備」をカスタムメイドで製作する専業メーカーです。発電所から届く高い電圧の電気を、施設内の機器が安全に使えるように変換・分配する、まさにインフラの心臓部を支える存在です。
同社の製品ラインアップには、データセンター向けの電源設備も含まれており、AIインフラの建設ラッシュ、半導体工場の国内回帰、都市再開発といった複数の追い風が同時に吹いています。直近では営業利益が大きく伸びる見通しが示されており、受注残高も高い水準を維持しています。2026年には創業100周年を迎える、長い歴史を持つ会社でもあります。
配電盤というと地味の極みのように聞こえますが、どんなに立派なサーバーも、電気が安全に届かなければただの箱です。「派手なAIの裏で、確実に電気を配る会社」という視点で見ると、その重要性が浮かび上がってきます。東証スタンダード市場の銘柄で、知名度は高くありませんが、まさに発掘のしがいがある一社といえるでしょう。
かわでんのみんかぶページはこちらです。
第6章:投資家として押さえておきたいリスクと視点
魅力的なテーマだからこそ、冷静さを忘れないために、いくつかの注意点を共有しておきます。
テーマ株は「期待先行」で荒い値動きになりやすい
データセンター関連、AI関連、冷却関連といったテーマは、ニュースひとつで人気が一気に集まりやすい分野です。とくに時価総額の小さい銘柄は、買いが集中すると短期間で急騰し、熱が冷めると急落することも珍しくありません。「テーマに乗っている」というだけで割高な水準まで買われていないか、業績の裏付けがあるかを、落ち着いて確認することが大切です。
受注と業績には「時間差」がある
設備関連の企業では、受注してから売上として計上されるまでに、半年から数年の時間がかかることがあります。「大型案件を受注した」というニュースが出ても、それが実際の利益に反映されるのは先のことです。受注残高や会社側の説明をていねいに読み、どのタイミングで成果が出てくるのかを見極める視点が役立ちます。今回紹介した銘柄の多くは、まさにこの「受注から実績へ」の途上にあります。
「水」と「電力」、どちらの側に賭けるか
二重苦という言葉の通り、課題は水と電力の両面にまたがります。水の側に重きを置くなら水処理や超純水の企業、熱と電力の側に重きを置くなら冷却や受配電の企業、というように、ご自身がどのシナリオを有力と考えるかで注目すべき銘柄は変わってきます。一つのテーマのなかにも複数の切り口があることを意識すると、ポートフォリオに厚みが出ます。
技術の本命が変わるリスク
冷却技術ひとつをとっても、空冷、水冷、液浸、外気利用など複数の方式が競っており、どれが主流になるかはまだ流動的です。今は有望に見える技術が、数年後には別の方式に置き換わっている可能性もあります。特定の方式に賭けすぎず、いくつかのアプローチに目配りしておくことが、リスクを抑える助けになります。
データセンターの水消費をめぐる国際的な議論の最新動向は、次の解説でも継続的に追うことができます。
まとめ:見えない「水と電気」に、投資のヒントが眠っている
AIの進化は、私たちが画面の向こうで質問を打ち込むたびに、現実の世界で大量の水と電気を動かしています。データセンターは、その水と電力という二つの資源のあいだで綱引きをしながら稼働しており、片方を最適化すればもう片方にしわ寄せがいく「二重苦」を抱えています。
しかし、課題があるところには必ず、それを解決する技術と企業が生まれます。水を作り、回し、減らす企業。熱を効率的に逃がす企業。電気を確実に受けて配る企業。これらはAIという華やかな主役の陰に隠れた「黒子」ですが、AIが広がれば広がるほど、確実に必要とされる存在です。
今回紹介した5つの銘柄、すなわち超純水の野村マイクロ・サイエンス、水処理エンジニアリングのオルガノ、水冷に挑む三櫻工業、外気冷房の木村工機、配電盤のかわでんは、いずれもその「黒子」の一例にすぎません。みなさんが本記事をきっかけに、四季報やみんかぶ、各社の決算資料を開き、自分なりの「ツルハシを売る会社」を発掘していただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
最後にもう一度だけお伝えします。本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価や業績は常に変動し、テーマ株には急騰急落のリスクも伴います。投資の判断は、必ずご自身の責任と最新の情報にもとづいて行ってください。あなたの銘柄発掘の旅が、実り多いものになりますように。
今回AIは水を飲むを取り上げた理由は、って知ってた?という観点で見直す価値があると判断したからです。
読み手目線で言うと、ここから先の3か月で何を確認すべきか、を整理しておきたいですね。
| セクション | 本記事で扱うポイント |
|---|---|
| 第1章:「AIは水を飲む」とはどういうことか | リスクと割安性をチェック |
| ChatGPTに一言聞くたびに、ペットボトル数本分の水が動いている | 投資判断の前提条件を点検 |
| データセンターはなぜ、そもそも水を必要とするのか | 関連銘柄との比較で位置付け |
| 第2章:数字で見る「水」の現実 | 次の決算で確認すべき指標 |
| 米国データセンターの年間水使用量は、9年で3倍に | 構造と業績の関係を整理 |
| 2028年までに、さらに2倍から4倍へ | 需給と中期見通しを確認 |


















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