- 「15年確定」の4文字に、私がまず一度立ち止まる理由
- このニュースに反応したら、たぶん負けます
- 無視していいノイズ:1つめ ── 「○○急騰、再エネ特需期待」型の見出し
- 無視していいノイズ:2つめ ── 「2040年に○兆円市場」型の規模予測
政策の地図はもらえます。けれど、その地図を握って崖から落ちないために、私が15年で身につけた読み方を、ひとつずつ手渡します。
「15年確定」の4文字に、私がまず一度立ち止まる理由
「これは15年確定のテーマだ」。
こういう言葉に出会うと、私はまず一度、画面から目を離します。コーヒーを淹れに立つこともあります。
煽りたいわけではありません。むしろ逆で、過去に私自身、この手の見出しで何度も口座を傷めてきたからです。「もう答えは出ている、あとは買うだけ」と思った瞬間こそ、自分が一番危ない場所に立っているサインだった、というのが私の経験則です。
第7次エネルギー基本計画は、2025年2月18日に閣議決定されました。2040年度に再生可能エネルギーを全体の4割から5割程度に拡大して最大の電源とする方針が初めて明示された、かなり踏み込んだ計画です。2013年の10.9%という実績から、2040年に40〜50%へ引き上げる。これだけ見れば、確かに大きな変化です。
ただ、ここで私が立ち止まるのは、「変化が大きいこと」と「それで儲かること」は別物だからです。
正直に言うと、この記事を書きながら私もまだ迷っています。15年という時間軸は長すぎて、途中で何度も前提が変わるはずだからです。
それでも、迷いながら書きます。なぜなら、こういう「確定テーマ」と呼ばれるものに、何の準備もなく飛びつくと、どうなるか。私はその痛みを2020年の秋に味わいました。後で詳しく書きます。
この記事でお渡しするのは、「何を見て、何を捨てるか」です。
具体的には、まずニュースの中身を「無視していいノイズ」と「注視すべきシグナル」に仕分けます。次に、政府の計画書の中身を、見出し以上に踏み込んで読み解きます。そのうえで、3つのシナリオに分けて行動指針を整理し、最後に私自身の失敗から作ったルールを共有します。
「2040年に再エネが最大電源になる」という事実から、明日のあなたの行動につなぐ。それがこの記事のゴールです。
このニュースに反応したら、たぶん負けます
エネルギー政策のニュースは、これから毎週のように出ます。SNSも騒がしくなります。その中で、私が「これに反応すると怪我をする」と判断しているノイズが3つあります。
無視していいノイズ:1つめ ── 「○○急騰、再エネ特需期待」型の見出し
特定の銘柄が急騰したというニュースほど、人を焦らせるものはありません。誘発される感情は、取り残される恐怖、いわゆるFOMOです。「自分だけ知らなかった」「乗り遅れた」という焦りが、判断を歪めます。
私が無視する理由は単純で、政策テーマで動く銘柄は、政策が確定する前に動き終えていることがほとんどだからです。2024年12月にエネルギー基本計画の原案が公表され、2025年2月に閣議決定という流れがありましたが、関連株の多くはこの数ヶ月の間にすでに織り込みを終えています。
「閣議決定」の見出しを見て買うのは、最後にトランプを引かされる役回りに、自分から手を上げに行くようなものです。
無視していいノイズ:2つめ ── 「2040年に○兆円市場」型の規模予測
市場規模の予測は、それ自体が悪いわけではありません。問題は、その大きな数字が「企業の利益」と直結すると勘違いさせる構造にあります。
誘発されるのは、無条件の楽観です。「市場が10倍になるなら、関連企業の利益も10倍だろう」と直感が囁きます。けれど、市場規模の拡大と、上場企業の純利益の伸びは、まったく別の話です。
設備投資が必要な業種ほど、売上は伸びても利益が薄い、ということが起きます。私はこれで、太陽光関連の銘柄でも痛い目に遭いました。
無視していいノイズ:3つめ ── 「これから来る5倍株」リスト
SNSやネット記事で見かける「これから上がる」リストは、私はまず疑います。誘発されるのは、欲望と焦りの混合物です。
理由は二つです。一つ、「これから」と書かれた時点で、書いている人はすでに買い終わっている可能性が高い。二つ、5倍になる銘柄を事前に当てるのは、構造的に難しい。
過去のテーマ相場を振り返ると、事前に名指しされた「本命」より、誰も注目していなかった周辺銘柄のほうが伸びる、ということがよく起きます。
注視すべきシグナル:1つめ ── 出力制御の発生量
これは地味ですが、私が一番よく見ている数字です。
2024年度と比較して2025年度は出力制御量の減少が予測されているものの、それでも20億kWhを超える規模に達する見込みです。出力制御とは、つまり「せっかく作った再エネ電力を、需要不足で捨てている」状態です。
これが減らない限り、蓄電池の経済価値は高まり続けます。逆に、これが急減したら、蓄電池の投資ストーリーは弱まります。
確認方法は、資源エネルギー庁のサイトで月次データをチェック。私は2ヶ月に一度くらいの頻度で見ています。
注視すべきシグナル:2つめ ── 入札価格と運用市場の価格
太陽光や風力のFIT・FIP入札の落札価格、そして容量市場・需給調整市場の価格です。
これが何を意味するかというと、「再エネ事業者が、実際にいくらで電気を売って、いくらで採算が取れているか」が分かります。
ニュースの楽観論と、現場の数字が乖離していれば、それはどこかで反動が来るサインです。確認は四半期に1回で十分。私は決算シーズンに合わせて見るようにしています。
注視すべきシグナル:3つめ ── 系統用蓄電池の運用実績
国内における再エネ電源比率の増加に加え、さまざまな運用市場の整備が進んだことにより、蓄電池ビジネスが拡大しており、太陽光併設蓄電池および系統用蓄電池が主要なビジネスとなっている状況です。
ここが伸びるか、踊り場で停滞するかで、蓄電池関連企業の売上の質が大きく変わります。半年に一度、業界レポートに目を通すくらいでいいと思っています。
この3つのシグナルは、次の章でもう少し踏み込んで分析します。
政府が描いた地図と、その余白
ここからは、私がどう計画書を読んでいるかを共有します。
まず、計画書に書かれている事実
第7次エネルギー基本計画では、2040年度に再生可能エネルギーの割合を40〜50%、太陽光は23〜29%、風力は4〜8%とすることが明記されています。火力発電の割合は30〜40%程度に減少し、原子力発電は20%程度を維持するとされています。
数字を並べただけだと意味が見えにくいので、私の言葉で言い換えます。
太陽光が今の3倍前後になります。風力も2倍以上に増えます。原子力は今より明らかに増えます。火力は減りますが、ゼロにはなりません。残った火力の中身も大きく変わります。
私が一番重要だと思っている「余白」
ここからは私の解釈です。前提が変われば判断も変えます、と最初に断っておきます。
世間の見出しは「再エネ最大化」「原発回帰」に偏りがちです。しかし、私の見立てでは、もう一つ大きな変化が隠れています。
それは、火力発電の中身です。火力発電が電源構成の3〜4割残存し、その過半数がCO2回収付き火力や水素・アンモニア火力になると読み取れる内容です。
つまり、火力は「縮む産業」ではなく「化ける産業」です。CCS、水素、アンモニアといった分野は、現時点では商業的に未成熟ですが、政策が本気でこれを織り込んでいるという事実は、見逃せないと私は考えています。
そして、再エネ拡大には系統(送電網)の整備と蓄電池の大量導入が不可欠です。これは、再エネ本体よりも地味で確実なテーマだと、私は見ています。
私の解釈:「3軸」で考える
第7次エネ基をテーマとして読むなら、私は3つの軸に分けます。
軸1:再エネ本体 ── 太陽光、風力、ペロブスカイトなどの発電側
軸2:系統と蓄電池 ── 送電網、系統用蓄電池、家庭用蓄電池、EMS(エネルギー管理)
軸3:火力の脱炭素化 ── CCS、水素、アンモニア、関連プラント
「再エネ確定だから太陽光株を買う」というのは、3軸のうち1軸しか見ていない、私からするとかなり荒い読み方です。
私が置く前提と、それが崩れる条件
私の前提はこうです。今後10年、政府は今回の計画の枠組みを大きく変えない。再エネと脱炭素化の方向性は維持される。出力制御問題は当面解消されず、蓄電池需要は構造的に伸びる。
この前提が崩れる条件を、具体的に書きます。
ひとつ、エネルギー基本計画は概ね3〜4年ごとに見直される慣行です。2028〜2029年あたりに見直しがあります。そこで方向性が大きく変わったら、私は見立てを変えます。
ふたつ、選挙で政権が交代し、再エネ政策が大幅に縮小されたら、当然見直します。
みっつ、原発の再稼働が想定以上に進み、再エネ拡大の必要性が薄れたら、再エネ関連の優先度を下げます。
よっつ、技術面で大きな転換、たとえば核融合の早期商用化が見えてきたら、計画自体の前提が揺らぎます。
これらが、次の章のシナリオ分岐の発生条件にそのまま使われます。
三つの分かれ道、自分はどこに立っているか
ここからは具体的な構えの話です。
基本シナリオ:計画が粛々と進む場合
発生条件は、政権の大幅な交代がなく、出力制御が高水準で続き、蓄電池導入の補助金や入札制度が継続することです。
この場合にやることは、3軸(再エネ本体、系統・蓄電池、火力脱炭素化)に薄く広く分散することです。一つの軸にも、特定の銘柄にも集中しません。年に1〜2回、保有比率を点検し、偏ったところを戻すだけ。
やらないことは、急騰している個別銘柄を高値で追いかけることです。テーマ確定の話と、銘柄の値動きの話を、同じ俎上にあげない。
チェックするのは、月次の出力制御データ、四半期のFIP入札結果、年1回の政策レビュー資料です。
逆風シナリオ:計画が後退する場合
発生条件は、電気料金の高騰で世論が大きく揺れる、政権が交代して化石燃料寄りに舵を切る、補助金が予算上の理由で大幅縮小される、といった出来事です。
この場合にやることは、テーマ関連のポジション全体を縮める、現金比率を上げる、です。基本シナリオで決めた配分の半分以下まで落とすことも検討します。
やらないことは、ここでナンピンに走ることです。下げたところで買い増したくなりますが、政策の前提が崩れているなら、それは別のゲームです。
チェックするのは、世論調査、国政選挙の結果、エネ庁の審議会の議事録です。議事録は読みづらいですが、世論より早く方向性が見える資料です。
様子見シナリオ:判断がつかない時期
発生条件は、補助金制度の変更が議論されている、入札価格が急変している、大きな技術トラブルや事故が起きている、といった霧の中の状況です。
この場合にやることは、新規ポジションを止める。既存ポジションは、サイズを半分にする。
やらないことは、「答えが出るまで待つ」と称して、何もせず固まることです。情報が混乱している時こそ、サイズの調整は意味を持ちます。
チェックするのは、月次の出力制御データと、業界紙の見出しです。混乱が落ち着けば、基本シナリオか逆風シナリオか、輪郭が見えてきます。
ここで大事なのは、自分が今どのシナリオの中にいるか、月に一度は問い直すことです。私はカレンダーに「ポジション点検」のリマインダーを入れています。
2020年秋、私が高値で掴んだあの再エネ株
ここからは、私の失敗の話です。少し長くなります。書きながら今も胃が重くなる類の話なので、ご容赦ください。
2020年10月の終わり、菅首相(当時)が「2050年カーボンニュートラル」を所信表明演説で宣言しました。翌日のニュースは、再エネ・脱炭素一色でした。
私はその日の夜、子どもを寝かしつけたあとリビングで、ノートパソコンを開いていました。Twitter(当時)のタイムラインには、再エネ関連銘柄のチャートを貼って「これからは再エネの時代」「10倍は固い」と語る投稿が並んでいました。
正直に書きます。その時、私の中にあった感情は、純粋な分析ではなく「乗り遅れたくない」という焦りでした。
何を見て判断したかというと、その日の急騰チャートです。買いたい銘柄を一つ決めて、ヤフーファイナンスの掲示板を見ました。みんな強気でした。「ここから3倍」「機関も買っている」。今思えば、それはピーク特有の温度感でした。
翌日、昼休みに、コンビニのおにぎりを片手に成行買いの注文を入れました。資金の20%を超えるサイズでした。撤退基準は、決めていませんでした。
注文が約定した瞬間、私は「ようやく自分も流れに乗れた」と思いました。胸の奥に、温かい安堵のようなものが広がりました。今でもその瞬間の感覚を覚えています。
そしてここから、私の見立ては徹底的に外れます。
その銘柄は、買った翌週には10%下げました。「短期的な利益確定だろう」と私は思いました。さらに下げて、買値から20%下げたとき、ようやく「あれ?」と思いました。
決定的だったのは、半年後です。買値の半額を割り込みました。私はSNSも掲示板も見られなくなり、口座へのログインすら避けるようになりました。
その間に何が起きていたか。事業の中身は、悪くなっていませんでした。むしろ、政策の追い風という意味では、私が買った時のストーリーはほぼそのまま継続していました。けれど、株価は下げ続けました。
最終的に、私は買値の45%くらいで損切りしました。年収の数ヶ月分が、消えました。
何が間違いだったか、整理します。
ひとつ、テーマの正しさと、銘柄の値動きの正しさを、私は混同していました。「政策が追い風 = 株価が上がる」という単純な式を、無意識に信じていました。本当は、政策が追い風でも、株価は需給で動きます。
ふたつ、私が買った時には、すでに他の人たちは買い終わっていました。Twitterで盛り上がっていたのは、買った人たちが自分の判断を補強するための投稿でした。私はそれを「みんなが強気だ」と読みました。
みっつ、ポジションサイズが大きすぎました。資金の20%を一つの銘柄に入れたのは、撤退余地を自分で潰したことを意味します。下げてもナンピンできず、損切りもできず、固まるしかなくなった。
よっつ、撤退基準を決めずに買いました。これが一番痛い。価格でも、時間でも、前提でもいいから、何か一つ決めておけば、半額になる前に降りられたはずです。
そして、いちばん根本的な間違い。私は「自分の判断」を、していませんでした。タイムラインの空気を、自分の判断と勘違いしていました。
今でも、当時の取引履歴を見返すと、あの日の昼休みのおにぎりの味と、注文ボタンを押したときの安堵が、セットで蘇ります。完全には消えない痛みです。
ただし、この失敗は私に、ひとつだけ良いものを残しました。それは、「自分専用の取扱説明書」を作ろう、という動機です。次の章は、その取説の話です。
あの日の自分に渡したかった、5枚のルール
ここからは、私が今、テーマ性のある投資をするときに使っているルールです。
1. 資金配分のレンジ
テーマ株全体の上限は、私の運用資金の10〜20%以内に抑えています。残りはインデックスや配当株、現金です。
その中で、第7次エネ基本計画関連にあてるのは、テーマ枠の中の3〜5割。つまり、運用資金全体の3〜10%が上限です。
熱狂しているとき、たとえば連日「再エネ特集」がメディアに出るような時期は、下限寄りに置きます。逆に、テーマが冷え込んで誰も話題にしていない時期は、上限寄りに寄せます。これは、自分の感情と逆の方向に、強制的にハンドルを切る仕組みです。
2. 建て方:分割エントリー
一括買いは、原則しません。4〜6回に分け、3〜6ヶ月かけて入ります。
なぜ分割かというと、一括で入った直後に急落すると、心理的に身動きが取れなくなるからです。ナンピンする勇気もない、損切りする決断もできない、という塩漬け状態になる。
分割なら、下げてもまだ買える余地が残ります。上げても「全部入っていなくて損した」という後悔は、想定済みのコストとして受け入れます。
3. 撤退基準(価格・時間・前提の3点セット)
これが、2020年秋の自分に一番渡したかったものです。
価格基準は、買値からの一律ではなく、直近半年の安値を明確に割り込んだら、ポジションの半分を切ります。「明確に」というのは、安値を3〜5%下抜けて、終値で確定したら、という運用です。
時間基準は、6ヶ月経って想定方向に動かなければ、一度全部降ります。判断ミスを認めるラインです。再度入りたければ、状況を再評価して、改めて入れば良い。
前提基準は、前章で書いた前提が崩れたら撤退、です。具体的には、エネ基本計画の見直しで方向性が変わる、出力制御が急減する、政権交代で政策が大転換する、のいずれかが起きたら、ポジション全体を点検します。
この3点を、買う前に書面に書いてから注文を出します。これだけで、感情の事故率が体感で半分くらいに減りました。
4. 救命具
判断に迷ったら、ポジションを半分にしてください。間違えてもダメージが半分になります。迷いは市場からのサインです。
私はこの一文を、取引画面の付箋に書いて、モニターの端に貼っています。
5. 自分の取扱説明書を更新する
ルールは作って終わりではなく、半年に一度、見直しています。市場環境が変わるからではなく、自分が変わるからです。
たとえば、子どもが大きくなって教育費が見えてくれば、リスク許容度は変わります。仕事の収入が安定すれば、それも変わります。私のルールは、私の生活と地続きの場所にあるので、生活が変われば、ルールも変える。
この5枚は、あくまで私の場合です。あなたの資金量、リスク許容度、生活環境は、私とは違います。コピーせず、自分の言葉で書き直してください。
保存用チェックリスト:政策テーマ株を買う前の7問
買い注文を出す前に、私は以下をスマホのメモで確認しています。
ひとつ、このテーマは、政策発表の前なのか、後なのか ふたつ、自分が買おうとしている銘柄は、過去6ヶ月で何%動いているか みっつ、自分のポジションサイズは、運用資金の何%か。5%を超えていないか よっつ、価格・時間・前提の3つの撤退基準は、書き出してあるか いつつ、今の自分は、焦っているか、冷静か。SNSを見た直後ではないか むっつ、最悪のシナリオで、いくら失う計算か。それは生活に影響するか ななつ、半年後にこのポジションをまだ保有していて、自分は耐えられるか
7つすべてに納得できなければ、注文は出しません。
自分に当てはめる3つの質問
ここで、画面から少し顔を上げて、考えていただきたい問いがあります。
問いひとつ。あなたの今のポジションは、最悪のシナリオで何%の損失になりますか。具体的な金額で、答えられますか
問いふたつ。第7次エネ基計画関連で何かを買うとして、なぜ「今」なのか。1年待てない理由を、3行で説明できますか
問いみっつ。あなたは、政策が変わったときに、自分のポジションを変えられますか。それとも、最初の判断に固執しますか
答えられなかった問いがあれば、それ自体が、まだ買うべきタイミングではない、というサインかもしれません。
私のミスを防ぐ短いルール集
行動レベルで、私が日々守っているルールです。
ひとつ、SNSで急騰銘柄を見た直後は、48時間、買い注文を出さない ふたつ、政策発表の前後2週間は、新規エントリーを止める みっつ、撤退基準を書面にしない注文は、出さない よっつ、一つの銘柄に運用資金の5%以上は入れない いつつ、迷ったら、ポジションを半分にする
シンプルすぎて拍子抜けするかもしれません。けれど、シンプルじゃないルールは、感情が高ぶった時に守れません。
「結局タイミング投資なのでは」という問いに、私はこう答えます
ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。
「政策テーマで分散しろ、サイズを抑えろ、撤退基準を持て。それって、結局タイミング投資の話では?15年確定テーマなら、今買って15年持っていれば勝てるのでは?」
この指摘は、もっともです。否定しません。
ただ、条件分岐で答えさせてください。
「今買って15年持っていれば勝てる」という戦略が成立するのは、対象がインデックスや、極めて広範な分散ETFの場合です。たとえば、グローバル株式インデックスを15年積み立てるなら、テーマ単位の議論はそもそも要りません。それで十分機能します。
しかし、特定テーマ、たとえば再エネや脱炭素の関連銘柄に露出したい場合、話が変わります。
理由は、テーマ全体が伸びても、個別銘柄の生死は別問題だからです。たとえばインターネット黎明期、テーマとしてはほぼ全勝でしたが、当時の代表銘柄の多くは消えました。再エネも同じ構造になり得ます。テーマは正しく、企業は淘汰される、ということが普通に起きる領域です。
もう一つ、15年の間に、政策は最低でも3〜4回見直されます。前提が変わるたびに、ポジションを点検しないと、最初の判断にロックインされ続けます。これは「持っているだけで勝てる」とは違います。
ですから、私の答えはこうです。
インデックス1本でいいなら、確かにタイミングの議論は不要です。でも、特定テーマに露出したいなら、サイズと撤退の議論は避けられません。私はテーマに張りたいので、こちらの話をしています。
ちなみに、もう一つの選択肢として、「テーマには張らず、市場全体のインデックスで間接的に取りに行く」という考え方もあります。私はこれを、自分のポートフォリオの土台に置いています。テーマで遊ぶのは、その上に乗せる小さな部分だけ。これは、私が15年で痛みから学んだ、自分なりの均衡点です。
あなたの均衡点は、あなたの言葉で見つけるしかありません。
明日、最初に開く画面はひとつでいい
長くなりました。最後に、3つの要点だけ持ち帰ってください。
ひとつ、第7次エネ基本計画の本質は、「再エネ最大化」だけではなく、「火力の中身が変わる」「系統と蓄電池が不可欠になる」を含めた3軸で読むことです。
ふたつ、政策の確定とテーマ株の確定は、別物です。テーマが正しくても、銘柄が必ず勝つとは限りません。
みっつ、サイズと撤退基準を決めずに飛び込まないことです。価格・時間・前提の3点セットを、書面で持ってから動く。
そして、明日スマホを開いたら、最初にひとつだけやってほしいことがあります。
資源エネルギー庁のサイトで、出力制御の最新データに目を通すこと。これだけです。1分で終わります。
なぜこれかというと、これが「再エネ拡大の本気度」を、ニュースの煽りなしに教えてくれる数字だからです。出力制御が高水準なら、蓄電池と系統強化のテーマは生きています。減ってきたら、ストーリーの一部を見直す必要があります。
ここを2ヶ月に一度見るだけで、ニュースの99%は無視できるようになります。
最後に、ひとつだけ。
15年は、長いです。途中で気持ちが折れる日も、相場から離れたくなる夜もあります。私もそうでした。
それでも、生き残りさえすれば、その間に資産は時間を味方につけます。逃げるのは負けではなく、生き残るための一手です。今日、どのポジションを少し軽くしようか、と考えるところから始めて構いません。
私もそうしています。明日もそうします。
本記事は投資助言を目的としたものではありません。 記載された内容は筆者個人の見解であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。 投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。
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| 3. 無視していいノイズ:1つめ ── 「○○急騰、再エネ特需期待」型の見出し | 本記事固有の論点を整理 |
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