- 「基板の会社」ではなく「材料の会社」を見るという視点
- この記事を読むと分かること
- 企業概要
- 会社の輪郭をひとことで言うと
「基板の会社」ではなく「材料の会社」を見るという視点
AIデータセンターの増設が続くなかで、いま静かに脚光を浴びているのが光通信用の化合物半導体だ。電気の信号を光に変え、また光を電気に戻す。その役目を担う部材の中核に、インジウムリン(InP、インジウムとリンの化合物)という材料がある。このInPの基板を作るメーカーとして名前が挙がるのが、上場で注目を集めたJX金属や、世界でも上位に立つ住友電工だ。光通信というテーマで銘柄を探すと、多くの人はまずこの「基板の会社」にたどり着く。
ところが、相場を長く見てきた人ほど、その一歩手前の「材料を渡している会社」に目を向ける傾向がある。基板を作るには、まず高純度のインジウムやリン、そして結晶を育てるための副材料が要る。ラサ工業は、その高純度赤リン(化合物半導体の原料)、高純度インジウム、高純度ガリウム、酸化ホウ素といった素材を安定供給できる、国内でも数少ない会社の一つだと会社資料で説明されている。光通信の盛り上がりが、基板メーカーを通り越して、その川上にいるこの会社の事業にまで波及している、という構図である。

もっとも、ここで誇張は禁物だ。ラサ工業の利益の大半は、光通信用InPそのものではなく、半導体の製造ラインで使われる高純度リン酸という別の製品から生まれている。InPに直結する電子材料の事業は、伸びは鋭いものの、会社全体から見ればまだ小さい。だからこの会社の本当の面白さは「InPの純粋な専業株」ではなく、「リンの化学を軸に、半導体のいくつもの工程へ材料を渡している会社」という点にある。何で勝ち、どこで崩れるのか。その輪郭をこの記事で丁寧に解きほぐしていきたい。
この記事を読むと分かること
この会社を理解するうえで、押さえておきたい論点をあらかじめ整理しておく。決算のたびに見返せるよう、チェックポイントとして残しておきたい。
リンの化学という一点を起点に、半導体材料へとどう事業を広げてきたのか、その「勝ち方の骨格」が分かる
この会社がさらに伸びるために満たすべき条件と、逆に勢いが止まるとしたらどこからかが整理できる
原料を輸入に頼る構造や、生産拠点の集中といった、好調時に見えにくいリスクの種類が把握できる
数字を追うのではなく、何を見れば事業の健全さを判断できるのか、その指標のタイプが分かる
JX金属のような「基板の会社」との立ち位置の違いを、優劣ではなく役割の違いとして理解できる
企業概要
ここでは、後の分析を読み解くための土台として、この会社の輪郭を頭に入れておきたい。古い歴史を持ちながら、いまの半導体材料へとつながる芯がどこにあるのかを意識すると、全体像がつかみやすくなる。
会社の輪郭をひとことで言うと
ラサ工業を一文で表すなら、リンを中心とした化学の技術を軸に、半導体・電子産業向けの高純度材料と、水処理や建設・環境向けの薬剤や機械を、企業の製造現場に供給している老舗のメーカーである。一般の消費者が店頭で目にする製品はほとんどないが、半導体の製造ラインや上下水道の工事といった、社会の基盤を支える場所に深く入り込んでいる。直接は見えないが、なくなると困る。そういう種類の会社だと考えてよい。
なぜプロはJX金属より先にラサ工業について、いま改めて整理しておきたいんですよ。市場の反応がこれだけ割れているのには理由があります。
そうですね。4022という観点で見ると、表面的な数字より構造の方が重要に見えます。
| セクション | 本記事で扱うポイント |
|---|---|
| 「基板の会社」ではなく「材料の会社」を見るという視点 | 構造と業績の関係を整理 |
| この記事を読むと分かること | 需給と中期見通しを確認 |
| 企業概要 | リスクと割安性をチェック |
| 会社の輪郭をひとことで言うと | 投資判断の前提条件を点検 |


















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